SASUKE逆行伝   作:koko22

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※縁(えにし)とお読みください。
※今回は少し短いです。すみません(汗)


13.縁

 

 ナルトと再会して一ヶ月。

 サスケは再びかのスーパーへ来ていた。

 

 本当は二度と行くものかとさえ思っていたサスケではあるが、里内スーパー巡りの結果、こと卵や乳製品に関してはここが最も安かったのだ。

 衣服を始めとし、生活用品を整えるには存外お金がかかる。月末に近づき痩せ細ってきたガマちゃん財布と睨めっこの末、サスケはやむを得ず、再びここへ足を踏み入れたのだった。

 

 

(卵がパック10両……やはり安いな。肉はまずまずだが特売に期待できるか)

 

 

 もうじき夕方のセールがあると店員から情報を得ながらも、その時間を確認したサスケは遅くなるかと諦めた。

 オマケで一足先に入学しているナルトが、そろそろアカデミーから帰ってくる頃だ。どこに行ってたのかと煩くなるだろうし、馬鹿正直にこのスーパーとは答えにくい。

 

 店内を見て回りながら幾つかをカゴに入れ、早く戻るべく列のできているレジへと向かう。

 そうして急いでいたのが災いしたのか、すれ違った買い物籠がぶつかり合った。

 無論、避けることは出来たものの、その思いがけない人物を視認する方が早く、動揺してしまったのは忍として情けない限りだ。

 

 

「……すまない」

「いえ、私もちゃんと見てな……っ、あなたは……」

 

 

 顔が強張っているのがわかる。彼女も顔が引きつっていた。

 彼女は前にこのスーパーに来た折り、一緒にきていたナルトと一悶着を起こした妊婦だ。あの頬を張る音、吊り上がった眦が蘇る。

 まだ一ヶ月、互いに記憶はしっかり残っているようで微妙な気分だった。

 

 

「大丈夫か?」

「え、ええ。私も前を見ていなかったから……」

 

 

 二人して押し黙る。

 何とも居心地が悪くなり、じゃあとその場を離れようとすると、何故か待ってと引き止められた。

 

 

「あの………私ね、明後日に入院することになったの。ああ、病気とかじゃないわ、そんな顔しないで。この子が産まれるのよ」

 

 

 入院は入院でも、出産入院。咄嗟に感じた不安は幾分か和らいだ。

 しかし、何せ出産は命懸け。娘や孫が産まれてきた時のことを思い出す。

 何も出来ず、妻や娘の苦しむ声を聴くだけというのは堪えたが、病室に入れた時には既に穏やかな表情で赤子を抱きしめていた。それを見て、改めて女性の強さを実感したものだった。

 

 

「そうか……おめでとう」

「ふふ、まだ早いわ。無事に産まれてくれるといいのだけれど」

 

 

 優しくお腹を撫でるその顔は、既に母親のものだった。ナルトに対しての態度はともかく、その眼差しは決して嫌いじゃない。

 目を細めて見守っていると、撫でてみる?と声を掛けられた。

 

 

「いいのか?」

「ええ、どうぞ」

 

 

 恐る恐る伸ばす手が、少し震える。

 これが初めてではないが、いつだってこの掌の下に生命があるのだと思うと、壊れてしまいそうで怖くなる。いくつもの命を奪ってきた手だからこそ尚更だ。

 

 そんな不安を払拭するように、ドン、と強い衝撃が腹に当てた手から伝わってきた。それを感じてようやく肩の力が抜けた。

 

 

「強い蹴りだな。元気そうだ」

「男の子でね、やんちゃ坊主なのよ」

「男ならそれくらいで丁度いいんじゃないか?最初は大変だろうが、その内落ち着く」

「まぁ。まるで育てたことがあるみたいな言い方ね」

 

 

 クスクスと笑う女性だが、実際のところ少しだけある。

 娘も妻に任せきりにしていた駄目な父親だが、娘の子供、要は孫が生まれた時里に戻り、日中少しばかり面倒を見ていたことがあった。

 

 サラダは長年の夢が叶って火影となったばかり、ボルトもその補佐で当然忙しい。

 更に、サクラとナルトは既に亡く、ヒナタは日向家当主。長子が跡目を継ぐ決まりを破って、ヒマワリが当主になるとかでお家問題により色々揉めていた為、サスケにお鉢が回ってきたというわけだ。

 

 愛娘と愛弟子二人の影分身に追いかけられ、何度断り逃げても、諦めねぇど根性もとい無駄な諦めの悪さで粘られては降参するしかなかった。

 恐らく、いや絶対にあれはサクラとナルトの血だと断言できる。

 

 

「……。やんちゃも程々にな。親を困らせてやるなよ」

「?何か言った?」

「………いや、何でもない」

 

 

 若干遠い目で過去を回想して、苦笑いを噛み殺す。

 怪訝そうな彼女を誤魔化したサスケは、頑張れよ、と最後にもう一度その腹を一撫でした。

 

 

「そろそろ俺は帰る。アンタも身重の身体だ、気をつけろ」

 

 

 ついつい話し込んでしまったが、もうナルトが帰ってきている筈だ。

 いざ帰ろうと足を反対側へ向けたのだが、細く、それでもサスケより大きな手に引き留められた。

 

 

「私の病室は108号室よ。予定日は一週間後。………赤ちゃんのこと、見に来てちょうだい」

 

 

───あの子も、もし良ければ。

 

 

 潜められた声は、しっかりとサスケの耳に届いていた。

 そして、あの日のサスケの言葉もまた、彼女に届いていたのだろう。

 

 

「あの時は……ごめんなさい、酷い事を言ったわ。それから、教えてくれてありがとう」

 

 

 そう言って去っていく彼女は、どこかすっきりしたような、晴れやかな顔をしていた。

 もうとっくに帰ってきているだろうナルトには、いったい何と話そうか。少し不安そうにしながらも、きっと瞳を輝かせて喜ぶだろう。

 

 セールで手に入れた鶏肉をカゴに入れ、レジへ向かう足取りはどこか軽く感じた。

 

 以降、このスーパーに小さな常連客が増えたそうな。




ちなみに夕食は親子丼でした。

今回、本編が短いのでおまけを置いておきます。ダークな裏設定です。
【最初予定していた原作終了後】⚠BORUTO未読、未来捏造⚠


キンシキ、モモシキの襲撃から10年後、各国で同時クーデターが起きた。
これまでの忍システムでは賞金首制度があった。他国の高名な忍を、戦力を削ぐために抜け忍やゴロツキを利用して始末させるというもの。(カカシやアスマ等も賞金首の一人)
賞金首制度は暁を始め、鷹や音忍といった後ろ暗い者たちの収入源だった。そしてそれに関わる者も数しれず、闇に身を置く者たちにとって重要な市場を展開していた。

しかし、五大国同盟が結ばれたことで、依頼もめっきり減り、戦争もなくなり職にあぶれる者が続出した。また、戦闘職である忍として、争いのない世界を受け入れられなかった者もいる。そうした者たちが密かにクーデターを目論む。

※ナルト達もそうした組織のことは把握していたが、楽観的に捉えており、他職の斡旋や抜け忍が戻れるようにと対策しただけで重くは考えていなかった。数もそれほど多くなかったというのもある。

サラダがボルトとの子供を出産して数日後、クーデター発生。
そのクーデターには、カタスケによる傀儡兵士(科学忍術の発明者。映画BORUTOを参照。その後科学忍術開発は禁止され降格されたことに不満を持っており組織で開発を進めていた。それによって生み出された忍術を使う傀儡。チャクラ糸は必要なく、プログラムによって動く)や、争いのない世界では疎ましく更に恐れられるようになった血継限界持ち、忍界大戦で家族を失い無罪放免になったうちはを恨む者なども含まれ、長く争いから離れていたこともあって里は劣勢だった。
しかし、ナルトやサスケ、サクラ、ボルト、サラダといった者たちが尽力し里は盛り返す。


ところが、追い込まれた者たちは余裕を崩さず、ある時ナルトが罠にかかり一時消息不明となる。
その数日後、木の葉が襲撃され、それを先導していたのはナルトだった。(幼い頃差別されていたのに、掌を返したように讃える里に闇を抱いたと黒ナルトは言う)

戦場でナルトとサスケは拳を交わし、精神世界で本来のナルトと接触したサスケは、ナルトが別天神をかけられていた事を知る。

ダンゾウの持っていたそれは爆発によって吹き飛んだかに思えたが、オビトがその細胞を取っておき、それを反乱軍が再生させた。成功したのは一つだけで、一回しか使用不可。
※何故今になってクーデターなどをしたかというと、タイムラグのある別天神が使えるようになるのを待っていたから。


精神世界で止めてくれと泣くナルトを見て、葛藤の末にサスケは自らの手でナルトの胸を貫いた。ナルトを封印などで止めるにも、あまりにナルトが封印術に長けており出来なかった。※うずまき家は封印術に長けるものが多い。
九尾は操られておらず、ナルトの思いを理解していたので、黒ナルトに力を貸さずサスケに協力した。ナルトが死ぬと同時に九尾も消滅を選んだ。

ナルトは持ち前の生命力で胸を貫かれてもまだ生きており、冷たくなっていく身体を背負ってサスケは行く先々で治療を試みる。だが、黒ナルトは既に甚大な被害を出しており、治療を断られてしまう。
そんな時サクラの顔が浮かび、彼女ならばと一筋の希望を抱き、自身も深手を負いつつ砂漠を越える。

チャクラも切れ倒れそうになりながら、ナルトの血にまみれながらも休みなく歩いていると、ナルトが”ありがとう”と呟いた気がした。いっそ、恨んでくれたならとサスケは泣いた。泣きながら歩き続けた。
心身共にボロボロになりながらようやく木の葉に帰った時には、ナルトはもう事切れていた。

更に、サスケがナルトに勝ったという話を反乱軍は知り、サスケが木の葉に着く少し前に木の葉へ最後の大規模な襲撃があり、生まれて間もない孫が巻き込まれ死亡。
孫を助けるため、チヨばあが我愛羅を生き返らせた術を使い、サクラが生命を引き換えに孫を生き返らせる。
(当然サスケは反対したが押し切られ、『私達の代わりに守って』と言い置いてサクラは死ぬ。雨が降りしきる中、再び息を吹き返して泣く孫を抱えながらサスケも慟哭した)
※サスケの輪廻転生の術はナルトとの戦いで瞳力を使い果たしていた為使えなかった。


全てが終わると、サスケはナルトを殺した”英雄”として祭り上げられる。
混乱の最中、復興の旗頭としてシカマルに頼みこまれ火影となるが、かつてとは逆の状況に苦しみ、ヒナタに泣かれ、状況も落ち着いた一年後サスケは火影の座を木ノ葉丸に渡しそのまま里を出た。
周囲には旅に出たと伝えられ、抜け忍とはされてない。

数年後、音沙汰のなかったサスケの目撃情報が入る。それを頼りにサラダとボルトが影分身を使いサスケを見つけた。
死を望みながらもサクラの遺言故に苦しむサスケに危機感を抱き、二人は粘りに粘って、孫の世話を名目に里に連れ帰る。

里はすっかり復興し、火影を継いだサラダの手腕によってより発展を遂げていた。
皮肉にもクーデターにより有効性が認められた科学忍術も公に使用されるようになり、国を守るのは傀儡兵士。アカデミーはもうなかった。
※ナルトとの戦いの影響で世界からチャクラが大幅に減った。チャクラ持ちの大幅な出生率低下、忍術の威力低下があった。また、大名の依頼に頼らずとも里の経済が回るようになったこと、我が子を戦いの場に出したくない親が増えたことが背景にある。
昔の面影は顔岩のみで、戸惑いながらもサスケはサラダ達と暮らし始める。

孫の世話を焼いている内に心は徐々に癒やされていき、皆の代わりに里を見守ることを決意した。
時が過ぎ、サラダやボルトを看取り、孫が大人になり、曾孫が生まれ。
全てを見届け、サスケはこの世を去る。


そして、逆行した。


そんなダークな裏設定があったんですけど、ちょっとダークすぎるので、ナルトは九尾の暴走が晩年現れて、サクラは病気で(贖罪の旅の途中、死に目には会えていない)……としました。
え、それもダーク?いやまさか。ここじゃダークの内に入りません。今後、もっとやばい展開になりますので、皆さま心のご準備をよろしくお願いします(⁠・⁠∀⁠・⁠)
最後はハッピーエンドを目指します。最後はね。
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