狩人世界の入道使い   作:N2

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3.詐欺師の塒

 走り出して大体6時間くらいかな……私は前の方に来ちゃったから分からないけど何人くらい脱落してるのやら。

 

「見ろよ」

 

「おいおい」

 

「マジかこりゃ」

 

 受験者たちがざわめく。その先に見えたのは長い階段。

 

「エレベーターで地下100階まで降りて来たんだから地上に出るにはその分登る必要があるって事か」

 

 私の呟きに周囲の何人かの顔が歪む。100階分駆け登るのを想像して辟易してるんだろう。

 気持ちは分かる。私だって体力的には余裕はあるけど、めんどくさいものはめんどくさい。

 

「さて、ちょっとペースを上げますよ」

 

 どうやら、ここで一気に振り落とすつもりらしい。

 

「イチリン!」

 

「おー、ゴンにキルア」

 

 しばらくサトツさんの後ろで走っていると、二人がやってきた。

 ゴンはまだ余裕を持っているが、流石にすこし息切れしてるな。

 対して、キルアは全く以て平常だ。多分、心拍数すら上がってないんじゃないだろうか。

 ふむ、ゴンも大概だけどキルアは明らかに特殊な訓練を受けてる類だな。

 もっとも、念に関しては恐らく全く知らないようだから戦闘になっても脅威にはならないけど。

 

 その後、ゴンやキルアがハンター試験を受けた理由なんかを聞きながら走っていると、出口が見えて来た。

 ざっと見まわしたところ、クラピカとレオリオも何とか残っているようだ。レオリオはかなりきつそうだけど。

 さて、トンネルを抜けた先は……湿地帯でした。うーわ、テンション下がるわ。蛭とかいそう。

 

「ヌメーレ湿原、通称詐欺師の塒。二次試験会場はここを通って行かねばなりません。この湿原にしかいない珍奇な動物達。その多くが人間をも欺いて食料にしようとする狡猾で貪欲な生き物です。十分注意して付いてきてください。騙されると……死にますよ」

 

 サトツがそう言い終わると同時に背後の出口が閉じて行った。

 恐らく、温情だろう。ここまでついて来れないようならこの先に行っても死ぬだけだ、と。

 サトツさん曰く、ここの生き物はありとあらゆる方法で獲物を欺き捕食しようとする生態とのこと。

 

「だまされることのないよう注意深く、しっかりと私のあとをついて来て下さい」

 

 そう締めて、さあ再開かと思いきや待ったがかかる。

 

「ウソだ!!そいつはウソをついている!!」

 

 そうして出てきたのは傷だらけの人間……に見える存在だった。

 俺が本当の試験官だとわめいているけど……はあ、茶番にもほどがある。

 めんどくさいし、(ぜつ)の威圧で十分でしょ……失せろ

 その途端、わめいていた男と死んだふりしていた猿は一目散に逃げだした。流石野生の生き物、生き延びる術は分かっているようだ。

 

「な、い、イチリン今何を……?」

 

 レオリオがこちらを見ながら聞いて来た。

 キルアは少し怯えが見える目でこっちを見ている。

 

「なに、少し脅かしてやっただけだよ」

 

「あいつが偽物だってわかってたのか?」

 

「はあ?それこそ何をって話でしょ。ハンター協会の管理してる会場で野生の猿が試験官を騙し討ちできるわけないでしょうに。騙された奴なんていないでしょ」

 

 と、レオリオと294番が誤魔化すような笑みを浮かべている。ておい、あれに騙されかけたのか。

 

「それではまいりましょうか。二次試験会場へ」

 

 サトツさんの言葉と共にまたマラソンのスタートだ。

 そして、しばらく走っていると。

 

「! 霧か」

 

霧が出て来たな……。

 

「ゴン、もっと前に行こう」

 

「うん、試験官を見失うといけないもんね」

 

「そんなことよりヒソカから離れた方がいい」

 

「?」

 

「あー、やりそうな感じするね」

 

「え?どういうこと?」

 

「あいつ、殺しをしたくてウズウズしてるから。霧に乗じてかなり殺るぜ」

 

 だろうね。単なる快楽殺人者なら偶にいるけど、あいつは実力が高すぎるのが厄介だ。

 

「レオリオー!!クラピカー!!キルアが前に来た方がいいってさー!!」

 

「どアホー!いけるならとっくにいっとるわい!!」

 

「そこを何とかがんばってきなよー!」

 

「ムリだっちゅーの!」

 

「緊張感のない奴らだな、もー」

 

「確かに」

 

 思わず苦笑する。

 そうしてしばらくはしってるいると、離れた場所から悲鳴が聞こえて来た。

 

「なんであんな離れた方向から悲鳴が!?」

 

「だまされたんだろ」

 

「まあ、この霧じゃあねえ」

 

 なにせ目の前の相手すらかすんでるレベルだ。

 どうやら、後方は途中から別の方向に誘導されパニックになっているようだ。

 

「レオリオ!!」

 

「ゴン!!」

 

 そんな中、レオリオの悲鳴を聞いてゴンが駆けだしてしまった。

 

「行っちゃったな。あなたはどうする?」

 

「……行かねーよ、ここで脱落する気もないし。あんたは?」

 

「私も同じかな。あの三人とも試験会場前で会っただけだしね」

 

「ま、ふつーそうだよな。ゴンがおかしいんだ」

 

「まあ、あの三人は会場まで一緒に来てたからもしかしたら昔からの友人なのかもしれないけどね」

 

「ふーん……あんたは友人だったら助けに行くのか?」

 

「ん?まあそうだね。友人だったら行くかな。私にとってハンターは、なれたら便利なだけでなれなくても困るわけじゃないし」

 

「へー……そっか」

 

 ふーん、口とは裏腹にちょっと迷ってる感じ?

 まあ、だからと言って背中を押す気もないけど。念を習得してないこの子じゃヒソカには勝てないだろうし。

 そうして、しばらく走っているとやがて霧も晴れて来て、スピードも落ちて来た。

やがて止まった場所には一つの建物。

 

「みなさん、お疲れ様です。無事、湿原を抜けました。ここ、ビスカ森林公園が二次試験会場となります」

 

 どうやら一次試験はこれで終わりらしい。

 やれやれ、長時間走ってるだけで気疲れしたよ。

 

「あ、キルア。ゴンとクラピカが来たよ」

 

「え、マジ?」

 

 視線の先にはレオリオに駆け寄るゴンとクラピカの姿が。

 

「やあ、よく戻ってこられたね」

 

「あ、イチリンにキルア!」

 

「どんなマジック使ったんだ?絶対、もう戻ってこれないと思ったぜ」

 

 ま、ひとまずは無事でよかったってところかな?




雲山が能力として強いんじゃないかと書き始めた小説なのに流れ的に念能力が出るまでは雲山が使えないw
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