ゾンビと言えばチェンソーっしょ   作:キラトマト

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第3話 ウヌは誰? ワシはパワー!

「あぁ……クソッタレな世界だ……」

 

 ふと、胸元あたりを触っていると、覚えのある感触があった。

 

「おおいおい。おいおいおいまじかよ……。ポチタァ!!」

 

 その名前を叫んで俺はロープを引いた。ドクンッ、って。俺の心臓が跳ねる感触がした。その瞬間に頭、両手からチェンソーの刃が出てくる。腕の方は腕の中から呻くように出てくるから血がどくどく溢れるし、頭の方は形そのものが変わっちまう。

 

「チェンソーマン復活だぜぇ、オラァっ!」

 

 手始めに、寄ってきたゾンビの頭を撥ねる。

 

「最高っ、だぜ!」

 

 胴体、首、真っ二つ、色々な切り方で殺していく。そんな時間経ってねぇのによぉ、

 

「最っ高の気分だぜぇ!!」

 

 次第に、血が足りなくなって腕のチェンソーが引っ込み、顔も元の顔に、そして頭のチェンソーも先っぽだけになっていき、遂に倒れ、殺し損ねたゾンビが近寄ってくる。

 

「あ、あれがデンジくん……なのか?」

 

「ありません……というか意味がわかりません……」

 

 周りの皆が動揺している中、俺に話しかけてくるやつがいた。

 

「苦戦しているようじゃのうデンジ、手を貸してやろうか? って、誰じゃウヌ!?」

 

 と、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「あぁ……パワ子かぁ……?」

 

 なんでだ? 地獄に行ったんじゃ……。顔を上げると、さっき銃で頭撃ち抜かれたはずの奴が俺の前に立っていた。

 

「うむ、この肉体の持ち主は刀を使っていたようじゃのう、折角だし使ってみるか!」

 

 彼女は血で刀を作り出し、それでゾンビの首を切っていく。

 

「久しぶりじゃが楽しいのう! 肉を切るのはぁっ!!」

 

「……っはは! ははははは!!」

 

 もう考えるのや〜めた。俺は意識を諦め、目を閉じた。

 

「っ、よくわからんが来栖崎くんを援護するんだ!」

 

「来栖崎? ワシはパワーじゃ! 最強のな!」

 

 死んだはずなのに、という疑問は一旦置いておいて、まずは目の前の戦いに集中するポートラル一同であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 次に目が覚めたのは、真っ白い部屋だった。

 

「ん……? 医務室かぁ?」

 

「お、起きたか。お主は一体何者じゃ? デンジと同じチェンソーの悪魔に変身できるようじゃが」

 

「何者って……デンジだよ! ……あぁそっか。顔変わってんだったなぁ。つかお前も顔変わってんじゃねぇかよ!」

 

「? あぁそうか。デンジも顔が変わったのか。ワシもこの来栖崎ひさぎ? とやらに着いたからな」

 

「あぁ……よくわかんねぇけどよぉ、久しぶりだな、パワ子」

 

 拳を突合せ、再会した俺たち。

 

「……あの……一体どうなってるの?」

 

「あぁ? あぁ、よくわかんないっす」

 

「ウヌはデンジということでいいのだな?」

 

「あぁ〜そういう事っぽいぜ。まぁ顔は違ぇけどなぁ」

 

「なら安心じゃ、こんなクソみたいな世界でワシ1人じゃと寂しくて死んでしまうからの〜」

 

「あぁ? なんだよそれ。うわっ、引っ付いてくんなよ」

 

 ベタベタと絡んでくるパワーを振りほどく。

 

「キャァァアアアアアッ!!!」

 

 そんな中、下の階からすんごい悲鳴が聞こえてきた。

 

「まさか1階から!? わ、私見てくるから君たちは大人しくしててね!?」

 

 そう言ってやいとがどっか行っちまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 そんな中、デンジとひさぎ(パワー)を抜いて、戦闘班の面々で会議を始めていた。

 

「さぁてさてさて皆のしゅー、揃いも揃って集まったかーい! 集まったねー! それじゃあ第三十一回『くんずほぐれつ新入りくん争奪戦──仁義なき戦い夏の陣―』をぉー」

 

 ために溜めてアドは「ドッ派手に始めちゃうぜぃ!」と、威勢よく言った。そして百喰は気を取り直して、真面目な話に切替える。

 

「では、皆さんわかってるかとは思いますが、今日の議題はあの2人の、処遇についてです」

 

「あぁ……あの頭がチェーンソーになった姿についてか」

 

 礼音が頭でチェーンソーのジェスチャーをして表す。

 

「さっきの戦い見て忘れる奴はいねぇだろうよ。しかも来栖崎の奴も変な武器持ってたしなぁ」

 

「あぁ……確かに死んだはずだったのだが生き返った……というか性格も変わっていたみたいだったしな……」

 

「不死身……ということでしょうか」

 

 理論でしか考えることの出来ない百喰はこういった凝り固まった考えしかできないようだ。

 

「なんでこんなことになったんだろうね……」

 

 珍しくアドは機嫌がナナメっている。しかしそんな折り、医務室にいたはずのやいとが急ぎ会議室に滑り込んだ。

 

「ど、どしたのデンジちゃんが暴れたの!? ひさぎんが!?」

 

「いや……違うの……1階のバリケードが壊れて……ゾンビが入り込んできたの……!!」

 

 息絶えだえでやいとは報告した。医務室から1階へ、そしてその後急ぎ会議室まで来たのだから当然だろう。

 

「バリケードが? ゾンビ風情に破るとは思わないんだが」

 

 そんな礼音の言葉ももっともだろう。だが何事にも例外というものはある。

 

「ごごごごごめんだよ皆! バリケードの耐久度が下がってきてたのは知ってたから……強化しようとして忘れてました……」

 

 それが今回はアドの不注意だったというだけ。

 

「すいません……野放しにしすぎました。管理不行き届きです」

 

「私を?! それともバリケードを!?」

 

「と、兎に角ゾンビを駆除しないと……です」

 

 やちるの言葉に一旦皆は目標をひとつに据えた。ゾンビの侵攻を食い止め、バリケードを修復する、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 その頃、デンジとパワーはとにかく下の階を目指していた。

 

「女の悲鳴だったしよぉ、助けたら好きになってくれんじゃね?」

 

「お主はいつもそればっかりじゃなぁ」

 

「言っとっけどおめぇには発情しねぇかんな!」

 

「なんじゃその言い草は、胸を揉ましてやったことは忘れたのか?」

 

「あぁ? あんなの思ったより良くなかったし、つかお前パッドで誤魔化してたじゃねぇか!」

 

「? そんなことあったか?」

 

「この虚言癖がよぉ!」

 

 相変わらず変わってないパワーに、思わず安心してしまうデンジ。

 

「うっわなんだよこれ……」

 

 入口にはゾンビが溢れていた。バリケードとやらが破られたっぽい。

 

「よくわかんねぇけどよぉ、こいつらぶっ殺せばよぉ、モテんだろ?」

 

 俺はチェンソーのロープを勢いよく引っ張り、チェンソーマンに変身する。いつも通り痛いけど。

 

「相変わらずよくわからん思考回路じゃ、じゃが、それでこそデンジじゃ!」

 

 パワ子は血で作った刀を持ってゾンビを倒しに行った。

 

「デンジちゃんにひさぎん!? なんで医務室抜け出してんの!?」

 

 チェンソーマンになった俺をよく見分けられたなぁ。

 

「よくわかんないけどなんかゾンビいたんで殺してまぁ〜す!」

 

「また勝手に……仕方ありませんがアド、彼らの援護をしましょう」

 

「う、うん! アヤネルは後ろから援護射撃と逃げ遅れた子の退避! リッちゃんとやちるんは入ってくるゾンビを食い止めて! ……まぁ、デンジちゃんとひさぎんが頑張ってくれてるからあまり……」

 

 アドの指示のとおりに皆動いていく。

 

「あいつらこの前バッテリー切れしてただろ! そうなったときのために行く! 行くぞやちる!」

 

「栗子!」

 

 栗子はクソでかい鎌持って、やちるは滑る靴見てぇなもん履いてゾンビを殺しまくった。

 

「俺達も負けてねぇけどよぉ!」

 

 しかし次第に、またもや血が切れて、チェンソーが引っ込み始める。

 

「おいアド! デンジの奴バッテリー切れだ! 今そっちに送る!」

 

 栗子は俺の体を持ってアドの方に放り投げた。

 

「えぇ!? リッちゃん雑ぅ!?」

 

「ははは! 女に投げられるとは、あいつも喜ぶだろうなぁ!」

 

 そう言いながらパワーはいまだゾンビを斬り殺していき、遂に────。

 

「ぃやったぁぁああああああ!!!」

 

 アドのそんな声とともに、バリケードの修復は完了した。

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