「大丈夫……大丈夫ゃからな……沙南」
「ぅぅ……ほんと……大丈夫ゃの?」
「ぁぁ……お姉ちゃんが……最後までぉるからな……」
「大丈夫かい少女ちゃんたち!」
「……ぇ……え?」
挙動不審に震える二人の頭を撫でながら、礼音は静かに微笑んだ。
「矢継ぎ早で申し訳ないが、取り敢えず急いで工場外まで逃げよう」
デンジたちはひとまず工場の外へと移動した。
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「ありがとうな……ほんま……ありがとぅな……」
外に出るといきなり青い髪の方が泣いて感謝を伝えてきた。
「いいってんなの」
「食われるかと……おもて……必死に隠れて……もぅだめかて……ぁりがとぅな……」
「おうおうおうガキぃ! 感謝をするくらいなら食い物を寄越せぇ!!」
「おいパワー、てめぇ一旦黙れ」
「大丈夫だったかいお嬢ちゃん! 私はポートラルのリーダー樽神名アド!! それでこっちが君たちを助けたデンジお兄ちゃんだよ!!」
「は〜? 助けたのはワシじゃが〜?」
「はぁ? 嘘つ────」
クソ、今回に限っちゃこいつのおかげだったな……。
「ほぉ〜ら言ったじゃろ!? ワシのおかげじゃと!!」
「へーへー、悪かったです〜」
「え……? どゆこと……」
「まぁ、ともかく! 2人の命は私らが保証するぜぃ!!」
「んなことより、てめぇら本当に2人だけなのか? 幼女2人で生き残れるほど、この世界は甘かねぇだろ」
「そうじゃそうじゃ!!」
何も考えてねぇんだろうパワ子が賛同する。
「助けてやったんだ、情報くれぇ貰ったっていいだろ」
「……うちの名前は……夢氷沙織」
涙を拭って青い髪の方は名乗った。
「それでこいつは妹の沙南。豊島街から逃げてここまで来たんや……向こうにも生きてる人が集まってたんやけど……結局襲われて」
「ふ〜ん」
つーことは生きてる人もいるってことだ。
「よしっ、生存者もいるって判明したことだしさっさと行きましょうか!」
「あぁ? 急すぎんだろデンジ」
「おやおや〜? ということは夜の方も、早いのかなぁ〜デンジちゃん」
「んなことわっかんねぇだろ!!」
そうやって喧騒を繰り広げていると目の前にいた姉妹が吹っ飛ばされた。
「なんだ!?」
「わっかんないっすよ!!」
でも、ゾンビの出せる力じゃねぇってことはわかる。ゾンビ以外にこんなことできるのは────アイツらしかいねぇ!!
「悪魔さんよぉ〜、出る杭打つのが趣味なのかァ?」
チェンソーマンに変身し、どっかにいる悪魔の攻撃に備える。
「クソっ、悪魔とやらはどこにいるんだ!?」
「そんなことよりっ、夢氷姉妹はっ!!」
「もう……ダメなようだ……」
吹っ飛ばされた方向をチラッと見た礼音さんはすぐに目を逸らした。原型を留めていない肉片と辺りに飛び散る血を見て察したみてぇだ。
「さっさと出てこいよ悪魔がよォ!!」
「デンジ、辺りに悪魔はいないようじゃぞ。もう逃げたようじゃ」
「あぁ? クソ……」
「しかぁし!! ワシは血の匂いを追えるんじゃ! あのガキの血が着いておるみたいだからのぉ!! その代わり────」
「おうパワ子!! こういうときゃ役に立つじゃねぇか!! って、その代わり?」
「デンジの血液1年分じゃ!!」
「はぁ〜? あげねぇよ!!」
「じゃが、見えない悪魔に襲われたら攻撃を防ぐ術はないぞ? それでもいいのか?」
「あぁもうクソッ、血液パックもねぇっつーのによぉ。わーったよ!!」
俺はパワ子に腕を差し出して血を吸わせる。
「なんかエロいね」
「余計なこと言わないでくださいっすよ!!」
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血の匂いを追って次にデンジたちが着いたのは海浜間横断橋だった。そこにはゾンビの影は一切見えず、代わりに車が沢山止まってた。
「およ? あれはまさか……軍人さん!? おぉぉおおおおい!!!」
それを見たアドは何の考えもなしに走り寄った。
「おいおい軍人なんて信用出来ねぇぞ〜」
案の定、そいつらは俺たちに向かって銃を放ってきた。
「パワ子!!」
「じゃあ2年分じゃぞ!!!」
「わーったからぁ!!」
この前言ってきたPAL研っつーのも気になるしよぉ。
「殺したら気分悪ぃしよぉ〜? 半殺しに留めといてやるぜぇ!!」
流石に人間相手にチェンソーマンは血を無駄に使うだけだ。俺はパワ子から血の武器を取ってそいつらのタマを潰して無力化してやった。
「は、早く逃げましょう皆さん」
そう言って百喰は皆を先導して逃げていったので、俺もそれに着いていく。
「キンタマ潰したんで、暫くは動けないっすよぉ〜アイツら」
「は、はぁ……?」
「それよりもモグッチ! こっからちょっと先に学校無かったっけ!? 確か小学校!」
「え、えぇ……ありましたが……」
「だったら行こうよ!!」
「しかしゾンビの巣窟になっていては……」
「臆病すぎだぜ百喰!! さっさと行こうぜ!!」
「ち、ちょっと……もう、仕方ないですね……」
そうして、デンジたちは朱雀小学校へと辿り着いた。しかし、自分たちに迫る人間の集団がいたことには気づかなかった。