** 白と紅 **
モニターの前に立つと、
『ポチッ。』
当然のように、煙管でスイッチを押す。
直後…。
正面のモニターにナナリーが映り、
『ブォン。』
他のモニターも決められたデータを表示した。
その数値を見ながら、
「気分が悪くなったり、体がしんどいとか無いかい?」
モニターのナナリーに話かける。
自分の体に、
「えっと…。」
聞き、
「大丈夫です。」
答えるナナリー。
煙管を左から、
「まっ、今回はテストって事で…。」
右へと咥え直し、
「神経ダイレクトリンクの設定値は低目に抑えてるからね…。」
状況説明した。
会話の一瞬の間に、
「それにしても、よくこんな事を思い付きましたね。ナナリーさん。」
上手く割り込むセシル。
当然、人間とナイトメアフレームをダイレクトに神経と繋ぐシステムの事を言っている。
浮かべた笑顔に、
「あら?」
笑っていない、
「私が思い付くぐらいですから、皆さんも発想はあったのでは?」
両の眼は、
「人道的開発を戦闘用に使用しない…。」
見透かしていると、
「判ってますよ。」
雄弁に語っていた。
バレていたと、それぞれが…。
左の口角を、
「流石…。」
上げるラクシャータ。
手で目を、
「あちゃぁ…。」
覆うロイド。
手で口を、
「おほほ…。」
覆うセシル。
それぞれの反応で、白状した。
モニターに映る三人の反応を楽しみ、
「では、次のテストに移りますね。」
ナイトメアフレームを歩かせる。
そのまま暫く移動し、カタパルトに両の脚を乗せる。
直後…。
見開いた目に、
「あっ!」
声を上げるナナリー。
そこ声が、完全な不意打ちとなり…。
釣られ目を、
「どうしたんだい?」
見開くラクシャータ。
首を左右に振り、
「なに、なに…。」
周囲を確認するロイド。
モニターに顔を、
「どうかされましたか?」
押し付ける勢いで近付けるセシル。
三人三様の反応だが、全員が驚いたのは間違いなかった。
モニター越しに、
「そう言えば…。」
ナナリーは三人に、
「このナイトメアフレームの名前は何ですか?」
疑問を投げかける。
今度は、
「あっ…。」
「あっ…。」
「あっ…。」
反応が揃った三人。
煙管を右手で、
「そういやぁ、無かったね。」
遊ばせるラクシャータ。
言われ、
「そうでしたね。」
今、気付いたとセシル。
笑いながら、
「そだね。」
答えるロイド。
不意に、
「そうだ!」
上げた声は、
「この際だから、ナナリー君に決めてもらうのはどうかな?」
思い付いた証であった。
ロイドに、
「ロイドさん…。」
向き直ると、
「偶(たま)には、良いこと言いますね…。」
本音が口から溢れるセシル。
それは見事に、
「偶には、余計だよ!」
ロイドを捉える言葉だった。
横から、
「いや、偶にだよ。」
からかう様に、
「いつも、余計な事しか言わないからね。」
割り込むラクシャータ。
負けじと、
「そんな事言ったら!」
反撃に、
「君だって!」
出るロイド。
そして…。
いつものアレを、
「あたしが何だって!」
始めるラクシャータ。
その横で、モニターに向うセシルの、
「ナナリーさん、お願いします。」
二人の掛け合い漫才のスルースキルは、達人の域だった。
少し上目遣いで、
「えっ…。」
右人指を唇に、
「…と。」
軽く当てる。
そのまま、ラクシャータとロイドの掛け合い漫才をBGMに考え込む…。
唇から指を離し、
「では…。」
思い付いたと合図。
合わせる様に、いつの間にかラクシャータとロイドは静かになっていた。
ゆっくりと、
「気高き騎士のランスロットの白に…。」
静かに、
「鬼神の如き荒々しい紅蓮の姿の…。」
だが、
「このナイトメアフレームの名前は…。」
情熱的に、
「白蓮(びゃくれん)…。」
小さく可憐な口が、
「で、いいかでしょう。」
名付けた。
煙管の先端が、
「良いね。」
上がる程に噛むラクシャータ。
諸手を挙げて、
「このナイトメアフレームにピッタリな名前だね。」
喜ぶロイド。
コントロールパネルに向い、
「では…。」
キーを叩き、
「登録しました。」
名称を打ち込むセシル。
モニターに、
「名前も決まりましたし…。」
向き直ると、
「改めまてし…。」
三人に向い、
「テスト出撃しますわ。」
宣言した。
違和感…。
それは、開発者としての勘であった。
多くのパイロットを見て培(つち)われたものである。
それが、念押しとなり、
「あくまでもテストだからね。」
口から出るラクシャータ。
音が出る程の、
『ニコリ。』
笑顔で、
「解っていますよ。」
ゆっくりと、
「テストですから…。」
にこやかに、
「しっかりと限界を引き出して、壊れるまでやってきます。」
答える。
その返答に…。
思わず、
「あん?」
素が出たラクシャータ。
意表を、
「はいぃ?」
突かれたロイド。
両の手の平で、
「まぁ!」
口を隠すセシル。
そんな三人の、
「本番で壊れたら困るじゃないですか。」
反応を楽しみながら、
「ナナリー…。」
スロットルを、
「白蓮………。」
きっちりと全開にする。
不意に、
「思い出したよ…。」
口を開くロイド。
返すのは、
「何をだい?」
いつもの相方ラクシャータ。
モニター越しの、
「ナナリーの母上のマリアンヌ様ってさ…。」
ナナリーを、
「超が付くほどの凄腕のパイロットだったんだよ…。」
見つめながら、
「ラウンズのナイト・オブ・1(ワン)にも引けを取らなかったとか…。」
思い出した事を口にするロイド。
自分の違和感に、
「なるほどね…。」
合点がいったラクシャータであった。
声と、
「出ます!」
同時に、
『ギュォォォォォ!』
軛(くびき)から解き放たれる白蓮。
そして…。
光の尾だけが残像となり、機体がここに居たと証明する。
それを見て、
「僕たちは、とんでもないものを目覚めさせたんじゃないのかな…。」
自分たちに問い掛けたロイド。
煙管を、
『ぷっはー。』
一吹かし、
「さあ。」
他人事の様なラクシャータ。
お手本の様な、
「ハハハッ」
乾いた笑いのセシル。
そんなやり取り等はつゆ知らずか…。
遥か遠くの空に光の線で描かれる幾何学模様は、無邪気で楽しげであった。
ナナリーのパイロットとしての目覚め…。
それは、今だ成し得ぬ平和への願い(ギアス)が生み出した希望なのかも知れない…。
だが…。
その答は、未来のみが知っている。
~ 終 ~
読んでいただきありがとう御座います。
また、くだらないネタを書いてです(笑)
そのうちに書こうと思っていたストーリーなのですが…。
再放送でオープニングとエンディングの曲が新しくなりテンションも上がって…。
書く順番も上がり…。
書きてたのを何個か飛ばしてしまいました(笑)
まあ、その前に書いてたのも、途中止めのが多いですが(笑)
マリアンヌ様のナイトメアフレームの操縦の腕前は、ナイト・オブ・ワンがギアスを使う程だったとか…。
じゃあ、その遺伝子は受け継がれなかった?
ルルーシュは、父親の遺伝子を強く受け継いでるみたいだ…。
だったら、ナナリーが受け継いたに違いない!
って、思い付いたネタでした。
がぁぁぁぁぁ!
それは勘違いでもありました(笑)
私は『閃光のマリアンヌ』は、ナイトメアフレームのパイロットしての異名だと思っていたのですが…。
本編で『閃く』『考え』で『閃考のマリアンヌ』と記した方が正しいのでは?
って、シーンを再放送で改めて見て思い出し、単なる私の思い込みだったと(笑)
これで、前に書いてたものに戻れる…。
ハズなのですが…。
思い付いたら、また飛ばして書くかも(笑)
また、くだらないネタを書いてますので機界戦隊…。
とりあえずボケとこう(笑)
機会あれば読んでやってください。