狩人世界の入道使い   作:N2

5 / 19
5.試練官

「おっ、ドアが出て来たぜ」

 

「なるほど、5人全員がタイマーをつけると先に進める仕掛けか」

 

「じゃあ、行きましょうか」

 

 5人揃って扉に近づく。とそこには何か書かれていた。

 

【このドアを 〇→開ける ×→開けない】

 

「もうここから多数決か。こんなもん答えは決まってるのにな」

 

 と、ボタンを押すレオリオに続いて私もボタンを押す。当然〇。

 問題なく扉は開き、投票の内訳も表示された。今回は〇が5票。

 そのまま、部屋を出るとさっそく次の選択肢が。

 

【どっちに行く? 〇→右 ×→左】

 

「扉を出てすぐにまた設問かよ」

 

 このペースで設問があるとなると、少し面倒な事になるかもね。

 開いた道は右。なのだが……。

 

「なんでだよ、フツーこういう時は左だろ?」

 

 レオリオが多数決の結果に文句をつけ始めた。

 実際、後から結果が覆る事はないんだし文句を言うだけ時間の無駄でしかないんだけどね……。

 結局、クラピカとキルアに論破されてたけど明らかに納得はしてなかった。

 うーん、思った通り面倒な試験になりそうだ。

 そして、右の道を進んだ先には底の見えない深い吹き抜けの広い部屋。中央にあるのは闘技場かな?

 対岸にはフードを被った人間が5人か……。

 

「我々は審査委員会に雇われた「試練官」である!!」

 

 そのうちの1人がフードを脱ぎ声を張り上げた。

 

「お前たちはここで我々5人と戦わなければならない!勝負は一対一で行い各自一度だけしか戦えない!順番は自由に決めて結構!お前たちは多数決、すなわち3勝以上すればここを通過することができる!!」

 

 試練官ね。しかし、あのフードと手錠からすると……。

 

「ルールは単純明快!戦い方は自由!引き分けはなし!片方が事前に定めた敗北条件を満たす事によってもう片方の勝利とする!」

 

 なんでもあり、か。狙いは概ね読めたかな。

 

「それではこの勝負を受けるか否か!受けるなら〇受けぬなら×を押されよ!!」

 

「何ィ~、また採決かよ!?時間の無駄だぜ、合格するにはどうせこの勝負受けなきゃならねーんだからよ」

 

 まあ同意見だけど、正にその通り時間を無駄にさせに来てるんだろうね。

 

「どうだ、満場一致だぜ!!」

 

「よかろう、こちらの一番手は俺だ!さぁそちらも選ばれよ!」

 

「私が行く」

 

「イチリン?」

 

 他が声を上げる前に立候補する。ここは押し切らせてもらおう。

 

「反論がないなら決まりだ……こちらの一番手は決まった!」

 

「では、戦うもののみ渡られよ!」

 

 その言葉と共に真ん中の闘技場に続く橋が足元から伸びて来た。

 他の4人が何か言う前にその橋を渡る。

 

「さて、勝負の方法を決めようか。俺はデスマッチを提案する!一方が負けを認めるか、あるいは死ぬかするまで戦う!」

 

「ああ、文句はない。その勝負受けよう」

 

(くっくっく、女、しかも中々の上玉だ。運がいいぜ)

 

「その覚悟見事!それでは勝負!」

 

 その言葉とともにこちらに突っ込んできた。

 狙いは……やはり、喉か。

 だが、相手は鍛えてはいるけどあくまで常人の範囲内だ。なんなく対処できる。

 纏をしてる私なら喉を突かれても潰されはしないけど、それでも喉を強く押されると苦しいのは違いないので避けようか。

 

「なっ!?」

 

 相手はこちらに反応出来てない。まあ、ハンター未満を相手にする試練官ならこんなもんか。

 そのまま組み付き、ぶん投げる。

 

「うおおっ!?」

 

 そして、仰向けに寝転んだ相手の胸部を踏みつけ動きを封じる。これで終わり、と。

 

「さて、さっさと降参してくれた方が面倒がないのだけれど」

 

「ぐ、ぬぅ!」

 

 私の足を掴んでどうにかどけようとしてるね。だが、身体能力が違う。

 

「知ってる?人間のあばら骨って24本あるんだけど……何本残してほしい?」

 

 踏みつける足に力を込めると、みしみしと骨の軋む音が聞こえて来た。

 

「ま、まいった!俺の負けだ!」

 

「これで一勝、と」

 

 勝負が終わったので橋を渡り元の場所に戻る。

 

「よし、よくやったぜイチリン!あと二勝だ!」

 

「しかし、何か最初に戦いたい理由があったのか?」

 

 まあ、そこは疑問に思われるか。割と強引に押し切ったし。

 

「まあ、試練官たちの正体にちょっと心当たりがね。それを確かめたかった」

 

「正体、とは?」

 

「彼ら、服役中の受刑者だよ。おそらく、私たちを足止めすれば恩赦が得られるんだろうね」

 

「なんだって!?」

 

「今の男、最初に私の喉を潰しに来た。降参できないようにしてから殺さずにいる事で時間いっぱいまで足止めしようって魂胆」

 

「なるほど、それが分かってたから最初に行ったのか。相手の目的が分からないまま対処が遅れたらそのまま時間切れを狙われる可能性が高かったから」

 

「へぇ、いい度胸してんな。喉潰されてたら後は時間切れまで何もされないなんてまずないことくらい分かってただろうに」

 

「え、それって?」

 

「まあ、相手は犯罪者だからね……私は女だから何されるかは分かりやすいかな。男でも死なない程度に拷問されたりするんじゃない?」

 

「ま、そーなるだろうな。それで次は誰が行く?」

 

「俺が行くよ!」

 

 元気が良いね、ゴン。しかし、今の話聞いて全くビビらないとかこの子も多少ネジが外れてるね。

 その後、闘技場に渡ったゴンだが相手は肉体派ではないらしく、戦いは苦手とのこと。

 対して、考えるのとか得意じゃないと言うゴンに対しゲームを考えたと言う試練官。

 

「同時にローソクに火をともし、先に消えた方の負け。どう?」

 

「うん!分かりやすい。その勝負で良いよ!」

 

「OK。それじゃ、どっちのローソクがいいか決めてくれ」

 

 そう言って差し出されたのは長いローソクと短いローソク。

 レオリオとクラピカはどちらかが罠に違いないと言ってるけど、私なら長いローソクに短いローソクをそれぞれ仕掛けありとなしで合計4本用意する。

 ただ、相手は口が上手そうだからなあ。変にゴンにアドバイスすると言いくるめで逆に時間使わされそうな感じが……。

 

「ゴン!お前が決めるんだ」

 

 私が迷ってたらクラピカが決断をゴンに委ねてしまった。

 まあ、仮に身体検査して更に2本のローソクが見つかったとしてだからなんだってなる可能性が高いのよね。ローソクに仕掛けをしちゃいけないってルールはなかったし。

 そして、ゴンは長いローソクを選び同時に火をつけたわけだけど、しばらくすると明らかに火の勢いが強くなっている。

 

「くそ!やっぱり長い方に罠が仕掛けてあったのか!」

 

 と、レオリオが焦るがゴンは逆に何かを考えているかと思えば笑みを浮かべた。

 

「火の勢いが強いって事は、ちょっとの風じゃ消えないって事だね」

 

 そう言うとローソクを地面に置き、相手のもとへダッシュ。相手の持つローソクを吹き消して勝ち。

 いやー、よかった。最終的にベストな結果になったね。

 そして、その後クラピカが三戦目に出たのだが……ちょっとトラブルが起きた。

 相手は単なるはったり屋だったのだが、なぜかクラピカが激昂してしまった。なんであんなに怒ったんだろう?

 

「ともあれ、こっちの三勝だ!さあ、通してもらうぜ!」

 

「うふふ、それはできないわね。二つの理由で」

 

「!?」

 

「他の多数決でも5人全員が意見を出すまでは結果が出なかったでしょ?途中で三勝が確定しても必ず五戦はしてもらうわ」

 

「何ィ!?」

 

「あらら、だとすると残りの二人は勝敗度外視で時間を稼ぐような勝負を仕掛けてくるだろうね」

 

「厄介だな……」

 

「くそ!ならさっさとそいつを片付けて次の奴を出しな!」

 

「それもできないわね。ここを通せない二つ目の理由。まだ決着がついてないわよ」

 

「なんだと?」

 

 試練官曰く、三戦目のルールは降参か死で決着がつくデスマッチ。降参する前に気絶した以上負けにはならない、と。

 それに加え、クラピカが相手にとどめを刺すことを拒否。レオリオとキルアが非難するも意見を変えるつもりはないようだ。

 前に思った通り、クラピカは周囲への配慮なんかより自身の美学を優先するタイプ。しかも、かなり頑迷と見た。部下には欲しくないタイプだなー。

 

「レオリオ、その辺にしておきなさい」

 

「けどよォ!」

 

「私も基本的にはレオリオとキルアの意見に賛成だけど、多分言っても無駄。大人しくあいつが起きるのを待ちましょう」

 

 とりあえず、このまま揉めさせても事態は悪化するだけだろうからレオリオを止めておく。

 さて、あとは適当に時間を潰すか。ノートパソコン持ってきといて良かった。あ、ネットもつながるじゃん。

 

 

 

◆   ◇   ◆   ◇   ◆

 

 

 

「あのさ、もしかしてあいつもう死んでるんじゃないの?」

 

 待ってるうちにキルアがふとこぼした疑問。

 三戦目の試練官は既に死んでいるんじゃないか。

 レオリオが確認させろと要求したら、相手は賭けをしようと持ち出して来た。

 こちらのタワー攻略時間と相手の刑期をチップにした賭け。それが四戦目となった。

 

「また、面倒な勝負を……」

 

「だが、受けるしかないな」

 

 いや、あなたがちゃんと勝負を決めれば受ける必要のない勝負なんだけどね。

 ともあれ、レオリオはその勝負を受け三戦目試練官の狸寝入りを看破するものの賭け自体には負けてしまう。

 

「すまねェ!博打は自信あったんだが」

 

 ……いや、ぶっちゃけレオリオの賭け方には怖さがなかった。安定思考はそもそも博打にむいてない。

 これはレオリオを相手に博打という勝負に持ち込んだ相手が上手かったと言うべきだろう。

 しかし、これで残り十時間切ったわけか。

 

「じゃ、最後は俺ね」

 

「気をつけなね。どんな勝負を持ち出してくるかも分からないし」

 

「相手はどんな奴……!!キルア、あいつとは戦うな!」

 

「いや、戦わなきゃここ通れないだろ?」

 

「だよねえ。この状況で相手が降参ありの勝負方法を持ち出すとは思えないし」

 

 そう言った私たちに、レオリオが相手の情報を語り始める。

 解体屋ジョネス。ザバン市犯罪史上最悪の連続殺人犯らしい。

 

「あんな異常殺人鬼の相手をすることはねえ。試験は今年だけじゃないんだ」

 

 レオリオはそう言って止めるが、キルアは意に介した様子もなく闘技場へ。

 死んだら負けのルールで戦うことになり、一瞬で相手の心臓を抜き取った。

 

「まあそうなるよねえ。所詮、素人しか相手にしたことしかないただの殺人鬼じゃあね」




ジョネスって実際まともな戦闘経験なんかはろくにないと思います。
元軍人か傭兵だっていうベンドットの方が強いんじゃないかな?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。