ありふれない捕食者は世界最強   作:ギアス

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ギアスです。
第十七話を始めたいと思います。
帝国から使者が来たことにより王国に帰還した勇者一行。
帝国の皇帝ガハルドと守護騎士香織が決闘をし、勝つことはできなかったが、香織は戦闘の経験値を積むことができた。
一方、奈落にいる卓弥達は……?
それでは、第十七話をどうぞ。


世界の真実

時は遡り、卓弥達がヒュドラを倒した頃。

それぞれ勝利した事実を噛み締めていたその時、広間の奥の扉がゆっくりと音を立てて開いていく。

新手かと3人が即座に構え、警戒する。

だが、いくら待ってもその扉から何かが出てくる気配はない。

 

「……先に行けと言う事か?」

「……みたい……ですね」

「この先が反逆者の住処……?」

 

3人はちらりと顔を見合わせると、小さく頷いて、扉に向かい、くぐる。

まず、目に入ったのは太陽だ。

もちろんここは地下迷宮であり本物のはずがない。

頭上には円錐状の物体が天井高く浮いており、その底面に煌々と輝く球体が浮いていたのである。

僅かに温かみを感じる上、蛍光灯のような無機質さを感じないため、思わず"太陽"と称したのである。

 

「ウソ……アレ、太陽……ですか……?」

「……なるほど。人工太陽と言うやつか?あの球体1つに様々な魔法が付与されているようじゃ。付与された魔法はどれもこれも並大抵の魔法ではないし、人工太陽として機能させる為の魔法の構成も見事としか言えん。神の眷属と呼ばれるだけの力があったというわけか」

「……水の音がする」

 

アレーティアの言葉に耳をすませば、耳に心地良い水の音がする。

扉の奥のこの部屋はちょっとした球場くらいの大きさがあるのだが、その部屋の奥の壁は一面が滝になっていた。

天井近くの壁から大量の水が流れ落ち、川に合流して奥の洞窟へと流れ込んでいく。

滝の傍特有のマイナスイオン溢れる清涼な風が心地いい。

よく見れば魚も泳いでいるようだ。

もしかすると地上の川から魚も一緒に流れ込んでいるのかもしれない。

川から少し離れたところには大きな畑もあるようだが、当然何も植えられていない。

そしてなんと家畜小屋もある。

動物の気配はしないのだが、水、魚、肉、野菜と素があれば、ここだけでなんでも自炊できそうだ。

緑も豊かで、あちこちに様々な種類の樹が生えている。

 

「……ここが住処なのは間違いないようじゃな……」

「……ですね。そして、何かあるとすれば、あの家ですよね」

「ん……」

 

3人の視線の先にあるのは3階建ての白い清潔感のある建物だ。

3人は慎重に油断なく建物に近づき、扉から中に入っていく。

扉の先のエントランスには、温かみのある光球が天井から突き出す台座の先端に灯っている。

取り敢えず一階から見て回る。

暖炉や柔らかな絨毯、ソファのあるリビングらしき場所、台所、トイレを発見した。

どれも長年放置されていたような気配はない。

人の気配は感じないのだが、室内の管理維持はなされているのか埃が積もった形跡はない。

さらに奥に行くと、そこには大きな円状の穴があり、その淵にはライオンっぽい動物の彫刻が口を開いた状態で鎮座している。

彫刻の隣には魔法陣が刻まれている。

試しに魔力を注いでみると、ライオンモドキの口から勢いよく温水が飛び出した。

 

「これは、風呂か……久方ぶりじゃのう」

 

そう言って卓弥が顔を綻ばせる。

こう見えて卓弥は大のお風呂好き。

風呂に入る為なら、人並み以上のこだわりを持つ男なのだ。

そんな卓弥の姿を見てアレーティアが一言。

 

「……一緒に入る……?」

「そうですね!せっかくですから3人一緒に裸の付き合いを」

「冗談は顔だけにせい」

 

余りにもバッサリと切られた為軽く落ち込む2人。

そんな2人を放って、卓弥は探索を再開する。

2階には書斎や工房らしき部屋を発見したが、どちらも封印がされているらしく開けることはできなかった。

そして3階。

3階には一部屋しかなかった。

扉を開けると、そこには直径7、8mの精緻で繊細な魔法陣が部屋の中央の床に刻まれていた。

そして、その魔法陣の向こう側、豪奢な椅子に座る人影が見えた。

人影は骸だった。

既に白骨化しており黒に金の刺繍が施された見事なローブを羽織っている。

 

「こやつが反逆者……そしてルチアの話が正しければ………」

「……はい……十中八九、オスカー・オルクス様でしょうね」

「そうか……じゃが、なぜ此奴はここで生き絶えたんじゃ?寝室やリビングなどでも良かったはずなのに……」

「……怪しい。どうする?」

 

苦しんだ様子もなく座ったまま果てたその姿は、まるで誰かを待っているようだ。

 

「……調べるしかあるまい。魔法陣に入って転送され、1人が孤立する状況を避けるため、3人同時に、別方向を警戒しながら入るぞ?」

「了解です」

「ん……」

 

そして、卓弥は正面を、ルチアは卓弥の右後方を、そしてアレーティアは卓弥の左後方を警戒しながら魔法陣に足を踏み入れる。

カッと純白の光が爆ぜ部屋を真っ白に染め上げる。

まぶしさに目を閉じる3人。

直後、何かが頭の中に侵入し、まるで走馬灯のように奈落での出来事が頭の中を駆け巡った。

やがて光が収まり、目を開けた3人。

そして、卓弥の目の前には、黒衣の青年が立っていた。

魔法陣が淡く輝き、部屋を神秘的な光で満たす中、3人は反射的に身構えるが、すぐに警戒を緩めた。

目の前の青年からは、敵意や悪意どころか、存在感すら感じ取れなかったからだ。

おまけに、よく見れば目の前の青年は、後ろの『オスカー・オルクス』と思われる骸と同じローブを着ていた。

それらの状況証拠から、3人は目の前の青年の正体について察しがついた。

 

「試練を乗り越えよくたどり着いた。私の名はオスカー・オルクス。この迷宮を創った者だ。反逆者と言えばわかるかな?」

 

話し始めた彼はやはりオスカー・オルクスらしい。

 

「ああ、質問は許して欲しい。これはただの記録映像のようなものでね、生憎君の質問には答えられない。だが、この場所にたどり着いた者に、世界の真実を知る者として我々が何のために戦ったのか……メッセージを残したくてね。このような形を取らせてもらった。どうか聞いて欲しい。……我々は反逆者であって反逆者ではないということを」

 

そうして始まったオスカーの話は、聖教教会で教わった歴史やユエに聞かされた反逆者の話とは大きく異なり、ルチアが見た歴史が正しい事を証明する、驚愕すべきものだった。

 

 

 

それは狂った神とその子孫達の戦いの物語。

 

神代の少し後の時代、世界は争いで満たされていた。

人間と魔人、様々な亜人達が絶えず戦争を続けていた。

争う理由は様々だ。領土拡大、種族的価値観、支配欲、他にも色々あるが、その一番は"神敵"だから。

今よりずっと種族も国も細かく分かれていた時代、それぞれの種族、国がそれぞれに神を祭っていた。

その神からの神託で人々は争い続けていたのだ。

 

だが、そんな何百年と続く争いに終止符を討たんとする者達が現れた。

それが当時、"解放者"と呼ばれた集団である。

彼らには共通する繋がりがあった。

それは全員が神代から続く神々の直系の子孫であったということだ。

そのためか"解放者"のリーダーは、ある時偶然にも神の真意を知ってしまった。

何と神は、人々を駒に遊戯のつもりで戦争を促していたのだ。

"解放者"のリーダーは、神が裏で人々を巧みに操り戦争へと駆り立てていることに耐えられなくなり志を同じくするものを集めたのだ。

 

彼等は、"神域"と呼ばれる神がいると言われている場所を突き止めた。

"解放者"のメンバーでも先祖返りと言われる強力な力を持った七人を中心に、彼等は神に戦いを挑んだ。

 

しかし、その目論見は戦う前に破綻してしまう。

何と、神は人々を巧みに操り、"解放者"達を世界に破滅をもたらそうとする神敵であると認識させて人々自身に相手をさせたのである。

その過程にも紆余曲折はあったのだが、結局、守るべき人々に力を振るう訳にもいかず、神の恩恵も忘れて世界を滅ぼさんと神に仇なした"反逆者"のレッテルを貼られ"解放者"達は討たれていった。

 

最後まで残ったのは中心の七人だけだった。

世界を敵に回し、彼等は、もはや自分達では神を討つことはできないと判断した。

そして、バラバラに大陸の果てに迷宮を創り潜伏することにしたのだ。

試練を用意し、それを突破した強者に自分達の力を譲り、いつの日か神の遊戯を終わらせる者が現れることを願って。

 

 

 

長い話が終わり、オスカーは穏やかに微笑む。

 

「君が何者で何の目的でここにたどり着いたのかはわからない。君に神殺しを強要するつもりもない。ただ、知っておいて欲しかった。我々が何のために立ち上がったのか。……君に私の力を授ける。どのように使うも君の自由だ。だが、願わくば悪しき心を満たすためには振るわないで欲しい。話は以上だ。聞いてくれてありがとう。君のこれからが自由な意志の下にあらんことを」

 

そう話を締めくくり、オスカーの記録映像はスっと消えた。

同時に、3人のの脳裏に何かが侵入してくる。

ズキズキと痛むが、それがとある魔法を刷り込んでいたためと理解できたので大人しく耐えた。

やがて、痛みも収まり魔法陣の光も収まる。

卓弥はゆっくり息を吐いた。

 

「うぅ、頭が痛いです……ご主人様、大丈夫でしたか?」

「ああ、問題ない……しかし、とんでもないことを聞いてしまったな」

「はい……反逆者は元々は"解放者"で、エヒト様……いえ、エヒトは人々を悪戯に弄ぶ悪神だった。解放者はエヒトを討とうとしましたが、エヒトの巧妙な手口で戦う前から敗走した……という事ですか」

「……ん……タクヤ。どうするの?」

 

ルチアは元々、己の先祖であるルース・オルクスの師匠、反逆者のオスカー・オルクスの汚名を返上するためにオルクス大迷宮を攻略しようとしていた。

だが、実際に知った真実は、ルチアの想像を超えた、とんでもない事実だった。

反逆者…いや、解放者達に汚名を着せ、解放者達を死んでも恥ずかしめるエヒトに対しルチアが静かに怒りを燃やしていた時、アレーティアがオスカーの話を聞いてどうするのかと卓弥に尋ねる。

 

「……元々、勝手に召喚して戦争しろなどとほざきよる神なんぞ迷惑。この世界がどうなろうと知ったことじゃない。地上に出て帰る方法を探して、日本に帰る。………それだけだと思ったったんじゃが……」

 

オスカーの話など切って捨て、自分と自分にとって大切な人のためだけに行動すると思われていた卓弥。

しかし卓弥は、頭をガシガシとかき、随分と長い顔をしていた。

 

「……どうしたの?」

「……はぁぁぁぁ…………我は、神と戦おうと思う」

「え!?何でですか?帰る方法を探すんじゃないんですか?」

 

面倒くさそうにため息を吐きながら出した卓弥の答えに、前に卓弥がどう行動するかを聞いたことがあるルチアは驚きを露わにする。

 

「……あらかじめ言っておくが、この世界のためではないぞ?まあ、わざわざ理由をつけるなら3つじゃ」

 

卓弥はわざとらしく右手で3本の指を立てる。

そして、立てた指の一本を折り、説明を始めた。

 

「まず1つ。これはまあ、アレーティアのためじゃ」

「……私?」

「うむ。アレーティアの叔父であるディンリードは、アレーティアはエヒト…つまり神の器として狙われていたと言っておったじゃろ?なら、狙う神を消してしまえば、もう2度とアレーティアが狙われることはないと思ったからじゃ」

「……でも、私はタクヤと一緒に地球に……日本に行く。旅の途中なら狙われる可能性はあるけど、日本に行ってからは狙われないんじゃ……?」

「まあ、その可能性はある。じゃが、我の予想が正しければ、その考えは甘いかもしれんのぉ」

 

その卓弥の言葉に、ルチアとアレーティアは小首を傾げる。

そんな2人を見て、卓弥は立てていた指をもう一本折り、次の理由を話し始める。

 

「2つ目は、日本にいる孤児院の皆("家族")を守るためじゃ」

「……え?いやいや待ってください。ご主人様のご家族って、孤児院の皆様ですよね?世界には来てないんですから、守るとかそう言う話はいらないんじゃ………」

「普通ならな。じゃが、さっきも言ったが、我の予想が正しければ、その考えは甘いかもしれんのじゃ」

 

困惑する2人に対し、卓弥は自分の考えを伝える。

 

「我の完全な予想で悪いのだが、恐らく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()筈なのじゃ」

「「…!!?」」

 

卓弥の口から語られた予想に、2人は驚愕した。

 

「無論、今は簡単に干渉できるものではないのかもしれない。もしかすると地球に干渉できたのも偶然かもしれん。しかし、()()()()()()という事実があることが非常に危険なのじゃ」

「……つまり、エヒトを放って地球に帰っても、エヒトが地球に干渉してきて、その時はご主人様だけではなく、地球にいるご主人様の家族の皆様も危険に晒すかもしれない、と言うわけですね?」

「……ん。可能性は低いけど、無いわけじゃない」

「そう言うこと。その可能性を完全に摘む為に、神を殺す必要がある。」

 

卓弥の推理を聞き、2人はなるほどと首を縦に振る。

しかし、そのあとに1つ疑問が浮かんだ。

 

「あれ?理由ならその2つで十分ですよね?3つ目の理由って何ですか?」

「ああ、それに関しては我の我儘じゃ。故に優先度は1番低い」

「……我儘?」

「そうじゃ、今まで生きてきた中で、1度だけこう考えたことがあるんじゃ……」

 

最後の指を折り、悪戯っぽく微笑み、最後の理由を明かす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……神とは、どんな味がするのか…とな」

 

そう言われて、2人は一瞬ポカンとした。

そして、そのすぐ後にクスクスと笑いが込み上げてきた。

卓弥が神を殺す3つ目の理由。

それは単純に、『自分が神を殺して、その神を喰らいたいから』だったからだ。

 

「というわけで、これらの理由のため、神を殺さんといかんというわけじゃ。なのじゃが、2人はどうする?これは我個人で決めたこと。それに無理やり付き合わせるつもりはないが   

 

ルチアとアレーティアは元はこの世界の人間。

地球に連れて行くと約束したアレーティアはともかく、ルチアとは直接の関係がない孤児院の家族達を守るために、ルチアを戦わせるつもりはない。

そう思って尋ねたのだが、2人は僅かな躊躇ためらいもなくふるふると首を振った。

 

「もう、ホントご主人様ってそういうところが鈍いですねぇ。私はご主人様のメイドですよ?嫌なら嫌って言いますし、言わないってことは……そういうことですよ♪」

「ん……ルチアの言う通り。……それに、叔父様にあんな事をさせる理由になったエヒトには、御礼をしないといけない……!」

 

ルチアはそう言って、卓弥に寄り添いその手を取る。

ギュッと握られた手が本心であることを如実に語る。

アレーティアも、自らが嫌われ役になってまで封印して自分をエヒトから守ってくれた叔父様の為に、嫌われ役になる原因になったエヒトに対して仕返しをしたいと、ムンっ!とやる気を出しながら覚悟を示す。

 

「……そうか」

 

そんな2人を見て、頼もしそうに微笑みを向ける卓弥。

そしてその後、3人は衝撃の事実をさらりと話し始める。

 

「それにしても……迷宮を攻略すると()()()()を習得できるだなんて、驚きましたよ」

「……ん。確かに」

 

神代魔法とは文字通り神代に使われていた現代では失伝した魔法である。

卓弥達をこの世界に召喚した転移魔法も同じ神代魔法である。

 

「どうやらこの床の魔法陣が、神代魔法を使えるように頭を弄るみたいじゃな。」

「そうですね。それにこの魔法……私のためにあるような魔法ですね!」

「……生成魔法。魔法を鉱物に付加して、特殊な性質を持った鉱物を生成出来る魔法。……うまく使えればアーティファクトも作れる」

 

そう、生成魔法は神代においてアーティファクトを作るための魔法だったのだ。

まさに"錬成師"のためにある魔法である。

実を言うとオスカーの天職も"錬成師"だったりする。

 

「しかし、この違和感……ああ、なるほどそう言うことか」

「?そう言うことって、どう言うことです?」

「生成魔法のことじゃよ。この知識は恐らく、常人が使える限界の領域の魔法を扱う為の知識なのじゃろうな。恐らくこの魔法の本質は、『無機的物質に干渉できる』と言ったところじゃろう」

「……ムキテキブッシツ?」

「……?」

 

地球にいたならともかく、そう言った知識が発達していないトータスの人間であるルチアとアレーティアは、卓弥の言ったことの意味を理解できていなかった。

 

「……すまん。使う言葉が悪かったな。わかりやすく言うならば、生成魔法は『生命活動を行なっていない物質に、様々な手を加えられる魔法』と言ったところじゃな。故に理論上、鉱石だけでなく、ただの石や水、空気にも干渉して、魔法を付与したりできるはずじゃ」

「なるほど〜。でも、それなら何でそう知識を刻んでくれなかったんでしょうか?」

「さっきも言ったじゃろ?お主らの刻まれた知識は常人が扱える限界の領域の知識なのじゃ。恐らく、それ以上の知識を植え付けられると、身体や心がもたず壊れてしまうんじゃろう」

「……なるほど」

 

そう話をつけ、一同はオスカー・オルクスの骸に視線を向けた。

 

「……いつまでもあのままというわけにはいかんじゃろ。埋葬でもするか」

「……そうですね」

「……手伝う」

 

その数分後、畑の隅に『解放者オスカー・オルクス ここに眠る』と彫られた墓石が立てられた。

 

 

その後3人は、オスカーが嵌めていたと思われる指輪をいただき、建物内を散策していた。

墓荒らしと言われてしまうかもしれないが、指輪には十字に円が重なった紋章が刻まれており、その紋章が建物内の開かずの扉に刻まれていたから、もしやと思ったからだ。

その結果、この建物から地上に出る時は、オルクスの指輪を持った状態で、3階の魔法陣を使うことを知り、その他にも、生前オスカーが製作したであろうアーティファクトや素材をいただくことができた。

そして、アレーティアが見つけた、解放者の中心の7人のことがよく書かれていた、オスカーの手記と思われる本を読んでいると、他の6つの大迷宮の情報が少しだけ記されていた。

恐らく、地球に帰るためにも、エヒトを殺す為にも、神代魔法は必須のはず。

3人のこれからの方針は、七大迷宮を全て攻略する事に決まった。

しかし、どれほど建物内を探しても、今確認されている【グリューエン大砂漠の大火山】【ハルツィナ樹海】、存在するであろうと目星がつけられている【ライセン大峡谷】【シュネー雪原の氷雪洞窟】以外の場所、すなわち、残り2箇所の大迷宮の場所はわからなかった。

それらをどうにか見つけ出すことも方針に加えつつ、卓弥は考え込んでいた。

 

「……?タクヤ、どうしたの?」

「ん?ああ……2人とも、しばらくここに留まらんか?地上に出たいのは山々じゃが、ルチアが扱う武器を作るのも、訓練にもここは最適じゃ。それに、他の大迷宮もここと同等か、それ以上に過酷な場所かもしれん。ならばここで、十分な準備を積むのが良いと思うのだが……」

 

卓弥とルチアはともかく、アレーティアは300年は地下に封印されていたのだ。

すぐにでもここを出て、この住処にある人工太陽とは違う、本物の太陽の光を見たいと思っているかもしれない。

そう思って2人に相談したが………

 

「なるほど。確かにそうですね。それなら、十分な準備が整うまで、ここで生活しましょうか」

「……ん。私も賛成。タクヤとルチアがいてくれるなら、私はどこでも構わない」

 

2人からも了承をもらい、ここで可能な限り戦力の充実や鍛錬をする事になった。




第十七話、完!
いかがだったでしょうか。
今回はトータスの歴史の真実を知るところを書きました。
そして、ここの卓弥はそれなりに知識があるので、原作ではハジメ達が全ての神代魔法を習得するまでわからなかった神代魔法の本当の力をすぐに理解できました。
次回はお風呂の場面や旅立ちを書いて第1章完結にしたいと思います。
完結した後も、少し番外編を書く予定なので、それも楽しみにしていてください。
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