【カオ転三次】DRUG FATE 作:石は転がる
今回の面子は『民度:
悪ノリしてるだけなんでヤバイ奴はいないはずです。
他所の『ロボ研』ってどんな感じなんでしょうね?
幕間36
呉支部からやや遠く、広島湾のほど近く。
昔は工場にでも使われていた切妻屋根の建物が数棟。今では所有者も放置しているのか、敷地内には雑草が生い茂り、トタン屋根は赤く錆が覆っている。
何処にでもある廃物件。
誰かが興味を持って中を覗いても、さび付き自然に穴が開いた壁からは放置された工具や機械が特に隠されもせず見えるだけで、乱雑に積まれた廃棄物のせいで美しさも感じない。
好奇心旺盛な不法侵入者でも、誰もがすぐに興味が失せるだろう。
人の出入りも無く、近隣住民からは近頃活発な再開発先に選ばれてはくれないかと願われているような迷惑な廃墟だ。
しかし、それは表向きの姿。
裏の人間なら……いや、裏の人間でも高位霊能者でないと無理か。
裏の中でも選りすぐりの霊能者、その目を以てして初めてこの場の真実は明らかになる。
赤さびの外観は、黒鉄色に鈍く輝く特殊合金の分厚い隔壁に。
人の手が入らず茫々と自然に帰っていた大地は、重量物が通れるようにコンクリートで舗装されている。
当然壁に穴など無く、それどころか中の物を守るために隙間なく監視カメラが目を光らせ、いざという時の為にタレットまで設置されている。
世間から身を隠すために敷かれた隠蔽結界に悪魔から身を守るための防御結界は、見る者が見れば正気を疑うほどの精度と密度をもってこの地を覆い隠していた。
工場地帯の一角に突如として聳える霊的要塞の威容。
そう! 此処こそが日本を支配する――つもりは無いです――ガイア連合の中でも、一等ヤバイ伏魔殿と名高い『ガイア連合ロボット研究所』なのだ!
此処では日夜怪しげなマッドたちが
尚、同じ『ロボット研究所』を名乗っている集まりは他支部にもあるが、ぶっちゃけ全然関係のない所が多かったりする。大体の技術は山梨支部に報告するため各地のロボ研が結集しての技術協力もしないし、下手すると交流自体が全く無いのだ。
なので、外部からは伏魔殿と見える多様性と節操のなさとイカレ具合は、その独自性の高さ(というか、まったく別集団)が原因だと思われる。
みんなロボ研を名乗るから仕方ないね!
閑話休題。
そんな物々しい外観のロボット研究所であるが、実のところ中身は広大な空間に何故か並んだゲーミングチェア、それと所属員たちの私物が置かれただけのガランとした空虚なものであった。
建造当時は「ここにロボットが立ち並ぶ格納庫にするんだっ!」と息混んでいたメンバーであったが……。
支部の格納庫には工作機械が併存した利便性に負け。
資金ではメンバー有志の持ち寄りは支部長からの予算に負け。
みんな支部直轄(という名の支部長案件)の研究に携わっているので、自分達だけでやる必要が無くなってしまい。
そもそも、現有の技術では
――ロボ研が所有する格納庫は、壁面を利用した超巨大スクリーンで轟音大迫力の映像を楽しむだけに使われていたのであった。
「だがッ!!!! 今は違う!!!!!!!」(ギュッ
集まった白衣のメンバーの前で、ドヤ顔で拳を握るのはロボット研究所の所長(第十九回:バトルロワイアル優勝者)だ。
「技術は日進月歩で進む! 嘗ては不可能だったことも、今であれば可能に!
そう、ついに、ついについに!! ⑨ファクトリーの製造ラインが俺たちにも開放!
禁止令解禁! 機動兵器用の装甲・駆動系・各種技術がより取り見取り!!!
一家に一台! 全てのご家庭がマッシィィィーンを所有する時代になるのだぁああああ!!!」」
どこから持ってきたのか木製のみかん箱に乗り、興奮した面持ちを隠そうともせずにハイテンションで腕を振り回す所長に、集まった所属員もノリに乗って腕を振り上げる!
「ヒャッハー! 俺の設計図が火を噴くぜぇーーー!」
「新造も良いがKMFのヴァージョン⤵アップ⤴開始だぜ!」
「俺もニキに見習ってリンクスになるんだ…!!!」
「僕が一番、ガンダムを上手く使えるんだ!」
「免許取ったし、俺もバルキリー乗りになれるんだ!!」
わーわーと叫びが木霊する……事無く壁面の防音材に吸われていく。
騒いでる彼らはお忘れかもしれないが、一応格納庫として使われる前提で建設されただけあって防音吸音はかなり良い施設なのだ。
「夢にまで見た! 俺の、俺だけのスーパーロボットを…っ!?」
「ふひっ、ふひひひひ、おでの、おでのロボットォォオオオオ!」
「ソロモンよ! 私は帰って来たぁ!」
「ジプシーデンジャーでKAIJU退治だ!」
「日本人なら日輪の力を借りてダイターン3だろ!」
「初日の出ガチャ負け組乙乙www 日輪の力を借りて爆死した感想をお聞かせくださいwww」
「建造実績のあるVFを改良してエクスカリバーつくろうぜ?」
「バルキリーは開発続いてるしそのうち作るだろ。最初に作るのはやっぱりガンダムだろ!」
「まずは初代からか? それともバルバドスか?」
「バルバドスやめろw 人類悪・顕在すっぞwww」
「νガンダム造ろうぜ! 世界に人の心の光を見せなけりゃならないんだ!」
すでにお立ち台の所長そっちのけで、少しでも自分の推しを作らせようと集まった研究員たちの低俗な駆け引きが賑やかに繰り広げられる。
誰も彼もが真剣なつもりなのだろうが、外から見ればふざけている様にしか見えないのは笑うべきだろうか。
「いやいや! まず最初は建造の簡単な我がヨロイから作ろうではないかっ!」
「あの変形機構が簡単…???」
「ってか、まずはちゃんと『愛している人間』作ってくれません?(マジレス」
「それを言ったら戦争だろうがぁあああ!?」
「ここは復讐者繋がりで黒百合を! 初代艦はもうあるしぴったりだろ!」
「マグネタイト送信システムの受信はどの機体でも出来るんで、エステの必要が無いです。」
「お前ら、今が大変な時世だってわかってるか?! 分かっているなら、ここはこの中で一番高レベルな俺の専用機を作る必要があるって、分かるだろ!」
「おいおい、それなら俺の愛機を作るところだろ? 平研究員君?(ニチャァ」
「その理屈なら部長の私の方が当然優先されるよ? 上級研究員?(フンス」
「あぁああ?! てめぇら、前回はガチャで良い武器当たっただけの癖に偉ぶってんじゃねぇよ!」
「まぁ~た負けたいようだね、負け犬君?」
「君は所詮……先の試合の“敗北者”じゃけェ…!!」
「ハァ……ハァ……、敗北者……? 取り消せよ……! ハァ…、今の言葉……!!」
そうやってあれを作ろう、いやこれだ、と気分良く盛り上がっていたのが、だんだんと雲行きが怪しくなる。
仲間内で集まると何故かなけなしの社会性を放り出し、ネタに対してガチになるのは転生者ではままある事なのは悪習であろう。
一人が喧嘩腰になればそれに周りも釣られていき、すぐに一触即発な雰囲気が充満する。
「お前ら喧嘩すんな! 最初に建造するのは当然所長の俺のに決まってるだるぉぉおおおお!!??」
まあ、それを他の誰かが滅茶苦茶にするのもいつもの事だ。
まるでマウントを取り合うサル山のサルを見る様な安心感である。
「ふざけるな~# 二十回目、開催するか?」
「お前新年ガチャ爆死して金欠だろぉ~? 建設費ない奴は後回しだろ、なあ!?」
「ふっふっふ、ついに俺のロボ貯金が火を噴く! 式神課金もほどほどにしていた努力の結晶っ!」
「式神に課金しない非国民なんて修正してやるぅ! 安心しろ、貯金はちゃんと俺が使ってやるから!」
「敗北者は臍を噛んでろ! 時代の風はコツコツ真面目な俺らに吹いてるんだZe!」
「金持ちの横暴を許すなぁー、ロボはみんなで作るんだから割り勘にしろー!」
「ちくわ大明神」
「ふじゃけるな! もあい!」
「――えっ? 今の誰? 誰?」
「こうなりゃ自棄だ! 俺のスパナが爆裂すっぜ!」
飛び交うブーイング! 醜い富める者と貧しき者の争い!
結局みんなしてわちゃくちゃと揉め合い、『第二十回:所長決定バトルロワイヤル』の開催されるのも、ここでの何時もの光景であった。
尚。
ワイワイガヤガヤとヒートアップするロボ研の後ろ。
安っぽい長机にテキパキと間食用意をしていた転生者の式神たちは、『仕方がない人たちだなぁー』と一斉に溜息をつくのであった。
ロボ研の非日常回です。(ついにロボット建造が開始されるので)
これまでは主人公のプロジェクトであったり、会社の業務で研究していたりしたので、実は『趣味のサークル活動』としては全然ロボット開発してない呉ロボ研だったりしますw
恐らく、他のロボ研だと『各自の持ち寄り+有志の寄付(+ガイア連合からの支援)』で自由に研究をやってると思うのですが、呉支部ロボ研は普通に研究資金が編成されていますし、メンバーにも給料がちゃんと出てます。
呉支部ロボ研からの持ち出しは無いですし、開発品は支部なり会社所有になりますが個人での買取も製造費ぐらいでOKなのでデメリットはほとんどありません。
その数少ないデメリットの一つが今回の話の肝になる『禁止令』になります。
個人でやっていれば好きに使えたはずの最新技術を、呉では研究を進めている技術の安全性等が確認されるまで使用が禁止されるのです。(他の所だと危険性があったらガイア連合が後から尻拭いをしていると思います)
普通だとあんまり問題にならない『禁止令』だと思うのですが、今回は大分フラストレーションが溜まってたりします。
半終末到来と連動しての技術開発費の大増額。
それによって、たった一年で技術の発達と陳腐化が起きてしまったのですが、今回問題となったのは『技術発達による部品の製造原価の低下』。
……つまり、やっと一般(?)黒札にも個人で手が届く値段で戦闘用機体が造れるようになったのです!!!
(呉で唯一製造されていたロボット(ナイトメアフレーム)は作業用。自衛隊の多脚戦車以下の戦闘力しかないが、小回りは効いていた)
これを安全かどうか分からないから止められていたのでストレス溜まってたんですね。
横では現地の人間がバルキリー乗ってたりしますし。
(バルキリー自体は現地民が乗るのが前提なので安全性の確認は最低限しかしていません。最低限って言っても基準が高いので十分安全なんですが)
黒札連中ならこっそり勝手に部品作ったりしないのかって?
特殊な工作機械とかガンガン使うので作ったら普通にバレます…。
主人公も自家用機(?)乗ってるのでやっかみ受けそうですが、そもそも技術開発費用が完全に主人公負担で、しかも黒札が自分で使うなら技術ライセンス無料で解放してるんで別枠扱いされています。
工作機械とかの改良なんかにも金を大量に飛ばしていますしスポンサー枠ですね。
あと、安く作る技術自体、主人公が毎回機体壊すようになったので開発されたものなので(汗
ちなみに古来より研究所は襲われるものだし、所長が応戦するのはお約束なので戦闘力が重要だという事は確定的に明らか。
そのため「所長」「副所長」「部長」「室長」「主席研究員」とかの役職はバトルロワイアルの順位で決定されています。
別に責任も権限も何にも無いんですが、何となくのノリで一目置かれます。
……え? こいつら自分がパイロットになるつもりだから「所長」とか関係ないって?
・・・・・・こまけぇことは いいんだよ ! というノリですw