オレの名前は早川アキ。
9歳だ。
オレには弟がいる。名前はタイヨウ。体が弱くてずっと父さんや母さんにずっと守られてる。
オレはお兄ちゃんだから、一人で遊ばないといけないらしい。でも、なんか…嫌だ。
オレもお兄ちゃんとして頑張ってるし、何よりタイヨウよりも先に生まれたのに。
お兄ちゃんとして、早川アキとして生きる。
それがオレの日常。
でも、今日は違った。
いや、"今日から違った"
爆風と、涙で満ちたあの日を境に。
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「タイヨウにアキかぁ!いい
そう言うと砲代はまた、二人の頭を乱暴に撫で回す。"うわぁー"や"あぁー"などと腑抜けた声を出す二人を、ぐしゃぐしゃと、ひとしきり撫で終わると、ソファーに腰を下ろす。
「ねえねぇ、砲代さんはデビルハンターなんでしょ?!」
「おお!そうじゃぁ〜?」
タイヨウはソファーに座った砲代に近づいたと思えば、膝の上に腰を下ろし、振り返る様にして砲代に問いかける。
格別、砲代は気にしていない様子ではあるが、アキはせっかくの久しぶりに来た客をタイヨウに取られたため、マキマは砲代に容易に近づくタイヨウに対して、どちらも"むむむ"と眉間に皺を寄せるのであった。
「おい、タイヨウ!お客さんにそんな迷惑かけちゃ、ダメだろ?!」
「いいもん。」
タイヨウは一向に、自分の席を譲ろうとせず、二人の眉間にはもっと皺がよる。
見兼ねたマキマは、砲代に近付いて、砲代の右側を占領する。
「お父さん?」
「な、なんじゃ〜?マキマ?」
右腕に力を込める様に、抱きしめる。
そのマキマの目は、いつにもなく強く、どこか一種の強い感情を感じるものだった。
「……ちょいと、そこを退こうな。」
「あー。楽しかったのにィー。」
タイヨウの脇に手を入れ、ゆっくりと左側の空き位置にタイヨウを置く。
名残惜しそうに見るタイヨウの視点を掻い潜る様に、砲代はテーブルの上にあったリモコンを持ち、テレビをつける。テレビでは、アメリカの重要なビルがテロリストによって、テロにあったと緊急報道されていた。
「や、やばいっスね。」
「これ子供に見せるもんじゃないかもね…!!」
慌てて、砲代はチャンネルを変えるが、どこもかしこもテロの話題でいっぱいだ。
仕方なく、テレビの電源を切り、砲代は3人を見つめる。
「そうじゃ!お前サンら、外で遊んできたらどうじゃ?」
「ダメよ、砲代さん!うちのタイヨウは体が弱いんです。」
慌てて、丸山の姉が止めにかかる。
しかし、砲代は"少しの間だけだし、マキマもついているから"と、外に行かせることにした。
マキマは少し、初めての雪遊びに気分が上がっているのか、微笑を浮かべている。
「うん!行きたい!」
「……アキ、しっかりタイヨウのこと見てあげるのよ?」
「…うん。」
そう言うと、二人は着替えるために二階へと駆け上がっていく。マキマは壁に立て掛けていたハンガーから服を取り、準備を始める。
ふと、マキマが手袋を手に付けていると、砲代が肩を軽く叩く。
「マキマ、楽しいか?」
その時、マキマは理解した。
何故、急に北海道旅行などと言うものを企画したのかを、何故自分を連れてきたのかを。
それは、誰でもない自分が原因なのだと言うことを。彼とこの日常について悩み続ける、マキマはここ最近、表情を固く、重くしていたのだ。
砲代はそれを、勘か何かで察知して、マキマを連れてきたのであろう。気分転換にはちょうどいいと考えて。
「……楽しい、楽しいよ、お父さん。」
とびきりの笑顔で、答えたマキマに、砲代もまた笑顔をこぼすのであった。
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「お姉ちゃんの名前はなんて言うの?」
「私?私はマキマ。石原マキマって言うの。」
家の前の一本道を、3人の子供が歩いている。
歩いた後には、雪を踏んだ後が残り、足跡がくっきりと見える。
「二人はタイヨウ君とアキ君だね?」
「「うん。」」
「私のことは好きに呼んでいいよ。」
「じゃあ、マキマお姉ちゃん!」
「オレはマキマさんって呼びますね。」
自己紹介を終えると、マキマは何をしようかと考える。マキマにとって初めての雪遊びは、やりたい事が多すぎたのだ。
「雪合戦、かまくら作り、雪だるまに、お城作り……っぷ!」
瞬間、マキマの背中に衝撃が走る。
振り返ってみてみれば、タイヨウが雪玉を作って遊んでいたのだ。いち早く、タイヨウとアキは雪合戦をし始めている。
マキマは、少しの沈黙の後、地面に積もっている、雪を丸く形を整え、固め、二人に投げ始める。
「っぱ!」「いて!」
「アハハハハハ!!」
雪合戦だ。
3人は、雪玉を投げ合う。
頭に、肩に、胸に、背中に、足に、顔に、雪玉を当てては、笑い合う。
ひとしきり投げ終わった後、三人は雪に寝転がる。
「あー!手がつめたぁーいーー!!!」
「あれ、タイヨウ君、手袋持ってないの?」
真っ赤になったタイヨウの手を、マキマは握りしめる。"ちべた!"と声を上げると、すぐに手袋を履き直す。
「家に忘れてきちゃった!」
「おい、タイヨウ、しっかりしろよ。」
「ごめん、すぐとってくるねー!」
そう言うと、タイヨウは家へと走り始める。
ぼすぼすと、雪を踏み締める音を鳴らしながら玄関まで足を運ぶ。
ふと、アキが目をやると、玄関まで来たタイヨウと目が合う。
タイヨウは手を振り、アキも手を振りかえす。
それを見ると、タイヨウが玄関を開ける。
しかし、その瞬間。
「お父さん!逃げてェ!!!!!!!!!!」
ーーー目の前で、早川家は爆音と衝撃と共に、木っ端微塵に吹き飛んだのだった。
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タイヨウー!砲代ー!何やってんだお前ぇぇぇぇ!!
原作突入まで見守りたい人
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いえす!
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いやじゃ!