ゾンビと言えばチェンソーっしょ   作:キラトマト

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第4話 血を啜れ

「それで、貴方たちは一体何者なんですか?」

 

「あぁ?」

 

 折角助けてやったのにこの扱いだ。信じらんねぇ。

 

「ワシはパワーじゃ! 人間は嫌いじゃ! 悪魔だからの!」

 

「悪魔……?」

 

「こ、こいつが勝手に言ってるだけっすよぉ、俺はちょっと色々あってあのかっけぇヒーローに変身できるようになったんすよ」

 

「かっこいいと言うよりかは残虐非道な……どちらかと言えば悪役のような姿でしたが」

 

「はぁ?!」

 

 今までモテると思ってたのによぉ、かっこよくねぇのか? 

 

「でもさ! デンジちゃんとひさぎんが皆を守ったのは事実だし! 悪い子じゃない!」

 

 アドは俺たちを擁護してくれてる。

 

「だからワシはパワーじゃ!」

 

「パワ子ぉ! 一旦黙れ!」

 

「あぁ? なんじゃとデンジ、ウヌもワシがパワーでないと言い張るつもりなのか?」

 

「ちげぇよ! ちっとは空気読め!」

 

「2人とも、一旦落ち着け。パワーくん……でいいんだったな?」

 

「やっと呼んでくれたのう人間!」

 

「しかしアド……彼らをどうします? パワーさんは、来栖崎さんとは違う方向性で協調性がありませんし……」

 

「う〜ん……でもあれだけ強いなら手放したくないし……何よりデンジちゃんもひさ、パワーちゃんも仲間だし!」

 

「仲間っすかぁ? 嬉しいっすねぇ」

 

「……ってか、今思いついたんだけど! デンジちゃんとパワーちゃんがいれば、ペトラ橋も突破できるんじゃ……!」

 

「ば、バカを言わないでくださいアド! たった2人いたところで変わると思ってるんですか!?」

 

「変わるよ、絶対に」

 

「な、何故そう言い切れるんですか!?」

 

 アドと百喰が言い争ってるのを尻目に俺たちは部屋から出て食料庫に一直線に向かっていた。

 

「確かこっちに食いもんがあるんだよな……」

 

「あぁ〜元の体の持ち主の記憶にもそう入っておった」

 

「何やってんだァ? おふたりさんよォ」

 

「あっ……」

 

「ワシじゃない」

 

「は……?」

 

「デンジが勝手にやろうと言ったのじゃ。ワシは何もやっておらんぞ」

 

「は?」

 

「は? じゃないが」

 

「おまっ……何嘘ついてんだよ!」

 

 たまたま栗子さんにそれがバレて、俺とパワ子は半殺しにされてしまった。岸辺のおっさんの特訓の時と同じくらいにボコボコされて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ###

 

「ん? なんすかこんな夜中に呼び出して、しかもパワ子と一緒になんて」

 

「そうじゃそうじゃ、気持ちよく寝とったのに」

 

「君たち二人に聞きたいんだけど、ペトラ橋って知ってる?」

 

「なんすかそれぇ?」

 

「パワーちゃんは?」

 

「知らん」

 

「……やっぱりね」

 

「え?」

 

「いやなんでもないよ! こっちの話。で、ペトラ橋の話だったよね! ペトラ橋ってのは、ここ渚輪区別島と、本島を繋ぐ唯一の足がかりなんだけど、今は大量のゾンビに埋め尽くされてるんだよね」

 

「そうっすかぁ」

 

「デンジちゃんたちと会う前、皆と様々な策を弄して攻略を挑んだんだけど、未だ糸口すら見つかってなかった。でもね、2人がいたらその先に進めるんじゃないかって、思ったんだよね!」

 

「そうっすかぁ。まぁ細かいことわかんないっすけど、そこにいるゾンビ全部ぶっ倒しゃいいんすよね?」

 

「そゆこと! ……でもデンジちゃんもパワーちゃんもエネルギー切れになったりするんでしょ?」

 

「そうっすけど……」

 

 まぁそんときゃゾンビの血肉食えばいいけど、まずそうだしなぁ。

 

「ワシは大丈夫じゃ。デンジと違ってそこまで血は使わんからな」

 

「血?」

 

「そうじゃ、ワシは血で武器を作る。デンジはチェンソーマンになってる間はずっと出血し続ける。だから直ぐに倒れるのじゃ」

 

「チェンソーマン? あ〜デンジちゃんが変身した頭がチェーンソーになってる奴?」

 

「そうっすよ。チェンソーマン、最強っす」

 

「最強?」

 

「そうっす。最強っす」

 

「その最強のデンジちゃんとパワーちゃんに質問なんだけど、君たちはこの世界について何も知らないんだよね?」

 

 なんか喋り方がマキマさんみてぇだ。

 

「知らないっすよぉ」

 

「知らん」

 

「そんなふたりに提案があるんだけど、PAL研究所に協力するつもりはない?」

 

「なんすか? それ」

 

「簡単に説明すると、人類の繁栄のために色々と研究をしているところ」

 

 いつもはバカみてぇにはしゃいでるからなんか不気味だ。

 

「……よくわからんのだが」

 

 なんてパワ子が俺の耳元に話しかけてきた。

 

「……俺に聞くな。分かるわけねぇだろ」

 

「まぁ、すぐには返答求めてないけどね。わざわざ来てくれてありがとう2人とも」

 

「ういーっす」

 

 俺とパワ子は部屋を出た。

 

「よくわかんなかったよな〜あの話」

 

「ん? なんの事じゃ?」

 

「いやアドが言ってた話だよ」

 

「あぁ、聞いてなかったな」

 

 はぁ……そうだったな、こいつはそういうやつだった。

 

「んまぁ、わかんなかったってことはそんな重要な話じゃないってことだろ。忘れることにすっか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ###

 

「今日集まってもらったのはぁ他でもない。くっくくー、おめぇら、金玉と覚悟ぉ、引っさげて集まったんだろうな」

 

 昨夜のテンションは忘れたかのようにアドは勢いよく言った。

 

「アド! 正気ですか?! 無茶ですよ! あんな者たちに任せるなんて!」

 

「くっくく〜、ちゃんと仲間は信じないと〜─ってなわけで! 記念すべき第一回『南の海まで修学旅行大作戦──母なる海をたずねて三千里──』の始動だぜ!!」

 

 ?? 意味わかんねぇ。

 

「……つまりは、南方調査遠征作戦、ということでいいのか?」

 

 礼音さんが俺たちにもわかりやすいように要約してくれた。

 

「ですが、あの量のゾンビがいるペトラ橋を攻略するなんて」

 

「で、作戦概要を説明するよ!」

 

 百喰の指摘を無視してアドは続けた。

 

「全長800m、片側一車線の細長い道路、そこに何百、いや何千ものゾンビが蠢いてる。でもね、私は考えた。そう! デンジちゃんとパワーちゃんがいればそんなものすぐに殺し切れるんじゃないかってね!」

 

 800m? よくわかんねぇけど100m走を8回やるみてぇなもんか。

 

「わたくしは賛成ですわ」

 

 え、誰ぇ?

 

「あ〜その子は甘噛綴! これだけ大規模な作戦になるから戦力は多い方がいいからね! ツヅリン!」

 

「ほ〜、強いのか? ウヌは」

 

「来栖崎……さん?」

 

「あ〜ごめんごめん! 説明してなかったね! この子はパワーちゃんって言って、ひさぎんとは違うの」

 

「そう……でしたのね、すみませんパワーさん」

 

 すると百喰がゴホンゴホンと咳払いをし、本題に戻らせる。

 

「それでペトラ橋を攻略し、渚輪区本島に着いたら、どこまで調査……進むつもりですか?」

 

「ふっふふー、何処までとはモグッチ、知ってて質問してるぞね?」

 

「いえ……答えは?」

 

「南の海岸線」

 

 なんか周りの奴らが持ってた物落としたんだけど、一体なんだ? 

 

「南海岸線って……ニュータウンは本島の北の海岸線にあるんですよ?? つまりは本島を縦断するという意味に他ならない……無謀も極まれりです。流石に……本気じゃないですよね?」

 

「本気も本気、『アド』レナリン出まくりです、はい」

 

 アドレナリン……アド……あぁそういうことかぁ! 

 

「だが、デンジくんがバッテリー切れした場合はどうするんだ?」

 

「それについてももう大丈夫! デンジくんは血を飲んだり、食べ物食べれば復活するから!」

 

「血……? まさか私たちのか?」

 

 飲ませてくれんの礼音さん!? 

 

「そんな破廉恥な……!」

 

「そうそう! 皆の血、寝てる間に採っておいたからね!」

 

 サラッと言ってるけどやってることやばくねぇかアド……? 

 

「は……!」

 

 それを聞いた皆が自分の腕を確認する。

 

「腕がチェーンソーになっちゃってるからデンジちゃんが自発的に飲むのは難しいと思うんだ! だから各自1パック持っていて、デンジちゃんがバッテリー切れしたら都度飲ませるんだ!」

 

 こんな美人の血飲めるなんて……最高じゃねぇかぁ。思わず顔が緩んでしまう。

 

「デンジ、気持ち悪いぞ」

 

 なんてパワ子から言われて初めて気づいたんだけど。

 

「それじゃあ、皆賛成ってことでいいね!」

 

 アドは気を取り直し呼びかけたのに、皆が答えた。

 

「それじゃあ! 決行は今日! 今から! みんな行くよぉぉぉおおおおお!!!」

 

 

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