SASUKE逆行伝   作:koko22

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27.一次試験

 

 

 サイと別れた後、音の忍が襲いかかって来る……なんてこともなく、試験官である森乃イビキの登場と共に第一試験、ペーパーテストが開始された。

 

 

ルール1、各自持ち点は10点。

ルール2、チーム戦。合計点数で判断される。

ルール3、カンニング1回につき2点の減点。

ルール4、持ち点を全て失った者、及び正解数0だった者の所属する班は全員道連れ不合格。

 

 

 これは情報収集戦。カンニングありきの試験だ。

 答えを知るターゲットは二人。中忍ともなればチャクラの質でわかる。

 斜め前方、四列前に一人。そしてもう一人は同じ列、右側五人を挟んだ席についている。

 

 試験内容は変わっていないようだが、百年以上前の答えなんぞ覚えてる訳もない。里抜け後も大蛇丸からある程度知識は与えられたものの、こういった勉強らしい勉強は記憶の彼方だった。

 数問ならともかく、全問自力でというのは難しいだろう。

 

 さて、どうしたものか。

 前は写輪眼を使いカンニングをしたが、今は使う訳にはいかない。

 特にダンゾウの元にいるサイ、奴に気取られでもすれば最悪だ。暗部に入れられるか眼を抜かれるか……いずれにしても良いことは何もないだろう。

 

 あるいは、白紙で提出という手もある。だが、それでは情報収集能力がないと自ら告白するようなもの。テストの意図を知る身としては、そんな真似は出来なかった。

 

 さて、ではどうしたものか。

 一周回って再び同じことを思う。写輪眼は随分便利な能力だったんだな、と今更ながら実感した。

 

 しかし、手が無いわけじゃない。例えば幻術。やや目立つことにはなるものの、音を使ってターゲットに幻術をかけて聞き出す手もあるが。

 

 ふと、サスケは机に視線を落とした。

 あるのは、テスト用紙、そして鋭く先の削られた鉛筆だ。

 

 

(柔らかい……炭素が多いな……)

 

 

 試しにテスト用紙の隅に線を引けば、濃く、くっきりとした黒が走る。そこに、ごくごく微量の雷遁、マイナスの電荷を送ってみた。

 ほんの一瞬、その部分が反応を示す。火事になっても困るためそれほど強い雷遁は流していない。だからパチリと光ることはなかったが、チャクラがその部分にのみ流れるのを感じた。

 その部分だけ、雷遁の、電荷の流れが微妙に違うのだ。

 

 

────これでいくか。

 

 

 サスケはニィと口角を上げた。

 

 

 

 

 

 数十分後。サスケの前にある回答欄は、十問目を除く全てが埋め尽くされていた。

 

 一言で言うならば、通電性の違いを利用したと言える。

 一般的に物体には、電気を通す導体、通しにくい絶縁体、その中間の半導体というのがある。

 電気を通す導体は有名なのは銅や銀、金を始めとした金属、そしてあとは黒鉛など。

 ちなみに、同じ炭素から出来ていてもダイヤモンドなどは自由電子がどうとかで絶縁体となるらしい。中でも、炭素の多く含まれる黒鉛は抵抗が低い為通電性は高いという。

 

 そして、絶縁体。これはゴムやプラスチックや木、そして木を原料としたパルプから作られた紙、それから空気などが該当する。

 

 しかし。絶縁体は電気を通しにくいからこそ、帯電しやすい。つまり、電荷が逃げることが出来ないままプラスやマイナスに傾いた状態で蓄積される。

 そうして蓄積された電荷は、導体が近づけばそちらに流れる。

 

 そんな性質を利用したのだ。雷遁を使って机に電荷を帯びさせる。あとは自然に情報源の黒鉛に反応するから、その流れをなぞればいい。

 細かな字を感じ取るのは骨が折れたが、そのうちコツが掴めてきたようで全ての解答を写すことが出来た。

 

 雷遁を使う者としてそのあたりの知識はしっかりと記憶にある。それが功を奏したといったところか。

 

 

 俺の方はこれで終わり、十問目の答えなど既に決まっている。

 しかし、この試験はチーム戦……自分一人だけが受かればいいというものじゃない。

 

 

(情報収集能力はともかく、サクラは大丈夫だろう。問題はナルトだな)

 

 

 ナルトは斜め前方に位置する席で、先程からうんうん唸っている。アカデミーの座学すら壊滅的なのだから、サクラのように自力で解けというのは不可能な話だ。

 

 大丈夫だろうかと不安が頭をもたげる。以前のあいつは俺たちのことなど全く考えず、自分の信念を貫く馬鹿だった。だからこそ、白紙で試験をクリア出来たのだ。

しかし今回はどうだろう。

 前よりも七班の絆は強く、深くなっている。ただの馬鹿でもなくなった。もしかすると、この試験の意図にも気づいているかもしれない。

 他のメンバーが手を貸すのは可、ならば俺が何とかナルトに答えを渡せればいいのだが、どうしたものか。

 

 

「153番、失格!」

 

 

 頭を悩ませていればまた一人、脱落者が出た。諦め悪く暴れているらしくイビキの一喝が轟いた。さっきも同じようなことがあったから教室内の驚きはない。

 しかし、何かが引っかかった。

 

 

(……153番?)

 

 

 いや……ちょっと待て。

 受験者は150人とサイは言っていなかったか?そこにテストの答えを知っている中忍が2人───。

 

 

「おいっ!離せってばよ……っ!」

 

 

 『てばよ』?

 まさか、と思って扉の方を見たが───そこにいたのは明らかに俺たちより歳上の、見知らぬ木の葉の忍だった。思わず、唇が釣り上がる。

 

 

(そういうことかよ………まんまと一杯食わされたな)

 

 

 ちらりと頭を抱え悩んでいるナルトを見た。いや、正確には悩んでいるフリをしていたナルトをだ。

 暴れていた奴が観念したのか大人しく出ていって、そのすぐ後。ナルトの腕が動き出した。

 

 ナルトは影分身に変化をさせ、受験させていたのだろう。

 影分身は分身体の情報を蓄積し、解除と共に本体へと流れ込む。わざと何度もカンニングさせて退室になった後に術を解き、解答を得たというところか。

 試験開始から随分経っているのに、影分身に変化を混ぜ出しっぱなしでも顔色一つ変えていない。相変わらずデタラメなチャクラをしてやがる。

 

 心配する必要もなく、ナルトは一人で乗り越えたのだ。俺にすら気づかせずに。

 

 そうして、試験は終わりに近づく。

 試験開始から45分。イビキは第十問────覚悟を問う。

 

 

「オレは逃げねーぞ!受けてやる!もし一生下忍になったって……意地でも火影になってやるからいいってばよ!怖くなんかねーぞ!!」

 

 

 十問目の振るい落としにも欠片も揺らがず、バンと机を叩くナルトは相変わらずのウスラトンカチだ。

 だが、嘗てとは異なり、そこには自信が溢れている。絶対にその夢を叶える、その想いは以前よりも増しているようだ。

 

 はためく七代目の文字。それを背に、里を守る嘗ての“火影”。

 それが強い目で前を見据える今のナルトと重なった。

 

 

「ここに残った78名全員に……第一の試験合格を申し渡す!!」

 

 

 一次試験はこうして幕を閉じた。

 次は二次試験───まだ試験は始まったばかりだ。

 

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