SASUKE逆行伝   作:koko22

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予選試合編
40.里


 

 

 二次試験が終わり、一息つく間もなくサスケたち試験合格者は広間へ集められていた。

 広間には担当上忍が既に待機しており、カカシは入ってきたサスケ達を認めるとへらりと笑った。その変わらぬ胡散臭さに、悔しいが少しだけ安堵したのは墓まで持っていく秘密である。

 

 二次試験の受験者数は78名。ここに集まったのは僅か18名、6チームのみだった。

 合格したのは、サスケ・ナルト・サクラ、キバ・ヒナタ・シノ、シカマル・イノ・チョウジ、ネジ・リー・テンテン。それから砂隠れの我愛羅・テマリ・カンクロウ。

 そこまでは記憶通りだ。

 

 だが、前と異なっていたことが二つ。

 

 一つは───音忍がいないということ。

 これは予想通り。大蛇丸が暁に所属し続けている以上、音里も存在しなかったのだろう。一次試験でも二次試験でも、その姿を見なかったことを考えればそう驚くこともなかった。

 

 そして、もう一つ───カブトがいないということ。

 彼奴が立っていたはずのその場所には、サイがいた。その後ろには、俺がかつて予選で戦った奴が並んでいる。

 

 

(やはり……サイとカブトの立ち位置が入れ替わっているのか)

 

 

 これまでの接触でも、カブトを彷彿とさせる素振りはあったが、班員まで同一となれば最早疑う余地はない。

 しかし、重要なのはそれに何の意味があるのかということだ。

 

 カブトがいない───スパイとして潜入自体していないのか、中忍試験に参加しなかっただけなのか。それとも、音里がない今大蛇丸の部下ではないのか。

 

 サイがいる───暗部として何かの任務で参加したのか、大蛇丸の部下として潜入しているのか。それとも、暗部ですらなく、単に下忍として参加しているのか。

 

 全て推測ともいえない、唯の憶測にすぎない。

 余りに情報が少なく判断ができないのだ。だが、ここまで予想外のことが多々起きていることを思えば、何があっても不思議ではない。

 

 

(一体……今、何が起きている……?)

 

 

 大蛇丸。木の葉崩し。砂隠れ。香燐。カブト。サイ。

 尽きぬ謎に頭を悩ませるサスケの眉間に、自然皺が寄っていく。

 それに気づいたサクラが、心配そうに顔を覗き込んだ。

 

 

「サスケ君……大丈夫?」

「……問題ない。それより、始まるぞ」

 

 

 サスケの言葉が終わるか終わらぬか。

 かつり、かつりと、石畳を打つ硬質な音にその場の空気が張り詰めた。

 

 

「ふむ……今年は豊作じゃの。重畳、重畳!」

 

 

 杖をつきつつ現れた三代目火影は、例年より多い合格者にふぉっふぉと朗らかな笑みを浮かべた。

 三代目に続き入ってきたのは試験官達だった。二次試験を担当したアンコは、ぐるりと受験者を見渡して声を張った。

 

 

「まずは“第二の試験”通過おめでとう!!合格時にも説明があった通り、この五日間に渡るサバイバルは中忍としての基本能力を試すもの───」

 

 

 イルカからも伝えられた中忍の心得だ。

 それをもう一度繰り返したアンコが、厳しい口調で続ける。

 

 

「しかし、中忍となれる者はほんの一握り。ここから試験は更に難易度が上がる。サバイバルで学んだように、常に気を抜くことなく挑め!……私からは、以上だ。

───それでは、これから火影様より“第三の試験”の説明がある。各自、心して聞くように!!」

 

 

 ぱっと視線がアンコから、中央に立つ火影へと移った。

 

 

「では火影様、お願いします」

「うむ」

 

 

 三代目は笠をくい、と上げる。そこには先ほどの好好爺はおらず、鋭く底知れぬ目をたたえた火影がいた。

 特に威圧感があるわけでもないのに、それだけで受験者のみならず、試験官、担当上忍に至るまで背筋が伸びる。

 受験者を一人一人見詰めた火影は、静かに口を開いた。

 

 

「これより始める“第三の試験”……その説明の前に、はっきりお前たちに告げておきたいことがある。この試験の、真の目的についてじゃ」

 

 

 蕩々と告げられたのは、“前”と同じ内容だ。

 同盟国間の戦争の縮図。任務という市場の争奪。他国への外交的、政治的圧力。力のバランスと忍の世界の友好。

 

 

「これはただのテストではない……己の夢と里の威信をかけた、命懸けの戦いなのじゃ」

 

 

 そう結ばれた言葉に、その場にいる誰もが呑まれたように聞き入る。違和感すら、感じることなく。

 サスケは一人、そっと目を伏せた。

 

 

『里を守ることが、何より人を…忍を、子供を守ることになるとオレは今でも信じる』

『始まりに…マダラとオレが望んだ里とは、一族と一族を繋げるものだった。無秩序から秩序を形づくり、それを保つための大切な要だった。子供達を守り無駄な争いを避け───平和を実現するものだった』

 

 

 里とは何か。

 そう問いかけた俺に、木の葉の創始者はそう語った。

 確かに、戦乱の世と比較したなら遥かに平和な世となった。しかし、それは犠牲あってこその平和と言える。

 子供達を守りたいと願ったその想いを考えれば、この中忍試験は何とも皮肉なものに感じた。

 

 自分の里を大切に思うからこそ、その里が優位に立つことを望む。優位に立つために、他を陥れる。追い落とされぬよう、里を守るために命を懸けて戦う。

 

 表面的には平和に見えようとも、互いに相手の出方を窺い、勝機を狙っているのだ。それが今の里の在り方であり、平和の在り方だった。

 

 これは、正しいのだろうか。間違っているのだろうか。答えは出ない。

 それでも、その道の果てに───誰もが命を懸けることを当然とはしない、そんな“未来”があることをサスケは知っていた。

 

 だからこそ、進まなければならないのだ。今ではなくとも、未来へつなぐ為に。犠牲を積み重ねようとも、迷い、悩み苦しもうとも忍び耐える。

 そこに例え矛盾があろうとも、平和を願い礎となった者達の思いを無駄にはしないように。

 

 サスケは目を上げる。

 肌を刺すような緊張感を受け止め、それでも真っ直ぐ前を向いた。

 

 

「では、これより“第三の試験”の説明をしたい所なのじゃが……実はのォ」

「恐れながら火影様……ここからは“審判”を仰せつかった、この月光ハヤテから」

「……任せよう」

 

 

 話を続けようとした三代目は口篭もり、言いにくそうに一つ咳払いをした。

 そんな三代目の前に、スッと膝をついた忍。月光ハヤテと名乗った試験官は、了承を得てサスケ達を振り返った。

 

 

「皆さん、初めまして。ハヤテです。えー……皆さんには“第三の試験”前に、やってもらいたいことがあるんですね……ゴホッ」

 

 

 青ざめ真っ黒な隈を作ったその男は、言い終えると同時にゴホゴホと咳き込んだ。

 

 

「大丈夫かよ、こいつ……」

「体調悪そーだけど……」

 

 

 病人かと見紛うような審判と名乗ったハヤテに、受験者達の間でこそこそとそんな声が聞こえてくる。

 しかし、そんなささやき声に気づいているのかいないのか、ハヤテは咳き込みながらも説明を始めていった。

 

 

「えー……それは、本戦の出場を懸けた、“第三の試験”の予選です」

「予選!!?」

「予選って……どういうことだよ!!」

 

 

 その言葉にどよめきが生まれた。

 それもそうだろう。ようやく試験が終わったかと思えば、まだ難関が残っているとは。サバイバルを終えたばかり、気力も十分ではない受験者からすればすぐ受け入れられるほど余裕はない。

 しかし、そんな受験者の戸惑いと不安の声にも顔色一つ変えず──元から悪いのだが──ハヤテは淡々と答えた。

 

 

「えー……今回は第一・第二の試験が甘かったせいか……少々人数が残りすぎてしまいましてね……」

 

 

 曰く、ゲストが来るため時間をそんなに割けないと。

 要約すればそんなことを言って、唖然としている受験者へ無情に告げる。

 

 

「えーー、というわけで……体調の優れない方、これまでの説明でやめたくなった方、今すぐ申し出て下さい。これからすぐに予選が始まりますので」

「これからすぐだと!!?」

「そんな……」

 

 

 ざわざわと一際大きなざわめきが起き、ゴクリと息を呑む音がどこかから聞こえてくる。

 しかし、ここまで生き延びた者達だ。徐々に覚悟を決めたように、真剣な表情へと変わっていく。

 

 

───そんな中、上がった手があった。

 

 

「俺は、やめとくじゃん」

「僕もここまでにしておこうかな」

 

 

 カンクロウ、そしてサイだった。

 思いもよらぬ脱落者に目を見開いたサスケ達へ、カンクロウがニヤリと笑う。

 

 

「ま、忍具の修理さっさと終わらせなきゃなんねーし。体調も万全っつう訳にいかねえじゃん」

 

 

 我愛羅やテマリ、そして担当上忍すらも無言で前を向いている所を見ると、事前に打ち合わせていたのだろう。

 傀儡師であるカンクロウからすれば、下手に出場を続けて手の内を見せるよりは、といった所か。顔色は悪くなかったが、丸三日伏せっていた弊害もあるのかもしれない。

 

 

「えー……砂のカンクロウ君、それから木ノ葉のサイ君ですね。では、下がっていいですよ」

 

 

 そう言われると、カンクロウはひらひらと手を振って部屋を出て行った。

 

 

「待てよサイ!カンクロウはしゃーねぇけど……お前まで、何でやめちゃうんだってばよ!!?」

 

 

 カンクロウに続こうとしたサイを、ナルトが小声で引き留めた。

 特に怪我をしたわけでもなさそうで、むしろこの中では一番服の汚れもない。余力も余っていそうなのは見ただけで分かる。……ならば、何故。

 そんな疑問へサイはパチリと目を瞬かせたが、すぐさま読めぬ笑顔を貼り付けた。

 

 

「僕?僕は、ストックの墨が切れちゃったからね。特に中忍に思い入れもないし、いいかなって」

 

 

 軽い調子の口調からは、中忍になりたいという気持ちは欠片もないのだということがありありと伝わった。

 それは本音で悪気もないのだろうが、その中忍試験に命を懸けようとする者達にとっては侮辱のようなものだ。声の聞こえる範囲にいた者が殺気立つのが分かる。

 ナルトも青筋を立てて列を飛び出し、サイの胸ぐらを掴んだ。

 

 

「お前っ!!俺たちを馬鹿にしてんのかってばよ!!」

「そういうつもりじゃないけど……どうして怒るのかわからないな。ライバルが一人減って喜ぶ───それが忍だろう?」

 

 

 ニコリと笑うも、声は冷たい。いや、冷たさすらなく、温度そのものが感じられない。

 それに得体の知れなさが募った。

 

 

「はいはい、そこまでです。えー……ナルト君ですね。君も棄権を?」

「はっ!!?んな訳ねーってばよ!!」

「それなら……列に戻ってください。予選が始まりますので、君も……」

 

 

 見かねたハヤテがパンパンと手を叩く。

 ナルトは渋々列に戻ったが、サイはハヤテが何か言うよりも早く扉の方へと歩いて行った。

 

 その背が、やはりカブトと重なって。変わる未来の予感に、サスケは肌が粟立つのを感じていた。

 

 

 

 

 部屋を退室していくサイの横顔に、ふと何かがちらりと過ぎった三代目は首を傾げた。

 

 

「ふむ……どこかで見た顔じゃな」

「───“サイ”、年齢13。データでは4回連続不合格です」

「どういう経歴じゃ」

 

 

 ペラペラとファイルを捲ったアンコだが、すぐさまその手は止まった。

 異様に薄かったのだ。他の受験生が20から30枚以上に及ぶのに対し、サイのファイルは記述されたのはたったの数枚、あとは全て白紙だった。経歴には記載は無い。 

 そして、それとよく似た者達のファイルをアンコは覚えていた。最初のページへと戻り、日付を確認したアンコはやはりと内心で呟いた。

 

 

「この子は、“根”です」

「……!!そうか、あの時の……」

 

 

 アンコは声を潜め、たった一言耳元で囁く。

 その名に、三代目の脳裏に苦い記憶が蘇った。

 

 

 きっかけは───そう、“芽”が生まれたことだったか。

 

 木ノ葉内部監査部隊、通称“芽”。

 つい五年ほど前に新設された火影直轄独立組織である。その役割は木ノ葉の内部調査を行い、汚職や他国との密通者の摘発を担っている。

 

 これはうちはイタチの提言を採択したものだ。

 暗部として働きながらもよくぞ集めたと言うほどの証拠資料を山と積み上げられては、動かぬ訳にもいくまい。

 その資料を元に上層部の半数が取り調べを受け、火影邸勤務職員のおよそ三割が人事異動となったため、当時は大騒動となったものだ。

 この年ばかりは過労死するかと本気で思った。老骨はいたわって欲しいものじゃ。

 

 こうして、木ノ葉内部の腐敗が露わとなったことを受け、この組織が誕生せざるを得なかった。

 反対があるかと思いきや、事件の関係者と見られるのを恐れてか、先に根回しされていたのか、誰も何も言わなかったのが不気味な程だった。

 

 提言者のイタチは創設当初より総隊長を勤め上げ、その働きは今なお目覚ましい。

 汚職の取り締まりが始まってからというもの財政も黒字に転じ、イタチは敵も多いものの、若手の忍を中心に内政部より多大な信頼と尊敬を集めていると聞く。

 

 構成員は、一部役割の重複する警務部隊との連携の必要性やその独立性を鑑みて、うちは一族の者が約半数を占める。

 うちはの里外任務を渋る上層部も、こうなると文句はつけられなかった。

 うちは一族としても悲願であった中枢への参画が叶い、不満は今やほとんどないようで協力的な姿勢を取っている。

 

 

 この“芽”によって、更に内部の腐敗は露わとなっていき───三年前、ダンゾウが摘発されたのだ。

 

 

 容疑は他国との密通、うちは一族の拉致殺害及び眼の強奪、不正会計を始め多種多様なものであったが、何より物議を醸したのは………人身売買だった。

 

 里の孤児や他里よりの亡命者を、売り渡す。

 一部掴んだ情報によれば、実験や闘技場、大名の玩具、果ては風俗。売り渡された者の末路はいずれも悲惨で、資料に目を通せば数多の戦死者を見てきた儂でさえも吐き気がした。

 

 

『里の為にやったことだ。命一つで里同士、国同士の争いを防げるとあれば安かろう?』

 

 

 平然としたダンゾウの言葉に、怒りで目の前が赤く染まった。

 

───里の為。里の為。

 

 その言葉を出されては、いつも頷くしかなかった。だが、こんなものが里の為だと?里民を犠牲にする、これが?

 

 

『里の為ならば、何をしてもよい訳ではない!!!里は民を守るためにこそある!!民がいてこその里……お主がやっていることは、ただの裏切りにすぎぬ……!!』

 

 

 失望した。ダンゾウにも、それを受け入れ加担し続けた儂自身にも。

 

 ホムラ、コハルさえもダンゾウを庇うことはなく、ダンゾウは失脚、永続蟄居を申しつけそれ以降は姿を見ていない。

 この一連の出来事はあまりにも里の威信、そして他里からの信用を損なうため闇に葬るしかなく、ダンゾウの失脚はおろか芽の存在さえ公には知られていなかった。

 

 その際、ダンゾウの部下であった“根”も解体された。

 ダンゾウはどうやら部下を他国へ潜入させており、未だ行方のわからぬ者も多数いるものの、その繋がりは完全に絶った。

 

 物心ついた時から根として育てられてきた者達であり、身を犠牲に里へ尽くしてきた彼等だ。何かすることはできないかと、その後の希望を聞いていけば、ほとんどの者が忍を辞したが一部は忍としての道を選んだ。

 暗部として働き続ける者もいれば、一般の忍として再出発を希望する者もいた。しかし、一般の忍とするにも、根は階級がない所か忍者登録すらされていない。そのため、形式上一年間アカデミーを受講、卒業させることになったのだったか。

 ほとんどは卒業後に特例で上忍となったが、一人、最年少だった子供は下忍からとした筈……それがあの子か。

 

 

「ふむ。じゃが、実力としては、既に中忍となっていておかしくないがのぅ」

「それが……協調性に問題があるようで。過去三回共に、チームワークを要する二次試験にて単独行動等により失格。班も複数回変更がされています。今のメンバーとは、比較的長く続いていますが……あの二人には良くない噂が」

「良くない噂?」

「はい。先ほど、“芽”から寄せられた極秘情報によれば……大蛇丸との密通の疑惑があるそうです」

「大蛇丸じゃと……!?」

 

 

 三代目は目をカッと開いた。その名は先ほどアンコから聞いたばかりのもの。演習場の付近で殺された草隠れの忍。溶けた顔。

 それは、かつて目にした大蛇丸の術だった、と。

 

 

「まだ証拠が掴めておらず、飽くまでも憶測なので報告は控えていたとのことです。しかし、先日より密かに監視していたものの、試験中も特に問題となる行動は見られなかったようで……」

 

 

 その報告にホッと胸をなで下ろす。アンコの呪印は反応せず、森に捜索に入ったが大蛇丸を見つけることはできなかった。

 証拠がないのだ。侵入者がいるにしても大蛇丸ではないと、そう思いたい。楽観的な希望に縋りたくなってしまう。

 

 

「……まだ、わからぬか」

「はっ。申し訳ございません……」

「いや、お主を責めたのではない。己の不甲斐なさを感じたまでよ。……それにしても、今回は随分と問題児が揃ったものじゃ」

 

 

 ぐるりと改めて受験者を見渡す。元“根”の者に大蛇丸の密通疑惑者、風影の子息子女、忍の名家六家、内日向の宗家と分家、九尾の人柱力にうちはの人質。

 しがらみなく、ここに立っているのはリー、テンテン、春野サクラくらいのものか。その姿に安心感さえ覚える程だ。

 そのサクラと何事か話している……というより叱られている様子のナルトに目が留まり、三代目は眼を細めた。

 

 

(……まさか、あのナルトがここまで来るとはの。四代目も喜んでおろうな。しかし、やはりサスケも抜けてきたか……)

 

 

 ナルトとサクラの後ろ。二人を呆れたように眺めているサスケの姿に、三代目は顔を曇らせる。

 ナルトと同班である以上、必然とも言える……が、素直に祝福はできなかった。

 

 

(写輪眼はまだ発現しておらぬようだが……うちはの血は、いつか必ず目覚めよう)

 

 

 戦闘に身を置けば、遅かれ早かれそうなるだろう。

 だが、もうしばし、と願わずにいられない。

 

 サスケは写輪眼が発現し次第、暗部へ配属されることが決まっていた。写輪眼があってはその血を周囲に誤魔化すことができないためだ。

 それも、本来は人質として受け入れ次第となっていた所を、うちはの抗議と三代目の口添えによって譲歩させたものだった。

 

 現在の暗部総隊長はシスイが勤め上げてはいたが、公平性を保つため、サスケは上層部付きの暗部に配属されることだろう。そうなるとシスイも、この儂さえも早々口出しはできなくなる。

 暗部が例え中枢に近くエリートとして尊敬を集める部隊であったとしても、その任務はいずれも過酷なものだ。人質であることから死のリスクは低い任務となるだろうが、その分精神的には辛いものが宛がわれる筈だ。

 うちはの優秀な血を木の葉に使う、その上層部の方針そのものは変わっていない。だからこその期限だった。

 

 しかし、近年のうちはの功績は大きく、人質の返還も時間の問題であろう。

 そうなれば暗部入りは阻止できる。無理に七班を分かつこともない。

 

 

(……もうしばし、なのじゃが)

 

 

 額ずいたイタチの姿が頭を過ぎる。

 イタチはこのサスケの暗部入りを阻止せんと、死にもの狂いで働いている。二次試験中はそうそう大きな問題もあるまいと無理に休暇を取らせた位だが……大蛇丸のことを知り、もう仕事へ戻っていることだろう。

 

 そんなイタチからすれば、サスケがこの試験に参加すること自体反対だった。

 命の危険に晒されれば、その分その血の目覚めも早まるのだから。

 

 しかし、ルーキー全員が参加するにも関わらず、サスケ達のみ特別扱いする訳にもいかず。その晩頭を下げられたが、決まったことは最早覆せない。

 

 麗しい兄弟愛。それを守ってやりたいが、もう願うことしかできないのだ。

 

 

「どうなることかのぅ……」

 

 

 物憂げなため息に、それを一人聞いていたアンコは答えを返せなかった。





人生ハードモードなサスケさん……生きろ。
でも、イタチ兄さんは絶対的な味方です。カカシ先生への苦言の裏には色々あったことでしょう。
ちなみに、休暇もシスイさん(暗部総隊長)と情報交換をしたり書類仕事をしたりしてる。もはやワーカーホリック。

ちなみに、ダンゾウ様の腕ってもうクーデターの頃には包帯ぐるぐるになってましたよね。
上層部からの任務中に一族の者達が不審にも行方不明になる、遺体が見つかっても眼が抜かれてる。けど上層部は一向に取り合わないし、警務部隊には中枢の捜査権が与えられていない。
それがクーデターの理由(中枢の参画)とかだったら頷けるかな~と(゜-゜)

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