進め歩兵よ!大砲片手に!   作:チチメカ

28 / 38
もちろんですが、最終章といってもまだ続きますよ。
第一部みたいなものです。



公安某重大事件編
第二十五発目・そうだ旅行行こう


「マキマァ!一週間ほど学校を休め!」

 

「……え?」

 

鍵を開け扉を開けた瞬間、同時に砲代が堂々とその言葉を発する。その左手には一枚の紙切れを握り締め、凶悪な笑みを浮かべ家の中に入っていく。

 

「どうしたの?」

 

「旅行じゃぁ!一週間の北海道旅行を掴みとってきたゾォ!!」

 

「え、でも学校……」

 

「なんじゃ〜あ?考査でもあるんか?」

 

「……3日前に終わったけど…」

 

「な〜らヨシじゃ!」

 

まさに怒涛の勢いで、物事が決まっていく。夕食の準備をしながら、片手間でキャリーケースに衣類を入れていく。

鼻歌を歌いながら準備する砲代を横目にマキマは、突然決まったこの旅行に大きな疑念を抱いていた。

 

「ねぇ、お父さん。」

 

「なんじゃ?」

 

砲代は手を止める事はなく、衣服を選びケースに入れていく。

 

「どうしたの?急に。」

 

「……気分じゃ。最近面倒くさいこともあったしノォ〜。」

 

「…そう。」

 

 

ー分からない。分からないことがもどかしい。

 

 

マキマのその心の底には、その言葉が永遠とこびり付いていた。石原家の娘となって数ヶ月が経ち、マキマは無意識のうちに支配の力を使わなくなっていた。

 

しかし…最近おかしいのだ。

まるで心の中が縛り付けられている様に、磔にされている様に、苦しい。相手の行動が私と思うものと違う。相手のあり方が私と思うものと違う。

マキマは人間と言うものが分からなくなっていたのだ。

 

人間と触れ合うことで学んだ新たな価値観は、劇薬で、"支配の悪魔のマキマ"は"石原マキマ"へと変わりつつある状態はあまりにも不安定だったのだ。

 

「それにしても、なんで北海道にしたの?」

 

「あー、それはのぉ〜。」

 

答えようとした瞬間、突如電話が鳴る。ジリリリとなる電話をマキマは取り、耳に当てる。

電話からは、正月に家に来た丸山という男が出てきた。

 

『もしもし、石原さんのお宅っスか?』

 

「はい。」

 

『ありゃ、マキマちゃん?砲代さんはいるっスか?』

 

「いるよ。今から変わるね。」

 

受話器を荷造り中の砲代に渡し、マキマはグツグツと煮込まれたカレーを見る。

背後からは、「そうじゃ〜」や「お前サンの車が〜」がなどと話している。

それをマキマは儘ならぬと思いながら見ていたのであった。

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

朝、二人は荷物をまとめ扉を開ける。外からは冷たい空気と共に、明るい日が二人を出迎えた。マキマがアパートの下に目をやると、そこには私服の丸山が車から降りてきていたところであった。

 

「おぉ〜!丸山、おはよーぉうさん。」

 

「おはようございますっス!」

 

少しチャラついた服装をした丸山は、また二言ほど砲代と話すとマキマに目を向ける。

 

「おはよ、マキマちゃん!」

 

「おはよう。」

 

「荷物はこっちスッよ。」

 

荷物を車に乗せ、車に乗り込む。これから長い旅路の始まりだ。

少ししたら、車は高速に乗り始め、3人の会話も盛り上がる。

 

「あー、そういえばマキマちゃんは、旅行の目的を知ってるんスか?」

 

「……知らないよ。」

 

静寂が訪れる。

頭をまるで錆びた機械の様に、ガクガクと動かし砲代を見る。

 

「え…砲代さん?」

 

「……すまん。忘れとった。」

 

「かぁー!砲代さんしっかりして欲しいっスよ?!」

 

「カハハハ!すまん、すまん。」

 

「目的ってなんなんですか?」

 

「あー、それはっすね。実家帰りっス。俺のね。」

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

"トンネルを抜けると、そこは雪国であった。"

なんて言うこともなく、既に青森で見た雪と同じ様な雪がフェリーを降りた先に見られた。砲代はすっかり寝てしまい、この時起きていたのは二人だけだった。

 

「ここって…」

 

「北海道っスよ。やっとっスねー。」

 

「…後どれくらいかかるの?」

 

「あと、2時間くらいっスよ。」

 

窓の外を覗くと一面の雪景色であった。聞いた話によると、今日は姉の家に泊まるらしい。

丸山の姉は既に結婚しているらしく、苗字が丸山ではなく、もう息子が二人いるという。

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

程なくして、目的地に着いた。

砲代はやっと"んが?!"と言う、変な声と共に起きた。荷物を車から下ろし、家の前に行く。

インターホン越しに丸山は声をかける。

 

「姉ちゃん!来たよぉー。」

 

「姉ちゃん呼びか、丸山わぁ!」

 

「うるさいっスねぇ!」

 

ハハハと笑い合うと同時に扉が開く。

30歳ほどの少しのうなじほど髪のある女性だ。

 

「いらっしゃい。ヒルコ。」

 

「ただいま姉ちゃん。」

 

「あら、その二人がヒルコが言ってた石原さんですね!」

 

「そうです。石原砲代といいます。」

 

「マキマと言います。」

 

「親切にどうもぉ〜」

 

屈託のない笑顔で、丸山の姉は出迎えてくれた。

家の中に入ると、廊下で前髪を下ろした二人の少年が立っていた。3人が家に入ると、一人の男の子は"ヒルコ兄ちゃんだぁ!"と大きく喋り、丸山に近づいてきた。

 

「おぉ!いい子にしてたっスかぁ?」

 

「うん!!」

 

すると、もう一人の少年も歩いてやってくる。

 

「ヒルコ兄さん。久しぶり。」

 

「おう!いい子にしてたっスか?」

 

「うん。」

 

靴を脱いだ3人はリビングへと足を運ぶ、まだ父親の方は帰ってきておらず、部屋の中は少し暴れたのか汚れている。

 

「ごめんなさいね、掃除できてなくて。」

 

「大丈夫ですじゃ、子供はそう言うもんじゃからのぉ!」

 

そう言うと、砲代の足に二人の少年がやってくる。活発な少年は砲代にキラキラと目を向けては質問をかけてくる。

 

「おじさんはなんて人?」

 

「お!ワシは砲代じゃ!そこのヒルコの先輩じゃ。」

 

頭をぐしぐしと撫でては、二人を見る。

マキマはそんな砲代をみて、また複雑な顔をしている。

 

「そいじゃ、二人の名前はなんじゃ?」

 

「「僕(オレ)?」」

 

二人は顔を見合わせる。

そして、堂々と言うのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オレは早川アキ。」

 

「僕は早川タイヨウだよ。」

 

 

……外では雪が降り積もっていた。

 




感想とお気に入り登録をお願いします!
評価もできればお願いします。

さぁ、マキマもアキも、どっちも凄いことになっですね。
凄いことですよ!(語彙力無し)

原作突入まで見守りたい人

  • いえす!
  • いやじゃ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。