第一部みたいなものです。
第二十五発目・そうだ旅行行こう
「マキマァ!一週間ほど学校を休め!」
「……え?」
鍵を開け扉を開けた瞬間、同時に砲代が堂々とその言葉を発する。その左手には一枚の紙切れを握り締め、凶悪な笑みを浮かべ家の中に入っていく。
「どうしたの?」
「旅行じゃぁ!一週間の北海道旅行を掴みとってきたゾォ!!」
「え、でも学校……」
「なんじゃ〜あ?考査でもあるんか?」
「……3日前に終わったけど…」
「な〜らヨシじゃ!」
まさに怒涛の勢いで、物事が決まっていく。夕食の準備をしながら、片手間でキャリーケースに衣類を入れていく。
鼻歌を歌いながら準備する砲代を横目にマキマは、突然決まったこの旅行に大きな疑念を抱いていた。
「ねぇ、お父さん。」
「なんじゃ?」
砲代は手を止める事はなく、衣服を選びケースに入れていく。
「どうしたの?急に。」
「……気分じゃ。最近面倒くさいこともあったしノォ〜。」
「…そう。」
ー分からない。分からないことがもどかしい。
マキマのその心の底には、その言葉が永遠とこびり付いていた。石原家の娘となって数ヶ月が経ち、マキマは無意識のうちに支配の力を使わなくなっていた。
しかし…最近おかしいのだ。
まるで心の中が縛り付けられている様に、磔にされている様に、苦しい。相手の行動が私と思うものと違う。相手のあり方が私と思うものと違う。
マキマは人間と言うものが分からなくなっていたのだ。
人間と触れ合うことで学んだ新たな価値観は、劇薬で、"支配の悪魔のマキマ"は"石原マキマ"へと変わりつつある状態はあまりにも不安定だったのだ。
「それにしても、なんで北海道にしたの?」
「あー、それはのぉ〜。」
答えようとした瞬間、突如電話が鳴る。ジリリリとなる電話をマキマは取り、耳に当てる。
電話からは、正月に家に来た丸山という男が出てきた。
『もしもし、石原さんのお宅っスか?』
「はい。」
『ありゃ、マキマちゃん?砲代さんはいるっスか?』
「いるよ。今から変わるね。」
受話器を荷造り中の砲代に渡し、マキマはグツグツと煮込まれたカレーを見る。
背後からは、「そうじゃ〜」や「お前サンの車が〜」がなどと話している。
それをマキマは儘ならぬと思いながら見ていたのであった。
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朝、二人は荷物をまとめ扉を開ける。外からは冷たい空気と共に、明るい日が二人を出迎えた。マキマがアパートの下に目をやると、そこには私服の丸山が車から降りてきていたところであった。
「おぉ〜!丸山、おはよーぉうさん。」
「おはようございますっス!」
少しチャラついた服装をした丸山は、また二言ほど砲代と話すとマキマに目を向ける。
「おはよ、マキマちゃん!」
「おはよう。」
「荷物はこっちスッよ。」
荷物を車に乗せ、車に乗り込む。これから長い旅路の始まりだ。
少ししたら、車は高速に乗り始め、3人の会話も盛り上がる。
「あー、そういえばマキマちゃんは、旅行の目的を知ってるんスか?」
「……知らないよ。」
静寂が訪れる。
頭をまるで錆びた機械の様に、ガクガクと動かし砲代を見る。
「え…砲代さん?」
「……すまん。忘れとった。」
「かぁー!砲代さんしっかりして欲しいっスよ?!」
「カハハハ!すまん、すまん。」
「目的ってなんなんですか?」
「あー、それはっすね。実家帰りっス。俺のね。」
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"トンネルを抜けると、そこは雪国であった。"
なんて言うこともなく、既に青森で見た雪と同じ様な雪がフェリーを降りた先に見られた。砲代はすっかり寝てしまい、この時起きていたのは二人だけだった。
「ここって…」
「北海道っスよ。やっとっスねー。」
「…後どれくらいかかるの?」
「あと、2時間くらいっスよ。」
窓の外を覗くと一面の雪景色であった。聞いた話によると、今日は姉の家に泊まるらしい。
丸山の姉は既に結婚しているらしく、苗字が丸山ではなく、もう息子が二人いるという。
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程なくして、目的地に着いた。
砲代はやっと"んが?!"と言う、変な声と共に起きた。荷物を車から下ろし、家の前に行く。
インターホン越しに丸山は声をかける。
「姉ちゃん!来たよぉー。」
「姉ちゃん呼びか、丸山わぁ!」
「うるさいっスねぇ!」
ハハハと笑い合うと同時に扉が開く。
30歳ほどの少しのうなじほど髪のある女性だ。
「いらっしゃい。ヒルコ。」
「ただいま姉ちゃん。」
「あら、その二人がヒルコが言ってた石原さんですね!」
「そうです。石原砲代といいます。」
「マキマと言います。」
「親切にどうもぉ〜」
屈託のない笑顔で、丸山の姉は出迎えてくれた。
家の中に入ると、廊下で前髪を下ろした二人の少年が立っていた。3人が家に入ると、一人の男の子は"ヒルコ兄ちゃんだぁ!"と大きく喋り、丸山に近づいてきた。
「おぉ!いい子にしてたっスかぁ?」
「うん!!」
すると、もう一人の少年も歩いてやってくる。
「ヒルコ兄さん。久しぶり。」
「おう!いい子にしてたっスか?」
「うん。」
靴を脱いだ3人はリビングへと足を運ぶ、まだ父親の方は帰ってきておらず、部屋の中は少し暴れたのか汚れている。
「ごめんなさいね、掃除できてなくて。」
「大丈夫ですじゃ、子供はそう言うもんじゃからのぉ!」
そう言うと、砲代の足に二人の少年がやってくる。活発な少年は砲代にキラキラと目を向けては質問をかけてくる。
「おじさんはなんて人?」
「お!ワシは砲代じゃ!そこのヒルコの先輩じゃ。」
頭をぐしぐしと撫でては、二人を見る。
マキマはそんな砲代をみて、また複雑な顔をしている。
「そいじゃ、二人の名前はなんじゃ?」
「「僕(オレ)?」」
二人は顔を見合わせる。
そして、堂々と言うのだ。
「オレは早川アキ。」
「僕は早川タイヨウだよ。」
……外では雪が降り積もっていた。
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さぁ、マキマもアキも、どっちも凄いことになっですね。
凄いことですよ!(語彙力無し)
原作突入まで見守りたい人
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いえす!
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いやじゃ!