本丸拾遺ものがたり   作:はくたかゆき

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!注意!
・ギャグ時空
・メタ発言
・創作審神者がケモナー

無双こんのすけが復活するお話をどうしようか考えている最中に、ツイッターのタイムラインに女体化男士のイラストが流れてきて、自分の中で魔合体しました。でも無双は全然関係ありません。


【女体化! こんのすけ】

「ねぇ、このお札って、ここで所有してる馬も女体化できるの?」

 

 審神者の突拍子もない質問に、こんのすけは大きく首を傾げた。

 

「え? どうでしょう? それはやってみないと分かりませんが……しかし、相手の同意を得ることが倫理上必要なので、同意を確かめられない馬を相手に使うことは、常識の範囲を逸脱…アーッ!」

 

 こんのすけは大きな目が飛び出さんばかりに驚いた。

 審神者はいつのまにやら、実験用に支給されたその女体化札に「こんのすけ ケモ度2」と書きつけていたのだ。

 

 こんのすけはきゃんきゃんとわめいて抗議した。

 

「私は同意していません! 意思の確認もせず、酷い!」

「だって、同意を求めたら断られるに決まってるじゃーん」

 

 審神者は指に女体化札をはさんで印を結んだ。すると「こんのすけ ケモ度2」と書きつけたその札は青い炎を上げ、たちまち燃え尽きた。

 

 こんのすけは驚愕した表情のまま、その輪郭が金色に光ってぶれ、上下に長く伸びた。

 

 審神者は息を飲んでこんのすけの変身を見守った。

 

 ちょっとしたいたずら心で術を発動させたが、ここまで性癖を刺激されるとは思いもよらなかった。

 

 クダギツネの姿と比べて、金色の大きな目は表情が豊かになり、くるんとしたまつ毛にふちどられ、涙をいっぱいに溜めて可愛らしくうるんでいる。短いが人間のような眉も生えており、悲しそうに眉根を寄せている。

 そのおびえた表情には、守りたいようないじめたいような、複雑な気持ちをくすぐられる。

 首まわりをもふもふのマフラーのように覆う毛。きゅっと交差した腕でも隠しきれない豊かな胸のふくらみ、腰のくびれから太ももにかけての艶めかしいライン、丸い膝から伸びる脛、すべてなめらかで艶々した密毛に覆われている。

 

 完璧だ。

 

 審神者は壁に追い詰められてプルプル震えるこんのすけを見つめている。心臓はドッドッと激しく鼓動を打ち、息が乱れ、全身に汗がにじんだ。口に生つばがあふれ、ごくりと喉が鳴った。頭がぼんやりしてこんのすけしか見えない。

 

「ね、こんのすけ、少しだけ、少しだけでいいから……」

 

 審神者がにじり寄って手を伸ばすと、こんのすけは悲鳴を上げた。

 

「誰かあああああ!!! お助けええええええ!!!!」

 

 聞きなれない女性の悲鳴に、たちまち本丸中から男士が集まってきた。

 集まった男士たちは血走った目でこんのすけを襲いかけていた審神者を引きはがした。

 

「一体、これはどういうことだ」

 

 山姥切国広が審神者をとがめて言った。その後ろで、こんのすけは山姥切の布に隠れてぐすぐすと鼻をすすり上げながら答えた。

 

「この本丸が、時の政府のテストプレイ本丸として選ばれたのです」

 

 こんのすけの隣で「テストプレイ?」と堀川国広が聞き返した。

 

「女体化札を商品化するにあたり、無作為に抽出された複数の本丸が被験対象になりました」

 

 反対側の隣で、山伏国広が戸惑いながらこんのすけに尋ねた。

 

「にょ、にょたいかふだ、とは? 一体?」

「はい、審神者の配下の者を、24時間だけ女性に変化させられる札です。ガイドラインでは相手の合意のもと、尊厳を守り、常識の範囲内で使用することになっているのですが……」

 

「僕たちの見たところ、合意も尊厳もへったくれもないようすだったけど?」

 

 燭台切光忠が白い目で審神者を見る。

 

「だってさあ、女性に変化させられるなら、もしかしてケモ度も調整できるかなって」

 

 審神者はへらりと笑った。

 大倶利伽羅は厳しいようすで審神者をにらみ、眉をひそめた。

 

「ケモド? なんのことだ?」

「ケモノを擬人化する度合いだよ。これはあくまで基準のひとつだけど」

 

 と審神者は説明を始めた。

 

「ケモ度1は耳や尻尾など体の一部だけがケモノの人間。

 ケモ度2は耳や尻尾だけでなく全身が動物の肌に覆われているがほぼ人間。

 ケモ度3は知能は人間だけど姿は二足歩行する動物。

 ケモ度4は知能は人間だけど姿も歩き方も動物。

 ケモ度5は完全な動物」

 

 蛍丸は心底不思議そうに審神者の顔を覗きこんで尋ねた。

 

「ケモ度は分かったけど、合意と尊厳は?」

「動物虐待じゃないか。こんなことして、恥ずかしくないのか!」

 

 蜂須賀虎徹が審神者を詰問した。

 

「動物ったって、こんのすけはクダギツネじゃんか」

 

 審神者が口答えすると蜂須賀は眉を吊り上げて「黙らっしゃい!」と怒った。

 

「動物を虐待する者は、そのうち飽き足らなくなって人間を襲う傾向があると聞いておりますよ」

 

 と鳴狐の狐が言うと、鳴狐は眉をひそめ、「うわあ…」と声を漏らした。

 

「そんなことしない! 自分はあくまでケモ度2が」

 

 審神者は必死になって弁解しようとしたが、乱藤四郎がぴしゃりとさえぎった。

 

「そういう問題じゃないよ。ケモ度に関係なく、合意がないのに無理やりは許されないよ!」

「そうだよ、酷いよ」

「こんのすけだけの問題じゃないぞ」

 

 皆から寄ってたかって叱られた審神者はすねて口をとがらせ、黙りこんでしまった。

 

 

***

 

 

 審神者から救出されたこんのすけは、粟田口の大部屋に保護された。皆も心配してこんのすけのようすを見に来ていた。

 こんのすけは、えぐえぐとべそをかいていた。

 

「こんな、こんな無体な目に遭わされて……私はもう、これ以上この本丸では、ヘソを天井にして眠れません!」

 

 平野藤四郎はこんのすけの背を優しくトントンしながら声をかけた。

 

「かわいそうに。休みたいときはこの粟田口の部屋に来るといいですよ。必ず誰か居ますから」

 

 宗三左文字は袈裟を脱いでこんのすけの肩にかけ、体を覆い隠してやった。

 こんのすけは宗三から借りた袈裟の前をしっかりと合わせた。

 

「札の効果が切れるまでは、巴形と長谷部が主をしっかり監禁していますからね」

 

 と宗三が言うと、歌仙兼定は心配そうに聞いた。

 

「あの二人じゃ、簡単にほだされて主を逃がしてしまうんじゃないかい?」

「心配ないよ。あの二人には、主がこんのすけを手籠めにすれば主は政府に粛清される、主が道を踏み外さないように守れ、と吹き込んでおいたよ」

 

 山姥切長義がそう返答すると、こんのすけと歌仙は安心して表情をゆるめた。

 

「しかし、時の政府はなぜこんな、奇妙な実験をしとうがじゃ?」

 

 陸奥守がいぶかしがる。

 

「それは、年々アクティブ本丸が減っておりまして、ここらで一発大きな話題と課金要素を追加する必要に迫られ……刀剣男士の女体化二次創作は、古くから一部の審神者に絶大な人気のあるジャンルですから」

 

 こんのすけがしょんぼりと答えると、陸奥守は「世知辛いのう」と深刻そうにうなだれた。

 

「ねぇ、実験用の女体化札はもう主の手元にはないんだよね?」

 

 大和守安定はこんのすけに尋ねた。

 

「いえ、被験対象の本丸には二枚ずつ支給されました」

「じゃあ、もう一枚あるってこと? つまり……」

 

 

***

 

 

 執務室に残された審神者は巴形薙刀とへし切長谷部に、ぎゅうぎゅうに挟まれて座っていた。満員電車のように腕や脚がぴったり触れている。

 

「巴形、近寄りすぎだ。もう少し主から離れろ」

「長谷部、それはお前ではないか。暑苦しいぞ」

「お前は図体がでかすぎるんだ。見ろ、主がきゅうくつそうだろうが」

「お前こそわめくな。主がうるさそうにしているではないか」

「なんだと?!」

 

 二人とも審神者より背は高いが、手足が長くて座高は低いので、審神者のすぐ鼻先で言い争っていた。とてもきゅうくつで、とてもうるさい。

 

 巴形は審神者の膝に残ったもう一枚の女体化札に目を留めた。

 

「主、嫌がる者に無体を強いるのはよくない。女体化ケモ度2は俺が引き受けよう」

「巴形、ぬけがけするな! 主! 俺ならケモ度5であろうとも、主の望むままに応えます!」

「ケモ度5では完全な犬ではないか、長谷部。刀も使えぬ。この本丸の戦士として不適格だ」

「なにを! 俺なら完全な犬になろうとも、刀犬男士として十二分に働いてみせる!」

 

 巴形と長谷部は縮こまった審神者の目の前で額をくっつけんばかりにしてにらみ合い、火花を散らした。

 

 巴形がケモ度2で女体化すれば、おそらく美しい羽毛に覆われた麗しい鳥形の女性になるだろう。だが羽毛は、哺乳類の毛皮とは印象も手触りも違う。審神者が求めるケモではない。

 

 また長谷部がケモ度5で女体化すれば、それは巴形の言う通り、知能からして完全な雌犬になる。それはそれで可愛くてかっこいいだろうが、審神者はあくまでケモノとヒトの中間の容姿かつ全体的に毛皮の肌、つまりケモ度2の女体を求めているのだ。

 

 巴形と長谷部がにらみ合っているすきに、審神者は身を縮め、じりじりと後へにじった。どうにかきゅうくつな拘束から抜け出すと、審神者はこのまま逃げ出そうと急いで向きを変えた。

 

 すると審神者の目の前で、鞘をつけたままの薙刀と打刀がガシャッと交差した。

 

 背後からドスの効いた声がする。

 

「主、この話の結論が出るまでは」

「俺たちからは、逃がしませんよ」

 

(なにこの二人、めっちゃ息合ってるやん……)

 

 恐怖に震える審神者の喉の奥からピェ…と声にならない空気が漏れた。

 

 

***

 

 

「じゃあ、もう一枚あるってこと? つまり……」

 

 安定は言う。

 

「それを使って主がこんのすけにケモ度4のまじないをかければ、性別はともかくケモ度だけはすぐ元に戻れるんじゃない?」

 

「ケモ度4?」

 

 加州が聞き返すと安定はうなずいた。

 

「うん。主の基準では知能だけ人間なみのケモ度4が、普段のこんのすけのケモ度ってことでしょ」

 

「そうか、それなら札の効果が切れるのを待たなくても済むよね」

 

 加州と安定の会話を聞いていた皆は感心してうなずいた。

 

 かくしてこんのすけは無事、元の姿に戻れた。

 

 しかしこの被験本丸で起きた女体化強制事件は、重大かつ深刻な懸案事項として時の政府の審議にかけられ、女体化札の実装は厳重かつ永久に、廃止となった。

 

 




参考:ケモノ大好きクラブ

「ケモ度って何?段階ごとの特徴と代表的なケモノキャラクターを紹介!」
https://kemono-love.com/kemono-intensity/

「ケモナーってどういう意味?ケモノと獣人の違いについても解説!」
https://kemono-love.com/kemoner/
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