柱島泊地の風便り   作:風間正章

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艦娘その弐

柱島泊地は、広島県呉市ではなく。

広島県岩国市が所在地となる。

 

風間艦隊の旗艦たる小舟は、柱島から南側に停泊している。

五月雨から。

「提督、この子の名前を決めないと。」

と、言われているのだが。

「五月雨が、決めて。」

と、言った処。

「薄情な、お父さんですね。」

と、言われてしまった。

艦隊内から、公募するかな?

どうしよう?( ̄▽ ̄;)

 

この停泊地から、脚部ユニットを使って数分の所に、陸奥が良く出向く海面が有る。

風間が運動を兼ねて、海面を航行している時に。

何度か見かけた。

(確か、あの辺りのはずだな。)

陸奥も、何かする訳でもなく。

暫く、佇んで居るだけだが。

そして、少し離れて長門も佇んで居る。

正確には、見守っているが正しい感じだ。

 

とある月の8日。

海面に、手を合わせ。

ジットしている陸奥の背後で、黙祷する長門の横に近づいた。

「提督、どうした?」

風間が、花を持って要るのを確認すると。

フッと、長門の表情が緩んだ。

「今日は、月命日だよね。」

ありがとうございますと、長門が風間に礼をした。

陸奥も、此方に気付くと。

横に、ズレて。

頭を垂れた。

脚部ユニットを軽く前進させて、陸奥の横に立つと。

手を合わせ。

黙祷をして。

片膝を付く様にして、花を海面にそっと置く。

花は、音もなく静かに沈んで行く。

え?と、風間は少し驚いた。

直ぐ沈むとは、思っていなかった。

直立し、再度黙祷をしてから陸奥に向き直した。

「ありがとうございます、提督」

「良く、此方に居るよね。」

「非番の時は、足が向いて。」

と、可愛くはにかむ陸奥だった。

「提督、御茶にしませんか?」

五月雨が、来ていた。

「長門・陸奥、御茶が入ったそうだ。」

 

この海面下には、戦艦陸奥が乗組員と共に眠って居る。

事故による爆沈であった。

陸奥に聞いても。

「あの時の事は、良く覚えていないのよ。」

との事だ。

 

艦娘の、当時の記憶は曖昧だと前にも述べた。

風間も、それならそれで良いと思っている。

人には、誰しも踏み込まれたくない領域が有るのだから。

 

防衛省も、広報効果を狙い民間に広く艦娘のキャンペーンを展開している。

グッズや音楽祭。

地方のお祭り。

慰霊祭。

基本的に、開催地付近の艦隊から選抜の上。

派遣されるのだが。

場合によっては、○○艦隊の艦娘さんと使命される時も有る。

 

銀座三越とのキャンペーンは、艦娘ファンの財布に大ダメージを与えるが。

このダメージを物ともしない猛者が群がるので大盛況と成る。

当然、イメージの艦娘も派遣要請が入り出向くのだが。

偶々、市ヶ谷に出張で来ていた風間は少し覗いて行くかと銀座に向かった。

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