エニエス・ロビー。世界政府の施設であり、裁判所が併設されている通称「司法の島」だ。この島は年中明るいという特徴があり、別名として「不夜の島」とも呼ばれている。
この島に連れてこられた者は裁判にかけられても有罪が確定しているらしく、そのまま海軍本部かインペルダウンという大監獄へ直行、というのが通常の流れだ。
世界政府に有利な判決を下すためだけの裁判所であり、そんなエニエス・ロビーには誰も逃げ出せたことがない「不落」の神話があるという。まあ、一日中夜にならないだけで侵入は難しい。
さらに島の中央を囲む海には大穴が開き、海水が流れ込んで滝ができているため直接乗り付けるような侵入は不可能。
唯一の侵入口は正義の門という海にそびえ立つ巨大な門が開いたときにできるタライ海流という大きな円を描く海流に乗ること。
だが、エニエス・ロビーからの正義の門の先は海軍本部とインペルダウンであり、門の開閉操作も海軍が制御しているため、そもそも侵入の為に近づく事すら至難……らしい。
「ウチのピクテルには関係ないんだけどな」
「向こうも海列車で堂々と乗りつけるとは思わねェだろ」
難攻不落の敵勢力の施設への侵入中だが、おれとソルはこの日のために用意したキャンバスの中で、のんびりお茶をしていた。
改めて説明するが、おれのスタンドであるピクテル・ピナコテカは仮面の姿と人の姿を持っている。
本来スタンドのヴィジョンはスタンド使い以外には見えないのだが、この世界では人の姿だと誰の目にも見えて、仮面の姿の場合は悪魔の実の能力者以外に見えないという特性があった。
他にも見聞色に優れた覇気使いには薄らと感じ取れるみたいだけど、そんな高度なことが出来る奴はエニエス・ロビーの監視にまわされることはない。
つまり、ピクテルが普通にエニエス・ロビー行きの海列車に乗車しても、何も咎められることもなくエニエス・ロビーに到着し、更には施設内に監禁されているだろうトムさんを探すことは、能力者以外には邪魔されないということである。見えないんだからな。
「もうちょっと荒事になってもいいんじゃねェか?」
「今回は慎重に行くって決めただろ。トムさんを人質にされるのは防ぎたいんだから」
「そーだけどよ」
正直楽勝、という気がしないでもないが……流石に政府の施設内の警備は厚くなっているだろうとおれは予想している。
偉大なる航路の楽園とはいえ、過去に連行された者に強者が誰一人いなかったとは考えられない。またそういう者であるほど、どうにか島から逃げだそうと暴れた筈だ。
不落の神話を支える戦力が置かれていると想定すれば、最も警備が厳重なのがトムさんが監禁されているだろう部屋の付近だろうな。高練度の覇気使いがいなければいいのだけど。
「ピクテルが見つかったら、その時点で力業になるから。そのときは暴れてくれな」
「わはは、まかせろ」
エニエス・ロビーの職員全員が能力者だと思って動き、かつ無理も寄り道もしないようにと言い含めているから大丈夫だとは思うが、万が一ということがある。
目的のためには割と倫理観をほっぽりだす自身のスタンドに、おれが一抹の不安を感じていた頃。
どさ、という音と共に巨体が部屋の中に現れた。
全身血塗れで傷がないところが見当たらないほどの、右腕を無くした魚人の男性──トムさんらしきその人は、辛うじて息をしているだけの瀕死状態だった。
彼に駆け寄りおれは傷だらけの身体に触れて波紋エネルギーを流し、舌打ちをした。
キャンバスに入れたってことはピクテルを見ているのだろうから、直前までは意識があったのだろう。
けれど気を失ったからか、血液を流しすぎているのか心音が弱くなっているため多臓器不全を起こしている。心臓が一番弱くなっているな。
全身の傷も膿み始めており、身体も清潔にしなくてはいけない。
血を足すために輸血をした方がいいのだが、このキャンバスの中じゃあピクテルから輸血パックを受け取ることが出来ない上に、残念ながら治癒をしながらだと外のピクテルに回す生命力の余裕がない。
この治療用のキャンバスに保管用の冷蔵庫や冷凍庫が置けたらよかったのだが。継続的にキャンバス内で電気を得る方法が思いつかなかったので出来なかった。発電装置などの前世の記憶が全然無いのが口惜しい。興味なさすぎだろ
しばらくして内臓のダメージはかなり治せたが、表面の傷を治さないとまた血が足りなくなってしまう。
綺麗な水で傷口を洗い流してから切り落とされて失った右腕の傷を塞ぎ、全体的に水で洗って傷を治してと繰り返しつつ、止血を進めてトムさんの身体から服だったボロボロの布きれを剥がしていく。
服の意味が無くなっているし、残して置いたら治癒の間に傷にくっ付きかねないからな。
治癒が終わった後もおれは意識の無いトムさんに波紋エネルギーを送り続けた。
食事も殆ど与えられてないのだろう、トムさんの身体の中のエネルギーはすっからかんであり、これをある程度補充しないと目は覚まさないだろう。
……まあ、起きたとしても彼が正気であるかどうかはわからないんだが。
あれだけ痛めつけられ死に瀕していたのだから、心が壊れていてもおかしくはない。拷問の中身に精神を痛めつけるものがないといいんだけど。
結局、トムさんが起きたのはピクテルがエニエス・ロビーを脱出した後、もうすぐウォーターセブンに辿り着こうとする海列車の中だった。
*
「まだ見つからないのか!?」
ヘーマ達が逃走しながらトムの治療をしている一方で、エニエス・ロビーではトムの不在が既に発覚していた。
「たった五分だ、五分間部屋にいなかっただけで罪人が逃げ出すとはありえん」
「現在動物系の能力者に現場を確認させていますが、連れ去った真犯人らしき者はおろか、罪人トムの足取りも掴めていません」
「ドアも壊れていない、鍵も掛かったまま、これで壁が壊されていればまだ部屋から出られた理由がわかるが、どうして足跡一つ血痕一つも痕跡が出てこないのだ! 罪人が消えたとでもいうのか!?」
連日に亘る罪人への尋問により魚人が重傷になっていたため、一旦手当をして回復を図ろうと治療道具を取りに行っていた尋問官が戻ってきたとき、四肢を壁に繋がれていた筈のトムの姿は何処にもなかった。
すぐさま現場の検証とトムの捕獲のため秘密裏に人数が割かれたが、部屋から出たにしては廊下に血痕がなく、部屋以外にトムの痕跡は何一つ残っていなかった。
吐かせるべき内容が機密情報だったからこそ部屋にカメラやマイクを設置していないことが仇となった形だ。トム自身で逃げ出したのか第三者が手を貸したのかもわからないまま、時間だけが過ぎていく状況にエニエス・ロビーを本拠地とする隠された組織CP9、その長官の椅子に座る男は頭を抱えていた。
「預かった罪人の逃亡を許すなど、なんたる失態。このままではまたスパンダインが余計な茶々を入れてくるぞ……!」
「トムの有罪を立証したのが、子息のスパンダム殿でしたか」
「あの七光りのボンボン、闇に潜むべきCP9長官の立場で表に出てくるアホの子どもらしい愚かさだ、自己顕示欲が強すぎる上に捏造の仕方も粗い。わざわざ上層部の手を煩わせるような輩が、どうして他のCP長官で満足しなかった!」
世界政府の暗殺部隊ともいえるCP9長官といえど一役人であり、世界政府に任命されて就いた地位に過ぎない。今回の実態と前長官であったスパンダインの持つ上層部へのツテがあれば、トムの捕獲が出来ようが出来まいが、近いうちに自分はこの地位を追われるだろう。
だがそれは今ではない、この失態が表に出れば自分だけでなくエニエス・ロビーの不落神話すら落とされてしまう。
「……現時刻をもって罪人の捜索を中止。上には数日後処刑したと伝えておく。だが情報を抜き取れなかったとして、私の在任期間は短くなるだろう」
故に彼は事実の隠蔽を図った。逃げ出したことを伏せ、処刑を実行したと報告すれば当初の予定通りの決着となる。
「CP9全員に任務関連で提出する書類等に詳しくなるように伝えておいてくれ。せめて馬鹿共の権力争いの駒にならんよう、不要な任務を断れる知識を持つようにと」
「……承知いたしました」
経過報告をしていたCP9の男は、さも自分は真っ当だと言わんばかりの現長官が、世間一般で汚いと言われる手段を用いてその椅子に座ったことを知っている。
出世争いの相手を盛大に貶しているが同じ穴のムジナであることは間違いなく、またそのような後ろ暗いことがある人間ほどCP9の長官に就くことは、悲しいことに良くあることだ。
任務の達成には余計な雑音を減らすことは喜ばしいことではあるため、微動だにせず立っていたCP9の男は、表情を変えずに了承した。
*
『おう、起きたかトム』
目を開ければ若い頃の友人が顔を覗き込んでいた。ぼんやりとモヤがかかった思考の中で、トムはとうとう自分は死んだのだなと納得した。
与えられる苦痛が何一つ無くなり、清潔な衣服に身を包んでいる。残念ながら切り落とされた右腕がないままだが、死んだ旧友に会えたことはよかった。
『まだ痛むところはない?』
旧友の反対側から、もう一つ顔が覗き込んでくる。しっかりとその人物に目の焦点を合わせた。
おや、とトムは独房の中で見た天使に似ているなと気がつく。色は違くても瓜二つの幼い顔は、トムの身体のあちこちをペタペタと触っている。
くすぐったさに思わずトムが声を漏らすと、大丈夫そうだねと、ほうと少年は息を吐いていた。
「てんし」
『またかい』
トムの言葉に少年は半眼になる。なにやら不機嫌にさせてしまったことにトムは首を傾げるが、笑う旧友の声に顔をそちらに向けた。
『わはは、お前はまだ生きてるぜ、トム』
「いきてる」
『エニエスロビーから攫ったからな。大丈夫だ、こっそりしたからおれ達が犯人だとはバレてねェよ』
『なあ、死後の世界だって誤認される原因お前だろうから、初手から顔出すのやめない?』
『お前の顔も大概だろ。おーい、そろそろ起きろムグ』
『あー、ちょっと黙ってて』
旧友の後ろに回った少年が背後から彼の口元を覆って強制的に黙らせた。ぼんやりとそのやり取りを眺めていたトムに向かって、少年は穏やかに笑う。
『後でゆっくり説明します。いまはわからなくても大丈夫ですよ。まだ眠いでしょう、安心して休まれてください』
霧がかかったままの頭に何処かで違和感を覚えながら、こっくりとトムは頷いた。
*
ぼーっとした焦点が合わない目のままのトムさんに、小さな子どもに向けるようなゆったりとした笑顔を作った。
この寝惚けているような様子はトムさんの心の防御反応だ。捕まってからひと月近くが経過している間、丈夫な魚人すら瀕死になるほどの尋問は彼の心身に傷を残さないわけがなかった。
現実を客観的に眺めるようにして、いま苦痛を受けている自分を映像の先の別人だと認識する。そうして心を守っていたのだろう。
自白剤も何度かうたれているようで、その影響もある。身体への影響が強すぎるから何度も投与するなんて通常はしない。彼は薬剤で頭が朦朧としてもなお、しゃべらなかったんだろうな。
安心させるようにトムさんを寝かしつけてから、おれは部屋の隅にソルを引きずって小声で説明した。みるみる顔が怖くなる彼を宥めるように肩を撫でて、覇気が漏れないようにする。魚人の人は感覚が鋭いから、起こしちゃうだろ。
「本当にまだ寝惚けているだけかもしれない。拷問で睡眠を取らせないのは良くあることだからね。ひとしきり眠った後、意識がハッキリする可能性もある。だからその間、トムさんをココロさん達に会わせるかどうか悩んでいるんだ」
はたしてこの状態で会わせることが最善なのかとおれは決めかねていた。ただでさえトムさんは職人としての生命線の右腕を失っている、二度と造船技師として依頼を受けることはできないだろう。
意識もぼんやりして生きる糧を失った彼に彼女達はショックを受けるのでは、と目を伏せるおれに、ソルはおれなら、と声量を落として言った。
「おれだったら顔を見てェな。起きなくても生きてんだって実感してェ……と思う」
「実感……そうだな。うん、確かにおれも思う」
死んだと思ってたロジャーにまた会えた、それはそれは嬉しそうなシャンクスさんやおじい様とレイリーの姿を思い出す。たとえ幽霊であっても会いたいと思うのは良くある思考だったな。
「じゃあ、会いに行こう」
今は現実を見ることが出来なくても、いつかは出来るかもしれない。命さえあれば、可能性はゼロにはならないのだから。
*
エニエスロビーに行くと言った二人の海賊がココロとアイスバーグを元の橋の下倉庫に戻した後、姿を消してから五日が経過した。
かなり問答無用で放り出されたため、その後の彼等がどうやって侵入するつもりなのかとヤキモキしていたが、新聞を読んでもニュースにはなっていない。
億超えの賞金首の襲撃となれば成功でも失敗でも記事になると踏んでいたが、ふとあの日自分達を攫ったように姿を消したままでいられるのなら、見つかりようがないと気づいて肩透かしをされた気分になった。
今日の仕事を終えたアイスバーグは疲れた身体を引きずって作業員用の寮に帰宅する。
帰り道で買ったテイクアウトの夕食をテーブルに置いて、シャワーでも浴びようとタオルを掴んだところで腕が引かれた。そのまま彼の視界がぐにゃりと歪む。
何事だと構えたアイスバーグの視界が戻ったあと、少し離れた先に大きなベッドとその枕元近くに置かれた椅子に座る、ココロの姿を見つけた。
まさか、と疲れによる重い足取りが早足になり、座るココロの隣に立つと、ココロは涙を流しながらベッドで眠る恩師を見つめていた。
「ココロさん」
「生きてたんだよ、トムが……本当に生きてんだよ」
「……ああ」
「心臓がちゃんと動いて、生きて……」
それっきり嗚咽で言葉が出ないココロの肩に右手を置き、アイスバーグは眠るトムの首筋に左手の指をそっと添える。
とくん、とくんと脈打つことを確認して、触れていた指を離して彼は己の目元を覆う。隠された目から流れる涙が顎をつたい、ポタポタと床に染みを増やしていった。
涙を流す理由はふたつある。恩師が生きてここにいる安堵と、死んだと耳にした弟弟子のことだ。
(トムさんが生きている。生きてここにいるのに……どうしてお前はいねェんだ。トムさんとお前と作り上げた海列車、夢の結晶に轢かれて死んだと、おれに伝えろってのかバカが……!)
やりきれない思いが彼の涙腺の制御を手放させる。あの子もいれば喜んだだろうにねぇ、と呟くココロの言葉にアイスバーグが返せたものは沈黙のみだった。
ココロもそれがわかっているためか、アイスバーグの返答を待つようなことはせず、よれよれのハンカチで涙を拭う。
「トムは少し疲れちまったみたいでね、療養が必要なんだそうだ。起きてもぼんやりしていて、右腕も失った……いい加減休むべきさ」
包帯の巻かれた右腕があった場所を見下ろす。胸の下までかけられた毛布では肩は隠れていないため、袖のしぼみ具合から腕が根元からないことが見て取れる。
「ああ、やっぱりアイスバーグさんも連れてこられてた」
トン、と軽い音の後に聞こえた声の主は、両手にいくつか包みが入ったバスケットを抱えてベッドに近づいてきた。
白薔薇はその名にふさわしい華やかな笑みを浮かべて、夕食だよと言っておれ達に包みを差し出す。
どうも見覚えがあると思ったらそれは自分の夕食用に買った屋台飯では、と胡乱な目になるアイスバーグ。
その視線に気づいたのか、ちょっと量産させてもらいました、と申し訳なさそうに白薔薇は謝った。量産とは?
飲み物も受け取ってきたぜ、と大きな水筒とこれまたバスケットを抱えて入ってきたのは若鬼──海賊王だと問題があるためその呼び方になった──で、彼はそれらを白薔薇に預けると部屋の端に置いてあった机と椅子をベッドの近くに持ってきた。
ガタガタと椅子を引いてそれぞれ座ると、海賊達はおもむろに包みの中の鯖サンドにかぶり付いていた。まずは食べるつもりらしい。
仕事明けで空腹だったアイスバーグもいい匂いのするそれに耐えきれず、包みを開けてかぶり付いた。
グリルで皮がパリッとなるほど焼いた鯖の香ばしさと、ソースのレモンの酸味が混ざって脂っぽさを軽減している。
いつもの店の味と違うことに首を傾げていると、少しアレンジしたと白薔薇は言った。
「さて、トムさんに療養が必要なことは聞いたと思う」
簡易的な食事の後、切り出された言葉にアイスバーグは頷く。
現在トムは脱獄した状態であり、見つかれば再び捕らえられて尋問を受けるだろう。そうなれば次は確実に命がない。
ウォーターセブンは復興の真っ最中、ココロもアイスバーグもトムを匿う余裕はなく、生活のために働かなくてはならないため日中留守にするとなれば、その隙を狙って攫われてしまうだろう。
「療養をするには故郷のリュウグウ王国がいいんだろうけど、ちょっと世界政府に目を付けられるネタを減らしておきたい事情があって、難しいんだ」
「デンはそっちの面倒を見ているからな、トムが増えるとちと厳しい」
「あんたデンを知ってんのかい」
「この前会ったんだ、執行猶予についてもソイツに聞いた」
「デン……たしかトムさんの弟の」
「そうそう。穏やかで優しい人だから、初対面だけどトムさんもそうなんだろうなぁって思ってた」
あってるかな、と楽しそうに微笑む姿は性別がわからない程可憐で、それにたじろぎながらもアイスバーグは頷いた。
「穏やかな人であってる……ンマー、片手で船を持ち上げて放り投げてから、マストを投げて突き刺すような大雑把さはあるが」
「想像の数倍豪快な作り方だね!?」
でもそれで作れるのがすごいな、と目を輝かせる白薔薇からは遠い記憶を掠めるものがあって。
そこからトムの豪快エピソードの暴露大会が始まって、久しぶりに明るい顔をしたココロと楽しそうな笑い声に、アイスバーグは久しぶりに笑った。
「あら、トム起きたのかい」
「トムさん」
明るい雰囲気に釣られたのか、いつの間にかトムの瞼が開いていた。
聞いていた通りの遠くを見るような虚ろな様子に、ベッドの脇に駆け寄っていたアイスバーグの手が硬く握りしめられる。
少し俯く彼の頭に、ぽすっと何かが当たった。顔を上げればトムがぼんやりした表情のまま、アイスバーグの頭に手を置いていた。
トムは少しだけ笑みを浮かべて数回頭を撫でるように手を動かし、そうしてまた目を閉じてしまった。
「なんだよ、弟子にはちゃんと気づいていたのかい」
たとえ、二度と恩師に会えなくなっても。生きているのならそれだけで未来への励みになる。
新聞のニュースでもいい、ウォーターセブンが復興した姿を彼に見せられるように、自分は研鑽を積むだけだ。
アイスバーグは再び眠ってしまったトムに顔を向ける。心なしか、彼も微笑んでいるように見えた。