外は生憎の雨だった。
砲代はクァンシに呼び出しを食らい、人のいない廊下を歩く。
この公安に所属してから砲代は驚きの連続であった。「コウアン」や「デビルハンター」などの知らない言葉、「千」や「万」桁が大きすぎる通貨、「ボスニア」や「ソマリア」などの知らない国…そして、何より"知らない歴史"これが、砲代をより一層困惑させた。
砲代は教鞭を取っていた時期もあった。
軍事や社会に関する事で現在の社会情勢などは新聞を通して理解しており、自信もあった。
砲代が現世に帰還して真っ先に行ったのは、図書館に行く事であった。そこで、年表と近代の歴史を学ぶためだ。
そこには…
「ない…無い…無い?!」
無いのだ。
第一次世界大戦終結後、日本で起こった2.26事件、アメリカで起きた大恐慌、そして…
「大東亜戦争…が"記されておらん..."」
―そこでようやく理解した。
アメリカの小説で見た事がある。
これは。
「未来に来た…?いや違う…ワシは…ワシは違う世界に来たのか…」
―砲代は頭を抱えた。
小説の中でしか起こり用のない事が実際に起きているのだ。どこにも
砲代だけが、世界から取り残されているのだ。
「…ワシは亡霊なのかもしれんな。」
いつのまにかドアは目の前にあり、それを開け中に入る。
クァンシは書類仕事中の様だ。
「…ん。」
こちらに気づいた瞬間、机の上の書類の束から器用に一枚紙を取り出し砲代に渡す。
目を通せば、政府のお偉い方が砲代と面会したいと書いてある。
「んじゃぁ?こりゃ?」
「知るか。」
砲代に目もくれず、クァンシは書類を片付け続ける。砲代はますます眉間に皺がよる。
まぁ、しかし考えていても仕方がない。クァンシに一声掛け、部屋を出ると外へ出るため傘を取り一階へ降りる。
外に出れば曇った雲から雨が降り続けている。
公安本部は東京の中心にあるため、雨が降っていても多くの人が公安本部前を通っていく。
人の波に逆らいながら、道を出るとタクシーを止め呼び出された場所まで向かう。
今日はあまり気分のすぐれない日だった。
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「君が石原砲代君だね。」
「はい、そうです。」
白い部屋にはのっぺりとした照明が部屋全体を照らし出し、七人の男達を照らしている。
正面の長机には上層部の人間が向かって座っている。それに対峙するかの様にポツンと置かれていた椅子に座り、砲代は質問に答えていた。
「君は"銃の悪魔"を倒したと言うが、それはどう言う意味でだ?」
「あー、申し訳ありまへ…せん。それは、倒したんじゃなくて追っ払ったんです。」
「報告と食い違っているが。」
「すいません。大雑把に言い過ぎました。」
砲代は内心この状況を怪しんでいた。
"上層部との面会"そう言われてここまで来たものの、これではただの尋問ではないか。
正面の男達は誰もが真顔で、表情を殺しきっており、そこには一抹の不安感すら覚える。
「まぁいい。銃の悪魔が本当にこの現世で生まれたなら、甚大な被害が予測されていた。君はよくやったよ。」
「はぁ…ありがとうございます。」
書類をペラペラと見て、横の男と耳打ちで話し始めたと思えば直ぐにこちらを向いてまた話し始める。
「…質問してもよろしいでしょうか?」
「なんだね?」
「銃の悪魔は一度も現世に来たことはないんですか?」
「…?そうだが?」
「そうですか。ありがとうございます。」
しばらく砲代を見つめたと思えば、また書類をペラペラと見てこちらを見つめる。
そして、急に全員が立ち上がり砲代に向かって話し始める。
「決まった。私達は君をさらに"利用"する事にした。…入りなさい。」
そう言うと後ろの方からノックがする。
「失礼します。」
振り返る。
そこに居たのは、ピンクの髪、渦巻きの様な目、スーツを着た一人の女子。
砲代には見向きもせず、正面の男達の前に立つ。
「お呼びでしょうか。」
「うむ。マキマ、あの男を支配しろ。」
「はい。」
「…おい、どう言う事じ「私に服従しなさい。」
振り返り、目を合わせる。
黄色い、渦巻きの目。
そして、一言。
「 こ れ は 命 令 で す 。 」
訪れる静寂。
そして…
「は?
反抗の声が室内に響いた。
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いえす!
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いやじゃ!