一抹の不安を覚えながら朝を迎えたボクは、あれこれ考えたせいで若干寝不足気味だったけどひとまず起き上がる。
休んだら話を聞くどころではなくなるしね。
両親の前では何でもない風を装いながら家を出る。
数分もすれば初霜家が見えてきた。
すると、玄関の前で既に芹が立っており、なんだかソワソワとしている。
「おはよう芹。今日は早いんだね」
「あ、おはよう明日葉ちゃん。ちょっと早起きしたから待ってたんだよ」
2人で肩を並べて歩き出す。
さて昨日のことをどう切り出そうかと考えていたら、芹が先陣を切った。
「……あ、あのね、明日葉ちゃん」
「! う、うん」
来たか、と身構える。
何かボクの体に異変が起きてるらしいことから、早いうちに芹達から話を聞いておく必要がある。
正直若干ビビってる感は否めない。
この気持ちは病院で病気の診断結果を聞くのと似ているな。
しかし、芹は首をボクと逆側に向けてしまった。
「あ、えっと、やっぱり何でもない」
「え!?」
嘘でしょ。
絶対昨日の出来事を振り返る流れだったじゃん。
確かに昨日は危うく触手に〇されるところだったから、できれば記憶の彼方に永久に封印しておきたいところなんだけど、四の五の言ってる場合じゃない。
何故か芹はそっぽを向いて頬を赤らめてる……ってまさか。
「ボク、もしかして死ぬ……!?」
ひょっとして、ボクは思ったより深刻な状況にあるんじゃないかと思い、ガクブルしてしまう。
齢16歳でこの世を去ることになるのか……。
しかし、芹は慌てて首を振る。
「違うよ!? 死ぬわけじゃないから!」
「……ホント?」
「うん。わたし、明日葉ちゃんには嘘はつかないよ」
それを聞いてちょっと安心した。
せっかくの二度目の人生なんだから今回は頑張りたいと思ってたし、このままあっけなく死ぬのは嫌だと思っていた。
「そっか……。いや二日連続で身の危険を感じる現場に遭遇したから過敏になってるのかも」
「それはしょうがないよ。わたしも魔法少女になりたての頃はそうだったもん」
昨日は恐ろしい魔法を披露した芹だったけれど、そんな彼女でも初心者の時があったのは当然と言えるだろう。
でもすごい才能があるみたいだし、その力で数々の修羅場を潜り抜けてきたと思うと、正に歴戦錬磨と言えるのかもしれない。
「ところで、なんでそんなに言いにくそうなの? ボクに何か起きてるのは分かるけど……」
ボクの質問に対し、芹は更に頬を紅潮させる。
「え、えっとね、その、外じゃあまり…………そうだ! 学校が終わったらわたしの家に一緒に来てくれないかな? そこなら誰にも聞かれないし!」
「魔法のことだから外じゃ話せないってこと?」
「う、うん。そう思ってくれても良いよ」
歯切れの悪さが気になったけど、芹の言うことなら素直に従おう。
……なんか嫌な予感がするのは気のせいだろうか? いや気のせいだろう。うん。
自分に言い聞かせながら学校の敷地をまたいだ。
教室に入ったボクは、気持ちを切り替えてクラスメイトに向かって挨拶をしていく。
「みんなおっはよー」
皆こちらを一斉に振り向いた。
「おはよー」
「おいっすー」
「おー岸波じゃん」
「あす×せりマジ尊い……。この学校に来てよかった……」
若干おかしな人もいたが、概ね良好な返事が返ってくる。
これこそがボクが16年間努力してきた積み重ねの結果だ。
前世では陰キャ中の陰キャだったボクは、今回こそはと明るく振る舞うようにした。
たくさん笑顔の練習をして、見た目を整え、話し方を勉強し、その甲斐もあって前世とはくらべものにならないほど充実した日々を送れている
ボクが変わることのできた転換期はいくつかあったけれど、芹ももちろんその中の1人だ。
ボクは芹がいなかったらどうなってたのだろうか?
今更そんなこと言っても遅いんだけど、多分こんなに明るい性格にはならなかったのかもしれない。
一通りの人に声を掛け終えると自分の席に着く。
そして最後に、隣に座った男の子へ挨拶をした。
「おはよ、
「おう」
金髪のイケメンこと、
彼とも結構古くからの――下手すれば芹に出会った頃からの知り合いで、ボクが自分を『ボク』と呼ぶようになったのは彼がきっかけである。
今回はたまたま隣になったけど、中学生の頃はずっと別クラスだったから久しく喋ってなかった。
「今日は早いんだね」
「たまたま早起きしたからな。岸波はいっつもこのくらいなのか?」
「そだよー。芹が寝坊助だから、早めに出ないといつまでたっても学校行けないし」
その芹を見てみると、自分の席に着いてクラスメイトの女の子達と喋っている。
彼女はこの学校で人気者だから勝手に輪ができてしまうのだ。
「ああ、そういや今日
「芹と?」
今日は魔法の件があるし、行くことはできない。
他の子達を誘ってもらうことにしよう。
「……ごめんね。ちょっと芹の家で大事な話あるから今日は行けないんだ。ボク達じゃなくても大丈夫でしょ?」
俊輔は露骨に不満そうな顔になった。
「えーまあ良いけどよ。この前も行けないって話だったじゃん」
うぐっ。
そういえばそうだった。その日もたまたま用事が重なってしまい断ったのを思い出す。
でも今日はしょうがないのだ。
下手すればボクの今後に係わることだし、絶対に外せない用事なのである。
「ホントごめんね」
「別に良いけどよ。俺の方も急だったし」
「今度埋め合わせするからさ」
「おう。……それにしてもお前と初霜いっつも一緒だよな」
「え、うん。まあ、親友だし?」
俊輔の意図が読めない発言に若干戸惑いながら返すと、彼は「ふーん」と相槌を打った。
「まさか、付き合ってる訳じゃないよな?」
「は?」
俊輔は何気なしに放った言葉に、思わず素で返してしまった。
「だってさ、お前ら距離近すぎるし初霜はお前にべったりくっついてるじゃん」
「そ、そう? いや、だとしても付き合ってるは意味分からないからね!? ボク達女の子だよ? そんなアブノーマルなことある訳ないじゃん……」
実のところ心は男なんだけど、とは言わないが。
で、なんでボクと芹が付き合う付き合わないの話になってんの?
「悪い悪い。冗談だからそうカッカするなよ。ちょっと気になってただけだし」
そう言って俊輔は飯野のところに向かってしまった。
なんか、要領を得ないまま話が終わった。
そりゃあ確かに傍から見たらボク達は仲良すぎに見えるかもしれないけど……。
いや、考え過ぎか。そもそも芹がボクのことをそういう目で見ているはずがない。
フゥと息を吐きながら気持ちを切り替えて、授業の準備でもしておこう。
……俊輔と会話している間、芹がこちらを見ていたのをボクは知らないまま。
□
放課後になり、芹と共にボクは帰路に着いていた。
実を言うと芹の家にお邪魔するのは結構久しぶりかもしれない。
中学3年生の時は受検で忙しかったし、その前も、芹は魔法のことがあったからあまり人を呼びたくなかったのだろうと思っている。
他愛ない話をしていたらすぐに初霜家に到着した。
「さ、上がって上がって」
「お邪魔しまーす」
扉を開けると、玄関にはいつもはある靴が見当たらなかった。
「あれ、今日おばさんいないの?」
「うん。自治会の会合があるって言ってよ」
「そうなんだ。珍しいなって思ったからさ」
「家のことあってあんまり行けないからね。でもちょうど良かった」
ちょうど良かったとはどういう意味だろうか。
魔法のことを話すんだから、聞かれる心配をしなくて良いということだと解釈しておこう。
「そういえばディナは?」
「今は妖精圏に行ってるの。ちょっと訳があってね……」
「ふーん」
そういえば昨日もそんなこと言っていた気がする。
ボクのことかもしれないし、そうではないのかもしれない。そこら辺は芹の方が詳しいだろうし、彼女1人でも大丈夫だと感じたのなら、その判断に委ねよう。
「こっちこっち」
先に廊下に上がった芹に手招きされて、ウサギのスリッパを履いて二階へと上がる。久しぶりの芹の家の匂いだ。
廊下を渡った突き当たりの部屋に入っていく。
白をベースとした壁紙に、綺麗にバランス良く配置された家具達。それだけで芹の気質がよくわかる。
ベッドに座るように促されたので、淡いピンクの毛布に腰掛けた。
「何か飲み物持ってこよっか」
「平気だよ。それよりもボクの体に一体何が起きてるの?」
何も知らされてないものだから、それはもう不安でしょうがなかった。
何故かボクにも魔力があって、それが原因で昨日は大変な目にあったってことは分かる。
それ以上は芹とディナに聞くしかない。
「あ、そうだよね。んーと……」
芹は若干言いにくそうだったけど、ポツポツと話し始める。
「
「え、ホント!? それなら一件落着じゃない?」
夜な夜な近所に怪物が現れる心配もしなくて良いということか。
「うん……」
しかし、芹の表情はどこか暗い。
決して朗報という雰囲気ではなかった。
「……えっと、ちなみにマナの実はどこに?」
恐る恐る居所を聞けば、芹は無言のまま腕を上げてとある場所を指差した。
それにつられて視線を下げる。
その指先が指し示すのは……ボクの胸元だった。
「……マジ?」
「オオマジだよ」
「ど、どういうことなの……?」
パニックになりそうになるのを必死に抑えながら、芹にその先を促す。
彼女は「ディナから聞いたことだけど」と付け加えながら話を続けた。
「一昨日まで明日葉ちゃんには魔力は無かったんだよ。それはディナが証明してくれてる。でも昨日の夕方に急に魔法を使えちゃったんでしょ?」
「多分ってだけだけど……」
「大気中にはマナが満ちてて、それを取り込める能力を持つ人に魔力が宿るの。それは先天的なもので後天的に魔力が宿すことはできないんだって」
「つまり、本来ならボクが魔力を持ってるのはあり得ないの?」
芹は前を向いて頷いた。
「そう。でも1つだけ例外があって、マナを放出する物質を取り込んだ場合、その人に魔力があるって誤認する場合があるの」
「……んじゃそのマナを放出する物質っていうのが、マナの実だってこと……?」
「うん……。明日葉ちゃんは果実に触れたら消えたって言ってたよね? わたし達は明日葉ちゃんが最初触ると同時に果実の中の魔力が飛び出してどこかに行っちゃったんだと思ってた。でもそうじゃなくて、触ると同時に明日葉ちゃんの中に取り込まれて、その衝撃で明日葉ちゃんは幽界に飛ばされたんだと思うの」
「そ、そういうことかー……」
力が抜けたボクはベッドの上で後ろに倒れこむ。
弾力のあるマットが衝撃で軋み、僅かに上半身が浮いた。
ボクが天井を見やったまま、芹は話を続ける。
「ディナが最初に明日葉ちゃんの体を計測した時には、まだ果実の中のマナが明日葉ちゃんに馴染んで無かったんだと思う。でも1日経って段々とマナが魔力として蓄積されていって、魔法が偶然使えちゃったんじゃないかな……?」
「それでまた幽界に行くことになっちゃって訳ね」
「魔物ってね、純度の高いマナが好物なんだって。それでマナの実を積極的に狙うんだけど、明日葉ちゃんの中の果実にも反応しちゃったんだね」
「……なるほど」
なんてこった。
自分の体が原因だったなんて。
軽率にあの黄金の果実を手に取ったのがそもそもの間違いだったのか……。
思えばおかしいところは確かにあった。
幽界に入った途端襲ってきたスライム。芹の方が近かったのにこちらに向かってきた触手。
ぜーんぶボクの中の果実に釣られてきたのだろう。
「んじゃあさ、ボクはどうすればいいの? もしかしてこのまま一生魔物に襲われることになるの……?」
「そんなことはさせないよ。ちゃんと明日葉ちゃんを助ける方法もディナから聞いておいたから!」
芹は横たわったままのボクの手をガッチリと掴んだ。
「ホント!? 良かったぁ……。このまま一生魔力を持って生きてくことになると思ったよ」
妖精であるディナがそう言うのなら間違いないのだろう。
早速マナの実を摘出してもらおう。
「それで、一体どうすれば取り出せるの? ボク何でもやっちゃうよ」
「何でも……。うん、そうだね。ちょっと恥ずかしいけど頑張ろうね」
「大丈夫。芹のこと信じてるから」
「ありがとう明日葉ちゃん! ――じゃあセッ○○しよっか」
「…………ん?」
今、芹の口からとんでもない言葉が出てこなかった?
「え、ごめんもう一回言ってもらえる?」
「だから、セッ○○だよぉ。 何回もセッ○○って言うの恥ずかしいんだからね……!」
「十分だよ! 十分言ってるから! え、なに、なんで!?」
聞き間違いではなかった。
心なしか、こちらの手を掴む芹の力が強まった気がする。
「聞かないで! 明日葉ちゃん『何でもする』って言ったじゃない!」
「限度があるだろぉ!?」
芹はボクの手を離して、素早くこちらの正面に回り込み肩を掴んできた。まるでボクが逃げ出すのを防ぐかのように。
そうして片手で器用にボクの制服のボタンを1つずつ外していく。
「ちょ、ちょっと。何してるの!?」
「なにって……服脱がないとセッ○○できないよ? あ、もしかして服を着たままの方が良かった? 明日葉ちゃんがそう言うのなら……」
「そんなマニアックなプレイ求めてないよ! とりあえず手を離し……力つよぉ!?」
全然脱出できない。
力を入れてる割に痛くはないが、このままでは逃げることは不可能だ。
どこでこんな技覚えたの??
いやそんなこと考えてる場合ではない。
このままではボクは芹に初めてを奪われることになるのだから。
初めての相手が親友になったら、ボクは今後彼女をどういう目で見れば良いのだろう。
話を聞くために一旦冷静になってもらう他無い。
「と、とりあえず落ち着こ? まずは話し合ってからでも……」
「そんなこと言ってる場合じゃないの! 安心して明日葉ちゃん。何も怖いことないからね!」
「そんな血走った目で迫られて怖くないは無理があるでしょ!」
「大丈夫! こう見えてわたし、初めての人には優しくする自信があるの!」
「それでボクは何を安心すれば良いの!?」
「明日葉ちゃんが天井の染み数えてる間に終わらせるから!」
「それ女の子が言っちゃいけないやつー!!」
必死の抵抗も虚しく、芹の腕の中から中々脱出できない。
その間も芹の顔が徐々に近付いてくる。
くそぅ、諦めるしかないのか……。
観念して目を閉じようとした時、部屋のドアがガチャリと開く音がした。
「ふう、ようやく帰ってこれタ――って、ん?」
「…………」
「…………」
入ってきたのはディナであった。
ボク達を見て何かを察した表情を、してるような気がする。
「……えっと、お取り込み中だったかナ? ワタシは退散するからごゆっくり」
「いや待って! ボクと芹を2人きりにしないで!」
出て行こうとする彼(?)を何とか引き止める。
これ以降チャンスはないだろう。
ディナはこちらに振り向いて聞く体勢に入ってくれた。
「何があったんだイ?」
「いや、芹が急に……。ほら、芹。ディナに事情を説明して?」
「……うん分かった」
芹はボクの体から手をどけて上半身を起こした。
ボクは制服を整えながら、彼女の話をディナと一緒に聞くことに。
要約すれば、魔力を持つ者同士が一定以上の距離による接触を行うと、片方の魔力をもう片方が操作できるようになるらしい。
それによりボクの中の魔力を操作してマナの実を体外に排出しようとしたということだ。
んで、『一定以上の距離による接触』というのが所謂性交であり、これが芹がボクに迫ってきた理由である。
本当に驚いた。
急に芹が発情して襲い掛かって来るのかと思ったもん……。
全てを説明し終えた芹の顔は真っ赤だ。
そりゃあ自分の行為の説明を具体的にするなんて羞恥プレイ以外のなにものでもない。
でも芹はボクの為に行動を起こそうとしてくれたんだよね……。
それなのに拒絶しようとしたのは彼女に悪かったかもしれない。
ディナはなるほどと言った様子で頷いた。
「事情は分かっタ。でもワタシが戻ってからって話したよネ?」
「うぅ~だってだって! 明日葉ちゃんが心配だったんだもん……」
「まあ気持ちは分かるがネ。ただ芹にとってもあまりよくない話なんだが……君達が交わってもマナの実は取り出せないヨ」
「「え?」」
芹とボクの声が重なる。
じゃあさっきの話は一体何だったの?
ディナは話を続けた。
「他人の魔力をコントロールするにはもう片方が異性でないといけないんダ」
「え……つまり、ボクは男とセ……性交しないといけないってこと?」
「もっと言えば女性器の中に男性器を入れることで、パスがつながって魔力が混ざり合うからこそ魔力を操作できるようになるんだ」
ガーンという衝撃がボクの頭を横切っていく。
ボクは、自分の命を守るためにどこの誰とも知らない男とヤらなきゃいけない、と……。
え、普通に嫌なんだけど。
「他に方法はないの!?」
「うーん、ワタシも妖精圏に確認しに行ったけど、これ以外に方法は存在しないらしい」
「そんなあ……」
ガックシと首を落とす。
「まあ、そもそも男の魔法使いが存在するのか、ワタシは認知してないんだけどネ」
「え、どゆこと?」
「ワタシ達は自分と魔力の波長が合う人間のところに向かって契約を行い、そしてその人間は魔法を使えるようになるんだけど、自分と契約できる人間の魔力しか遠くからは感知できないんダ。だから他にどんな人達が魔力を持っているのかは、一目見るだけじゃ分からないんだよネ」
「え、じゃあ他の魔法使いを見つけるのも一苦労ってこと……?」
「そうなるね」
マナの実をボクの体から取り出す為に男の魔法使いが必要で、しかもそういう人間がこの世界にいるとも限らない。
そんなの探しようがないじゃないか。
「芹とディナはそういう人を見かけたことは無いの?」
「ワタシ達は男で魔法使いをやってるのは見たことないヨ。いるのかもしれないが、少なくともこの街とその近辺には存在しない」
これ詰んでない?
このままだと魔物に一生追われる羽目になるんだけど。
「な、なんとかならないの?」
「そうだねえ。どうにか魔法使いを見つけるしか――って芹? さっきからずっと黙ってるけド」
そういえば話してるのはボクとディナだけで、芹が会話に入ってくることはなかった。
横にいる彼女を見ると、目を床に向けている。
長い髪が一緒に垂れているせいで、その表情は読み取れない。
「……やだ」
「え?」
芹の顔を覗きんでいたら急に顔を上げた。
「ぜ~~ったいにやだ! 明日葉ちゃんが男の人とセッ○○するなんてありえないよ!」
突然の大声にビックリして転げそうになるが、何とかこらえる。
「明日葉ちゃんに男の人は近付けさせないからね! 他の方法考えようよ!」
「いや、本人の意思はもちろん尊重するけど、結局は性交が一番手っ取くはあるんだヨ?」
「やだやだ! 明日葉ちゃんを男に取られるくらいなら一生このままでいい!」
ボクだってそんなことはしたくない。
かと言ってこのまま現状維持という選択肢も取れない。
また幽界に飛ばされる可能性がある限り、不安でおちおち睡眠も取れない体になってしまう。
だからこそ最善策を魔法に成通している2人に考えてほしいんだけど……。
そんなことを考えていたボクだけど、次の芹の言葉に思考が停止してしまった。
「明日葉ちゃんのこと一番好きなのはわたしだもん! 誰だからと言って絶対に許さないよ!」