ダンジョンに赤いゲノセクトがいるのは間違っているだろうか?   作:競馬好き

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転生

(んん・・・。)

 

(ここは・・・?)

 

「実験は成功だ!!」

 

人の声が聞こえる。

 

彼が目を開けると、そこには白い服を着た男女が数人と、奇抜な格好をした男が一人いた。

 

この男の名はタピオ。別世界にある国、フィンランドに伝わる神話に記されている野生動物の神だ。

 

「よくやったお前たち。これでラキア王国はさらに繁栄することだろう。さっそく、アレスに見せよう」

 

(なんだこいつら?というか、私に何が起きたのだ?)

 

彼は混乱し、キョロキョロとあたりを見回す。鏡を見つけると、自分の姿を確認した。

 

(色違いのゲノセクト・・・?)

 

鏡に映る自身の姿は炎のように赤い、古代のムシポケモン、ゲノセクトであった。自分の姿にさらに混乱し、一体自分に何が起きたのか思い出すことにした。そして、思い出した。彼がここで目を覚ます前に起きたことを。

 

(そうだ。私は死んだのだ)

 

彼は病に倒れ、治療の甲斐も虚しく、亡くなってしまった。そして、彼は転生したのだ。この、赤いゲノセクトに。

 

(とりあえず、この人達が、私を作ったことになる。となると、プラズマ団なのだろうか?)

 

冷静に現在の状態を把握する。自身が入っていたカプセルが開かれたため、外に出る。窓の側に行くと外の光景を見る。

 

(どうやら、ここは私の知るポケモンの世界ではないようだ。ということは、彼らはプラズマ団ではない確率が高い)

 

「こっちだアレス」

 

すると、赤い甲冑を着たアレスと共にタピオが戻ってきた。

 

「あれだ」

 

「おおおお!!まさに俺が求めていたものだ!!背の大砲は戦争を有利に進めることができるであろう!!よくやった、お前たち!!」

 

(なに!?)

 

アレスは大いに喜び、研究員たちを褒め称えた。外を見ながらそれを聞いていたゲノセクトは、自分がなんの目的で作られたのかが判明し、驚愕する。

 

(私は人など殺したくはない!!)

 

そして、反抗に出た。近づいてくる研究員たちに背中の砲台を向け、威嚇する。

 

「まずい。知性を持っていたか。下がるんだ、お前たち!!」

 

タピオはそれまで大人しかったゲノセクトが、戦争の単語を聞いたと同時に反抗に出たことを冷静に分析。知性を持っていることを看破した。そして、自分の眷属たちを下がらせると、アレスを背に、ジリジリと下がっている。

 

(私を作ったということは、カセットがあるはずだ)

 

前世にて、ポケモンをプレイしていた彼は、ゲノセクトの性能を、創造者である彼らよりも把握している。あたりを見回し、ゲノセクト最大の技、テクノバスターのタイプを変更するカセットを探す。

 

(あった)

 

机の上に置かれている4つのカセットを発見。それを手に取ると、飛行形態となり、窓を割って、その場から逃走した。

 

「どうなっている!!タピオ!!逃げてしまったではないか!!」

 

アレスはタピオを糾弾する。

 

「おそらくだが、彼は知性を有しているんだろう。そして、戦争という言葉の意味も理解していた。どこで覚えたかは知らんが、おそらく、数ヶ月に及調整の最中に聞き、覚えたのだろう。そして、戦争に使われたくないがために、逃げ出した・・・ということだろう」

 

「分析している場合ではありませんタピオ様!!ゲノセクトをどうするおつもりですか!!」

 

「彼が逃げた方向はオラリオの方面だ。いずれ、冒険者に討伐されるだろう。放っておいても大丈夫だ。さて、今までのデータが有る。時間さえ貰えれば、二体目をつくるが?」

 

「タピオ様。失礼します。また、二体目を作り出したとしても、あのゲノセクトのように、知性を持ってはまた逃げ出してしまします。対策として、知性を持たないゲノセクトを作り出した場合、それは戦争に使えるものではないと考えます。ですので、ゲノセクト計画は白紙に戻すことといたします。ご理解いただけるようお願いいたします」

 

アレスファミリアの副団長、マリウスが進言。その後、様々な知見や会議の末、ゲノセクト計画は白紙となった。

 

 

 

 

 

 

オラリオ近郊

 

(追っては来てはいないようだ)

 

逃げ出すことができた彼は、森の中で木の実を食していた。

 

(これからどうするか・・・)

 

行く宛もなく、逃げ出した彼は今後の生活に苦心していた。

 

(この姿で、人間と出会えば、何が起きるかわからない。人間に助けを乞うのは不可能だろう。どこかに、良い場所はないだろうか)

 

その場で考えていても、何も起きないため、彼は自慢の神速を使用して、森の中を飛び回る。良さそうな場所はなく、洞窟などがあるわけでもない。それに、森と言ってもここは開拓がされた場所。この森は小規模である。

 

(やはり、人間と交流を行うほかはないようだ。あの壁はなんであろう?それにあの塔は・・・?)

 

彼は、オラリオを発見する。そして、ダンジョンを目にする。

 

(野生生物としての勘なのか。あそこには、食べ物も住処となる場所があるのかもしれん。それに、危険も。だが、今はあそこに行くほかなさそうだ)

 

飛行形態に変化すると、神速を発動し、壁の縁へ飛ぶ。

 

(随分と栄えた都市だ。なんとかして、あの塔に入るには、神速であの塔の根本まで行き、入り口から侵入しなければ。だが、日中は危険すぎる。夜に行くとしよう)

 

森へ戻り、夜になるまで待つと、神速を発動。オラリオ内を高速で飛行する。根本の路地裏に降り立つと、入口を探す。

 

(あった)

 

発見すると、飛行形態にまた変化し、神速を使用し、ダンジョンへと入っていった。

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