SASUKE逆行伝   作:koko22

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いよいよ本戦開幕です!(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)

トーナメント表
第一試合:うずまきナルト VS 日向ネジ
第二試合:我愛羅     VS サスケ
第三試合:テマリ     VS 奈良シカマル
第四試合:第三試合勝者  VS 秋道チョウジ

支部ストックたまってきたので、月2回投稿頑張ります(`・ω・´)ゞ


本戦 開幕編
77.開戦


 

 

「これより予選を通過した七名の『本戦』試合を始めたいと思います。どうぞ最後までご覧下さい!」

 

 

 中忍選抜試験、第三試合───通称、本戦。

 三代目火影がその開幕を高らかに宣言するとともに、取り囲む壁の上から爆発的な拍手と歓声が降り注ぐ。

 一つ一つの言葉までは聞き取れずとも、受験者らへ否応なくプレッシャーを与える期待と熱気。

 そんな歓声の中に、チラホラと困惑の声が混じり始めていた。

 

 

「なあ、なんか一人足りなくないか?」

「棄権かしら……」

「火影も七人って言ってたけどなぁ」

 

 

 現在、闘技場内に集まった受験者の数は六人。耳打ちし合うサスケとナルト、眉をひそめるテマリ。そして、面倒くさげなシカマルとポテチを貪り食うチョウジ、我関せずといった具合のネジ。

 そこに、我愛羅の姿だけがなかった。

 

 

「なー、我愛羅ってばどこ行ったんだってばよ?」

 

 

 キョロキョロと辺りを見回しているナルトの疑問は、今回は間に合ったサスケを含めて受験者ら全員に共通したものだった。それも、最も行き先を知り得るだろうテマリを含めてである。

 

 

「そんなこと、アタシの方が聞きたいよ……!さっきまで控室にいたのに、一瞬目を離したらいなくなってたんだ!」

 

 

 サスケとナルトが揃って目を向ければ、テマリはどこか焦ったように苛々と爪をかみしめた。

 砂隠れの作戦かという考えも浮かんだが、そんなテマリの様子はどうにも嘘をついているようには見えない。過去にはなかったこの流れに、答えの見つからぬサスケは押し黙るのみだった。

 

 

(まさか俺が遅刻しなかった影響なのか?しかし、控室で急に消えたとすれば……単なる遅刻とは考えにくい)

 

 

 ちらりとテマリの見つめる先を追うと、カンクロウと香凛が座っている観戦席の隣に一つ空席が見えた。

 少し焦点をずらせば砂の担当上忍が闘技場を出ていく所で、痺れを切らして我愛羅を探しに出たのだろうとわかった。

 そしてその後を追っていくのは、会場中に散って警備をしていた暗部装束の者達である。迎賓館の結界も考えるに砂隠れに対する監視の目はそう簡単には外れない筈……とすれば、何か偶発的なものではなく、我愛羅の確信犯的行動という線が濃厚か。

 

 

(……?)

 

 

 そんな観戦席に何か言いしれぬ違和感を感じてもう一度そちらを見上げるも、カンクロウと香凛が何食わぬ顔で並んでいるだけだった。

 だが、変わり映えのない光景が何か酷くおかしく思えるのは何故だろう。そんな妙な胸騒ぎに首を傾げていれば、審判である不知火ゲンマが軽く咳ばらいをして受験者らの注目を集めた。

 

 

「トーナメント表に変更点はないが、それぞれ自分が誰と当たるのか、もう一度確認しておけ」

「あのさ、あのさ!我愛羅の奴がまだ来てねーけど、どうすんの?」

「自分の試合までに到着しない場合は、不戦敗とする!」

 

 

 ひらりと掲げられたトーナメント表。第一試合はナルト対ネジ、第二試合は俺と我愛羅、第三試合はテマリとシカマル、第四試合はチョウジと第三試合の合格者。サクラから聞き及んでいた通りである。

 ゲンマは不戦敗とは言うものの、うちは一族という肩書きのないサスケに変わり、今回の試合の目玉である我愛羅と日向の傍系であるネジにギャラリーの関心は向いている。過去サスケ自身が遅れながらも参戦できた例を考えると、延期される可能性が高いだろう。

 

 そして、勝ち抜き戦とはいえ、この本戦は諸国の大名や忍び頭といった審査員らが対戦を通して中忍としての資質を評価するものだ。以前は一回戦でリタイアしたというシカマルのみが昇格したのだったか。

 遅刻により実際にナルト達の試合を見ることは叶わなかったそれが、こうして新たに観戦できる。木ノ葉崩しの可能性という非常時ではあれど、予選試合の時のような高揚感が込み上げるのは隠せなかった。

 

 ゲンマが本戦の注意事項を述べていく。

 地形は違うが、ルールは予選と同じで一切無し。どちらか一方が死ぬか負けを認めるまで、或いは審判が勝負ありと判断するまで試合は続く。

 

 

「一回戦うずまきナルト、日向ネジ。その二人を残して、他は会場外の控室まで下がれ!」

 

 

 そんなゲンマの言葉に受験者らが会場を立ち去っていく。

 ゴクリと唾を飲んでいるナルトにフッと口角を上げ、その肩を軽く拳で叩いた。

 

 

「ナルト───俺は、お前と戦いたい」

「……!!」

 

 

 チョウジが本戦に出場したように、過去と同じ流れになるとは限らない。

 それでも。たとえ会場中が日向一族であるネジに期待しようとも、ナルトが勝つ、そう俺は確信していた。

 

 

「ヘマするなよ、ウスラトンカチ」

「へへッ、当然だってばよ!」

 

 

 ニッと笑うナルトに笑みを深めて背を向ける。

 皆の視線を一手に浴びながら、本戦第一試合が始まった。

 

 

 

「白眼!」

「影分身の術!」

 

 

 開始の合図と共に、ナルトとネジは互いに十八番の術を繰り出した。

 ナルトは一度ネジとヒナタの試合を目にしている。柔拳を使いこなすばかりか点穴さえも突けるネジ相手に接近戦は不利、影分身で距離をとりつつ戦うという戦法か。加えて、影分身はチャクラを均等に分配するものであり、白眼による本体の看破は不可能……だが、ネジの体術はそう甘くはなかった。

 

 四方八方から拳を構えて一斉に襲い掛かるナルトの影分身達。

 しかし、その拳も足も全ていなされ掠りもしない。それどころか、その大振りの拳を躱して懐に強烈な一撃を、挟み打ちしようとした二体の頭上を押さえ付けて引き倒し、クナイを構えた腕を捻り上げて顎を砕く。

 その全ての動作に澱みがなく、影分身達はものの数秒でネジのカウンターの前に消え失せた。

 

 

「火影になる、か……これじゃ無理だな。生まれつき才能は決まっている。言うなれば、人は生まれながらに全てが決まっているんだよ」

「なんでいつも、そうやって勝手に決めつけんだってばよ!テメーは!!」

「では、誰でも努力すれば火影になれるとでもいうのか?火影に選ばれるのはほんの一握りの忍だけ。もっと現実を見ろ!火影になる者はそういう運命で生まれてくる。なろうとしてなれるものではなく、運命でそう決められているんだよ」

 

 

 激昂したナルトをそう嘲笑するネジだったが、かくいうナルトも体術はアカデミーでも上位の成績であったし、下忍となってからも任務や修行を共にする中で更に磨かれていた。才能の有無で言えば間違いなく『有』とされる。

 そんなナルトを一笑できる体術が、ただ才能だけで身に付いたとは考えられない。その圧倒的な体術の差が示すのは、ナルトと同じく、否、それ以上に修行に取り組んだ証でもあった。

 

 

「人はそれぞれ違う逆らえない流れの中で生きるしかない……ただ一つ、誰もが等しく持っている運命とは、死だけだ」

 

 

 諦念の中にも消えることなく宿った、恨みと憎しみ、痛みを垣間見る。きっとその拘泥した思いが、今のネジを強くしたのだろう。

 だがそんな諦念なんぞクソ喰らえとばかりに鼻で笑ったナルトは、再び影分身の印を組んだ。

 

 

「だから何だってんだ!オレは諦めがわりーんだってばよ!」

 

 

 先程の数倍に及ぶ影分身体がネジへと押し寄せる。

 雄叫びを上げながら突っ込んでくる分身達をギロリと睥睨した白眼は、その全ての攻撃を潜り抜けて最奥にいた一人に狙いを定めた。

 

 

「点穴を突かれることを恐れて、攻撃頻度が最も少ない一体。お前が攻撃すればするほど、その一体が明白になる……本体は、お前だ!!」

「ッ!!」

 

 

 ネジの指先がナルトの肩、その点穴へと突き刺さる。

 影分身は本体がダメージを受けるとチャクラ供給が絶たれ術が解除される。血を吐くそのナルトに、周囲の影分身達が次々と音をたてて消えていった。

 白煙の漂う中、ネジは勝ち誇った嘲笑を浮かべた。

 

 

「だから無駄だと……」

「だから、勝手に決めんなって……言ってんだろーが!!」

 

 

 点穴を突かれた筈のナルトの本体、否、分身が煙と化す。ネジの思考の裏をかいて、分身の一体にわざと引かせていたのだ。

 目を見開くネジの背後、漂っていた煙がギュルリと吸い込まれていく先で皆が目にしたものは───蒼く光り輝いたチャクラの球体だった。

 

 

「螺旋丸!」

「ッ、回天!!」

 

 

 あれを正面から食らったら……!

 ゾクリと悪寒を覚えたネジは、急いでチャクラを練り上げると全身からチャクラを放出する。

 日向一族に口伝により伝えられる秘術『回天』。自身の身体をコマのように円運動させ、敵の攻撃をいなして弾き返すその術は物理的攻撃を完封するもう一つの絶対防御………その筈だった。

 

 

「いっけェ!!」

「ば、馬鹿な……!?」

 

 

 ナルトの高密度に渦巻くチャクラの塊に、速度と回転を纏うネジのチャクラ。

 その双方がぶつかり合い、ギャギャ、と耳障りな軋みを生み出した。反発するその二つのチャクラは互いに譲らず、削り合う膠着状態が続いた。

 均衡が破られたのは一瞬。螺旋丸が不意に形を崩した隙をネジは見逃さなかった。

 

 

「八卦六十四掌……!!」

「ガハッ!」

 

 

 弾き飛ばされたナルトが地面を転がり、続くネジの追撃がナルトを襲った。

 全身の点穴をつかれて蹲るナルト。しかし、全身からチャクラを放出させる回天のチャクラ消費は大きく、それを数十秒に渡って使い続けたネジの消耗も激しいのか、膝をついて荒い息を整えている。

 

 

(チャクラコントロールが甘かったか。あと少し時間があれば……完成していれば、ナルトが押し勝っただろうな)

 

 

 ナルトが螺旋丸の修行を始めたのは、綱手の捜索に出た後のことであり、修行期間は一ヶ月にも満たない。そんな短期間であれ程形になったのだから、きっと数日もあれば完成までこぎつけた筈だ。

 考えれば考える程に、その口惜しさにサスケはチッと舌打ちをする。

 

 

「何だ……今の術は……」

 

 

 そんな分析をしていたのはサスケだけではなく。

 術を受け止めていたネジもまた、己が真正面から負けていた可能性の高さを理解し呆然とナルトを見詰めていた。

 

 

「ヘッ、才能なんて人それぞれだってばよ。オレにはオレの強さがある、それだけだ」

「………」

「お前は思い込みで人を決めつけるけどな……人は、いくらだって変われんだ!!」

 

 

 ヒナタに言い捨てた言葉を思い返したのか、ネジは苦虫を噛み潰したように顔を歪めた。

 

 

「だとしても、全身64の点穴を突いた。お前はもう立てもしない」

「言っただろ……オレは諦めが悪いんだって……!」

 

 

 点穴を突かれチャクラが通らない身体でありながら、ナルトは再び立ち上がる。

 口の中の血をペッと吐き出し、ネジを鋭く睨みつけた。

 

 

「ヒナタを馬鹿にして落ちこぼれだと決めつけやがって……分家だか宗家だか、何があったのか知らねーけどなァ、他人を落ちこぼれ呼ばわりするクソヤローはオレが許さねェ!!」

「……いいだろう、そこまで言うなら教えてやる───日向の憎しみの運命を」

 

 

 啖呵を切ったナルトにネジはその額当てを外した。

 額に刻まれた呪印。それは、日向一族に伝わる分家の烙印だった。

 

 

「それって……」

「日向宗家に代々伝わる呪印術。その呪いの印は『籠の中の鳥』を意味し、逃れられない運命に縛られた者の証!」

「呪い……?」

 

 

 その時、ナルトがサスケを見上げた。

 当然ながらナルトと生活を共にする中、どんなに隠そうとしてもダンゾウの呪印はバレてしまっていた。ただの入れ墨だと誤魔化していたが、それも通じなくなる予感がして目を逸らさずにはいられなかった。

 

 そんなナルトの視線を感じながらも、ネジの過去に耳を傾ける。

 ヒナタの誘拐未遂に里同士の交渉、そして父親の身代わりの死。ナルトから過去に聞き及んでいた話ではあったが、当事者の口から語られるその内容はまるで違って聞こえた。

 

 

「そして……戦争は無事、回避された。宗家を守るため日向ヒアシの影武者として殺された、オレの父親のおかげでな!」

 

 

 大切な家族を理不尽に奪われる、その苦しみは痛い程によく分かる。

 共感はできる。それでも、同意はできなかった。

 

 

「そしてこの試合、お前の運命もオレが相手になった時点で決まっている。お前はオレに負ける運命だ」

「そんなもんやってみねーと分かんねーだろ!お前が昔、父ちゃん殺されてどんだけ辛い思いしたかは知んねーけど……それで、運命全部決まってるって思うのはスゲー勘違いだってばよ!お前みたいな運命だなんだ、逃げ腰ヤローにゃオレはぜってー負けねェ!」

 

 

 ナルトは印を結んだ。点穴を閉じられた身体にはもうチャクラが尽きているのが傍目にも分かる。

 それでも、ナルトの意志は誰にも折られはしない。

 

 

「どうしてそこまで……何故、自分の運命に逆らおうとする!?」

「お前に───落ちこぼれだと、言われたからだ!」

 

 

 ナルトの閉じられた点穴からチャクラが少しづつ漏れ出していた。

 その赤いチャクラは次第に全身を巡り、形となってナルトの背後に現れる。揺蕩う尾のようなチャクラは間違いなく、九尾の妖狐のものだ。

 

 

「日向の憎しみの運命だか何だか知らねーけどな!お前がムリだっつーならもう何もしなくていい!オレが火影になってから、日向を変えてやる!!」

 

 

 赤いチャクラの衣を身に纏ったナルトは弾丸のように駆け出し、その拳がネジの回天と激しくぶつかり合った。

 互いに弾かれたその先、ネジだけがよろよろと立ち上がる。

 倒れ伏したままのナルトを見下ろし、これが現実だとせせら笑った瞬間。その足元から飛び出したナルトがその顎に強烈な一撃を入れた。影分身を隠れ蓑にして、ナルトは地面の中を掘り進んだのだ。

 

 

「運命がどーとか、変われないとか……そんなつまんねーこと、めそめそ言ってんじゃねェよ!お前はオレと違って、落ちこぼれなんかじゃねーんだから」

 

 

 倒れたままのネジは何も言わず、空の鳥を眺めていた。

 傍目にも、もはや勝敗は明らかだ。

 

 

「勝者、うずまきナルト!」

 

 

 ゲンマが判定を下し、前のめりになって固唾を飲んで見守っていた観客らが興奮したように立ち上がる。

 会場中がわっと歓声に沸き立った。

 

 

「すごかったぞー!!」

「良くやったァ!!いい戦いだった!!」

「あれって螺旋丸だろ?黄色い閃光の再来か!?」

「やるわね、あの子……!」

「ええ、これからが楽しみね!」

 

 最初こそ退屈げに欠伸をしていたものだが、現金なものだ。まあ里民の娯楽でもあると考えればそんなものかと苦笑する。

 鳴り止まぬ拍手の中、ナルトと視線がパチリと合った。 

 声は歓声にかき消され聞こえなかったが、その唇の動きだけははっきりと読めた。

 

 

───オレも、お前と戦いたい。

 

 

 ドクリと心臓が高鳴る。

 ボロボロな身体で拳を向けてくるナルトに、サスケも拳を同じように返して目を細めた。

 

 

 どんなにやられても、勝つことを信じ続け、次を考えて動く。そんなナルトの自分を信じる力が、運命を変える力となったのだ。

 そんなお前の強さが、いつだって酷く眩しかった。

 




第一試合 勝者:うずまきナルト
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