「ふっふふー、ぞんびっちの群れこえ山こえ谷越えて! たどり着きやしたぜ工場タウン・ウィズ・港ぅッ! ──あたし海が見たいぞぉぉぉぉ!」
「海じゃ海じゃぁぁあああ!! 魚食べ放題じゃぁぁあああ!!!」
「生じゃ食えねぇぞー、って、行きやがったよ……」
「え? 生で食えるっすよ、刺身とかあるんすから」
そう俺が栗子に言ったら、みんな驚いたような顔して俺の方見てきた。
「普通茹でて食べますよね……?」
は? 普通茹でるってなんだよ……魚っつーのは生鮮食品? じゃねーのかよ。
「つーか、ゾンビいねぇのかよ。あいつがバカみてぇに走り回ってなきゃ見つけられんのによ」
「? パワーさんにはそのような能力があるんですか?」
「あー、言ってなかったっすね、あいつ血の魔人なんで、血の匂いで場所特定したりできるんすよ。まぁ、あっちにいた時はゾンビだらけでよくわかんなかったみたいっすけど」
「そ、そうなのか……」
「しっかしゾンビがいないってのもまた気味悪いもんだな」
そんな栗子の言葉に礼音が答えた。
「奴らのいる日常に慣れてしまったというのも、些か癪だがな」
「そうだ! 海近くにあるってんなら、船もあるんじゃないっすかぁ!?」
「それは妙案だなデンジくん」
「───ぎゃひょぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおい!!」
奇妙な叫び声を上げながら、アドが走り寄ってきた。
「おい見ろ、お漏らし姫が奇声あげながら走ってくるぞ」
「み、みみみ、みみみみんなぁぁぁぁッ!! みみ、みみみ!」
「どうしたんすかそんなに慌てて、もしかして船でも見つけちまった、とか?」
「そ、そそ!! そうなんだよ!! 良いから来て来て早くハリーハリー!」
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アドに連れられて、俺たちが見つけたのは小さい船だった。
「うげぇ……なんか臭いっすよこの船……」
船ん周りには血が目一杯着いてるしよぉ。
「……輸出用には見えんが……娯楽用のクルーザー……か?」
俺たちがいるとっから結構離れた位置にクルーザーは浮かんでいた。
「……死体の……舟盛りかよ……」
「本当に……すたんどばいみーですね……」
確かその映画は死体を探すって内容だったはずだ。まさかあん中に死体が転がってるっつーことか?
「ちょっと手繰り寄せてみます」
俺はチェンソーの鎖をクルーザーの取ってに括り付け、陸側に引っ張りあげ、中を探索した。
「やっぱ死体残ってんじゃねぇかよぉ……」
……つかこの世界に来てから死体見んの初めてだな……。あれ?
「どうしたんだデンジくん」
普段は脳天気なデンジがふと考え込んだのを見て礼音が問いかけた。
死んだやつはゾンビになるはず……でもこいつらがゾンビになってねぇってことはやっぱりゾンビの悪魔のせいじゃ、ない? でも傷跡あるしなぁ……だとしたら……。
「なんでゾンビになってねぇんだ?」
俺は思ったことをそのまま口に出した。
「そうだ……そうだよデンジくん。死んだのなら……」
「……彼女たちはとっくにゾンビ化しているはずですわ」
礼音、綴が立て続けに言った。
「餓死してしまったのでしょうか……」
「この血の量っすよ? そりゃバカの俺でもわかるっすよ」
また百喰がペンをへし折る音が響いた。
「つーか、パワ子のやつ、まだ戻ってきませんね」
「きゃああああああああああああああッ!!!」
「ッ、なんだこの悲鳴は!?」
「とっ、とにかくいきましょう!!」
「行くってどこに! 場所はわからないんだぞ!?」
「それは……」
「こっちです。あの工場、三階から聞こえました!!」
やちるが海岸沿いのでっけぇビルを指さして言った。
「しゃぁねぇなぁッ!!」
チェンソーマンに変身し、俺はビルん中にいるであろうゾンビを駆除しに行った。
「いねぇぞ……? なんだこいつぁ……」
「がぁぁあああっははははは! 肉じゃぁぁああ!!」
そこにはゾンビの死体と、そいつらの上で歓喜するパワ子の姿だけがあった。
「おーい、何やってんだ?」
「血の匂いがしたからの! 慌てて駆けつけてみたら人間がおったのじゃ!」
「人間? どこにだよ。また嘘か?」
「ワシを怖がって上に逃げたのじゃ! 本っ当に人間というのは臆病な生き物じゃ!」
「はいはい」
少し経って、ポートラルの皆も駆けつけてくれた。
「なっ、これは一体……」
「よくわかんないんすけど、パワ子のやつが全部ぶっ殺したみたいっす。そんで人がいて、上の階に逃げたんだと」
「本当じゃ!!」
「ならばすぐにでも探した方がいいんじゃないか?」
「あぁ、ならば今はそれが先決だ」
「嘘かもしんないんすよ? 本当に探すんすか?」
「本当であった場合、取り返しがつかなくなる」
「まぁそうっすけど……」
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デンジたちは数十分ほど探してようやく、部屋の隅でガタガタ震えながら膝を抱える少女2人を発見した。