ありふれない捕食者は世界最強   作:ギアス

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ギアスです。
第九話を始めたいと思います。
"守護騎士"に目覚めた香織に、"奈落の怪物"に目覚めたルチア。
そして、とうとう卓弥とルチアは、奈落の攻略を開始する。
それでは、第九話をどうぞ。


奈落攻略

ルチアが魔物肉を食べて、体の変異が終わった後のこと……

 

「………あ〜。ルチア?平気か?」

「平気ですよ?ええ、平気ですとも。何故か魔物肉を食べても死なないご主人様につられて魔物肉を食べてしまって、死ぬ程辛い目に合ったけれど平気ですけど何か……?」

「………すまん」

 

有無を言わさないルチアの威圧に卓弥はショボ〜ンとしていた。

そんなルチアの体は見てわかるほどに変化していた。

髪は、新雪のような白銀色の美しい毛色。

変化のなかった真っ平らな体は、女性すら見惚れてしまいそうなほどの大人の女性のような姿に。

そして瞳は、魔物たちのように、しかしとても美しい紅色になっていた。

意識してみると、体の中に暖かいとも冷たいとも感じられる奇妙な感覚があり、肌にはまるで魔物と同じような赤黒い線が浮かび上がる。

 

「………まあ、死にはしなくてよかったですけどね。それにしても、なんだか魔物になったみたいで気持ち悪いですね………そういえば、ステータスってどうなってるんでしょう……」

 

そう言いながらゴソゴソと探って自分のステータスプレートを取り出す。

 

 

ルチア 17歳 女 レベル30

天職:錬成師

筋力:300

体力:1300

耐性:150

敏捷:1400

魔力:1000

魔耐:1000

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成][+圧縮錬成]・高速魔力回復[+瞑想]・魔力操作・胃酸強化・纏雷

 

 

「………ナニコレ?」

 

驚くほどにステータスが上昇していた。

おまけに、増えないはずの技能が3つも増えており、その1つは、魔物だけが持つとされる"魔力操作"だった。

そしてこの"纏雷"という技能も心当たりがある。

卓弥が狼の肉を食べた時に、生やした腕が雷を纏っていたのだ。

 

「あのご主人様。あの狼、何か固有魔法を使ってませんでしたか?」

「む?2本の尾から雷を出しとったが?」

 

やはり、これはどうやらこの狼の固有魔法のようだ。

魔物を食べ、体が崩壊しなければ、魔物の持つ力を得ることができるとは思いもしなかった。

 

「ご主人様。ステータスってどうなってます?私でこうなったんですから、ご主人様はさらに上がっているのでは?」

「あ〜、うん、まあ、調べるか………」

 

そう言って卓弥はステータスプレートを取り出すが………

 

 

天喰卓弥 17歳 男 レベル:3

天職:捕食者

筋力:800050

体力:2000100

耐性:1600030

敏捷:10001000

魔力:∞

魔耐:100000100

技能:捕食[+胃酸強化][+毒無効]・捕食再現[+哺乳類再現][+鳥類再現][+魚介類再現][+爬虫類再現][+両生類再現][+昆虫再現][+魔物再現][+固有魔法模倣][+植物再現][+無機物再現][+肉体負担低下]・魔力操作・気配操作[+気配察知][+気配遮断]・全属性適正・複合魔法・永久魔力機関[+魔力吸収][+魔力譲渡]・言語理解

 

 

「………何ですかこれ!?爆上がりじゃないですか!?しかも技能が変化していそうなのもありますし」

「いや、技能は変化ないな。あの時見せたのは偽装した物だしの。気持ちステータスが上がっただけじゃ。あの狼の固有魔法も"固有魔法模倣"に統合されたようじゃな」

 

元と比べると微々たる量ステータスが上がっただけだった。

 

「どうやら、魔物の肉を食べると、我のような()()()じゃなくとも固有魔法を使えるようになるようじゃな。多少劣化する上に、喰ったら死ぬ可能性があるがの」

 

"特別製"と自称したことに違和感を抱いたが、それを聞く暇もなく時間は流れた。

ウサギと熊を食べることで、ステータスはさらに上昇し、"天歩[+空力][+縮地]"と"風爪"という技能を獲得した。

そして卓弥曰く、『ここにはこれらの魔物しかおらん。上に行く通路も探してみたが、下に続く階段しかなかった。脱出したいなら降っていくしかないのう』とのことだ。

 

こうなったらとことんまでやってやろう!

そう決意し、ルチアは準備を始めた。

ここは手付かずで、資源に溢れていたため、そこにあった素材用の『タウル鉱石』と、火薬用の『燃焼石』を使って双黒銃を強化した。

固有魔法"纏雷"により電磁加速で、レールガンを撃つことを可能にしたため、今の双黒銃ならベヒモスどころか、これより下の魔物であろうと通用するようになった。

そうして降り始めたが、1階層下がった途端に真っ暗な空間にたどり着いた。

入手した『緑光石』を明かりにして進むとそこでは、2メートルぐらいの、見た相手を石化させる灰色のトカゲがいた。

 

「……"爪弾"!」

 

もっとも、卓弥が右腕をバリスタのような形に変形させ、そこから矢のように鋭く長い爪を発射してトカゲを串刺しにし、瞬殺してしまったが。

どうやら卓弥は腕を生やすだけでなく、元ある腕も変化させることができるようだ、とルチアは考えていた。

そして、灰色トカゲを食べることで"夜目""気配感知""石化耐性"の技能を獲得した。

卓弥の場合は"石化の魔眼"も使えていたのでルチアはそれを羨ましいと思っていたのは内緒である。

 

次の階層は、タール状の『フラム鉱石』がたくさんある泥沼のような空間だった。

火気が使えないが、それでも前に進むと、"気配感知"にも反応しない隠密性を誇るサメが襲ってきた。

それでも、卓弥が腰から蛇を生やし、その蛇が、サメが飛び出してきたところを反応して締め付け、頭をへし折ってしまったが。

卓弥曰く、『我の()()()()()には、これ以上の気配の薄さの魚がウヨウヨいたからのぉ』とのこと。

本当の故郷と言うのが、今まで言っていた、魔物にしか思えない生物がいたと言う場所なのだろうか?と考えながらサメ肉を食した。

獲得した技能はやはり"気配遮断"だった。

 

それからしばらくして、2人は、奈落攻略を始めて、ついに50階層進んだ。

これまできた階層にはさまざまな空間が広がっていた。

全体が薄い毒霧で覆われた階層に、密林のような階層など、本当に多種多様な空間だった。

そして、そこに潜む魔物たちも厄介な奴らばかりだった。

毒の痰を吐き出す虹色カエルや、麻痺の鱗粉を撒き散らす蛾。

体の節ごとに分裂するムカデやトレントのような樹の怪物など、どれもこれも本当に厄介な魔物

トレントもどきからは今まで不味い魔物肉を喰っている中で、久しぶりに食べた美味い果実が採れ、ルチアが絶滅する勢いでトレントもどきを狩り尽くし、卓弥がトレントもどきが本当に絶滅する寸前にルチアを無理やり止めていた。

そうして気づけば50階層。

ルチアのステータスはこうなった。

 

 

ルチア 17歳 女 レベル62

天職:錬成師

筋力:1650

体力:2860

耐性:500

敏捷:2950

魔力:2300

魔耐:2300

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成][+圧縮錬成]・高速魔力回復[+瞑想]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性

 

 

卓弥のステータスも技能以外に変化はあったが、どうなったかは割愛する。

そうして2人は、魔物を狩り、階層を進み、鍛えて50階層まで来たが、そこには明らかに異質な空間があったのだ。

脇道の突き当たりにある開けた場所に高さ3mの装飾された荘厳な扉があり、その脇に1対の1つ目巨人の彫刻が、下半身の部分が壁に埋め込まれるように鎮座していた。

今までにない感覚をそこから感じ、1度準備を整え、再びその前に立った。

 

「……う〜ん。『チルチルちゃんレーダー』にビンビン反応してますけど、めちゃんこヤバいですねこれ。どれくらいかって言うとマジでやばい!って感じです」

「とは言っても調べんといかんじゃろ。それに、ここに何か役立つものがあるかもしれんしの」

 

そして決意し、2人は進む。

扉の前まで何もなく進むと、扉には見事な装飾だけでなく、2つの窪みが中央にある魔法陣が描かれていた。

 

「あれ〜?何ですかこの魔法陣?少なくても私が学んだ知識でも、こんな式見たことありませんよ?」

「開けられるのか?」

「無理やりこじ開けることはできますね。もっとも、そうしたら門番が襲い掛かってきそうですけど」

 

そう言いながらルチアは脇にある1対の1つ目巨人の彫刻を見る。

卓弥もルチアも感じていた。

『こいつら、絶対動くな』と言う確信が。

 

「まあいつも通りじゃろ。こじ開けろ」

「アイアイサー♪」

 

そう言いながらルチアが錬成を開始する。

無理やり道を作ろうとしたが、

 

バチィイ!

 

「どわっとぉ!?」

 

扉から赤い電流が走り、ルチアの手を弾いた。

そして………

 

「くるぞ。我は赤、お主は青を」

「オケです」

 

巨人の彫刻達が壁を砕きながら全身を出現させた。

先程卓弥が言った通り、片方は赤色、もう片方は青色をしており、その見た目は、ファンタジーの常連モンスターサイクロプスのようだった。

手にはどこから取り出したのかわからない大剣を持ち、侵入者である卓弥達を睨む。

卓弥は両腕を変化させ、両方から爪弾を連射する。

すると赤サイクロプスは大剣を持っていない腕を前に持ってきて、腕に光を纏わせた。

すると、爪弾を弾いてしまった。

これには流石の卓弥も驚くが、次はルチアを真似て、バリスタのような腕に電気を纏わせる。

そして、レールガンの如く高速で爪弾を放ち、赤サイクロプスの防御ごと頭を貫いた。

倒れ込んでくる赤サイクロプスを避けながらルチアの方を見ると、ルチアはレールガンを乱射するが青サイクロプスはそれらを全て防ぎ切ってしまい、ルチアは、負けることはないが攻め手に欠ける状態だった。

しかしルチアは、しれっと青サイクロプスの足元に何かを投げ込み、双黒銃でそれを撃ち抜く。

すると、青サイクロプスの足元が爆発し、青サイクロプスが倒れ込んだ。

ルチアが投げ込んだのは、燃焼石を使って作った手榴弾である。

そのほかにも、麻痺手榴弾や閃光手榴弾など様々なものを作っていた。

そして、ルチアは倒れ込んだ青サイクロプスの眼球にレールガンを撃ち込み絶命させた。

 

「よくやったの。もう戦闘の助言は必要なさそうじゃな」

「いえいえ、ご主人様の指導の賜物ですよ」

 

そう言いながらサイクロプス達の肉を取ろうと剥ぎ取っていると、サイクロプス達の魔石に意識が向いた。

もしかしたらと2人が魔石を持って扉の窪みに合わせてみると、ピッタリとはまり、魔石から迸る魔力が扉の魔法陣に注ぎ込まれていく。

そして、魔石割れる音が響き、光が収まる。

すると部屋全体に魔力が行き渡り、久しく見ないほどの明かりに満たされた。

 

「………ここには、何かがあるのは間違いないようじゃの」

「それが何なのかは、見てみないとわからないですけどね」

 

そう言って、2人はゆっくりと扉を開く。

真っ暗な空間に部屋の光が差し込み、夜目の技能と併せて扉の奥の全容がハッキリとして来た。

聖教教会の大神殿で見た大理石のように艶やかな石造りで出来ており、幾本もの太い柱が規則正しく奥へ向かって二列に並んでいた。

そして部屋の中央付近に巨大な立方体の石が置かれており、部屋に差し込む光を反射して、つるりとした光沢を放っている。

2人はその立方体に違和感を覚え、注視すると………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……だれ?」

 

……その立方体に腕と下半身が埋まっている一人の少女の姿に気づいた。




第九話、完!
いかがだったでしょうか?
今回はユエ(仮)に会うところまで書きました。
本作の卓弥はすでに化け物クラスの力を持つため、ハジメの時以上にサクサクと進めた感じで書いたのですが、伝わったでしょうか?
次回はユエ(仮)との話し合いとサソリもどきとの対決について書きたいと思います。
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