「だ~か~ら~」
ウザイとばかり、ため息と共に振り返る。
ピンクの髪に、均整の取れた顔立ち。
歳の頃は二十前半位か。
油が、鼻の頭に少し付いているが意外にそれが彼女の魅力を引き立てている。
「何度言われてもダメです。」
困り果てた表情で、彼女は言った。
彼女の名前は、明石。
この工場の責任者で有る。
明石「提督、貴方が何を企んで要るかお見通しですからね。」
スパナを右手に腕組みをして、言い放った。
明石の視線の先には、ゲッとなり小さくなっている男が居た。
提督と言われた男は、歳は五十代なのだが幾分は若く見えなくもない。
男の名前は、風間。
この柱島泊地の総責任者で有る。
風間「そんな事、言わないでさ。頼むよ。」
手を合わせて拝む。
風間「唯でとは、言わない。」
そう言って、明石にチケットを示した。
チケットには、間宮無料引換券と記されている。
明石は、目を輝かせ身をのり出したがグッと堪えてそっぽを向いた。
その間々の姿勢で、チラッと横目でチケットと提督の顔を見た。
明石「駄目ですからね。その手には乗りませんよ。」
ふう~んと、風間は目を細めた。
行ける。
この間々押せば、行ける。
そう確信して、更に畳み掛ける。
風間「絶対に、迷惑は掛けないからさ。頼むよ。ね。」
明石も、う~んとなっている。
風間「急いで作ってとは言わない。作業の片手間で良いからさ。」
その時、背後から声が発せられた。
「片手間で、何を頼んでいるんですか?提督。」
風間は、ビクッとなり。
背後に目を向けた。
そこには、青い髪の少女がプンプンした顔で睨んでいる。
「( ̄▽ ̄;)」
風間は、固まり。
風間「いや~、別に。」
と、乾いた声で答えた。
青い髪の少女。
名前は、五月雨。
歳の頃は、10代後半位
青い髪も、地面に届く程の長さで有る。
そして、この柱島泊地の筆頭書記艦でも有る。
五月雨「明石さんの邪魔をしたら駄目じゃないですか。」
五月雨に言われ、風間は益々固まった。
五月雨「書類決裁が、まだ有るんですから。さっさと仕事して下さい。」
風間「別に、邪魔をしてる訳では」と、言い掛けて風間は黙った。
「は~い」と、項垂れて。
五月雨に肩を掴まれ、執務室に戻された。
「提督、お気持ちは嬉しいですが。邪魔ですからね。」
五月雨に、釘を刺された。
「邪魔って。」
更に、五月雨が畳み掛けて来る。
「提督用の外洋脚部ユニットの作製は、明石さんに私から駄目と言ってますからね。」
メッ、とばかり睨まれた。
冗談で返そうかと思った。
しかし、可愛い表情の中で瞳は笑っていなかった。
「はい」
と、風間は項垂れた。
ここは、柱島泊地。
深海棲艦と人類の戦いの最前線の一つで有る。
先端が開かれて、既に9年。
何時終わるのか、解らない戦争の物語。