Side藤丸立香
「まあ、さっさとカルデア御一行を奥に運ばないといけないし……。ちゃちゃっと終わらせるか!」
ニヤリと笑い、右手に持った大剣を振るって肩に担ぐように構えると、あっちゃんから魔力が迸り始めた。
「『根源閲覧』……『魔力放出(A)』『原初の一(EX)』一時取得。そぉうれ!」
そして、あっちゃんは大剣をアーチャーへ向けて振り下ろした。その大剣から円錐状の斬撃波が螺旋を描いてアーチャーの体を貫いた。
「……全く、理不尽な強さだよ。君は」
「残念ながら、これでもまだまだ本来の実力じゃないのよ」
「それは……恐ろしいな」
アーチャーはそう苦笑しつつ消滅したのだった。
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「あれで本領じゃないなんて……。一体何の英霊なのかしらね、あのサーヴァントは」
アーチャー撃破後、洞窟の奥を進んでいる途中にオルガマリー所長は先頭をズンズンと突き進んでいるあっちゃんを見つつそう言った。
「……俺はあまり英雄とかに詳しくないですけど、多分、あっちゃんは善人だと思いますよ」
「そうだといいけれど」
俺の返答にオルガマリー所長は「はあ……」と溜息を吐いた。
すると、
「あ、あの……!」
これまで静かだったマシュが突然声を上げ、キャスターの元へ駆け寄った。
「私にも、ルーン魔術を教えてくれませんか……!!」
「嬢ちゃんに……?」
唐突な事に、キャスターは驚いてマシュを見た。すると、いつの間にか近付いていたあっちゃんがニヤニヤしながら口を開いた。
「良いんじゃね?教えてやりなよ」
「んー……。アンサズぐらいなら良いぜ。まあ、素質無しと判断したらすぐに辞めるけどな」
「ありがとうございます!!」
そう言って、キャスターはドカリと洞窟の傍に落ちていたまぁまぁ大きめの石に腰を下ろした。どうやらここで休憩がてら授業するらしい。
……気付いたら、キャスターとマシュの近くにあっちゃんが居るんだけど。いつの間に……。
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キャスターのルーン魔術教室は十分程で終了した。マシュはどうやら無事にアンサズを習得できたようだった。
「いやぁ、毛色の違う魔術を学ぶのも乙なものですなぁ」
「いや、何でお前も習得出来んだよ。嬢ちゃんみたいにデミ・サーヴァントでも俺と同じケルト出身でも無いのによ」
洞窟の中を歩きつつキャスターが言うと、あっちゃんは自慢げに胸を張った。
「そりゃあ、私がキャスターの冠位の資格を持つ程の偉大な魔術師だからですよ」
「「冠位……?」」
聞き慣れない単語にマシュと一緒に首を傾げると、オルガマリー所長が驚いていた。
「ちょ、ちょっと待ちなさい!?冠位って貴女……『グランドサーヴァント』の資格を持ってるの!?」
「まあねーん♡……それよりほら、そろそろゴールだよ」
詰め寄るオルガマリー所長を雑にあしらいつつ、あっちゃんは洞窟の奥を指さした。
そして、洞窟の暗闇に慣れていた俺達の目に少し強い光が入り、目を眩ませていると、
「ほら、大丈夫か?」
と言って、キャスターがルーン魔術で視界を良好にしてくれた。
そして、視界が戻った目に映ったのは、大きな黄金の杯をバックに立つ、黒い女騎士だった。