2023年も『進め歩兵よ!大砲片手に!』をよろしくお願いします!
「……ピンポーン」
砲代家に鳴り響く一つのインターホン。いつもなら砲代が出るとこであるが、砲代は焼き芋の屋台の音を聞いた瞬間、小銭を握りしめて外へ出たため、ここにはマキマしかいない。
外は寒く、雪が降っている。1月3日…正月休みは砲代とマキマは家でコタツを囲み過ごすと決めていたのだ。
しかし、扉からはインターホンが鳴り響きマキマをコタツの外へ誘う。いつもなら誰だろうと格別感情の起伏のない様に考えるマキマの脳内は、私をコタツから出させるなんて、と言う一種の怒りに満ち満ちている。
「…はーい」
抜けた声を出してコタツを出ては、可笑しいほどに冷たい床を裸足で駆けていく。ゆっくりと開けるつもりで、扉の鍵を開ける。
見たところ5人ほどだろう。マキマは取手に手をかけ開けようとする。
しかし、そんなことはお構いなし。
勢いよく扉が開く。
「ほぉ〜だぁいさぁ〜ん!お正月休み楽しんでますぅかぁ?!!!」
「……え?」
「あれ?」
そこには硬直するマキマとビニール袋と酒瓶片手に硬直する井伊乃の姿出会った。
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「戻ったぞぉ〜…って!なんじゃお前らぁ?!」
「「「「「お邪魔してまーす(ス!)」」」」」
あっけらかんとした砲代を横目にそこには三島、丸山、井伊乃、佐々木、そして……
「もう傷は塞がったんか!"花御"の姉貴!!」
「おうよ〜!危なかったけどね、なんとか大丈夫だったよ!」
そう、あの事件の後クァンシにより緊急搬送された花御はなんとか一命を取り止め、歩けるほどになったのだ。
扉を閉めて、鍵をかけた砲代は手に持っていた焼き芋の入った袋を机に置いて、こたつに入る。
「でも、辞めちまうんだろ?公安?」
「そうだよ。この
「本当ですか!男気ありますねー!」
三島は佐々木を褒める。しかし、佐々木はどこか顔を赤くしている。
「佐々木先ぱーい…あれいっちゃっていいですか〜?」
「おい!井伊乃、やめろ!」
「なんじゃ!なんじゃ!佐々木先輩の笑い話かぁ?」
先程赤くした顔をもっと赤くしては、井伊乃を止める。結局口を出したのは花御の方であった。
「こいつ、病院で告白しやがったんだよ。」
「おい!花御ィ!」
男性陣は感嘆の声を上げる。
丸山も三島と砲代と同じ様に何も聞いていなかったらしい。これは愉快だと、手を机に何度も当てて花御は大きく笑い始める。
「ハハ!私の看病してる時にさ!急に真剣な顔になったかと思えば…フフ」
「おい!花御ィ〜やめろってぇ」
「"俺はお前が傷つくところはもう見たくない!"ってさ!フハハハハハ!」
「「おぉー!」」
「漢じゃないっすか!佐々木先輩ィ!」
「カッコいいですよ!」
「……もうやめてくれぇ…」
耳まで真っ赤にした男は机に顔を屈して、ア"ーと断末魔のような声をあげている。アハハハハハと、部屋中に広がる笑い声はどうも砲代には優しく、暖かいものを感じさせるのであった。
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「砲代さんって娘がいたんだね〜」
そう言って井伊乃はマキマのほっぺを優しくつまみ始める。なされるがままのマキマは、井伊乃の脚に乗ってはゆらゆらと小さく揺れている。
「あーの、まぁ、そうじゃ。」
「マキマちゃんは今何歳なの?」
「15だよ。」
「中学生ッスかー」
時刻はもう午後3時になっている、日は天頂を通り過ぎ、窓からは光が入ってきている。
流石に皆も養子である事は察しているらしく、これ以上は話を深めなかった。
「最初私がマキマちゃん見たとき事案かと思いましたよ~」
「なーんでじゃ!ワシがそんなやつに見えるんか?!」
「ハハ!まぁ、砲代ってなんか彼女とかいなさそうだからね。」
「なんじゃ〜?おったぞ?ワシにも!」
「え?」
これにいち早く驚いたのは、意外にもマキマであった。少し驚いた顔で砲代を見たかと思えば、急に少し眉間に皺を寄せ、こたつの下から砲代の脚に蹴りを入れてくる。
「いたい、いたい…どうしたんじゃマキマ?!」
「……なにも。」
「アハハ、マキマちゃんは嫉妬してるんですよ。」
「なんじゃ〜?嫉妬じゃとぉ〜?」
無言でマキマは砲代を見つめる。
砲代からしてはちんぷんかんぷんだが、皆はそれを可笑しく笑うのだ。
「じゃぁーそろそろ帰りますか。」
井伊乃はそう言ったかと思えば、こたつから足を出し、荷物をまとめる。
「もうそんな時間っすか!」
「本当だ、もう結構経ってるね。」
そう言って、ついにあっという間ににぎやかな正月休みは終わってしまった。
扉を開け、外へ出るとき。
「じゃあ、またね砲代くん、マキマちゃん!」
「うん、またね井伊乃さん。」
どちらも笑顔で、手を振って別れたのであった。
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マキマは感じていた。
この生活への幸福を。
この生活への喜びを。
しかし、何処かで、心のどこかで、こうとも感じていた。
"足りない。足りない。彼が、彼の存在が。"
マキマにとって彼は自分の全てであり、もっと言えば彼に喰われたりすることを望む悪魔であった。
だからこそであろう。
この生活に何処か引っ掛かっていたのだ。
優しい友人、優しい父の同僚、そして愛しい父。
だが、彼の存在が何処か引っ掛かって……
「痛い……なんで…?なんで…?」
胸を苦しめ、そして押さえ込まれる様な…
それは、マキマとしても支配の悪魔としても、初めての感情…あまりにもマキマにとって劇薬であった。
「助けて…お父さん……」
静まり返った部屋の中砲代の背中に手を当てて、うずくまるように眠りにつくのだった…
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花御は死んだんじゃなかっただって?
トリックだよ…!
追記
ー石原砲代くんの挿絵が完成しました!!
私が描きました(自慢)
注意としては解釈違いがあるかもなので、お気を付けてください。
【挿絵表示】
原作突入まで見守りたい人
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いえす!
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いやじゃ!