召喚に応じて魔法陣へ入り込み、光の中を抜けると、目の前に居たのは知らないオッサンだった。
……これって私の知らないFate作品の世界なのかな?それとも語られていない聖杯戦争?まあ、いいや。堂々と名乗りを上げましょう。
「初めまして、マイマスター。クラスはライダー真名はアカシア。以後宜しくお願い致します」
片手に剣っぽい形の杖……BLACKが好きすぎて小説の方に書いたリボルケイン……を持ちつつマスターに頭を下げた。
「ああ、私は遠坂時成。よろしく頼むよ」
ニコリと笑う顎髭親父。……なんかすっごい胡散臭い。いつか裏切りそう。……まあ、その時はその時だ。別段叶えたい願いなんかもないし、聖杯戦争以外に久しぶりの現代日本を楽しんでみるのも手、かな……。
……っは、なんか前世とは微妙に違う思考の仕方をしている!?……多分、座の影響なんだろうけど。前世男だったのに女性の体になってるのにも違和感ないし。
まあ気にしても仕方ないし、聖杯戦争は頑張る。現代を楽しみ尽くす。これで行こう。
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と、思っていたのが数日前。私の居る冬木は今現在、燃え盛っております。
ええ、何故燃えたのか全く理解出来ておりません。私がキャスタークラスだったら
それに、いつの間にかマスターも消えている上に他の人達も町から確認できません。それどころか、何処からともなく溢れてきた泥のような何かにアサシン、ランサー、バーサーカー、アーチャーが飲み込まれていたし、セイバーは聖杯の前で直立不動だ。……ただのカカシですな。
「これ、どう見てもFGOの特異点Fでしょ。まさか現地勢サーヴァントとなるとは……。キャスターと合流したほうがいいのかな?」
シャドウサーヴァントを打ちのめしたり、建物の影に隠れたりしつつ、燃え盛る冬木を彷徨っていると、少し遠くの方にでっかい炎の巨人が出現した。
「……あれ、槍ニキ(ランサーではない)の灼き尽くす炎の檻じゃん。もう合流してんの?私だけ蚊帳の外?……よし、向こうの方へ行こう。
ってなわけで、疾くあれ轟雷騎竜」
ボソリと呟くと、光が私の側に集まって形を作り、そこには二本足で雄々しく立つ雷竜が居た。……まあ、雷竜って言っても見た目はヴェロキラプトルとかみたいな小型の肉食恐竜なんだけど。
「それじゃあアステリクス。あっちに向かって全速前進DA☆」
「グルゥ……」
アステリクスは呆れたように背中に乗った私を一瞥して、疲れたように頭を振ると、走り始めた。さあ、ライダーアカシア、今行きます!!