ダンジョンに赤いゲノセクトがいるのは間違っているだろうか?   作:競馬好き

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救助

あの夜、彼がダンジョンへ侵入してから何日かたった。ダンジョン内に侵入時。モンスターたちが襲いかかってきた。それを、彼はブレイズキックや神速による体当たりで倒した。生き物を初めて殺してしまったことを悔やんだが、その思いはモンスターが魔石へ変化したことへの驚きで吹き飛んでいった。とりあえず、なにかに使えるであろう魔石と各種カセットを持って歩き回り、良さそうな穴を見つけた。中に入ると、モンスターが壁から大量に現れた。モンスターの出自に驚愕していたが、ボーッとしてはいられない。ブレイズキックやメタルクロー、むしのさざめきなどで倒しきる。しかし、壁から現れようとしていたため、その場を去った。その後、何個か穴を回ると、モンスターが生まれない穴を見つけることができた。

 

(住居になりそうな場所を見つけることができた。次は飲水と食べ物、そして寝具だ。飲水や食べ物を入れる壺や入れ物は先程回った洞穴で手に入れた。あとは飲水を確保できる場所と食料を手に入れることができれば、とりあえず生活が可能だ。寝具は、枯れ葉などがあればいいのだが・・・)

 

ダンジョンの構造がわからない現状、水場や食料となるものを見つけるのはとても難しい。そもそもダンジョンに水脈があるのか?食料はモンスターは魔石となり肉体が消えてしまう。となると、木の実になるのだが、そもそも太陽の光がまったく届かないダンジョン内で植物が育つ、ということは、彼が知る植物の法則には当てはまらない。そのため、飲水、食糧の問題は現状解決のしようがない。

 

(仕方ない、今日は寝るとしよう。この穴の入口は岩で塞いでおこう)

 

 

 

 

翌日

 

彼は起床すると、ダンジョン内の探索を始めた。目的は水脈を見つけること。そして、あわよくば食料を見つけることができればと考えている。モンスターをシザークロスとメタルクローで倒し、魔石を回収しつつ探索していく。時折人間の声が聞こえ、急いでその場を離れ、遭遇を回避する。

すると、探索していくうちに、なにやら下へ続く階段を発見する。とりあえず下へ降りていくゲノセクト。降りてみると、草原に出た。これにはゲノセクトも驚愕した。

 

(まさかこの塔に草原が存在するとは思わなかった。とても不思議な塔なのだな。草原があるのであるならば、もしかしたら木が生えており、木の実が手に入るのかもしれない)

 

ダンジョンの性質を不思議に思いながらも、植物が育つことに歓喜しながら実がなっている木を探す。

 

 

 

(まさかオレンの実があるとは思わなかった)

 

なぜかこの世界に存在していたオレンの実を、持ってきていた壺にたくさん詰めるゲノセクト。次は飲水の確保である。

 

(とりあえず目の前の階段を降りていこう)

 

階段を降り、新たな階層を進むゲノセクト。少し進むと、川が現れた。

 

(飲水の確保もできた。これからは住居がある階層、オレンの実がある階層、川がある階層を主な生活階層にするとしよう)

 

壺に水を汲み終わると、住居がある階層へと急いで戻る。

 

(早く帰ってオレンの実を食べて休憩しよう。そうだ、帰りに枯れ草も集めておこう)

 

しかし、そうは問屋が卸さなかった。人間の集団が蟲の魔物に襲われていた。

 

(うわぁ、私、そこ通りたいのに・・・)

 

何やら蟲が出す酸が武器を溶かしてしまうようで、苦戦を強いられているようである。

 

(耳が尖ってて長い女の人がいるが、普通の人間ではないのか?)

 

「フィンやアイズたちがもうすぐ戻ってくる!!それまでなんとしても持ちこたえるぞ!!」

 

(どうやら、危機に瀕しているようだ。助けるべきか?だが、人間の前に姿を出すにはリスクが有りすぎる。だが、見捨てるのも気が引ける。私には神速がある。それで逃げ切れるかどうか・・・)

 

助けるかどうか考えていると、どんどん追い詰められていく人間たち。

 

(仕方がない)

 

彼は、テクノバスターのタイプを、蟲に対して弱点が取れるほのおタイプに変えるため、背中の砲台にブレイズカセットをセットする。そして、高台となる岩に飛び乗ると、蟲達に砲身を向け、エネルギーをチャージする。

 

(発射)

 

チャージが終わると極太の炎エネルギーが発射され、蟲達を消滅させる。

 

 

 

 

 

 

 

「フィンやアイズたちがもうすぐ戻ってくる!!それまでなんとしても持ちこたえるぞ!!」

 

リヴェリアは、通路を覆い尽すほどの群れを組む蟲型のモンスターに苦戦を強いられていた。

 

盾を使用し、攻撃を防ごうとしているが、蟲モンスターが出す酸によって、盾が溶かされ、陣形が崩れていっている。

 

(詠唱する時間さえ稼げれば!!!)

 

彼女は見た目から分かる通り魔術師である。彼女が所属するファミリアの中でも最強の魔術を使用できるのではあるが、詠唱を行えなければ、その力を振るうことはできない。さらに、魔術師は後衛職であるため、モンスターの軽い攻撃であっても致命傷になりうる。そのため、彼女をしっかりと守ることができる前衛、中衛の冒険者が必要である。しかし、現状、彼女を守っているメンバーは、つい最近この階層への侵入を許可されたメンバー。彼女を守りつつ、詠唱の時間を稼ぐ余裕は存在しない。

 

「矢を放て!!」

 

「リヴェリア様!!この一陣で最後です!!」

 

「構わん撃て!!」

 

最後の矢を放ち、蟲モンスターを数匹仕留めるが、群れ単位で動いている奴らからすれば数匹の犠牲は意味はない。進軍の足は止まることはない。

 

「だめです!!詠唱する時間も稼げません!!」

 

「来るぞ!!盾をくれ!!」

 

「これで最後だ!!」

 

「止血しても出血が止まらない!!ポーションをくれ!!」

 

「今かけてやる!!つ!?溶かされちまってる!!」

 

「ぐあぁ…足が…、俺の足がぁ…」

 

(くっ!!このままでは、ジリ貧だ!!)

 

ひたいに一筋の汗が流れる。焦りと苛立ちにより、冷静な判断がどんどんできなくなっていく。このまま、援護がなければ、彼らは全滅してしまうだろう。しかし、これ杞憂に終わる。

 

 

ズキュウウゥン!!!

 

炎の螺旋エネルギーが、背後から突如として現れ、蟲モンスターを消滅させていく。

 

「な、なんだ!?」

 

振り向くと、見たこともないモンスターがいた。炎のような赤い体色、虫のような体躯に、背中には大砲。

 

(なんだ、あのモンスターは・・・)

 

そのモンスターは、体を変形させると、視認することができないスピードで、彼女たちの前に現れると、爪を鋼鉄化させて蟲モンスターを殺していく。

 

「平気なのか!?」

 

素手で蟲モンスターを切り裂いていく赤いモンスター。切り裂いてしまえば、蟲モンスターが体内に保有する酸にさらされる。あのモンスターの体も無事ではないはず。しかし、かのモンスターの体が溶けることはない。見ると、彼の体に薄い膜が貼ってある。

 

「あの薄い膜で酸から体を守っているのか・・・」

 

蟲モンスターをどんどん殲滅していく赤いモンスター。すべての蟲モンスターを倒すと、彼女たちを一瞥し、先程と同じ姿になると、上層へ消えていった。

 

「あのモンスターは一体・・・。それにあの目は・・・」

 

その後、彼女たちは無事仲間と合流し、地上へと帰った。

 

 

 

 

「リヴェリア、もう一度言ってくれ・・・」

 

「あぁ、私達を助けてくれたのは、赤い謎のモンスターだ。あの階層にいるのがおかしいほどに強いモンスターだ」

 

「モンスターが助けたぁ?んなことあるわけねぇだろうが!」

 

「だが実際、あのモンスターは、消耗した我々に一切の危害を加えずに去っていった。それに、あのモンスターはなにか手に持っていた」

 

「何かを持っていた?」

 

「あぁ、壺と水瓶だったか?」

 

「そのモンスターが上層のどこかで暮らしているとでも言いたいのかリヴェリア?」

 

「そう言ってないが、あのモンスターには、ある種の知恵があるのでないかと、私は思っている。生態調査のために、捕獲すべきなのでなないだろうか?」

 

「捕獲・・・」

 

「ガネーシャファミリアに頼むか?」

 

「いや、ガネーシャファミリアでは、あのモンスターと相対するのは荷が重すぎる。あの攻撃力と、機動力、そしてなんと言ってもあのスピードだ。まさに神の如き速さ、神速であった」

 

「神速・・・」

 

フィン・ディムナ。ロキ・ファミリアの団長である彼は、しばらく考えた後、リヴェリアの意見を通すことに決めた。

 

「わかった。当分は、そのモンスターの捜索と、捕獲を目的に行動することにしよう。皆はそれで文句ないか?」

 

「団長が決めたことなら私は従うだけだわ!」

 

「ティオネがそう言うなら私も文句はないよー!」

 

「わかった」

 

「仕方ねぇなぁ・・・」

 

なにか言いたいことがある者と素直に従うものと別れたが、かのモンスターを捕獲することが決まった。

 

「皆、ありがとう」

 

リヴェリアはみなにお礼を言うと、あのモンスターについて考えにふけった。

 

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