狩人世界の入道使い   作:N2

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14.金策と講義

 ゴンとキルアの修行は順調に進んでいた。

 第二段階もあっさりクリアしたし、絶に関しては本人がそれと知らなかっただけでもとから出来てた。練もあっさり習得し、練ったオーラを纏でとどめるタイミングが少し難しかったとのたまっていた。普通ならそのタイミングを掴むのにかなり苦労するんだけどね。

 今は水見式も済ませ、念の基礎的な部分は教え終わった段階だ。流と堅を伸ばす訓練は毎日やるように言ってるけど、裏ハンター試験で学ぶ必要のあることは学び終えたと言える。

 そんな中……

 

「仕事を紹介してほしいって?」

 

 ゴンとキルアが突然やってきたと思ったらそんなことを言い出した。

 

「突然、どうしたの?私が紹介できる(合法な)仕事って事務作業とかになるからゴンやキルアには向いてないと思うけど……」

 

「いやー、こっちもうっかりしてたんだけどさ……」

 

 ゴンの言うことをまとめると、生活費などを私に依存してる現状をよくないと思ったらしい。

 確かに、ゴンたちはこの町に来るまでの交通費でほぼ所持金を使い果たしていたため、諸々の費用は私が出していたのだけど。

 今までは修行に夢中でそのことを失念していたらしい。修行が一段落した今になってそのことに思い至ったとか。

 

「なるほど、そういう事ならちょうどいいね。二人には天空闘技場に行ってもらおうと思ってたんだ」

 

「天空闘技場?」

 

「ああ、あそこか」

 

 私の言葉にゴンは疑問符を浮かべ、キルアは得心したような顔を見せた。

 

「あ、キルアは知ってるんだ」

 

「ああ、6歳の頃に無一文で放り込まれて200階まで上がって来いって言われた」

 

「それはまた」

 

 キルアの言葉に苦笑する。普通なら6歳の子供を放り込むような場所ではないんだけどね。

 

「それってどんな場所なの?」

 

「1日平均4000人の腕自慢が世界中から集まる格闘技場だよ。勝てば、ファイトマネーももらえるからちょうどいいでしょ?」

 

「確かに、稼ぐにはちょうどいい場所だな。念の修行にはあんまならなそうだけど」

 

 まあ、確かに念の覚えてない頃のキルアが200階まで行けたんだからそういう考えになるだろう。けど、そこも考えている。

 

「キルア、200階まで行ったって言うけど200階に挑んではいないでしょ?」

 

「え?ああ、親父から200階には挑むなって言われてたし」

 

「だろうね。あそこの200階闘士は全員念使いなんだよ」

 

「え、マジで!?」

 

「うん、連中は念能力者じゃない奴が200階に来ると、念による攻撃を行う。私が前に言った、オーラを送って精孔をこじあけるってやり方を乱暴に行うわけ。別に死んでも構わないってくらいのつもりで。

 それに耐えて、念に目覚めたら200階の住人になるわけだけど、その洗礼で体を欠損するなどの重傷を負ったやつも多くてね。さらに、ちゃんとした師匠もいないわけだから念能力者としてのレベルは、はっきり言って劣悪。まあ、だからこそ念を覚えて間もない二人の()()()()には丁度いい相手だよ。

 それに、天空闘技場のフロアマスターの一人が私の師匠でね。二人の修行を見てもらえるように話しておくから、無駄な時間にはならないと思う」

 

 それを聞いて、二人とも乗り気になっているようだ。

 

「天空闘技場までのチケットは用意してあげるから、生活費と合わせて返したいときに返してくれればいいよ。あと、ゴンはファイトマネーが出たら携帯買うこと!」

 

 

 

 

 

 そんな会話をした翌日、二人は飛行船に乗って天空闘技場に向かっていった。

 

「さみしくなりますね」

 

「あら、意外と感傷的じゃない。二人のこと気に入ったみたいね」

 

「ええ、良い子たちでしたし」

 

 まあ、深く付き合わないとそう思うよね。実際は、かなり癖の強い二人なんだけど。

 

「まあ、ちょうどいいタイミングだったよ。私たちもそろそろヨークシンに向けた準備しないとだし」

 

「ですね」

 

 

 

 ◆   ◇   ◆   ◇   ◆

 

 

 

「おー、なつかしー!全然、変わってねーな」

 

「キルアは来たことあるんだったね」

 

「ああ、そん時は200階まで上がるのに2年かかったっけ」

 

 つっても、昔の話だ。今なら念なしでもストレートで200階まで行けんだろ。本番はそこからだからな。

 

「あなたたちがゴン君にキルア君?」

 

 そんな風に懐かしんでいると、声をかけられた。

 独特な服装をした赤い長髪の女。自然体で纏をしていて、立ち振る舞いから察せられる実力も高い。

 

「そうだけど……あんたは?」

 

 少しだけ警戒しながら返事をする。予想が正しければ、敵じゃあないはずだ。

 

「一輪からあなたたちへの修行を頼まれた(ホン) 美鈴(メイリン)よ。よろしく」

 

「あ!イチリンが言ってた師匠さん?よろしくお願いします!」

 

「よろしく」

 

 やっぱり、そうだったか。

 

「さて、さっそくだけど登録の前に今日は試合観戦だ。200階クラスで行われる試合を見に行こう。チケットは取ってある」

 

「200階クラス……ってことは、念能力者同士の試合か」

 

 まさか、新人への洗礼をわざわざ見学させるつもりもないだろうし。

 

「そう、まあ200階闘士って言っても大半は見るべきところのない雑魚ばっかなんだけどね。今日の試合は君たちにとって見る価値があるだろう」

 

 そう言って、手渡されたチケットを見る。チケットに書かれていた名前は……

 

『ヒソカVSカストロ』

 

「「ヒソカ!?」」

 

 思わぬ名を目にして思わずゴンと一緒に叫んでしまった。

 

「おや、知り合い?」

 

「まあ……知り合いだな。同じハンター試験を受けてただけの関係だけど」

 

 間違っても友人とかではない。

 

「なら知っているかもしれないけど、戦闘者としては一流だから試合を見て損はないわ。付いてきて」

 

 そう言って、歩き出した美鈴についていく。そのまま、エレベーターに乗って200階へ。

 

「相手のカストロって言うのはどんな人なの?」

 

 エレベーターの中でゴンがそんな質問を投げた。ヒソカに気を取られてたが、確かに対戦相手も気になるな。

 

「カストロは念を覚えないまま200階まで上がってきてね。ヒソカが洗礼したんだよ。多分、重傷にならないように手加減して」

 

「ヒソカが?」

 

 間違いなく、良心とかではないだろう。ヒソカがわざわざそんなことするってことは強くなりそうな奴が潰れるのをもったいないって感じたか。

 

「ってことは、そいつも結構できるんだな?」

 

()()()()()()()一流だけどね」

 

 ? なんか歯切れが悪い言い方だな。

 

「まあ、試合を見ればわかるよ。あ、試合の間は凝をしておくこと」

 

 

 

 ◆   ◇   ◆   ◇   ◆

 

 

 

 そして、試合を見終わったわけだが……武術家としては一流、の意味が分かった。

 

「さて、試合を見にきた理由がこれ。カストロをいわゆる悪い例として見せておきたかった」

 

 悪い例……言っちゃ悪いが確かにな。念を使いこなせておらず、結局は終始ヒソカに弄ばれていた。だが……

 

「と言っても、今の君たちじゃまだ何がどう悪いのか、が良くわからないと思う。だから、今日はその辺の勉強をしようか」

 

 それは、ありがたい話だ。失敗したらどうなるのかを見せてもらった今、それを知ることは必須と言える。

 

 

 

 

 

「まず、カストロの最大の失敗は自分の系統を知らずに能力を作ってしまったことだろうね」

 

 ゴンとキルアはフロアマスターである美鈴の部屋に通され、豪華な室内で講義が始まった。

 

「調べたわけじゃないけど、剛拳の類である虎咬拳をあそこまで修めたカストロの適性は強化系であった可能性が高い。しかし、分身(ダブル)と言う能力は具現化系と操作系に重きを置いている。どっちも、強化系との相性は悪い」

 

「確か……念獣って分類される能力だった、よな?」

 

「でも、イチリンも強化系だけど念獣を生み出す能力じゃなかった?」

 

「ああ、雲山のことか。知っているなら話が早い。それとの違いを説明していこう」

 

(しかし、自分の能力まで教えているとは思ったより入れ込んでるな。あいつ、ショタコンだったのか?)

 

 一輪が聞いたら拳が飛んできそう(物理)なことを考えつつ講義は続く。

 

「分身と雲山の違いは能力の主眼をどこにおいているかって点だね。

 カストロの分身は自身と見分けのつかないくらいそっくりな念獣を作り、その念獣に格闘技のような複雑な動きをさせる、と言うのが主眼の能力。

 そこまで精巧な外見の念獣を作るのは具現化系の能力、そして念獣に複雑な動きをさせるのは操作系の能力。つまり、分身は具現化系と操作系を主眼に置いた能力と言うわけ。

 あと、これは念獣自体に共通したものだけど、オーラを自分から離して動かすものだから放出系の能力も使う」

 

「対して、雲山は雲の性質を持たせた念獣を強化してぶん殴るのが主眼の能力。

 オーラを雲の性質にするのは変化系、念獣を強化するのは言うまでもなく強化系の能力。

 雲山は具現化するにあたって何ら特別な能力は付与してないし、動きに関しても一輪本人の動きをトレースさせる制約で具現化系と操作系へのリソースを最小限にしているの」

 

「「制約?」」

 

 知らない単語に二人から疑問の声が飛ぶ。

 

「ああ、そこは知らなかったか。じゃあ、ついでに『制約と誓約』についても説明しておこう。

 制約って言うのは自分の念能力にルールを設けること。発動するための手順やら何らかの縛りやら。基本的に、その条件が厳しいほど能力は強くなる。

 誓約はリスクを背負うことで、能力を大きく強化すること。制約を破った時に罰則を設定したり、あるいはそれとは無関係に何らかのリスクを負うことで能力が強化されることもある」

 

「なるほど、その制約ってやつで操作系の能力に割くリソースを減らしてるのか」

 

「そういうこと。ただ、あまり厳しいルールを設けると柔軟性がなくなり対応力が落ちることが多いし、誓約に関してはそれ自体がリスクだ。だから、普通ならあまり重くない制約だけを使って能力を強化することが多い」

 

 『制約と誓約』に関して一通り説明し終えたところで話を戻す。

 

「で、分身と雲山の違いで分かるように重要なのは自分の系統を主眼に置いた能力にすること。他の系統の要素を混ぜるのは全然いいけど、能力の主眼に置くのは自分の系統。カストロはそれができていなかった」

 

「確か、能力は作り直すことはできないんだっけ?」

 

「そう。一度作った能力は消すことはできないし、能力に使えるリソースに関しても限りがある。カストロは自分の系統に合わない能力にほぼすべてのリソースを割いてしまいこれ以上の伸び代がなくなってしまった。ヒソカに見切られた最大の要因はそこだろうね」

 

「なるほど、イチリンが能力作りは慎重にって口を酸っぱくして言うわけだ」

 

 キルアもゴンも、あれほどにくどくど言われてた理由に納得する。失敗してしまったら取り返しはつかないのだ。

 

「そういうこと。そして、能力は本人の個性や感性が重要になる。そして、人生における経験のすべてが能力を形作る助けになる。それが、子供の念能力者に実力者がほとんどいない理由なのよ」

 

 子供は大人に比べて人生経験そのものが少ない。故に能力の底も浅くなりやすいのだ。

 

「あなたたちがやるべきは能力を作る前に人生経験を積むこと。そして、そのために能力の開発をせずに戦う方法を私が教えるわ」

 

「「……押忍!お願いします!」」




 前回から気づいてると思いますが、一輪の他にも東方キャラをちょくちょく出す予定です。とは言え、あくまで同じ容姿と名前の人間ですが。
 なので、椛にも犬耳やしっぽはありません。
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