この作品が始まって初めての番外編を始めたいと思います。
待っていた方も、待っていない方も、お待たせいたしました……
タクヤーズブートキャンプ第二弾を始めたいと思います!
今回の
果たして、彼女達は生き残ることができるのか!!!
……おふざけはここまでにして、今回はアレーティアの強化点、そして、なぜルチアが異常な空間把握能力を手に入れるに至ったのかを書きたいと思います。
それでは、第一回番外編を、どうぞ。
ヒュドラを倒し、オスカー・オルクスからトータスの真実を聞き、神殺しを成すと卓弥達が誓った日から数日が経過した頃のこと。
3人はヒュドラが出現した空間に集まっていた……
「それでは、特訓を始める!!」
……そのうちの1人、天喰卓弥は、何時ぞやの軍帽を被って………
「……それはさっき聞いたからわかる。……けど、その帽子は何……?」
「………なんでしょう………すっっごぉぉぉく嫌な予感が………」
そんな卓弥を、アレーティアは怪訝そうに見つめ、ルチアは前にもあった
「お主らの戦いを今まで見てきたが、なかなかに見事なものだった!ルチアは我から教わった基本を大事にしておるし、銃の扱い方も、地球の
「あれ?褒めてくれてる?前は貶してたのに?」
「アレーティアも、その魔法の腕前には我も感服するしかない!強力無比なその魔法の前では、どんな魔物であろうとも歯が立たんであろう!」
「……ん…!」
前回は自分の体力の無さを『貧弱ボディ』と言われて貶されていたのに、今回は自分の銃の腕前を褒められて、ルチアは首を傾げていた。
アレーティアは、自分の最大の長所である魔法を褒められて、『むふぅ!』と言いたげに胸を張っていた。
「……じゃが!お主らは所詮その程度じゃ!」
「「!!?」」
「ルチア!!お主は銃の腕前は確かに上がったが、銃を扱う者、飛び道具を扱う者において1番大事な能力である空間把握能力が欠けておる!どれほど飛び道具の扱いに自信があっても、対象や空間を瞬時に把握できんのでは、居てもいなくても構わん木偶の坊と同じじゃ!」
「あ、今回は上げて落とすスタイルですかそうですか………」
「アレーティア!!確かに魔法の腕は認めるが、その魔法を扱う時、無駄な魔力が多すぎる!我なら魔法陣や魔法の構築で無駄になる魔力はまた別のことに回すぞ!」
「……無駄が、多すぎ?……私、無駄を削ぎ落として今の魔法を使ってるのに………?」
ルチアは、今回の卓弥の教育スタイルは、前回と違い、褒めるところは褒め、ダメなところはとことん滅多打ちにするスタイルだと言うことを悟る。
アレーティアは、魔法において天才の才能を持つ自分が、魔法を使う上で無駄になる魔力をとことん削ぎ落とし、他の必要な部分に魔力を流して使っているのが今の自分の魔法と言うのに、それでも『無駄が多すぎる!』と言われてしまい、アレーティアの中にある自信に少しヒビが入ってしまった。
「よって!お主らにはこれから、2人で共通の
「は、はぁ……けど、仮想の敵って何なんですか?」
「それは今から準備する」
そう言い切ると、卓弥は今まで2人に向けていた体の向きを横に向け、左腕を前に出す。
そして、右腕の爪を長く鋭くし、左腕の肘関節の部分に爪を置く。
そして………
ズバッ!
………
「……えええええ!!?」
「……んんんんん!!?」
当然、いきなりそんな奇行に走った卓弥を見てルチアとアレーティアは冷静ではいられなかった。
ルチアは口を全開にして驚き、アレーティアは口こそ開けなかったものの、瞼を全開にして驚いた。
「なぁぁにやってぇんですかぁ!!?何でいきなり腕切り落としてんですか!?」
「ひ、拾わなきゃ……!は、早くくっつけなきゃ……!!」
「……いや何慌てとるんじゃ?落ち着け」
「誰のせいだと思ってる!?」
「誰のせいだと思ってんですかぁ!?」
今尚切った腕の断面からドバドバ血を流しているにもかかわらず冷静すぎる卓弥に思わず怒声を上げてしまう2人。
しかし、この後の事態で2人は思わず口を噤んでしまう。
それはそうだろう………
……バシャ!
「「!?」」
……血溜まりから突然
飛び出した腕は卓弥の腕ではなく、紅い結晶のように輝く、魔物のような腕だった。
腕は地面を掴み、力を入れる。
すると、まるでプールから上がる人のように血溜まりから魔物の腕の持ち主の全身が出てくる。
『……■■■■■■■!!』
それは、まさに怪物だった。
カラスの嘴のような口を持ち、頭には鬼を思わせる捻れた角が生えていた。
背からは蝙蝠を思わせる翼が生えており、先程見えていた腕は、よく見ると両腕の五指がカマキリの鎌のようになっている。
脚はバッタを思わせる形状をしているが、足先はまるで蛙のような水掻きがついた形状をしており、臀部からはサメの尾鰭を思わせる形状の尾が生えていた。
しかし、血溜まりから出てくるのはそれだけではない。
頭が鰐、上半身がゴリラ、下半身が蛇の尾の形をしているものや、山羊の頭に鷲の翼、下半身が蛸の8本の腕になっているものなど。
どれも姿がバラバラ……しかし、この世の生き物とは思えない姿をした化け物達がウジャウジャと出てくる……!
「ご、ご主人、様……こ、これって……?」
「……"血盟獣"。我は、我が今まで喰らってきた生物の特徴を持つゴーレムを、我自身の血を原料にして創り出すことができるのじゃ」
「………す、すごい………」
呆然とする2人に、卓弥は左腕をジュバッ!と生やすように再生させながら説明する。
"血盟獣"
卓弥の血液を原料に誕生する、血の結晶でできたゴーレム。
どんな生物をベースにするか、どんな生物の特徴を追加するか、どんな固有魔法を持たせるかなど細かく調整できるが、今回は全員
……その数、およそ100体。
「とにかく、血盟獣100体を2人で全滅させることが、今回のお主らの特訓じゃ」
「……わかりました!こうなったら、パパッと終わらせちゃいましょ!」
「……ん!」
そう言い2人は配置に着く。
「……では始めるぞ?……よーい、始め!!」
「よっしゃあ!やりますよティアちゃん!」
「……でも、相手はどんな戦い方を……」
卓弥からの開戦の合図を聞き、やる気を出すルチア。
アレーティアは、血盟獣達がどんな攻撃をしてくるのかを疑問に思いながら血盟獣を見やる。
そして……
バサッ!
バッ!
飛行できる血盟獣は空中に飛び、陸上型の血盟獣はスクラムを組むかのように並び……
「「え?」」
ガパァ……!
全ての血盟獣が口を開き……
「「え?」」
キュイィィィィィ……!
開いた口部が発光を始め……
「「……ま、まさか………」」
ビイィィィィィィィィィ!!!
レーザーを吐き始めた。
「うわぁぁぁああああ!!?」
「んーー!!?」
ルチアはすぐさま走り出して、アレーティアはすぐ風属性魔法で飛翔し、レーザーの包囲網から逃れる。
しかし、血盟獣達はレーザーをルチアやアレーティアに向かって打ちまくる。
……そう、これこそが血盟獣達に与えられた共通の固有魔法"光口砲"。
簡単に説明すれば、『口からレーザー光線を吐ける』という固有魔法だ。
しかし、レーザーは直線にしか飛ばず、反動が強すぎてレーザーを放つ最中に、レーザーを放つ向きを変えることが出来ないという欠点がある。
卓弥がこの固有魔法を手に入れる際に捕食した魔物は『巨体を持ち、動きが鈍い分装甲が厚いトカゲ型の魔物』。
つまり、攻撃を受けることが前提な、防御な得意な魔物でなければ上手く扱えない固有魔法なのだ。
………たった1匹で戦うならば………
「1体だけで使ったら隙だらけな技でも、こんなふうに大量に並べて一斉に発射させるなら、欠点なんてないようなものじゃ」
「ふざけんなぁぁぁぁぁ!!こんな鬼畜ゲー用意するとか、血も涙もないんですかぁぁぁぁぁ!!あとどこ見て言ってんですかぁぁぁぁぁ!!!」
「んんんんん!!タクヤの鬼ぃ!悪魔ぁ!サディストぉ!」
ルチアは前回の特訓以上に鬼畜な特訓と、第4の壁(?)の方を見ながら話をして自分達を無視する卓弥に絶叫し、アレーティアも前にどこかで聞いたようなセリフを叫んでいた。
「……うぅ、やられっぱなしは………嫌!!」
そう言って、アレーティアはレーザーの雨が一瞬弱まった瞬間血盟獣達に向き合い……
「……"緋槍・百連"!」
自身の周囲に大量の"緋槍"を出現させる。
その数は100。
100の緋槍が空を舞う血盟獣に向かって放たれる。
血盟獣達がレーザーで緋槍を撃ち落とすが、"光口砲"の欠点が響き、打ち落とせたのは精々50本。
残り50の緋槍が血盟獣達に炸裂し、10体を灰塵に帰す。
一矢報いたとアレーティアはふん!と笑みを浮かべる。
……もっとも、空中にいる20体の血盟獣が自分だけを狙っていると気づいた途端、その笑みは一瞬で引き攣ったが。
20体が完全に自分を包囲し、逃げ場が完全になくなってしまった。
「……ちょっと待ってくれま 」
ビイィィィィィィィィィ!!!
アレーティアの言葉を完全に無視し、20本のレーザーが一斉にアレーティアを襲う。
「ティアちゃぁぁぁぁぁん!!」
……結果、アレーティアは頭をアフロにし、口から「けふっ!」と煙を吐きながら墜落。
それを血盟獣の1体が回収し、アレーティアを安全圏に避難させていった。
「くっそぉぉぉぉ!!ティアちゃんの仇ぃぃぃぃ!!絶対に許さねぇぇぇぇぇ!!」
そう言ってルチアは、"双黒銃"を懐にしまいつつ、右手中指に嵌っている"宝物庫"に魔力を注ぎ、電磁加速式機関砲"鋼ノ雨"を取り出す。
そして、弾切れなど知ったことかと血盟獣に対して掃射を始める。
ドゥルルルルルルルルルル!!!
電磁加速された弾丸は地上にいる血盟獣達は勿論、空中にいる血盟獣達も豆腐のように貫き、10、20、30とどんどん屠っていく。
「よーーし……!鋼ノ雨はそろそろ使えなくなりますが、ここまでくれば各個撃破でも 」
いける!そう言いたかったのだろうが………
ガシっ!
「ふぇ?」
突然両腕に、何かに掴まれたかのような感覚を感じた。
掴んでいるのは何かの腕で、よく見るとその腕はまるで血のような紅色をしている。
何が起こっているのかと後ろを振り向くと……
『……■■■』
まるで『やぁ♪』と言っているかのような鳴き声をあげる、人の上半身に背から蝶の翅を生やし、下半身は蛸の8本の腕になっており、足先が全て人の手の形になっている血盟獣の姿があった。
ルチアの両腕を掴んでいるのは、2本の蛸の腕だった。
「………後ろからは卑怯じゃありませ 」
ビイィィィィィィィィィ!!!
………そのあと何が合ったかは、まあ、お察しの通りです。
結果、初日のチャレンジで2人が撃破できたのは100体のうち45体……2人は全体の半数も削れず敗北したのだった。
そんな特訓が続き、10日後。
2人はいつものように100体の血盟獣と戦っていた。
……が、それは初日のものに比べると見違えるようなものだった。
ビイィィィィィィィィィ!!!
血盟獣達がレーザーを放つと……
「……"蒼天・三星"」
アレーティアが"蒼天"を
おまけに、アレーティアが今まで使えた蒼天は直径6、7m程の大きさだったのに対して、今の3つある蒼天はどれも直径10m程にも迫る大きさを誇っている。
それを血盟獣に向かって放つと、3つの蒼天はレーザーを飲み込みながら血盟獣達に向かって飛んでいき、射線上にいた血盟獣達を焼き滅ぼしてしまった。
アレーティアは、あの日の敗北から、今使っている魔法をとことん見直し、無駄に流れている魔力を効率よく扱えるようになっている。
今では、最上級魔法1つ扱うために消費する魔力は、以前最上級魔法を扱うために消費していた魔力の
もちろん成長したのはアレーティアだけではない。
蒼天を3発同時に放ち、100体いた血盟獣の約3分の1、およそ30体ほどを消し飛ばしたアレーティアの隙を狙って血盟獣が30体ほど襲い掛かる。
しかし………
ドパンッ!ドパンッ!
2発の銃声。
それと同時に
それを成したのはもちろんルチア。
ルチアもあれから己の技術を磨き続け、1発の銃声の間に6発の弾丸を撃つ技術"
そんなルチアを囲うように地上型の血盟獣達が迫る。
しかし、ルチアは慌てることなく魔力を宝物庫に流し、自分の腕に鋼ノ雨を、周囲に4つの箱を出現させる。
いや、箱に見えるそれは、ロケット&ミサイルランチャー"流星群"だ。
そして出現させた流星群を、ルチアは
この時のルチアの背には一つのバックパックがあった。
それこそが、自分の手数を少しでも増やすために作ったアーティファクト"蜘蛛ノ乙女"。
ルチアはその場で回転しながら鋼ノ雨から銃弾を吐き出し、流星群から大量のミサイル弾を発射する。
血盟獣達は銃弾に貫かれるかミサイルの爆撃で爆砕するかのどちらかの運命を辿ることになった。
この
始めたばかりの頃は半数も削れなかった血盟獣軍団も、今では十数分あれば壊滅できるぐらいにまで2人は成長した。
この結果には卓弥も満点を出し、血盟獣軍団との特訓は終わった。
特訓が終わった後の2人の感想は……
「「2度とやりたくない(です)。」」
……正直卓弥の特訓はやりたくないが、どうせ近いうちにまたやるんだろうなぁと予感する2人なのだった………
いかがだったでしょうか?
今回初めて出てきた卓弥の固有魔法"血盟獣"。
これは言わば原作でハジメが作った生体ゴーレム達の代わりを務める奴らです。
戦闘力もかなり高く、使い勝手が良いのでこれからもたくさん出てくると思います。(……まあ自分が出したいから出すんだけどね!)
今回の物語でルチアは『ハジメ以上の兵器力を持つ言わば移動要塞』。アレーティアは『最上級魔法1発分の魔力で最上級魔法を3発放つ魔法使い』をイメージしてキャラ強化を施しました。
これから出てくるヒロインも原作以上の強化を施すので、楽しみにしていてほしいです。