ダンジョンに「くっ、殺せ!」を求めるのは間違っているだろうか。   作:最強オーク

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取り敢えず連日投稿です。拙いと思うかもしれませんが、明日から難しそうなので投稿しました。


くっころ7 予期せぬ辱しめ

 

 「装備は···」

 

 「うん。剣はもう大丈夫。でも防具は···」

 

 それは案に防具を直せないと言っている様なもの。それはそのはず。強化カドモスによってズタボロにされたのだから。

 

 リナは直すと誓ったのだが···うん。これは無理だ。かの団長殿でも不可能の芸当だ。

 

 「だから新しく造る。その分費用は掛かるけど」

 

 「はい。貴方の仕事に間違いなどありませんから」

 

 クロナは納得して···否、現実を受け入れて立ち直った。

 

 「修理費は6000万···ええと、貯金は3300万だから···」

 

 「残り2700万。貴方ならおよそ半年あれば返せる」

 

 「はい!では、いつもの貸金庫に振り込んでおきますね」

 

 「ん」

 

 手渡しが主流の世の中で、クロナが始めた画期的な支払い方。現代における銀行ATMを参考にしたもので、今ではこのやり方を真似する冒険者も少なくない。あのギルドも取り入れようか決めかねているぐらいだ。

 

 やり取りは終了したから、帰ろうかと扉に手を掛けようとして――――

 

 「クロナ」

 

 「? わぷっ···!」

 

 リナが投げた布?が頭に被さった。剣を壁に立て掛けて確認すると、

 

 「これは···戦闘衣ですか?」

 

 「ん。私からの餞別だから、代金はいらない」

 

 「いいんですか?見るからに高そうですけど···いや、深層の素材ですよねこれ?明らかに高いですよね?」

 

 「ヘファイストス様から素材を貰った。『クロナ・コロンによろしくね』だって」

 

 「神ヘファイストスが···!ええ。今度礼を言わねばなりませんね」

 

 着てみて、と言うリナに促されブラウスの上から羽織る。あれ?

 

 「ちょっとこれ、胸元が···」

 

 まるでコルセット。上着のような物を想像していたのだが、ボタンは下から2つまでしかない。胸部の防御力がないのですが。いや、耐久高めなので大丈夫ですが。

 

 「胸部には新たに造る防具を付けるから。2つで1つ。それがその戦闘衣の本質」

 

 つまり、

 

 「未完成の装備ですか?」

 

 「そうなる。でも、よく似合う···!」

 

 良い顔で親指を立てられたらしょうがない。クロナは観念して身に付ける事にした。

 

 その日、男共が前屈みになる事件が勃発した!

 

 クロナ

 「······これはこれで有りですね」

 

 

 

 

 日付けは変わって。

 

 喧騒で溢れ活気あるオラリオは、いつも以上の賑わいを見せていた。

 

 【怪物祭】 

 

 年に一回行われる祭りの事で、読んで字の如くモンスターに関する催しが開かれる。

 

 主催者は【ガネーシャ・ファミリア】で、彼らによって地上から連れて来られたモンスターを、客の前で手懐ける技術【調教】を披露するのだ。

 

 ギルドが反対しそうではあるが、意外にも賛同している。謎ではあるが、楽しければ関係ないね!というのが神々の総意。

 

 まあ、どうでもいいんですけどね!

 

 どもども、皆のアイドルこと、クロナ・コロンです!

 

 現在はベルを連れて【怪物祭】を楽しんでいます。デートですね、分かります。

 

 Q.クロナちゃんは一文無しになったのでは?

 

 A.あの後ダンジョンに潜り、一週間生活出来るまで稼いだので平気です。

 

 Lv.6の身体って便利ですよねホント。本気で走れば中層18階層まで1時間も掛かりませんもん。強くなって良かったぁ。

 

 それでも借金は無くならないのが現実です。そう言えば、ティオナはどうしてるんでしょうか。彼女の武器は億に届いてましたよね。溶かされたみたいですから、きっと私と同じ借金人生ですね。

 

 まあ、そんな辛気臭い事は放っておいて。

 

 「さあベル。次はあの屋台に行きましょう!」

 

 「ちょっ、義姉さん!?僕は財布を届けないと···」

 

 そう言えば、猫人であるアーニャから頼まれてましたね。同じ職場で働くシルに届けろと。

 

 「ベル」

 

 「?」

 

 「シルは見つからなかった。いいですね?」

 

 「よくないよ!?最初から諦めたら駄目でしょ!?」

 

 ええ、彼の言う通りです。言う通りですがね?正直に言えばシルが苦手なのです。同性である私にアプローチをする、色におボケになった美の女神みたいな気がして。

 

 フレイヤ味がするんですよね、彼女から。

 

 ただ、魅力されてのくっ殺は中々美味しそうですが、最初から理性が消え去るようですから遠慮します。残したいんですよ、理性。

 

 取り敢えずフレイヤと、その気配を感じるシルには近付かないという結論に至りました。

 

 まあ、ベルが探すって言うなら協力を惜しみませんがね。

 

 「おーい、ベルくぅ~ん!!」

 

 「あ、神様!」

 

 色んな事を考えていたら、ヘスティア様が現れました。数日間留守にしていましたから、二人とも嬉しそうです。

 

 「お久しぶりです」

 

 「あ、クロナ君!ごめんね留守を任せちゃって」

 

 「お気になさらず。義弟を守るのは、義姉の役目ですから」

 

 そんな会話をしつつ。

 

 「では二手に分かれましょうか。私はあっち、ベルとヘスティア様は向こうを」

 

 シル探しです。別に二手に分かれなくても良いのですが、主神と眷属の久し振りの再会です。だから、一家団欒の機会を創りました。

 

 私と離れて大丈夫なのか?問題ありません。大勢の人が行き交う中で好んで問題を起こす人はいませんし、アストレアとガネーシャの両派閥がパトロールをしています。なので恐らく平気ですわ。

 

 私は私で楽しもうと思います。

 

 「モンスターだぁぁぁぁ!!」

 

 はい、楽しめませんでした。

 

 はぁ~、どこかの美の女神(決定)が檻から逃がしたのでしょうね。

 

 お祭りの日にやるなんて全くの野暮だ。だから邪魔してやる!

 

 私は四角く加工された木の棒を掴み、現れるモンスターを殴った。

 

 普通なら折れますが、スキルによって折れません。マジ便利です。このスキル。

 

 「落ち着いて行動を!モンスターは我々冒険者が請け負います!だから、【ガネーシャ・ファミリア】の指示に従ってください!」

 

 「「「おおぉぉぉぉ!!」」」

 

 歓声が響き渡ると同時に、避難が速やかに開始される。これで民間人に被害は行きません。

 

 ランクアップによって強化された聴力を生かし、モンスター退治···ではなく、下手人を探しだします。討伐はあちこちで行われてるので大丈夫です。

 

 私は私で動きます。

 

 「見つけました」

 

 「クロナか」

 

 目の前には筋骨隆々の猪人。放たれる威圧感は強者の証。何より間違えるはずがない。

 

 「お久しぶりです、オッタル。最後に会ったのは、バロールの件ですね」

 

 「ああ。それよりクロナ。俺と同じステージに立ったのか?」

 

 彼が言う同じステージというのは、Lv.7を示す。そういう噂は流れていますけど。

 

 「いえ、残念ながら」

 

 「そうか」

 

 「ですが、ランクアップは可能です」

 

 「そうか···!」

 

 彼の目が光る。やはり同じ土俵に立つライバルが欲しかったようだ。気持ちは分かりますがね。

 

 「だが、今の貴様とは戦わない」

 

 「それはなぜ?」

 

 私の目的は女神の思惑を阻止する事であって、彼と戦う事ではない。ここにオッタルが居るので、十中八九フレイヤが関わっている。目的は私だと推測したが、恐らくベルだ。耳からベルとヘスティアの声が聴こえてくる。

 

 だから今戦えば、ベル達のもとへは辿り着けない。

 

 「それで戦うつもりか?」

 

 「あ」

 

 それ以前の問題でした。私の装備は私服で、木の棒一本。万全の彼とは戦えないッス。

 

 ······なんか呆れてね?

 

 「安心しろ」

 

 「?」

 

 「あの子供が死ぬ事はない」

 

 「···言い切るのですね」

 

 「ああ。あの方が見初めた冒険者で、お前が認めた冒険者だからだ」

 

 説得力があった。美の女神が認めるほどの器がベルにはあるし、不思議と賭けてみたくなるのだ。負けるはずがない。

 

 「···分かりました。それでは「待て」何ですか?」

 

 「アレンからの伝言だ。『お前がランクアップしてようが関係無い。殺すのは俺だ』確かに伝えたぞ」

 

 そう言って去っていった。

 

 アレンの伝言を直訳すると、『ランクアップしてもしてなくても俺はお前に勝つ。殺すのは俺だから、それまで誰にも負けるんじゃねえ』なるほど。

 

 「······これは、負けられませんね」

 

 負ける気はありませんけどね。

 

 

 

 

 クロナがさっきまでいた場所に戻ってみると、沢山の人が集まっていた。視線を辿って見れば【ロキ・ファミリア】のヒリュテ姉妹とレフィーヤが居た。その正面には見たこと無い新種のモンスターが。

 

 レフィーヤは魔法を発動するため詠唱を紡ぐ。それを守るようにティオネとティオナが立ちはだかる。

 

 Lv.5二人の鉄壁の守り。誰もが勝利を確信した···一人を除いて。

 

 「! 不味い!!」

 

 勢いよく屋根を蹴り、レフィーヤの前に立つ。

 

 「!!」

 

 「「クロナ!?」」

 

 驚いたのつかの間。

 

 地面から触手が迫る。勢いよく伸びる触手は、そのままクロナの腹を···貫かず弾かれた。

 

 「「「······」」」

 

 『クロナさんのお腹って硬いの?』『まあ腹筋割れてそうだもんね』『胸は柔らかそうなのにね』『全体的に筋肉付いてそう』『ある意味騎士っぽい(笑)』

 

 そんな声がちらほら聞こえる。小声で言ったつもりなのだろうが、強化された聴力は全て本人の耳に入っていた。

 

 「~~~~~~~~っ!!」 

 

 顔が真っ赤になる英雄。大衆の前で凌辱されるくっ殺は確かに好きだ。好きだがこれは違う!解釈違いだ!!

 

 「さ、さあ!戦おうか!」

 

 「え、ええ!そうね!」

 

 「は、はい!詠唱始めます!」

 

 気遣いが痛い。物理的な痛みではなく、精神的な。

 

 

 

 

 

 おまけ。

 

 「!不味い!!」

 

 触手で犯されるのは私だ!エルフだろうと、その役は渡しません!!

 

 →勢いよく前に出るが、触手が自分の腹で弾かれた。→腹筋割れてそう(ヒソヒソ)→ド赤面。

 

 腹筋割れてる女性は割りと好みです。by.作者

 

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