進め歩兵よ!大砲片手に!   作:チチメカ

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いやぁ、暗い雰囲気が続きますね。


第二十九発目・大砲と電鋸

 

鉄が重なり、金切り声が鳴る。

満身創痍のチェンソーマンを、0距離発射の砲弾が襲うのだ。砲身と刃のぶつかり合いは、けたたましい音を上げる。砲代は、器用に砲身を使ってチェンソーマンの足を狙い、はらい上げる。

転けそうな体を支える為、四本のうちの二本の腕を、地面に突き刺す。

 

「かかった!」

 

瞬間、砲代の頭から火花が走る。発射された球は、瞬間的に防御しようとしたチェンソーマンの右手をぐちゃぐちゃに抉り飛ばし、砲代はすぐさま距離を置く。

 

「ヴゥゥゥ…!」

 

低い声で威嚇する様に、チェンソーマンは起き上がる。血がないのか、その右手の一つはスターターを引き抜いても再生せず、すぐさま臨戦体制に戻る。

 

砲代の両手から火花が散る。しかし、今度は姿勢を急に低くする事で、これを回避する。その瞬間、チェンソーのチェーンを引き延ばし、砲代はその両手を地面に向けられてしまう。

これを好機と見たチェンソーマンは、飛躍し砲代の背面に周り残りの一本のチェンソーで攻撃をせんとする。が…!

 

「…!二本目じゃあ!」

 

砲代の頭の砲身は刹那、180度回転しチェンソーマンの左手であったチェンソーを吹き飛ばす。

またもや、ヴァァア!と断末魔をあげ、チェンソーマンは砲代に距離を置く。

 

…これだけ見ると、砲代が圧勝している様に見えるが、そう言うわけでもない。

実際、砲代はチェンソーマンにカウンターでのみしか攻撃を与えられておらず、血の回復も出来ない現状。一度の攻撃が命取りになってしまうのだ。

 

緊張が走る。

居合いの距離ではないが、その状態は確かに、この二人の間に存在した。

チェンソーマンが次の一手に動こうとした、その時。

 

「……もういい。やめじゃ。」

 

疲労、焦燥、後悔。そんな感情が砲代の頭の中を駆け巡る。

瞬間、砲代は足に大砲を回し、飛び上がる。 

その右手には、いつ間に抉り取っていたのか、銃の悪魔の肉片を持って日本の方向へと飛び立つ。

殺した証拠がないと、死んだと分からないからだ。

 

飛び去る中。砲代の頭によぎったのは、未だ自分が死んだと思っているであろうマキマの姿であった。

チェンソーマンとの因縁など、後からでも終わらせることができる。しかし、家族の仲はそうではない。

早く帰らなければ、面倒な事になる。

そう思い、一刻も早く帰ろうとしていたのだ。

しかし…!

 

足に痛みがする。

刃物で刺される様な痛みに気づき、後ろを振り向けば、自分の足にチェーンを絡み付かせ、チェンソーマンがついてきてるではないか。

 

「なんて、小賢しいやつなんじゃあ!」

 

振り解かんと、不安定に砲弾を撃つもあたることはない。それもそのはず、この男こんなことを想定した訓練などもしておらず、その上、脳に血が登っていないときた。

 

とどのつまり、満身創痍だったのである。

 

チェンソーマンは、まるで余裕と言わんばかりに、繋がりながら大きくあくびをしている。

日本海を超え、東北にあたる所、砲代は遂に限界を迎えた。

 

「ぁぁぁぁぁぁああ!!うっっとぉしいいぃ!」

 

足の大砲をしまい、両手を上にしたかと思えば、思いっきり空砲を飛ばし地面へ落下する。

それと同時に、砲代はその砲身を使い、チェンソーマンにタックルをかますのであった。

 

地面に砂煙を撒き散らし、地面に落下する。

その時、砲代もその意識を飛ばしてしまうのであった。

 

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

 

砲代とヒルコが死んだらしい。

この一報が届いた時、一番最初に泣き出したのは井伊乃だった。バディだったことも相まって、相当心にきたんだろう。次に泣き出したのは三島だった。

あいつに取って、ヒルコは最高のバディだっただろうし、砲代はあいつの師匠でもあった。

 

その次は、佐々木だ。あいつ、クァンシの部屋に殴り込んで、怒鳴りながら事情の説明を要求したらしい。すぐに、取り押さえたらしいが、流石にあの顔は凄かったな。

 

そんで持って花御だが、あいつは手紙を送ってきた。俺や三島達にだったが、現状が飲み込めないと言うここと、詳しい話を聞きたいと言うことらしい。

 

クァンシはいつも通りだ。いや、どうだったろう。いつもより無口だった気もする。

 

俺は……あいつは、後輩と言うにはあまりにも鬱陶しくて、なんと言うか……まぁ、泣きはしなかったよ。

 

特異一課は、お通夜ムードだ。

俺も、あいつが死んだなんて考えられない。

 

「……砲代さん、ほんとに死んじゃったんですか?」

 

「目撃者もいる。死体はまだ見つかってないが」

 

クァンシが冷めた声でそう話す。

井伊乃はそれっきり黙りこけてしまった。

コーヒーを入れ、飲み始める。その時。

 

「…あ!そう言えばマキマちゃん!あの子はどうなるんですか?!」

 

突如として、井伊乃が思い出した様にクァンシに問う。

 

「…?マキマ?」

 

クァンシが疑問を浮かべる。

まるで、そんな物がいないと言うかの様に。

 

「いや、砲代さんの娘の…」

 

「……砲代は独り身だぞ。養子の話も聞いてない。」

 

「「「はぁ?!」」」

 

混乱は加速する。

未だ眠る砲代を捨て置いて。




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さぁ、なんともまぁ、複雑な食い違い。
砲代さんはこれからどうするのでしょうか!

原作突入まで見守りたい人

  • いえす!
  • いやじゃ!
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