ありふれない捕食者は世界最強   作:ギアス

4 / 23
ギアスです。
第3話を始めたいと思います。
異世界最初の夜、錬成系天才美少女メイドルチアが仲間になり、とうとう訓練が始まる。
しかし、そんな中、卓弥の暗い過去が……?
まだ少数ですが、お気に入り登録をしてくださっている方や、感想を送ってくださった方がいてくれて、とても嬉しかったです。
この嬉しさをバネに、頑張っていきます。
それでは、第3話をどうぞ。


ステータス 垣間見る過去

翌日、早速訓練と座学が始まった。

まず、集まった生徒達に12cm×7cm位の銀色のプレートが配られた。

不思議そうに配られたプレートを見る生徒達。

卓弥もプレートに興味を示していたが、王国の騎士団長である『メルド・ロギンス』がそのプレートについて直々に説明を始めた。

 

「よし、全員に配り終わったな?このプレートは、『ステータスプレート』と呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

非常に気軽な喋り方をするメルド団長。

彼は豪放磊落な性格のようで、「これから戦友になろうってのに何時までも他人行儀に話せるか!」と、他の騎士団員達にも普通に接するように忠告するくらいだ。

そんな性格や態度で、卓弥もメルド団長に対しては好印象を抱いていた。

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」

「アーティファクト?」

 

アーティファクトと言う聞き慣れない単語に光輝が質問をする。

しかし、卓弥はルチアからアーティファクトについてちょろっと聞いていた。

現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことをアーティファクトと呼ぶらしい。

まだ、アーティファクトは、神やその眷属達が地上にいた神代に創られたとも言われているらしい。

 

「ステータスプレートもその一つでな、複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証明に便利だからな」

 

それらの説明に生徒達はなるほどと頷きつつ、顔を顰めながら指先に針を刺して、出て来た血を魔法陣に擦り付けると、魔法陣が一瞬淡く輝いた。

卓弥は特に戸惑うこともなく指を針で傷つけ、出てきた血を他と同じように魔法陣に擦り付ける。

すると、卓弥のステータスプレートも一瞬輝き、直後、ステータスプレートが、まるで虹を思わせる七色に変色した。

またもや興味深げに目を少し見開く卓弥。

他の生徒達も瞠目していた。

メルド団長曰く、プレートに自己の情報を登録すると、所有者の魔力色に合わせて染まるのだそうだ。

 

『……色の違いで身分証明とする、と言うわけか。我の色は……虹色?随分と仰々しい色じゃな』

 

卓弥は周囲にも視線を巡らせる。

他の生徒達も自分のステータスプレートの色をマジマジと見つめていた。

確認できただけでも、光輝は純白、龍太郎は深緑色、香織は白菫、雫は瑠璃色だった。

それらを見て、『あの光輝(阿呆)は頭ん中真っ白じゃからお似合いじゃな』とか、『龍太郎もその色のような冷静さがあればなぁ』とか結構酷い事を考えていると…

 

「あー、珍しいのは分かるが、しっかり内容も確認してくれよ」

 

苦笑いしたメルド団長がステータスプレートの確認を促す。

他の生徒がハッとしながら確認していく中、卓弥もステータスプレートに視線を落とし………

 

「………!?」

 

………背筋が凍る感覚を感じた。

卓弥のステータスプレートには………

 

 

天喰卓弥 17歳 男 レベル:1

天職:捕食者

筋力:800000

体力:2000000

耐性:1600000

敏捷:10000000

魔力:∞

魔耐:100000000

技能:捕食[+胃酸強化][+毒無効]・捕食再現[+哺乳類再現][+鳥類再現][+魚介類再現][+爬虫類再現][+両生類再現][+昆虫再現][+魔物再現][+固有魔法模倣][+植物再現][+無機物再現][+肉体負担低下]・魔力操作・気配操作[+気配察知][+気配遮断]・全属性適正・複合魔法・永久魔力機関[+魔力吸収][+魔力譲渡]・言語理解

 

 

こう記されていたのだ。

いくら神によって召喚された、トータスよりも上位な人間だとしても、このステータスは異常すぎる。

卓弥は、この記述の中でも、"捕食"と"永久魔力機関"と言う記述を目にすると、目を細め始める。

……まるで、見たくなかったものを直視させられたかのように。

とても悲しい『ナニか』を見せつけられたかのように………

 

 

 

 

 

『兄ちゃん、おはよう!ご飯食べよう!』

 

ーあぁ、わかった。今行くからちょっと待ってろ。

 

4人の男の子に引っ張られて、食卓につく自分………

 

 

 

 

 

『お兄、早く髪結ってよ』

 

ーわかったわかった。相変わらず甘えん坊なんだから。

 

1人の少女の髪を結い始めると、他の3人の少女達もやって欲しそうに自分を見つめてくる………

 

 

………そして………

 

 

 

 

『お兄ちゃん!』

『お兄!』

『兄ちゃん!』

 

『誕生日おめでとう!!』

 

……今まで出てきた8人の男女がそう言いながら自分を祝い、自分は白いホールケーキに立った蝋燭を吹き消して………

 

 

 

 

 

「ご主人様?」

 

ハッと気がつくと、いつのまにかそこにいたのか、ルチアが自分の近くにいた。

ルチアは卓弥の事をとても心配そうに見つめていた。

一体どれだけ時間が経ったのかと卓弥は辺りを見回すが、特に変化はない。

どうやら随分と深く考え込んでしまったようだ。

 

「全員見られたか?説明するぞ?まず、最初に"レベル"があるだろう?それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルとは、その人間が到達できる領域の現在値を示しているというわけだ。レベル100ということは、自分の潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない」

 

どうやらゲームのように、『レベルが上がるからステータスが上がる』という訳ではなく、『ステータスの上限値のどの位置にいるかがレベルとして表示される』ようである。

 

「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だぞ!」

 

どうやらゲームのように魔物を倒したりするだけでステータスが上昇する訳ではないようだ。

 

「次に"天職"ってのがあるだろう?それは言うなれば"才能"だ。末尾にある"技能"と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」

 

卓弥はステータスプレートの天職"捕食者"を見る。

見たところで、いったいどういう意味かまるでわからない天職。

だが、卓弥はそれがなんなのかわかっていた。

………わかって、しまっていた。

 

「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな!全く羨ましい限りだ!あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

 

そう言われると、生徒達はキャッキャと楽しそうにしながら、誰が最初に見せるのかを話し合っていた。

卓弥はそんな彼らのことを無視し、ルチアに話しかける。

 

「ルチア、お主もステータスプレートを持っておるのか?」

「モチのロン!ステータスプレートは基本どんなところでも必要になってくるからね〜。あ、私のステータス見たいの?いや〜一応個人情報だしさ〜もしかしたら私の恥ずかしいあ〜んなことやこ〜んなことが」

「頭割られたくなければさっさと見せい。」

「はいりょーかいであります!どうぞ!」

 

茶化し始めるルチアを脅し、卓弥はルチアのステータスプレートを見る。

 

 

ルチア 17歳 女 レベル20

天職:錬成師

筋力:80

体力:95

耐性:70

敏捷:100

魔力:500

魔耐:500

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成][+圧縮錬成]・高速魔力回復[+瞑想]

 

「どうどう?チルチルちゃんのステータス!錬成師としては王国直属の鍛治職人よりもずっと上なんだぜい☆まあ、それ以外は魔法も使えないから貧弱なんだけど。あ、ちなみに[]で+〇〇ってなってるのは派生技能って言って、一つの技能を極めると新しく手に入る後天的な技能なんだよ。まあ、この年でこんだけ派生技能があるのは私が天才だからだね☆………それと、オルクスの名前が表に出ないよう細工も施してるんだ。バレたら色々とめんどいからね」

「………」

 

『……いや、これ使えるのでは?』

 

ルチアの技能を見て、卓弥は一つ閃く。

ルチアの"錬成"の技能を駆使すれば、もしかすれば()()を作れるのでは……?

 

「それより、ご主人様のステータスはどうなんですか?」

「む?あ、あぁ。そうだな…」

 

そう言いながら、卓弥は周囲にバレないよう、ステータスプレートに()()()()()()()

その後、卓弥はルチアに対して、

 

「ほら、これが我のじゃ」

 

と言い、ステータスプレートを見せた。

 

 

天喰卓弥 17歳 男 レベル:1

天職:捕食者

筋力:90

体力:120

耐性:60

敏捷:80

魔力:100

魔耐:100

技能:捕食・気配操作・全属性適性・複合魔法・高速魔力回復・言語理解

 

 

「おお〜。レベル1にしては高めですねぇ。"捕食者"?ていう天職はちょっとわかんないですけど」

「ああ……そう、じゃな」

 

なんと、卓弥はステータスプレートに細工を施したのだ。

トータスに来たのは今回が初めてのはず。

にもかかわらず、卓弥は魔力を…魔法を扱うことができるのだ。

しかし、それを問い詰めることができる人間はこの場にはいない……

 

とそのとき、生徒達がおぉっ!とざわめきたつ。

何事かと卓弥とルチアが視線を向けると、目に入ったのは、光輝がメルド団長にステータスを報告しているところだった。

光輝のステータスは……

 

 

天之河光輝 17歳 男 レベル:1

天職:勇者

筋力:100

体力:100

耐性:100

敏捷:100

魔力:100

魔耐:100

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

 

 

……卓弥本来のステータスには遠く及ばないが、偽装したステータスとはほぼ互角なステータスだった。

 

「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に三桁か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め!頼もしい限りだ!」

 

「いや~、あはは……」

 

メルド団長の称賛に照れたように頭を掻く天之河。

ちなみにメルド団長のレベルは62でステータス平均は300前後。

この世界でもトップレベルの強さらしい。

それから次々と生徒達がステータスを見せていくが、卓弥は勿論、光輝にも及ばないが全員チートだった。

そして卓弥もステータスを報告する。

 

「おおっ!?100越えが3つ、技能もかなりあるな!しかし"捕食者"?"捕食"という技能も見覚えがないし……すまん坊主。お前に対しては良い訓練を組めるかわからないな」

「そうか、まあ別に構わん。我はこやつらとは別に適当に鍛錬を積む。気になった時に様子を見に来てくれればそれで良い」

「そ、そうか……すまんな」

「謝るな。そう言われるのは予想がついてたからな」

 

そう言いながら、ルチアのところに戻ろうとする卓弥。

しかし、ここでも空気を読めない男が介入する。

 

「おい天喰!俺たちと別に訓練だと!?そんなことを言って、訓練をサボるつもりだろう!!戦争に参加しないつもりか!?」

 

そう言われると、卓弥は溜息を吐きながら、光輝に振り返り、言い放つ。

 

「何を馬鹿言っておる?我は戦争に参加することは反対じゃ。戦争をしたいなら、お主らで勝手にすれば良い」

「何を言ってるんだ!お前は俺と同じぐらい強いんだろ!?だったらその力を、正しいことのために使うべきだろ!?」

「『正しいこと』?なんじゃそれは?そんな薄っぺらいことのために我が命をかけると思っとるんなら大間違いじゃぞ。それに、我はこれからルチアを鍛えねばいかんのじゃからな。これで失礼するぞ」

 

その後も何か言いたそうな光輝を放って卓弥はルチアのところに行く。

 

「さてルチア、早速特訓を……と言いたいところじゃが、いまいち王国(ここ)のことをよくわかっておらん。案内を頼めるか?」

「はーい!このチルチルちゃんにお任せあれ!では早速、王立図書館からご案内(あんな〜い)♪」

 

そう言いながら、ルチアは卓弥の手を引いて連れて行ってしまう。

そんな姿を見て、何かを言おうとしていた光輝も、他の生徒達も、愛子先生もフリーズしてしまう。

しかし、愛子先生は先生としての責務を果たすためか、すぐ再起動し、メルド団長に詰め寄る。

 

「メ、メメメ、メルドさん!?どどどどど、どういうことですか!?なななんで天喰くんが、あのメイドさんと仲良さげに!?」

「ん?ああ、そういえば伝えてなかったな。あのメイドはルチアっていって、ルチアは昨日のうちに王宮のメイドを辞めて坊主直属のメイドになったみたいでな。いやぁ〜若いって羨ましくなるな!」

 

そしてハッハッハッ!と愉快そうに笑っていたが、愛子先生が『あの天喰くんが女の子に……』と異世界にきて変わった(?)卓弥のことが少し心配になってしまった。

そして、メルド団長の言葉を聞いて、苦労人気質のオカン系剣士雫は『これはヤバい』と体を震わせながら、親友の方を見る。

雫の親友…白崎香織は、卓弥のことが大好きなのだ。

それなのに、目の前で想い人が別の女性に連れて行かれてしまった。

そんなところを目撃してしまったら………

 

「か、香織。落ち着い………」

 

そう言いながら香織を見たが、途中で言葉を止めてしまった。

それは香織がとてつもない嫉妬………ではなく、慈愛深い雰囲気を纏い、まるでとても嬉しそうな視線を2人の後ろ姿に……特に卓弥に向けていたからだ。

雫にはどういうことかまるで理解できなかったが、これだけは理解できる。

香織が、卓弥とルチアが一緒にいることに嬉しさを感じているということに………




第三話、完!
今回も長くなってしまいましたが、いかがだったでしょうか。
一度書くと決めたら、短くまとめるのがとても難しいですね!(汗
さて、今回は卓弥やルチアのステータス、そして卓弥の過去を少し書きました。
「今回出てきた子供達は誰?」「卓弥がいた孤児院の子供達?」と思った人もいるでしょう。
それに、卓弥が魔力を使用したことに驚いた人もいるでしょう。
誤解させないように伝えます。
あの子供達は孤児院の子供達ではありません!
それに加えて、卓弥はトータスに来る前、つまり地球にいた時点で魔法を使えます!
一体どういうことなのか、これからの物語で詳しく説明していくので期待していてください。
次回は卓弥軍曹によるルチアの特訓、そして、未だ名前が出ていない小悪党組とのやりとりを書きたいと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。