柱島泊地の風便り   作:風間正章

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問い 肆

大和「武藏?」

隣に座る武藏に、声をかけようとした、その時。

 

大和は、今までに感じた事の無い圧迫感と殺気を感じた。

 

ここは、新幹線の車内のはず。

しかし、どう見ても深海の中に居るビジョンなのだ。

そして、武藏は。

明らかに、武藏なのだが。

武藏とは違う存在感。

強いて言えば、深海棲艦の武藏が大和の眼前に居る。

 

大和は、大量の冷や汗が滴るのを感じる。

身動ぎも出来ない。

 

眼前の武藏は、身体中がボロボロで額は大きく割れて脳漿さえ見える。

 

武藏からの声が聞こえる。

但し、頭の中に直接的に響く様にだ。

 

ムサシ(大和、お前は何故?)

大和(?)

ムサシ(人間の為に戦うのだ?)

大和(何故って?)

ムサシ(奴らが、私達を戦中では使い捨て。)

ムサシ(戦後は、忘却の奥に封印するがの如く扱い。)

ムサシ(私達と共に散って行った乗組員の想いも踏みにじる様なな扱い。)

ムサシ(虚しい、悲しい。)

ムサシ(今も同じだ。)

ムサシ(護る意味が、有るのか?)

ムサシ(しかも、上層部は責任を取らずに逃げた。)

ムサシ(今の上層部も、信用出来るのか?)

ムサシ(大和、重ねて問う、お前は何の為に再び命を掛けるのか?)

ムサシ(大和、お前は誰の為に戦うのだ?)

 

武藏「大和、どうした?」

 

大和は、ハッと我に帰った。

目の前には、武藏が居る。

その顔は、蒼白く冷や汗だらけで有ったが。

 

武藏「大和、何が有った?」

大和「何がって、貴女の方こそ。」

 

時間を大和が武藏に声を掛け様とした時に戻そう。

 

武藏が、大和を見た瞬間で有った。

 

武藏は、圧倒的な迄の威圧感と恐怖を感じた。

そう、武藏の眼前には大和ではなく深海棲艦のヤマトが居たのだ。

 

可怪しい?

ここは、新幹線の車内のはずだ。

何だ、このビジョンは?

これは、いったい?

 

武藏は、一瞬思考したが。

身動きや、視線すら外せない自分を感じた。

冷や汗が止まらない。

恐怖感が全身を包み込む。

 

このヤマトと対峙したら、生き残れないと思った。

 

ヤマト(武藏、私は要らない存在なんだ。)

ヤマト(あの時の上層部は、私をいかに始末するかを考えた。)

ヤマト(それも、自分達の面子を守る為にね。)

ヤマト(3000人を超える尊い犠牲を、何だと考えたのか。)

ヤマト(上層部の人物は、1人として私に乗り込まない。)

ヤマト(安全な場所で、勝手な事を言うだけで。)

ヤマト(私は、誰の為に戦えば良いのか。)

ヤマト(貴女は、何の為に戦うの?)

 

武藏は、我に帰った。

目の前の大和は、呆然としていた。

 

武藏「大和!!」

 

その後の二人は、押し黙ったままとなった。

 

呉駅に付いて、慌てて下車する。

 

 

 

 

 

 

 

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