第2話:やり遂げるまで③
× × ×
舞からの連絡は店で使う調味料が切れそうなので帰るついでに買って来る様にとの内容だ。
「・・・たく、舞の奴コキ使いやがって」
けど、舞には色々世話になってるからこれは諦めるしかないか。
「よし、屋上に行くか」
再び足を進めると、どこからかピアノの音が聞こえ足を止めた。
普通の曲だったらそのままスルーするのだけど
「あれ、この曲って確か・・・・・」
気になって曲が聞こえる方へ行くと辿り着いた先は
「ここは・・・音楽室か」
ドアに付いているガラスから音楽室を覗くと一人の女の子がピアノを弾いていた。
それにさっきは遠かったから聴こえなかったが近くで聴くと女の子も歌っている。しかも上手い。
そして曲が終わり、俺は無意識に拍手をしていた。
女の子は拍手に気付きこっちを振り向いた。
さっきはピアノで演奏者の顔は見ていなかったが、よく見ると可愛い顔をしていた。
身に着けているリボンの色からすると1年生だろう、色は青だ(穂乃果たちから教えてもらった)。だけど1年生とは思えないクールな雰囲気を持っている。
しかし、気のせいだろうか。何だか驚き方が尋常ではないような気がする。
何故に?
取合えず音楽室に入ってみることにした。
「あのー、どうかしたの?」
声をかけると女の子は先ほどまでピアノの側にいたのに一瞬に教室の端に移動していた。
「えっと、もしかして俺に驚いてる?」
「あ、当たり前でしょ!!何で男がいるのよ!!!」
「まさか俺を不審者だと思われてる?」
「当然でしょ!」
女の子の右手にはケータイを構えていた。ケータイのディスプレイには『1 1 0』と書かれていた。
(アレ?110ってどこの番号だっけ?消防?救急?警察?・・・・・・あ、警察だ・・・・・って)
「またまてまて、俺は不審者じゃない!!」
「不審者はみんなそう言うのよ!」
「そうかもしれないけど、でも俺は不審者じゃない!」
俺は入室許可書を先生に渡した時にもらったネームホルダーを見せた。
それを見せても警戒心を消すことなく俺を睨みつけていた。
「そ、そんなので信じるわけないでしょ!」
「あぁーもう!!とにかく俺は不審者じゃないんだよ、信じてくれ!!!」
「・・・じゃあ、どうして貴方はこんなところに来たの?」
「あ、あぁそうそう。さっき君が弾いていた曲って穂乃果たちが新入生歓迎会でする曲だろ?」
「そ、そうだけど」
「やっぱり!あいつらがいつも練習で使ってるから直ぐ分かったぜ」
「・・・どうして不審者の貴方が知ってるの」
「あぁ、それは俺があいつらのダンスコーチしてるから・・・って、だから不審者じゃねぇって言ってるだろ!」
「・・・まあ、話は大体わかったわ。」
「よ、良かった~。今度こそ警察沙汰になるんじゃないって冷や冷やしたよ」
「それじゃ、私は帰るから貴方も早く屋上に行くことね」
「わかったよ・・・・・あ、ちょっと待って!!」
「な、なによ!!」
俺は彼女と会ってからずっと考えていたことを口にした。
「あのさ、いきなりなんだけどアイドルやってみない?」
「・・・・・何それ、意味わからない」
・・・・・拒否られた、速攻で。
女の子は速足で扉のところまで行くが一瞬立ち止まった。
「・・・・・貴方も同じこと言うのね」
俺に聞こえるか聞こえないかわからないくらいの声で呟き再び速足で音楽室を出た。
「貴方も・・・ってどう言うことだ?」
少し気になるけど、とりあえず俺も音楽室を後にした。
今月で鎧武も終わりですね。
寂しいです。
そして、やっと真姫ちゃん登場です。
これからは徐々に登場人物を出していきます。