パルデア仲良しカルテット!   作:はっぽーしゅ

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SVには秘伝スパイスという食材がある。
→スパイスといえばカレーである。
→カレーといえばガラルである。
→ボタンの実家もガラルである。
→やはりそういう事か(橘さん)
というお話です。またメシの話してる…


カルテットとカレーライス!前編

 

 ある日の昼休み。ハルトたち四人組はいつもの様に学生食堂に集まり、各々好きなメニューでランチを楽しんでいた。

 

「げ。ボタンお前、またカレーかよ」

 

 少し遅れて来たボタンが手に持つカレーの皿に、うげっと顔をしかめるペパー。対するボタンは、それが何か?とでも言いたげな顔だ。

 

「なに、なんかわるい?」

「いや悪かねぇけどよ…」

「二日に一回は食べすぎだよねー」

「僕なら飽きちゃうなー」

「ふーん。ウチは飽きないけど」

 

 それだけ言って席についたボタンは、呆れた風な三人に構わず、いそいそとカレーを食べ始めた。

 彼ら四人組がよくつるむ様になってしばらく、こうして学生食堂でランチを共にする事もすっかり当たり前になったが、ボタンはネモの言葉通りほぼ二日に一度、つまり週に二、三回のペースでカレーライスを食べていた。

 

「むう…」

 

 ボタンの対面に座るペパーは、不満気な面持ちで眉を顰めている。食と健康に人一倍のこだわりを持つ彼は、友人が見せる偏食ぶりにそろそろ我慢の限界らしい。

 そんな彼の隣で野菜炒め定食をパクつきながら、ハルトは対面のネモと顔を見合わせてくすくすと笑い合った。二人はペパーが時折見せる、妙に保護者じみたお節介焼きが可笑しくて仕方ないのだ。

 

「まったく、せっかく色んなメニューがあるんだからよ、もっとバランスよく食えよな。栄養偏るだろうが、ものぐさちゃんめ」

「はいはい耳タコ耳タコ」

「真面目に聞けっての!いいかぁ?俺たちくらいの歳の時こそ毎日の食生活が…」

「ハルトたすけて、オカンがダルい」

「誰がオカンだ!?」

「だめだよボタン、ママの言うことちゃんと聞こ?」

「ママじゃねぇ!」

「ペパーがお母様ならお父様はハルトですわねー!」

「だからお母様じゃねぇ!エセお嬢様語で悪ノリすんなモノホンお嬢様!」

「あはは、まぁそうカッカしないでよ母さんや」

「そうそう、血圧上がるよオカン」

「ストレス発散にはポケモン勝負ですわお母様!」

「く、くそダメだ…こいつら全員ボケボケちゃんだ…ツッコミが俺しか居ねぇ…ッ!」

 

 雑なノリでボケ倒す三人に、ガックリと項垂れるペパー。そんなペパーの姿にひとしきり笑ってから、ネモは自分の隣に座るボタンにフォークを差し出した。

 

「はい野菜あーん」

「あー…ロールキャベツは野菜カウントでいいんか?」

「え、野菜でしょ。キャベツ巻いてるもん」

「ん、じゃあカレーも野菜か。野菜入ってるし。完全食きたなコレ」

「…なあハルト、女の子ってもっとこう、カロリーとか栄養価とか気にするもんなんじゃないのか…?コイツらコレでいいのか…?」

「んー…ふふ、二人ともホシガリスみたいでかわいいなぁ…」

「いやどんな目線の褒め言葉だそれ…」

 

 男子が女子に抱く理想を粉々に砕かれゲンナリするペパーは、自分の隣でほっこりと笑うハルトを胡乱な目で見やった。コイツは女の子をちゃんと女の子として認識しているのだろうかと。まさかホントにポケモンに見えてるんじゃなかろうかと。

 

「え、見えてないよ?」

「いや心読むな怖ぇわ」

 

 訂正、コイツ自身がポケモンちゃんかもしれない。エスパータイプの。

 

「っていうかさ」

 

 付け合わせのニンジンを口に放り込みながら、ネモが言った。

 

「確かにボタンはカレー食べすぎだけど、別に一食くらいいいんじゃない?三食カレーってワケじゃないんだし」

「それな」

「おう、じゃあ聞くけどよ」

 

 すかさず便乗するボタンに、再びペパーが噛み付いていく。

 

「昨日の晩飯は?」

「ポケピザ」

「…その前は?」

「ポケヌードル」

「……っ!!」

 

 つらっと答えるボタンに、ペパーのこめかみがピクピクと痙攣していく。

 

「じゃあその前は!?」

「え、なんだっけ」

 

 はて?とボタンが首を傾げると、

 

「満足ナゲットじゃない?ほらコレ」

 

 ハルトがスマホを取り出し、三日前にボタンから送られてきた山盛りの『満足ナゲット』の写真をボタンに見せた。

 

「あーその写真!"ヤヤコマートでセールだったから爆買いしたった"ってヤツだ!」

 

 写真を指差して可笑しそうに笑うネモ。写真には、大きな皿を6匹のブイブイたちがぐるりと囲み、ヨダレを垂らしながらおすわりしている様子が写されていた。

 

「あ、ソレか」

「あはは、僕一瞬で保存したもんコレ」

「インパクトすごいよねー」

「っていうかリーフィアも食べるんだね」

「あの子は光合成より食べる方が好きなんよ」

「へぇ〜変わった子〜」

「お前らなぁ……!」

 

 本題を忘れてキャッキャと盛り上がる三人組に、ペパーの怒りのボルテージがあがっていく!

 

「えぇい、やめろやめろ和気藹々と!おいボタンッ!この大バカちゃんが!」

「は?何急に。てか指差すなし」

 

 ビシッと差した人差し指を払いのけられた事にも構わず、ペパーは吠えた。

 

「お前の食生活はダメダメちゃん過ぎる!毎日毎日エネルギー過多なメニューばっかで、バランスのバの字もねぇじゃねぇか!」

「エネ過多はロマンだからセーフ」

「誰がポケモンカードの話した!?」

「ペパーのツッコミって気持ちいよねぇ」

「ボタン相手だとより実るよねぇ」

「うるっっさいぞチャンピオンども!ボタン、お前の偏食っぷりにはもう我慢ならねぇ!この俺がそのコレステロールに染まった性根を叩き直してやるぜ!」

「はぁ?」

「「おぉ〜」」

 

 暑苦しくヒートアップしていくペパーに、心底めんどくさそうな目を向けるボタン。ハルトとネモは完全に野次馬モードだ。

 勢いで場の流れを掴んだペパーは、瞳を轟々と燃やしながら高らかに宣言した!

 

「俺と勝負しろボタン!俺が勝ったらお前の昼飯カレーは週一に減ッ!更に晩飯には必ずサラダボウルを追加してもらうぜッ!」

「なっ…」

「「おぉ〜!」」

 

 ペパーの熱い戦線布告に、パチパチと拍手するチャンピオンコンビ。ポケモン勝負は苦手だと公言するペパーが、まさか自分から勝負を挑むとは!

 対するボタンは、ペパーの圧に一瞬だけ怯んだものの、すぐに気を取り直して肩をすくめた。

 

「はっ、ばかばかしい、なんでウチがそんな事。つかヒトのご飯にケチつけてくんのダル過ぎだから。カレーとかガラルだったらフツーだし。なんなのお前カレーアンチか?」

 

 お得意の毒舌でズバズバと斬り返していくボタン。食事のバランス云々からカレーライスそのものへと論点をズラしていく辺りがなんとも姑息である。

 そんなボタンの反撃に、ペパーは真っ向から応戦していく!

 

「お黙りッ!別にカレーに罪はねぇし俺だってカレーは大好きだ!だがお前のガッタガタな食生活を矯正するにはカレーは毒ッ!お前には好物を我慢し体調を慮る理性と良識が足りねぇ!それを俺が矯正してやるってんだよボタン!」

「で、それで勝負しろって?いやウザいウザいホント無理そーいうの。暑苦しいマッチョ遊びなら他所でやってよ、ネモとかさ」

「ちょっとー?失礼だぞー?」

 

 ぶーぶーと唇を尖らせるネモを横目に、ペパーは新たな手札を切った。

 

「へっ。いいやボタン、お前は断らねぇさ。この勝負だがな、実はお前にはメリットしかないんだぜ?」

「は?なにを…」

「まず、ひとーつ!」

 

 訝しむボタンに構わず、ピンッと人差し指を立てるペパー。

 

「もし俺が負けたら!お前のかわいいちゃんなブイブイたちに毎日!栄養満点の特製ポケモンフードを手作りしてやろう!」

「へ?お、おう…それはまぁ、たすかる」

「そして、ふたーつ!」

 

 ビシッと中指も立ててVサインを作ったペパーは、そこで誰も予想出来ないまさかの一言を言い放った。

 

「この勝負…ポケモン勝負ではないッ!!」

「な」

「へ」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!?」

「いやうっせぇな生徒会長!?」

 

 

 ……つづく!?

 

 




なんとなくガラル=カレーのイメージあるけどゲームの序盤でソニアが『最近流行りのカレーづくり』みたいな事言ってたから別に伝統とかでは無いのかもしれない。
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