1670032989   作:amerida

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第1話

恋をして、外に出た。

 町に光が射す頃、外で歌うようになった。

 

 長い長い夜の向こうに見つけた光を追いかけて、転げ落ちて、

 まともなルートを踏み外した果てに、本当のあたたかい光を見つけた。

 

 だから、歌う。 でもなにを?

 

 それはまだ、見つからないけれど。

りっちゃんからの着信に気づいたのは夜中の十二時ごろで、

 シフトが二時間ずれこんでくたくただった私は着信ランプをベッドにぶん投げて、

 そのまんま床に広がる機材のそばで服も着替えず寝入って、見たら明け方三時過ぎ。

 メール来てた。開く。真っ暗な部屋に慣れた目では画面の文字がまぶしい。

 

 りっちゃんたち、そろそろN女で文化祭らしい。

 唯も来ないか? って無邪気に誘う文面と、添付ファイルに映り込む三人の笑顔。

 ドラマーはきらきらと、ベースはくすくすと、キーボードはぽかぽかした微笑みを浮かべて。

 

 私も大学進学を選んだら、この写真の中で笑っていたのかも。

 画面の向こうの三人につられて思わずこっちまで口元がゆるみそうで、でも急な光はまぶしすぎて、

 携帯を閉じたらまた広がる暗闇が、やっぱりうんざりするほど居心地よかった。

 

「曲、作んなきゃなあ……」

 

 音にした自分の声が、「部屋片づけなきゃなあ」とか「仕事探さなきゃなあ」みたいに聞こえて、

 たまらなくなってぷふーって吹き出してしまう。

 ミュージシャンってもっとこう、崇高なもんなんじゃないの? ま、私には無理かな。あはは。

恋をして、外に出た。

 町に光が射す頃、外で歌うようになった。

 

 長い長い夜の向こうに見つけた光を追いかけて、転げ落ちて、

 まともなルートを踏み外した果てに、本当のあたたかい光を見つけた。

 

 だから、歌う。 でもなにを?

 

 それはまだ、見つからないけれど。

りっちゃんからの着信に気づいたのは夜中の十二時ごろで、

 シフトが二時間ずれこんでくたくただった私は着信ランプをベッドにぶん投げて、

 そのまんま床に広がる機材のそばで服も着替えず寝入って、見たら明け方三時過ぎ。

 メール来てた。開く。真っ暗な部屋に慣れた目では画面の文字がまぶしい。

 

 りっちゃんたち、そろそろN女で文化祭らしい。

 唯も来ないか? って無邪気に誘う文面と、添付ファイルに映り込む三人の笑顔。

 ドラマーはきらきらと、ベースはくすくすと、キーボードはぽかぽかした微笑みを浮かべて。

 

 私も大学進学を選んだら、この写真の中で笑っていたのかも。

 画面の向こうの三人につられて思わずこっちまで口元がゆるみそうで、でも急な光はまぶしすぎて、

 携帯を閉じたらまた広がる暗闇が、やっぱりうんざりするほど居心地よかった。

 

「曲、作んなきゃなあ……」

 

 音にした自分の声が、「部屋片づけなきゃなあ」とか「仕事探さなきゃなあ」みたいに聞こえて、

 たまらなくなってぷふーって吹き出してしまう。

 ミュージシャンってもっとこう、崇高なもんなんじゃないの? ま、私には無理かな。あはは。

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