場所はホワイトベースのブリーフィングルーム。
ルナツーを出港してからおよそ3時間あまりの間、この部屋では激論が繰り広げられていた。
先のルナツーでの防衛戦の反省会である。
議題は主にモビルスーツの新装備運用検討や今後の整備状況についてである。
まず前提として、ルナツー防衛戦でのホワイトベースが受けた人的物的損害は非常に大きなものであったことを知らねばならない。
我々が受けた大まかな被害及び解決すべき課題は以下のとおりである。
①改良型ガンキャノン2機が大破。戦力の大幅低下
②整備兵22名殉職。これによる人員不足と整備速度の悪化
③ビームライフルをはじめとしたガンダムの装備強奪。対抗策の考案
④デュラハンの新装備インコムの改良。実用に足るAIの実装
大きく4つの議題について、メカニックからはテム博士とアムロ少女、パイロットからは俺ことバルメアとヤザン曹長とリュウが出席していた。
まず目下早急に解決すべき課題であるメカニック不足については、アムロ少女からの提案により解決策が見出された。
「さっきの説明の通りになりますが、ルナツーから譲り受けた資源をGベースで加工。整備用ロボットを生産します。コアユニットはこのハロを参考にして、拡張型の整備ユニットに合体させる事でメカニック一人分の働きができるようになる見通しです」
アムロ少女の澱みない説明に、パイロットである俺たちはただ驚くばかりである。え、そんなことできるの?
俺の知識の中でガンダムOOのハロの姿が思い起こされた。実現が成れば人手不足という問題は一気に解決するだろう。
「幸いガンキャノンの学習型コンピュータがシモンズさんたちの整備方法を記憶していましたから、それをハロたちにインストールして、私のハロが記録した実際の整備作業の映像と照合させれば可能です」
新しい作業についてはハロを同伴させたメカニックが実演することで学習させつつ、各個体の同期を行えばそれで済むらしい。なにそれタチコマかなにかかな?
そんな複雑な作業ができるならモビルスーツパイロットだって務まるんじゃないの?
「無論、学習すればいずれは可能となる。バルメアノートにあったモビルドールシステムについても、実用化の目処が立っている。肝心の機体が足りないがね。目下のところ、これを流用してインコムの操作役をハロに任せる案を考えている。いずれは機体の操作もある程度代行できるようになるだろう」
テム博士の説明を聞いて、ヤザンが眉を顰めた。
「人間が不要になる戦場が来るってことか?」
「私は自身の技術に自信を持っているが、それはないだろうと思う」
「それは人が機械より優れているという意味か?」
ヤザンの疑問にテム博士は首を振って否定した。そうではないと。
技術を誰よりも愛し信頼する博士の考えは興味深い。ブリーフィングルームの耳目が自然博士に集まる。
「機械は融通が利かないからだよ。そして悩まない。その点で人間に勝ることはない」
「……意外に現実的な答えだな。学習とやらを重ねれば融通や悩みも学べるのではないのか?」
これまた意外にも理知的な意見を出したヤザン(彼は戦闘狂ではあるが馬鹿ではない)に対し、テム博士は眼鏡をキラリと光らせて答えた。
「そうまで進化した機械とは、最早人間と呼んで差し支えないのではないかな?」
ねぇこれ、一年戦争時点でしていい会話のレベルじゃないよォ……。
バルメアノート、燃やした方がいいかもしれん……。
歴史の破壊が止まらない!加速する!
テム博士が生きている事でガンダムの歴史こわれちゃーう!
後半脂汗が止まらない会議となってしまった。
俺は悪くないよ。今を全力で生きている。ただそれだけ(現実逃避)
@デデデン デデデデン シャーゥ!@
「で?結局使える機体はアンタのデュラハンと俺の初期型、予備機の改良型の3機だろう?」
「稼働機以外の予備機がなくなるのはちと不安が大きいな」
「破損すりゃあパーツが足りんからな。ルナツーからガンキャノンの予備パーツは?」
「無理。あちらさんも3機失って余裕ないってさ」
万年籠っている臆病者どもめ。ヤザンが悪態をつく。自分の古巣にえらい辛辣だね、君。
まあモビルスーツ10機もあって、ジオンの地球降下作戦の妨害に1機も出撃させてないのはどうかと思うけどねほんと。
開戦直後の大敗がよほど宇宙軍を臆病にさせていると見える。モビルスーツは持ってて嬉しいコレクションじゃないんだよなぁ。
「俺の初期型はとりあえず機動力さえ上げてくれればいい。ビームライフルとやら、直撃すれば改良型の装甲だって保たんだろう。動き回るしか対策はあるまいよ」
ヤザンの発言には一理ある。現状モビルスーツの携行兵器としてビームライフルは最強だ。最強故にモビルスーツの装甲で受けるのはほぼ不可能に近い。
これは時代が降っても同じことだ。撃たれてもそもそも当たらないように高機動になるか、アイフィールドやビームシールドを搭載する事でモビルスーツはビームライフルという火力に対抗してきたのだ。
小回りのきくモビルスーツに戦艦の主砲並みの火力を持たせるとどうなるか。
原作のガンダムが多大な戦果を挙げている事を考えれば、結果は一目瞭然だろう。効果的すぎるのだ。ザクに対する完全なカウンターメジャー、いや圧倒する存在としてテム博士が開発しただけはある。
んで、それが今はジオン側にあるわけ。
絶望感っべーわ……。
このクソ泥棒野郎がよ〜!
地球降下の身動きできない状況でホワイトベース狙撃されたらそれでおしまいなんだよなぁ。
かといってビームライフル防げる手段なんてないしな〜。困ったなぁ。
「ここにいたかバルメア少尉。……何を唸ってるんだ君は」
「どうもテム博士。いや〜対ビームライフルを考えてたんですが、どうにもいい案が浮かばなくって」
「ふむ。君のノートにある技術を再現するにも時間も資源も足りないからな。というわけで、目下予想される地球降下時の襲撃に対する装備案を考えてきた。これを見てくれたまえ」
博士が見せてくれたタブレットには、2枚ずつ重ねたシールドを両手とサブアームに計8枚装備したデュラハンの姿が映っていた。
「……重量過多では?」
「使い捨てのアポジモーター増設ユニットを両脚部と両肩に装備する。機動性は1割減程度だよ。それにハロのサポートもある。インコムにはシールドになってもらえばいいのだ」
「つまり物理的に盾になれということですか!?ビームライフルの射線を読んで!?」
「なに、君ならできるだろう?できなければ我々は死ぬだけだ。ははは!」
高らかに笑う博士にドン引きである。ある意味覚悟決まりすぎだろ……。
苦笑いをしているヤザンの姿が印象的だった。
地球降下ポイントまであと2時間。
シャアの襲撃を艦内の誰もが確信する中、緊張が極限まで高まりつつあった。
俺たちは無事に地球に降りられるのだろうか……。
ガン盾戦法はどこまで通用するのか。ガード強度とカット率あげなきゃ……。
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