進め歩兵よ!大砲片手に!   作:チチメカ

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急な鬱展開に、誰もがびっくりしてる。
私も驚いてる。


第二十八発目・風と硝煙

 

ー急げ、急げ、このままではもっと被害が出てしまう。

 

海上を大砲ほどのスピードで加速しながら、砲代は敵の後を追う。自分が倒れていた時の誤差は、明らかに致命的で、もしかしたらもう既に大陸に到着しているかもしれない。日本海を南下し、台湾海峡を通過する。着水と同時に、また大砲を海面に撃って加速する。

 

南シナ海を通過し、マラッカ海峡を通過する。行く先の海面には、大きな波紋が残っており、幾つもの転覆した船や、炎上している船がある。

 

ー急げ、急げ、大陸に上陸してしまう!!

 

腕の大砲を、足に移しては、より加速させる。

しかし、悲しいかな。

見えてきた大陸では、もう既に煙が上がっている。インド南部にできた一直線の、荒廃した通過後を通る。耳にするのは、多くの人の叫び、怒号、号泣。

目を向ければ、炎や煙に混じって、褐色肌の人々が、泣きながら瓦礫を退けている。唖然としながら荒廃した地を見ている。叫びながら家族の名を呼んでいる。

 

「クッッ…ソォォォォォォォ!!!!!」

 

ー飛べ!飛べ!なお早く!!

 

山を越え、谷を越え、国境を越える。

屍と瓦礫の山を越え、平野部が見え始める。

いつか見た地、満洲の地を越える。ここまで来ると、どんどん気温も下がっていく。ロシアの極東の寒さはその日マイナスを優に越え、砲身には氷が少しずつ付着してきている。

 

氷結する砲身、近づく火薬の匂い、そして……!

 

「……見えぞ!」

 

足の火砲をぶちかます。

浮上する体を大きく開き、腕を曲げ背中におくる。そして、頭の火砲に全てを移す。

 

あの時の再戦。

そして、因縁の消滅。

 

「死に去らせぇぇ〜!!この阿呆ンダラァ!!」

 

……爆音が走る。

 

その巨大な銃口で出来た頭に火花が走り、地面に落下していく。

だが、まだ足りぬ。

 

両腕の火砲を肥大化させる。

 

それは もはや大砲と言うには 

 

あまりにも大きすぎた

 

大きく 長く 強く 

 

そして 大雑把すぎた 

 

それはまさに 艦砲だった。

 

右手には全長を25mを超える砲と左手に30mを超える砲を構える。そして、発砲。

その衝撃はまるで、世界を揺るがした様に錯覚するほど。砲弾は地面に落ち、頭を最後の気力で砲代に向ける銃の悪魔に直撃する。

 

爆発と同時に飛び散る肉片と、銃弾。

砲代が、地面に着地した頃には、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……絶命した銃の悪魔と、血だらけの砲代が君臨していた。

 

「……今度こそ仇は取ったぞ…ドン太郎。そして…」

 

砲代は後ろを振り返る。

銃の悪魔が通り過ぎた、惨たらしい程の荒野。そして、そのずっと向こうで死んだであろうヒルコと早川家の存在を、砲代はただ感傷に浸りながら思い出していた。

 

もう一度、体を戻し、銃の悪魔の死体を見る。砲代は感じていた。違和感を、何か重要なものを見落としている、つっかえを。

明らかに弱っていた(銃の悪魔)そして、この死体にある刃物で抉られたような傷跡。

 

…その時であった。

 

「…?なんじゃ?」

 

音が聞こえる。

ヴヴヴヴヴと言う機械音が。何故か、心に響く音が、何処か待ち望んでいた音が。

咄嗟に、砲代は振り返る。まるで、親に呼ばれた子供のように。

 

「……!お前サン…」

 

銃の悪魔の死体を切り上げ、這い出てきたのは、一匹の悪魔。臓物のマフラーを首に巻き、黒い体をし、そして。

 

「身体中の電鋸…!」

 

四本の腕についた電鋸。

そう。

ここに存在したのは。

 

風穴だらけのチェンソーマンであった。

 

「お前サン…大丈夫か?」

 

「……ヴァ?」

 

こちらに顔を向け、目と目を合わせる。

チェンソーマンはまるで品定めをする様に、砲代を直視する。

その瞬間。

 

「…ヴァァア!!!」

 

チェンソーを回し、臨戦体制を取り始める。

 

「……ここで、お前サンに会うとはのぉ…」

 

砲代も、もう一度、頭の拉縄を引き抜くのであった。

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

ー私は駆けつけられた公安デビルハンターに保護された。その時には、涙は枯れて、もう"石原マキマ"はいなかった。

 

私は戻ったんだ。

 

ただの"マキマ"に。

 

次に記憶があったのは、公安上層部の前だった。

閑静な部屋の中、男達と椅子に座った私。

 

「砲代君は死んだのかね。」

 

とても酷い匂い。

これは、きっと公安部長(トップ)であろう。

 

「はい。」

 

「…なんだぁ〜、そんなに落ち込んでいないな。」

 

「……悪魔ですので。」

 

「そうかい。まぁ、飼い主の手を噛む狂犬が消えた事は喜ばしいな。」

 

その醜悪な顔をくしゃりと変え、笑顔を見せる。

その後、つられて上層部の面々が笑い始める。

何も感じない。

何も。

何も。

 

「これから、君の管轄は内閣になる。」

 

「分かりました。」

 

「内閣直属のデビルハンターになるんだ。嬉しいだろぉ?」

 

「……学校は、どうなるんですか。」

 

そう言うと、眉間に皺を寄せる。

マキマの目の前に座った男が、まるでつまらぬ冗談を聞いたように、鼻で笑う。

 

「なんだ。行きたいのか?」

 

睨みつけられる。

私はそれを、表情のない顔で返す。

 

「はい。」

 

「何故?」

 

「人間社会に溶け込む為に、必要だからです。」

 

感情の起伏のない声で、返答する。

その男は、またフと鼻で笑うと、醜悪な顔で笑う。

 

「まぁ、いいだろう。では、これからもよろしく頼むぞ、支配の悪魔。」

 

「はい。」

 

手が痛い。

血が少し滲む手のひらを見て、言い聞かせる。

 

私は戻ったんだ。

私は、戻ったんだ。

これが、普通だったんだ。

 

これが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けてよ…お父さん……」

 

虚無の中、私はそう呟いた。

 




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さぁ、ついに対面した、因縁の二人。
次回もお楽しみに!

ps.章の名前を変更しました。

原作突入まで見守りたい人

  • いえす!
  • いやじゃ!
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