進め歩兵よ!大砲片手に!   作:チチメカ

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よぉ、待たせたな(大遅刻)
受験勉強中です。更新スピードが亀以下になってます。ご了承下さい。


第三十三発目・暗闇

 

大砲の砲口を直線に、ストレートを打ち込む。

それを向けられた岸辺はそれを難なく避けて、砲代の腹に刀を打ち込もうとする。

が、瞬間。

砲代の足から空砲が放たれ、バク転をするようにそれを回避する。着地と合わせて、クァンシが後ろ蹴りをするが、姿勢を低くしそれを回避すると同時に砲代は、頭の大砲を至近距離で放つ。

 

「……やはりか」

 

しかし、クァンシは気絶する事なく、砲代にそのまま膝蹴りを加える。うわ事を呟いた砲代の顎に、うまく当たり砲代は1メートルほど後ろへ飛ばされる。

起き上がれば、2人は臨戦体制の構えを取り、次の動きを待っている。

 

「弱くなったな」

 

「なんじゃと…?」

 

クァンシはその無感情の目を冷たく向けては、そう呟く。クァンシはこの戦闘が始まってから一度も傷はついておらず、言ってしまえば岸辺も少しはついているものの、未だ健在であった。

 

「少し前なら私は兎も角、岸辺はもう倒れてるだろ」

 

「…あー、俺もそう思ってた。訓練の時よりも隙が大きい気がする」

 

2人はそう言いながら、砲代にジリジリと距離を詰めていく。震えはするものの、この2人には格別問題になるものでもなかったのだ。

だから、こそ砲代は考えた。

 

2人が、攻撃をしようとしたその瞬間、砲代は勢いよく腕を横に振り回しクァンシに狙いを定める。

 

しかし

 

「ガァッ?!」

 

「これで終わりだな」

 

砲代の左脚が見事に横に切れている。

攻撃をせんとした瞬間、頭を下げ切り落としたのだ。膝から下のない足では、まともに攻撃などできない。

何ともあっけないほどの戦いだった。

 

脚を飛ばされた砲代を2人は囲み、それに続いて他のデビルハンターも近づいてくる。

 

「ここで選べ砲代」

 

クァンシの刀が砲代の頭から伸びる砲身に向けられる。

 

「ここで死ぬか、政府に飼われるか」

 

「"飼う"じゃと?今更、ワシをか?」 

 

ケラケラと笑い声が響く、この世に及んで一体何を笑っているんだと誰もが思っている。

 

「…じゃあ死ぬか」

 

刀を振り上げ、首を断とうとしたその時。

 

「ほざけガキンチョ、勝った気でおるな」

 

剥き出しになった歯茎をニカリとさせ、次の瞬間砲代の周りは衝撃が響いた。

 

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

閑静な白い正方形の部屋、奥にベットと小物が一つある部屋にてマキマは目を覚ました。

あたりを見渡すと、奥にはビルにあるまじき厳重な鉄の扉が鎮座し、無音の世界が広がっていた。

こんな所では、小動物を使った偵察もできないだろう。そんな事を頭に浮かべて、ベットの上で膝を抱えていた。

 

「死に損ない…」

 

私をここに入れたであろう男が呟いていた一言だ。どうも、その言葉が私の頭を強く揺らしてならない。そして、あの時聞こえた爆発音も。

 

ベットを出て、鉄の扉を覗いてみる。

 

これまた白い廊下が、奥の扉まで続いており、この狂気に私は呑まれてしまいそうと感じていた。

狂気に呑まれる…昔では考えられない様な感覚を感じている。

 

いつの間にか弱くなっていたのだろう?

 

恐怖・失望・後悔・懺悔…昔は感じなかった、いやよく分からなかった感情が強く、ひたすら強く心の中で蠢いている。

 

白一色の狂気の廊下から目を背け、ベットに踵を返す。そして、つまらなそうにまたベットに飛び込む。外の音は何一つ聞こえない、聞こえるのは部屋の中にある時計の針の音と、マキマの微かな息遣いだけであった。そうして、また目を瞑る。

 

「お父さん…」

 

体を丸めてそう呟く。死んだと言われた自分の父を思ってそう呟いた。あの時、あの場所で、ああすればと言う自責の念がいつまで経っても彼女を蝕む。悪魔としての彼女がそうさせるのか、砲代の娘としての彼女がそうさせるのか。

中途半端に人になった彼女はまた目を瞑る。

 

目を閉じて瞼の裏を除けば暗闇がある。何もない。何も聞こえない。まるで暗闇の地獄のように。

 

目を閉じて。

 

 

 

何も感じず。

 

 

 

 

何も…

 

 

 

何も…

 

 

 

 

…?

 

 

 

ー匂いがする。

どこかで嗅いだ匂いがする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーよく嗅ぎ慣れた匂い。

でも、分からない。

 

思考する。彼女の脳内が思案する。暗闇の中で、何かを探るように。地獄で一筋の糸を登らんと足掻く罪人ように。必死に、懐古し、思い出そうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーいつか嗅いだあの匂い。

公園で、街中で、雪の中で、木々の中で、駅の中で、建物の中で、私の家の中で。

 

 

 

 

 

 

 

 

思考する。思案する。忘れられない思い出と共に、懐古して、思い出して、暴き出して。

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…爆発音がした。あの白い廊下を塞いでいた鉄の扉はひしゃげて、埃と共に壁へと叩きつけられた。かつかつと足音と共に、廊下の影に照らされてあの人が部屋に入ってきた。あの人が私を見つめた。

 

 

 

ベットから起き上がり、駆け出す。

足には何も履いてない。裸足のままだけれど、そんなことも忘れて、冷たい白いタイルに足をつけて、彼へと向かう。

久方ぶりの抱擁は彼の匂いと私の涙でぐちゃぐちゃだった。

 

「おかえり、お父さん。」

 

「待たせた。マキマ。」




おかえり(笑顔)
だけど、まだ終わってないよ!!!(無慈悲)

感想と評価のほどよろしくお願いします!

原作突入まで見守りたい人

  • いえす!
  • いやじゃ!
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