狩人世界の入道使い   作:N2

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更新、遅くなってしまい申し訳ない。
これからも、安定しない更新になると思いますが、気長にかまってもらえると嬉しいです。


幕間
13.修行開始


 ハンター試験が終了して一月ほど経った頃、ゴンから連絡があった。

 キルアとも合流できたため、約束通り私に念を教えてもらおうと連絡してきたらしい。もちろん断る理由もないので、私の住んでる場所に近い空港を指定してそこで落ち合うことにした。

 

「イチリン!」

 

 私を見つけ、笑顔で駆けてくるゴン。それに対して、私も手を上げて出迎え……そのまま拳を握りゴンの頭に振り下ろした。

 

「いって~!なにすんのさ!?」

 

「なにすんのさ、もなにもないわ。これまで一切連絡してこないとかどういう了見よ」

 

 そう。このアホ、一か月の間一度たりとも連絡してこなかったのだ。ゾルディック家に行って連絡絶ったら死んだかと思うでしょうが。守衛さんに気に入られて修行してたとは聞いたけど、それなら電話くらい借りられたでしょうに。

 ちなみに、レオリオとクラピカとはキルアと合流できた段階で別れたらしい。医者の勉強を始めるレオリオはともかく念を習得したがってたクラピカが一緒に来なかったのは、今年の9月までにどうにかするのは難しいと言っていた私の下では自分の望むような修業はできないと判断したか。

 

「で、念を覚えたいんだったよね」

 

「ああ……話を聞く限り、それは兄貴の強さの秘密にもつながるんだろ?」

 

「まあ、そうだね」

 

 将来的にギタラクル……本名はイルミだったか。あいつと戦うつもりなら念の習得は最低ラインの前提条件だ。

 

「教えるのは構わない。けど、往来で話すことでもないね。私の家に行こうか」

 

 

 

 ◆   ◇   ◆   ◇   ◆

 

 

 

「さて。念についての概要だけど、最終試験で言ったことがほぼすべてなんだよね。ゴンはいなかったけど」

 

「最終試験でって……まさか、瞑想なんかで体内のオーラをうんぬんって奴か?」

 

「そう、体内のオーラと呼ばれる生命エネルギーをコントロールすること。それが念……見てて」

 

 そう言って、帰る途中買った缶ジュースを取り出し、周でそこらのメモ用紙にオーラを纏わせてジュースの缶を切り裂く。それを見た二人は息をのむ。やっぱり、念の説明には実演が手っ取り早いな。

 

「見ての通り、ただの紙切れで金属を切り裂くことすら可能になる。私がトリックタワーで見せたように、素手で石壁を砕くことも。そして、生命エネルギーであるオーラは生物に対しての使用が最も効果的。故に、人に対してはこれ以上の破壊力を発揮できる。それを防ぐには同じくオーラで防御するしかない」

 

「……なるほど。確かに習得しなきゃ勝負の土俵にも立てないな」

 

 冷や汗をかきながらキルアが言う。

 

「そういうこと。オーラは誰もが微量ながら放出してるけど、そのほとんどは垂れ流しの状態になってる。それを肉体にとどめるのが纏。オーラを文字通り纏うことで肉体が頑強になり、非能力者よりはるかに若さを保てる。まずはこれの習得から」

 

「どうすればいいの?」

 

「念能力に覚醒するには、オーラの溢れ出す穴、精孔を開く必要がある。まず、瞑想や座禅で自分のオーラを感じ取ること。その後は、オーラの流れを体感しながらゆっくりと精孔を開いていく。だからまあ、最初はトリックタワーで教えた点をしながら自分のオーラを感じ取ることだね」

 

「どれくらいかかる?」

 

「個人差が大きい。ただ、三か月で精孔を開ければ才能があるって言われる方だね」

 

 もっとも、この二人なら一月かからないだろうけど。

 

「へ~イチリンはどれくらいかかったの?」

 

「私の場合はちょっと特殊で、子供の頃、事故(アクシデント)みたいな形で精孔が開いちゃったんだよね」

 

「え、そんなこともあるのか?」

 

「外から体内にオーラを流し込まれた時も、精孔が開く。だから、熟練者が相手の身体を壊さない程度にオーラを送ることで精孔をこじあけるってやり方もあるけど、差し迫った事情がないならおすすめはしない」

 

「なんでだよ?早く目覚める手段があるならその方がいいじゃん」

 

 怪訝な顔でキルアが問う。確かに一見すると手早く済ませる手段があるのに、地道に修行するのは無駄に思えるかもしれないね。

 

「その方法は正式な手順を踏まない外法とよばれる手段でリスクも大きい。無駄にリスクを背負うべきじゃない。急がば回れとも言うでしょう」

 

「むう……」

 

 キルアは完全に納得したわけではなさそうだけど、確かに差し迫った事情もない現状で焦る必要もないと思ったのか、食い下がって来ることはなかった。

 

「それで、私は色々忙しくて二人をずっと見ておくのは無理だから……椛!」

 

「お呼びですか?」

 

 私の呼びかけに応じてスーツを身にまとった白髪の女性が来る。

 

「ゴン、キルア。彼女は私の部下の犬走 椛。私の部下の中でも精孔を開くのが早かった子だよ。二人の修行はこの子に見てもらって」

 

 ちなみに、孤児だったのを名前と外見に覚えがあったため私が拾った。

 

「ゴンさん、キルアさん。よろしくお願いします」

 

「うん、よろしく!」

 

「ああ、よろしく」

 

 うむ、三人とも特に問題はなさそうだ。

 

「じゃ、椛あとはよろしくね。何かあったら呼んで」

 

 そう言って、部屋を出る。さて、あの二人は精孔を開くのにどれくらいかかるかな。

 

 

 

 ◆   ◇   ◆   ◇   ◆

 

 

 

 五日後。

 そこには、オーラを身に纏う二人の姿が!

 

「え?もう精孔開いて纏まで行ったの?まだ、五日目だよ?」

 

「はい。恐ろしいほどの才能ですよ」

 

 マジかー。五日かー。凄いな。嫉妬する才能だねえ。

 

「まったくです。私は纏の習得に二か月かかりましたし」

 

 そうだったね。いや、並みの才能なら纏を習得するのに年単位かかることを考えれば椛も大分早いんだけどね。

 

「あ、イチリン」

 

「や、調子よさそうだね。どんな感覚?」

 

「んー、なんかぬるい粘液の中にいるみたいな感じ」

 

「ああ、重さのない服を着てるみたいに感じるな」

 

 うわー、ほんとに纏できてるよ。椛を疑ってたわけじゃないけど。

 

「ふむ……これなら良いか。今から、あなたたちに対して敵意をもった念を飛ばす」

 

 そう宣言して、練をする。

 

「「!!」」

 

 二人は突然、敵意をこめた練を向けられ少し動揺しているか。

 

「あなたたちの纏で防げたら第一段階はクリア。

 もちろん、本気で攻撃するわけじゃないから失敗してもかなり痛いくらいで済む程度にはするけど、間違っても纏を解除しないように」

 

 二人ともかなり冷や汗をかいて緊迫しているが、ハンターになった以上は敵意を込めた念を向けられることなんて珍しくもなくなるだろう。早いうちになれることだね。

 

「じゃあ、行くよ」

 

 その言葉とともにオーラを飛ばす。

 

「くっ!」「っ!」

 

「……おめでとう。第一段階は合格だよ」

 

 二人は多少気圧された様子を見せたが、纏は破られてはいなかった。

 

「ふぃ~!妙に気疲れしたぜ」

 

「あはは、突然だったから焦った~」

 

「ふふ、初めての()()()()の直後にそれなら上等だよ」

 

 念弾とも呼べない程度のものだったけど、攻撃に違いはない。

 

「それでさ!第一段階合格ってことは、これからはどうするの!?」

 

 ゴンが好奇心全開で聞いてくる。キルアも気になっているようだ。

 

「二人には、これからしばらくは普通に過ごしてもらおうと思ってる」

 

「え?」「普通に?」

 

「そう、普通に生活してもらう。ただし、纏をしたままで。

 それ以外では、好きにしていいよ。町をうろついてもいいし、ゲームしててもいいし。ただ、だらだらしたっていい」

 

「それが修行?」

 

「第二段階の目的は纏を馴染ませること」

 

 纏は念の基本中の基本であり、ずっとしておいた方がいい技術だ。やってるだけで疲れるようじゃ話にならない。

 故に、纏をしたまま日常生活を送ることで纏をした状態を自然体にする。

 

「纏をしたままで、熟睡できるくらいに慣れること。それが第二段階だ」

 

 ◆   ◇   ◆   ◇   ◆

 

 第二段階の意図を理解した二人は、さっそく町に遊びに行った。まあ、ついてからすぐ修行で町なんかほぼ見てなかったからね。

 

「しっかし、元気な二人だねえ」

 

「ですねえ」

 

 椛となんとなく頷きあう。……なんか、年寄みたいなやり取りだけど、私も椛もまだ若いよ?

 

「まあ、あの二人なら第二段階も数日程度で終わるだろうね」

 

「それなら、その次は絶、その次に練と進めていくとして、発はどうします?」

 

「んー、能力の開発はまだしないで、基礎的な部分をやって系統を調べておくくらいで」

 

「了解です」

 

 いやー、才能あるとは思ってたけど、予想より大分早い。天才だね。

 とりあえず、四大行修めたら凝と堅かな。流の練度と堅の持続時間延ばしは時間かけて伸ばす以外ないから早めに取り掛かった方が良いし。その後は鍛錬を欠かさないことは前提に、必要になるのは経験。と、なるとあそこが丁度いいか。

 

「ところで……キルア君に関してひとつ気になることがあるのですが」

 

「え、なに?」

 

 頭の中でこれからの方針を考えていると、椛がやや真面目な顔で声をかけてきた。

 

「それが……キルア君の頭の中に、念の込められた針のようなものがありまして」

 

「……頭の中に?」

 

「はい、かなり巧妙に隠されているので、普通に凝で観察しただけでは気づけないでしょうが」

 

 そっかあ。椛の能力で気づいちゃったってことね。

 で、針……針かあ。実兄(イルミ)関連だよね。ほぼ、間違いなく。

 どうするかなあ。勝手に取り除いてゾルディックに敵視されても困る……。

 

「……実害が出るまでは放置で」

 

 ヘタレと言いたければ言え。




キルアの針に関しては、今取り除くとアルカ関連でいろいろややこしくなるので……。
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