柱島泊地の風便り   作:風間正章

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傾聴

艦娘は、軍艦時代の記憶を宿している。

しかし、実際の所はかなり断片的で曖昧である。

歴史学者達が研究の為に、聞き取り調査を行ったが。

使える程度の話しは、殆ど無いと言う。

 

風間の艦隊では、出来る限り艦娘と傾聴を定期的に行う様に努力している。

傾聴とは、個人面談で有る。

有る日、満潮の傾聴時の事。

「あんたさ、私達を非番の時にかなり自由に行動させてるけど大丈夫なの?」

「ん?どした?」

「他の艦隊では、うちの艦隊殆ど自由にはさせて無いんどけど。」

「あ、そうなの?」

「だいたい、何を狙っている訳?」

「満潮達自身が守っている世界を、見てもらいたくてさ。」

ふぅ~んと、なって満潮は答えた。

「前大戦時代、私達が命掛けで戦って。必死に守った。それでも負けた。」

満潮は、俯いて。

絞り出す様に話している。

「敗戦後の情けない、こんな国にする為じゃない。」

「バカ見たいな、平和ボケ。」

小刻みに、肩が震えているのが解る。

「今だって、深海棲艦との戦争中なのに。他人事で勝手な事ばかり言ってる。」

「バカじゃないの。」

声を張り上げた満潮に、俺は何と答えるべきか。

内心、冷や汗で唸っていたら。

満潮は、堪え切れなくなり大声で笑い出した。

「受ける。何をマジな顔してるのよ。」

「ホント、バカじゃない。」

お腹を抑えて、笑い転げた。

「別に平和ボケ、上等じゃない。」

「私達は、皆が平和に安心して過ごせる様に頑張って戦った。」

「ボケてる位で、良いじゃない。」

「今だって、深海棲艦が他人事見たいな人が居るんだから。」

満潮は、あ~お腹痛いと涙を拭って笑いを押し込めた。

「あんた、そんなに私達に気を使っていたら持たなくなるわよ。」

笑えた笑えたと、満潮は席を立って部屋を出た。

ボソッと、小さく。

ありがとうと呟いたが、誰にも聞こえてはいなかった。

 

深海棲艦は、占領海域を拡張しているが。

地上に上陸はしてこない。

離島等に、姫クラスの深海棲艦が存在しているのは報告が有るが。

日本の陸上に対しては、流れ弾と深海棲艦側の艦載機からの被害しか確認されていない。

それも、海岸線周辺で有る。

深海棲艦には、通常兵器での攻撃は殆ど有効性が認められない。

だが、当たり処に寄ればグラついたり。

足元を狙って、ひっくり返し撤退させた事例も有るが。

自衛隊側の被害は甚大で有った。

核攻撃は、有効なのだろうか?との議論も有った様だが。

現状、核攻撃を行った様子は報告も確認もされていない。

北朝鮮が、散発的にミサイルを発射している兆候が認められているらしいが。

どうも、深海棲艦側に迎撃されているらしいとの情報が上げられている。

深海棲艦発生の初期段階で、日本に駐留していた米第七艦隊も太平洋上に出撃して音信不通。

現在、米駐留残存兵力だけでは施設に空白地が出来る為に艦娘の艦隊が展開している。

 

 

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