中学卒業の年に、一度お爺さんに鬼になるつもりでいる事を相談した。そこで、鬼になるには、鬼の弟子になる事が道である事を知った。そこで、「裁鬼」の元で修行したい胸もお爺さんに言ってしまうと、お爺さんは困った顔をしながらでも了承してくれた。
が、事はあまり上手くは進まなかった。
その「裁鬼」が、現在、既に弟子を持っていて、僕を弟子に迎えるのが難しいとの返答だった様だ。
「裁鬼さんに拘らなくても、弦の使い手なら、斬鬼という鬼もいるよ?弦でなくても、太鼓や、射の鬼もいる。どうする?波琉兎?」
「僕は、妹を助けてくれた、あの鬼に師になって欲しいんです。いくらだって待ちます!」
「そうかい、そうかい…。そう、勢地郎ちゃんに伝えておくからね。波琉兎。」
「じいちゃん、ありがとう」
そして、月日が経ち、高校に上がって半ばが経った頃、サバキさん自ら自分の元に訪ねて来てくれた。
あの日から、もう何年と経っていないのに、あの時と変わらない印象を受ける。
「遅くなって、すいません。」
「いやいや、うちのが待つと言ってたんだからね。ほら、波琉兎。」
「えっと、二度目ですね。万丈波琉兎です。」
「君は、あの時の…。」
「僕、ずっと言いたくて!あの時は…。ありがとうございました…!」
「…ごめんな。親御さん、助けられなくて。」
「うぅん。そんな事…。妹を助けてくれました。…僕みたいに、魔化魍に大事なものを奪われてからじゃ遅い。魔化魍から、大事な人達を守りたい。だから…。その力が欲しいんです!サバキさん、お願いします!僕を弟子にして下さい!」
「あぁ。そのつもりだよ。宜しく。バルト。」
そうして僕は、妹やお爺さん達から離れ、サバキさんと東京へ移ることとなり、高校も転校する事となった。
鬼に必要なのかと聞くと、学校生活の中でしか経験出来ないこともある。その経験が、自分を成長させるし、鬼はそういう経験が必要なのだと答えられた。
学業と鬼の鍛錬の両立は並ならぬ事であったが、何とか必死に食らいついて授業をこなしたし、修行にも明け暮れた。
そうしている間に、自分が精神的な独立を果たしていると自分では気付かずに…。
あっという間に、高校卒業も近付く頃に今回のバケガニ騒動が起こっている。もう鬼への変身も身につけ、後は免許皆伝という所でこの騒動。
高校卒業後、僕は大学への入学も決めていた。日々の生活にこそ、鬼の修行あり。が僕のモットーであって、基盤となっていた。