剣戟魔界都市―ソードマンズ・サンクチュアリ―   作:ひん(再就職)

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PART5

一頻り行為を終えた二人は並んで横になり、汗と体液の残滓に濡れたまま他愛も無い話に興じていた。

誰も雪音を知らない場所へ旅行したい、変装してこっそり映画を観に行きたい、などという願望から明日の献立までひそひそと言葉を交わす。

ダブルサイズベッドの中心で夜鹿と寄り添うこの時間が雪音は好きだ。

獣のように激しく腰を打ち付け絡み合うのも悪くないが、こうして隣に無防備な姿で居てくれると安心する。

この人は自分と云う剣にとっての鞘なのだと思えるのだ。

その一方、夜鹿もこの時間を大事にしている。

雪音が何を考えて何を望むのかを良く聞き出し、彼の心を繋ぎ留めるのに大いに役立つ。

その倫理は丸っきり異常だが聞き分けは良く、むしろ世の男の大半より真面目で誠実だ。

しかも身体の相性も抜群に良いと来たら可愛がるのも道理。

体毛が薄くてつるりとしながら意外に厚い胸板から鼠径部まで指でなぞる。

際どい所を爪で行ったり来たりして焦らす。

気絶寸前までギッタギタのバッコバコにされた仕返しだ。

なすがままにされながら無言で擽ったがる雪音の仕草が妙に愛らしくてくすくす笑った。

 

「どうしてこんなに大きくしてるの? さっき三回もしたのに。ねぇ、どうして?」

「……姉さんが焚き付けるからだよ。そんな触り方されたら俺が我慢出来ないって知ってるよね」

 

腹筋の駆動で身を起こした雪音は悪戯をやめない両手を掴んで押し倒した。

両手を上げさせ、降参する犬の体勢を強いる。

頬に朱が差した夜鹿の股に、左右に振れる尻尾の幻影が見えた。

組み敷かれて欲情スイッチが入ったらしい。

 

「やあんっ♡けだものっ♡悪いワンちゃんに犯されちゃうぅっ♡」

「…………」

「ちょっと、何か言ってくれないと私が馬鹿みたいじゃない……」

 

馬鹿でしょ。

と喉元まで出かけたが我慢する。

 

「わんわん!」

 

尖らせた唇を口で塞いで誤魔化した。

誤魔化せた。

大人のお姉さんなので誤魔化されてくれた。

こうなったら馬鹿になってこのノリに着いていこうと覚悟を決める。

溶け合うような濃さのキスが延長戦のゴングだ。

首筋を舐めて興奮を高め、白けそうになった雰囲気を修復する。

全身を額から足まで舐めると薄っすら塩気があり、蠱惑的なフェロモンが嗅覚から雪音を誘惑するが、まだ挿れない。

手入れされた陰毛が何度も鼻に当たる。

 

「がうがう」

「やだっ♡そんなトコ舐めたら♡♡汗かいてるからっ♡んもうっ、早くシてっ♡」

 

淫靡に内腿を擦り合わせていた夜鹿は更に自ら股を割って誘うがまだ焦らす。

焦らせば焦らすだけ後で反応が良くなる。

ねっとり潤んだ割れ目に忍ばせた二本指で浅い所を掻き回し、媚びるような強い締め付けを騙して弄んだ。

剣ダコで固くなった指先の齎す刺激で内腿がひくひくと痙攣し、腰が勝手に持ち上がる。

愛液が手首まで垂れる程ぐっしょりと濡れていた。

 

「んっ♡これ違う♡欲しいのと違うっ♡そこばっかり責めるのだめっ♡」

「犬に言葉は通じないんだよ姉さん。もっと体も使って誘わなきゃ挿れてあげないよ?」

 

指を抜けば薄暗い寝室で白濁した粘液の虹がテラテラと光る。

雪音は基本は避妊具を使うのでこれは夜鹿が自分で分泌した分だけだが、かなり粘っこく本気で感じている証拠だろう。

 

「もう♡硬くて太いので一番奥っ……とんとんしてっ♡指じゃ届かないところぐりぐりしてっ♡」

 

間抜けな迎え腰まで使って股を押し付けて挿入を目論むが、雪音はそれをするりと躱す。

 

「うう〜いじわるぅ♡」

「今自分で挿れようとした? したよね? 堪え性なさすぎてガッカリだなぁ。今日の姉さん自分勝手過ぎるしもうやめちゃおっかな〜?」

 

濡れた指先で臍の下を叩けば、解れた子宮はその振動だけで軽く絶頂しかけてしまう。

 

「ご、ごめんなさいっ♡あやまるかりゃやめないで♡ゆきねがだいしゅきでもう我慢出来なかったの♡お願いだかりゃ挿れてくだしゃい♡♡」

 

舌足らずな懇願にキスで応えると潤んだ瞳がうっとりと蕩けて悦びを露わにする。

そんな夜鹿が愛しくて、大切で、いっその事壊してしまいたくなる。

しかし唯一の家族に間違ってもそんな事はしない。

代わりに快感を与えて代弁する。

 

「俺も姉さんが大好きだよ」

 

片手で手早く避妊具を装着して割れ目に先端を宛てがい、一気に突き入れた。

沢山のキスも継続し頭を撫でる。

 

「んんっ♡いきなり深いィっ♡♡」

「これが欲しかったんでしょ? ちゃんとおねだり出来て良い子だね」

「あ゛っ♡まっでぇ゛♡こんな……おがじくな゛る゛っ♡ お゛っ♡!?♡」

「おかしくなっていいよ。俺が一生面倒見てあげるから」

「死んじゃう゛っ♡ごれ゛死んじゃう゛っっ♡♡」

 

矢継ぎ早に降り注ぐ、優しさに満ちた雪音の本心が夜鹿をより昂ぶらせる。

熟しきって火照る肉体を捉え、背中や後頭部に手を添える。

それらを支えに、密着しつつも夜鹿には無理な体重の掛け方をしないで快楽に専念させていた。

他人には極端に冷酷で暴力的な雪音だが、少ない家族にだけは憂鬱な負い目すら大きな胸の内に抱き留める底なしの優しさを見せる。

好色な夜鹿とてそれに気付かない阿呆ではない。

激しくも優しい優越感と充足感が心を満たしてくれる。

大学時代に付き合っていた相手とは比較するのも烏滸がましいまでに深く受け止めてくれる。

壊れた狂人であると忘れるほど溺愛もしよう。

女としての部分が胤を貰おうと脚で腰を挟んで離さず、この男は自分のものだと誇示した。

迸る飛沫でシーツに染みが増える。

男女の仲に堕ちてからシーツを替えなかった日は無い。

 

人と獣が愛を紡ぐ協奏は夜更けまで続いた。

 

 




クッソゲスい略称思い付いたけどどうしよ
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