ゾンビと言えばチェンソーっしょ   作:キラトマト

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第2話 終末なんてクソくらえ

 明日になった。夜になったら誰か夜這いに来るなんて期待したのは無駄だったみたいだ。

 

「あぁ〜、クソ〜」

 

 俺は憂さ晴らしに外に出てゾンビを狩りに出た。丁度入口の近くにあった釘バットを持って。

 

「ったくよぉ、こんなグロかったら、死体姦すら出来ねぇじゃねぇかっ、よぉ!!」

 

 この前の鉄の棒に比べたらちょっとばかし頭も潰しやすくなってる気がした。

 

「あぁっ! んでチェンソーマンになれねんだよぉ」

 

 せっかく公安やめて、楽に生きられると思ったのによぉ、つかチェンソーマンになれたら絶対モテんだろ。つえぇんだから。

 

 ゾンビの頭を十分に潰して、気持ちもスッキリしたのでデパートに戻って、自分の部屋に戻ってダラダラと過していた。

 

「……そういえばアド、3日後とか言ってたよなぁ。それまですることねぇしなぁ……あ〜、ヤリてぇ〜」

 

 退屈すぎんだよ、テレビもねぇし、映画館もねぇしよぉ。

 

「まぁ、飯はうめぇから、いっか」

 

 そういえば、昨日出された飯は美味かったなぁ。

 

 

 

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「ご飯と味噌汁! ご馳走じゃないっすかぁ!」

 

「あなた一体今まで何を食べてたんですか……?」

 

 出された食事をペロリと平らげて、おかわりを要求した。

 

「おかわりお願いしまぁす!」

 

「よほどお腹がすいていたのか……」

 

 そう言って胸とケツとタッパと、ついでに器もでかい礼音さんは俺にご飯を大盛りでよそってくれた。

 

「うんめぇ〜最高っすよ〜」

 

 やっぱ美人によそってもらった飯はうめぇなぁ……。

 

「ふふ、喜んでもらえたようで光栄だよ」

 

「ってか、ひさぎは食わないんすかぁ?」

 

「ちゃんと食べてるわよ。あんたに比べたらそりゃ少ないけど」

 

 なんだよ、ちゃんと食ってるのかよぉ、ひさぎの分も食べようかなとか思ってたのに。

 

「しかし、お前もよくこんなすぐ馴染めたもんだな」

 

 なんて栗子が言ってきたけど。当たり前だろぉ? こんなにも女がいるんだからよぉ。

 

「なんか皆のこと、変な目で見てる、です」

 

「何言ってんすかやちるん、変な目って」

 

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 早パイん家で食べた時も美味かったけど、こういうのもなんか違った趣があるんだよな。

 

「つかマジで暇だな。まだヤレねぇだろうし……ポチタもいねぇしよ……」

 

「あぁクソ……またチンチンでもの考えちまってる……」

 

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「デンジちゃん! 起きてる?」

 

 ドンドンと大きなドアを叩く音で目が覚めた。

 

「んあ? なんすか?」

 

「忘れたのかにゃ? 今日は────」

 

「あーそうっすね! 忘れてました!」

 

 俺は慌てて服を着直し、急いで戦闘班の奴とデパートを出た。なんでも補給物資? っつーもんを手に入れるためらしい。

 

「んで、どこにあんすか? その補給物資って」

 

「空から降ってくるんだ」

 

「へぇ〜そうなんすね〜」

 

 聞いといてなんだけど、別にどうでもいいっつーか。

 

「まぁデンジくん、君は今回が初めてなんだ。そう気負いすぎるなよ」

 

「うぃ〜」

 

 しばらくすると、上空からコンテナが落ちてくるのが見えた。見ると落としたのは飛行機だった。あれがコンテナ? 

 

「あれっすかぁ? 」

 

 言い終わる前に、やちるんが走り出した。

 

「うわ〜、空飛んでるみてぇだなぁ」

 

「感心してる場合じゃないよデンジちゃん! やちるんの報告が……来た!」

 

「B13と、G2です!」

 

 なんだそれ? 暗号か? 

 

「よし、聞いたねひさぎん! Gが一番近いからG,Bの順番で!」

 

 ひさぎは返事なんてせずに走り出して行った。

 

「大丈夫なんすか? 一人に任せて」

 

「だいじょぶだいじょぶ! ひさぎんならね!」

 

 いや、ちゃんと物資手に入れられるかなんだけどなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「早すぎんだろうがよぉ……くそぉ」

 

「はっ!」なんて声上げながらゾンビをたくさん殺していく。あ〜あ、俺もチェンソーマンになれたらゾンビ殺しまくって、こいつらにモテまくるはずなんだけどなぁ……。

 

「ヒサギンが切り漏らしたゾンビは私らで片付けるよ!」

 

 釘バットを振り回してゾンビを吹っ飛ばしてその隙にひさぎを追った。

 

「急げ急げ! ひさぎんマジで見失っちゃうよ!」

 

「あいつ早すぎんだよ! 前世足軽かよ……」

 

 そんな声が後ろから聞こえてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 俺たちはようやくコンテナまで辿り着けたので、まぁそこそこコンテナを運ぶのを手伝ってやった。そんなとき、アドが急に耳元に話しかけてきた。

 

「ねぇねぇ、デンジちゃん。コソコソ話をしようず」

 

「いきなりなんすかぁ……?」

 

「今日のヒサギンを見てさ、なにか感じたことはないかい?」

 

 いやねぇんだけど。でもなんか言わねぇとあれだしなぁ。

 

「あ、強かったっす」

 

「そうだねぇ。ヒサギンは格別に強い。でもね、今日はコンディションが良すぎなんだよ」

 

「コンディションっすかぁ」

 

「テンションが高いとも言える」

 

「へぇ……」

 

「うん。でもそりゃさ、君が生きてたからなんだよ」

 

「俺が生きてたからっすか?」

 

 え、もしかして俺のこと好きってこと? 

 

「そうそう。実はさヒサギン、感染の日────、大切な恋人と、渚輪ニュータウンで、生き別れてるんだよね。だからその恋人と生きて再会するのが、ひさぎんの生きる目標なのよ」

 

「そんなことあったんすねぇ」

 

 どーでもいいや。つか彼氏いたのかよぉ。寝取りは嫌いだからなぁ。

 

「つか、その恋人って死んでるんじゃないんすか?」

 

「……そう。だからさ、君が現れるまではさヒサギンは君と出会うまでずっとさ、半ば諦めながら、でも諦めきれずに、消えた夢を抱きながら、徒に前だけ見ながら生きてきた。ほぼ100%、恋人が死んでいると理解していながらだよ?」

 

 もう死んでんだからよぉ。

 

「けれど、君が生きていた。男性でも生き残れるという、たった一つの証明。それだけでもヒサギンにとっては涙が出るほどの、希望だよ」

 

「いや俺にんな事押し付けられても困るんすけどぉ」

 

「あはは……デンジちゃんったら恥ずかしがっちゃって」

 

 

 

 

 

 

 

 ###

 

「デンジくん、ちょっといいか?」

 

 次は礼音さんが話しかけてきた。そういえばこの人と話すのは初めてだったよなぁ。

 

「ん? なんすかぁ?」

 

「いや、このコンテナのことなんだが……。まず聞く。君はこの世界、地獄だと思うか? 平和だと思うか?」

 

 元いた世界のが地獄だったし、まぁ……。

 

「どっちかと言えば平和じゃないっすか?」

 

「なっ……君は一体どんな……」

 

「まぁあんたらにとっちゃ地獄になっちまったのかもしんねぇすけど」

 

「いいや、私たちにとっても今はまだ平和だよ。君はわかるか? 握り飯一つ、香辛料一振りの為に、少女の四肢を撥ねる世界だぞ。私も、蔵の米を守ったが為に狂騒した隣人たちに、この腕を潰されかけた。目先の食糧より健全な身体のが価値がある。そう判断した私は、食糧を捨て逃げ延びる選択をしたわけだが──珍しいことじゃない。ゾンビどもから身を守り、食糧に飢えた人間たちから身を隠す。自分以外誰一人信じられなくなる、殺し殺されの地獄だった」

 

 少女の四肢……? それ以外は耳に入ってこなかったが、それは聞き捨てならねぇなぁ。女の四肢もぎ取るなんてよぉ。

 

「許せないっすね……」

 

 そう言うと礼音さんは微妙な笑みを向けてきた。

 

「おっと、話は反れたが、コンテナについてだったな。そんな戦々恐々と、殺伐とした街に、政府の補給物資が投下されるようになったのだ」

 

「クソっ!!」

 

 その瞬間、俺はひさぎに突き飛ばされる。

 

「あいって……なんだよ……?」

 

 俺を突き飛ばした方を見ると、ひさぎが倒れてた。背中を血だらけにして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ###

 

 なんでんな事になっちまったんだよぉ。

 

「あぐっ!?」

 

 俺まで、ゾンビの攻撃を食らってしまったみてぇだ。

 

「クソッ……俺まで……殺されるのかよ……」

 

 ゾンビの攻撃を受けちまった奴は即殺す。そんなクソみてぇなルールのせいでひさぎは撃ち殺されちまった。

 

「……すまない。デンジくん」

 

 前言撤回、やっぱこの世界は地獄だ。

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