【カオ転三次】DRUG FATE   作:石は転がる

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 連日連夜、三十度を当たり前に超えてくる陽気の中、皆さま、どの様にお過ごしでしょうか?
 作者は夏バテ気味でございますw
 更新遅れた言い訳はともかく、実はこの作品において戦闘シーンはおそらく最後になります。
 そのせいで書く事多すぎてとっ散らかってるところもありますので、分からないところがあれば質問していただけるとありがたいです。
 本当は数話に分けて詳しく書けばいいのでしょうが【本編】【掲示板】【幕間】とセルフ縛りしたせいで出来なくなってしまっているという……。
 最初からちゃんと考えて形式は作ら居ないとだめですね o.. rz



77話

 

 日付は当に変わり、しかし払暁にはまだ早い時刻。

 本来なら月や星々の輝きが、はたまたは厚く覆った雲などが夜空に広がるはずの時間。

 在るべき光景は、今この場にはない。

 ここにあるのは不快な空模様だ。

 重くも軽くも無く、白くも黒くも無く。只々“のっぺり”と陰影も濃淡も無い『闇』が、不躾に空を覆い隠していた。

 

 その光が呑まれ闇に塗りつぶされたはずの空に、光明が二筋。

 今の世界の在り様を曝しだすそれは、一時たりとも止まらず、闇夜に軌跡を描き、有象無象の天使に遮られ大地に落ちた影を激しく揺れ動かす存在。

 赤々と燃え盛る“破滅”と、白々と輝き照らす“祝福”。

 それは誰かに“終局”を告げに来た者。

 それは全てを“救済”に突き落とさんとする者。

 ――【ナインボール】と【メルカバー】の航跡だ。

 

『まさか追いつかれるとはなぁ?!』

 

『今日こそはぁ! 逃がしませんっ!!』

 

 声と共に、光と光が惹かれるように出会い、まるで離れたくないというように絡まり合う。

 空に線を引いた様に光が残滓する道行の交差は、上に下に右に左にと一瞬たりとも動きを止めないのに、その歩みは一度も別つ事が無い。

 

 その事実に、私は力なく笑った。

 今も背中では重力特異点を内に抱いたブースターがその機能を全力で発揮し、これまでと同じ様に天使も悪魔も置いてけぼりに空を駆けている。

 ただ一人、【メルカバー】を除いて。

 異常事態。

 私の持っていたアドバンテージの喪失。どんな時でも『逃げ延びる』ことだけは保証していた機動性の敗北証明。

 種は割れている。

 『チャリオット』の常時使用。メルカバーはインド亜大陸の地脈を枯れさせる覚悟で掻き集めたMAGを、贅沢に湯水のごとく使用しているのだ。

 潤沢な燃料によるごり押し。それでもこれまでであれば霊格を焼き尽くす負荷があったはずだ。その様子が見えないと言う事は、今までよりもさらに『本霊』深く繋がっているという事か……?

 

『――チィッ』

 

 慣性制御と柔軟に動くブースターを利用した鋭角飛行。急に変わった進路に、メルカバーが追随するまでの刹那を最大限に利用!

 背を開き、宵闇に数多の鬼灯を放ち。

 腕を振るい、闇夜に一閃の光芒を残照させ。

 腕を突き出し、無明に光玉の燈明を射し照らす。

 

『なんの、この程度ォォオオ!!』

 

 それに対してのメルカバーの動きは、叫びとは裏腹にいっそ鮮やかで感心してしまう。

 常時起動している『チャリオット』の車輪から光り輝く網が迸り、ミサイルを飲み込む。爆発。そして、爆圧を利用してブレード光波を躱し、回避予測位置のパルスキャノンの手に持った剣で軽やかに捌く。

 その間、欠片も速度を落としてはくれない。

 唸りを上げて回転する車輪の昭光は、私と比べて膨らんだ軌道を描きながらもじりじり距離を詰めて追いすがってくる。

 

 速度で負けている。その事が、今までのようなヒットアンドアウェイを私に不可能にさせている。

 苦し紛れのミサイル放出。それを無視して突っ切ってくるメルカバー。

 

『――ッ! “我が言葉を以て剣は成る!”』

 

 逃避は無理。迎撃を選択。

 推力の雄叫び。今までの進行方向と真逆のベクトルに、運動エネルギーを置換。

 空間を焼き焦がす熱量。攻撃に備え展開したレーザーソードに“言葉(ロゴス)”によって天使を裁く権能を乗せる。

 

『――ぁああ! “命の木、道守る煌めきの剣はここにあり!”』

 

 当然、メルカバーは自身が上回ると()()()()()切り合いを受けて立つ。

 破滅的な破裂音。楽園の守護者として主に預けられた炎の剣(雷霆)が、高々十mしかない空間に圧縮されて荒れ狂う。

 耳に突き刺さる高周波。鞭を入れられた様にさらにいきり立つ車輪の回転が、世界が罅割れそうな騒音を奏でる。

 

『ォォォォォオオオオオオオオオオオオオ!!!!』

 

『ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

 

 衝突。

 

「か、神よ゛っ、ぅぎゃぁぁあああ!!」

「うぇひあはひゃ?!」

 

 運悪く衝突現場近傍――数キロ圏内に位置していた数百の天使・悪魔が、一撃目の余波で弾け飛ぶ。

 悪魔という悪魔の尽くが絶命し、それからやっと衝撃波が轟音とともに周囲に迸る奇怪な現象。滅ぼされ、吹き飛ばされ、ぽっかりと空に誰も近寄れない領域が出来上がる。

 

 尤も、そんなものを私が気にしている暇はない。

 手と手が触れ合いそうな距離での真っ向からの切り合いだ。

 周りに激震を轟かせる潰し合いは、一撃一撃に全霊を込め合うせいでお互いに優劣が付かず、破壊力を打ち消し合うせいでお互いをその場に留めて進めさせない。

 それはまるで、足を止めての殴り合い。

 後にも先も行けないまま、逃げ場のない至近距離での小細工なしの全力。

 奇策を弄せる隙も無い均衡。

 

 ――そう()()だ。ただ切り合うだけで【メルカバー】とやり合えている事実に、私は先読みに忙しい意識の底で隔世の感を感じていた。

 

 腕を振るう  / 腕が千切れない

 力を振り絞る / 息が苦しくない

 剣が迫る   / 当たらない

 

 過去、何度も何度も手を変え品を変え適応させず、僅かな逡巡を生むために身を削り骨を折ってきたこれまでの戦いを思えば、不安にあるほどシンプルな動き。

 それを当たり前に出来るうえ、それで通じている現実。

 体が(えら)く軽い。思い通りに動くし、自損が出ない。

 攻撃の度、防御の度、回避の度。これまで感じていた干からびるようなMAGの渇きを覚えない。

 叫び出したくなる様な全能感。

 

 そして、絶好調なのは肉体だけではない。

 未来を俯瞰する知覚。

 過去を仰望する蓄積。

 その狭間、現在を正面を見据える思考。

 メルカバーの動きを注視しながらも、それ以外の全てが見えるのだ。

 

 世界が見える。

 異界法則と現実との衝突で帳に閉ざされたはずの空の先が。

 世界が見える。

 山の向こうから続々やってくる、薄気味悪い笑顔を浮かべた肉塊たちの過去が。

 世界が見える。

 浮つく様に魅了され、浮足立つ様に狂乱する魔物たちの多幸が。

 世界が見える。

 同じ空の下、倒しても倒しても尽きぬ敵を前に、虚勢を張る多神連合の主神級神々の苦悩が。

 

 ――世界が見える。

   真摯に私と向き合うお前(メルカバー)の顔が。

 

『そう怖い顔をしてくれるな、メルカバァー! 私は“人間”だと言っているだろうっ!』

 

『黙れ! メタトロン!! どうして、彼に、憑りついたぁ!!!』

 

 鏡合わせ、力任せの剣戟が弾かれる事なく鍔ぜり合う。

 車輪から漏れ出た雷光が、私の身を覆う(PA)に阻まれ、お返しとばかりに耐性すら焼き払い浄化を齎す赤色の粒子が飛び散るが、回る輪に吹き荒れた嵐に散らされる。

 

『怖い怖い! このまま勘違いさせるのも面白そうだが、捨て身で来られても困るか!』

 

『減らず口を……! 人の身に入り気配を誤魔化した所でぇ! そのマグネタイトは、私たちの(もの)だ!!』

 

 技巧も何もない強引な攻撃が、示し合わせたように繰り返される。

 世界が軋む音。物理法則が悲鳴を上げている。

 今、外のGPを計測したくはない物だ。どんな悲劇的な数値を示しているか分かったものではない。

 

『ネタバラシしますか。そうだ、このマグネタイトはお前たちの物だよ、メルカバー。お前たちを滅ぼし、蓄えたマガツヒ。たっぷり味わっていけ!』

 

『なんですってッ!?』

 

 この身から発する天使の色をしたMAGの出所を開示すると、メルカバーの表情が驚きに染まり……鍔迫り合いの力が一瞬緩んだのを見逃さず次撃。辛くも反応されたが、無理を通すために無駄にマグネタイトを消費させる事が出来た。

 

『まさか数百数千の天使から放出されたマグネタイトを見す見す見逃していると思っていたか?!』

 

『えぇーい! 手癖の悪い!』

 

 【メルカバー】との戦闘に、必ず押し掛けていた“お付き”の天使たち。戦場に散っていった天使たちの残留MAGは、密かに機体に搭載されていた『電脳異界』に回収・封印されていた。

 私が態々肉体だけでも天使に寄せた理由の一つは、その密かに貯め続けたMAGを効率的に、より安全に使うためだった。

 

 言葉と共に電脳異界から汲み上げたMAGを上乗せした一撃に、メルカバーは堪らず体勢を崩し、正面からの切り合いから逃れようと離れようとし、私はそれに追いすがる。

 雑多な天使を障害代わりに距離を放そうとするメルカバーの意図を読んだ私の意志を読み取り、ポッドがVFUのミサイルとチェーンガンで障害を排除。

 血煙と爆炎が、中を押し通る私とメルカバーの飛行に次々と噴き飛んでいく。

 

『人類を喰らって自分たちが蓄えたマガツヒで! 滅びろ、天使!!』

 

『冗談じゃない! 私を一緒にするな!』

 

『一柱だけ地脈で生き永らえているからと! お高くとまるかッ!』

 

 売った挑発に見事に引っかかったメルカバーが、逃げ足を転換して突っ込んでくる。

 先ほどとは違う高速で飛びながらの剣舞。

 すれ違いざまに剣を当てながら、お互いに優位を占めようと縺れ合う様に戦場を撥ね跳ぶ。

 

 剣戟・銃撃・砲撃・爆撃。

 周りを気にする必要のない私の攻撃が、これまた周りを気にする様子を見せないメルカバーに躱され、周囲は流れ弾で傷つき倒れるモノで一杯だ。

 その倒れた天使/悪魔のMAGを、機体の機構が内へと収めていく。

 とは言え、全てのMAGが回収出来ている訳では無い。精々半分といったところか。全てではないとは言え、全力戦闘と高速機動の合間に私に負荷を掛けずに自動で拾っていてくれたのだから上々だろうか。

 細々と回復しながらもそれ以上の速度で消耗していくMAGを、“見”て取れるメルカバーの消費と比べて『底』を計ってしまう。

 

 しかし、すぐにそんな詮ない思考を放棄する。

 【メルカバー】の口を閉じ凪いだ表情に、気配の変化。どうやら“おしゃべり”はここまでの様だ。

 切り替わる相手に合わせ、私も意識せずに気が変わる。

 思考が褪め、五感が戦闘に没頭していく。残りのMAGを心配する貧乏性も、衆目を意識する臆病な見栄も、全てを投げ出していき――

 

 

 

 ――いつの間にかに、何度も何度も刹那の逢瀬を重ね、幾度も幾度も痛みの別離を積み上げていた。

 

 超高速での戦闘は、ひどく時間間隔が曖昧になっていけない。

 斬って、撃って、狙って、放つ。

 進んで、戻って、昇って、落ちる。

 何十何百何千何万と繰り返す単純な動作。只々一点、【メルカバー】だけを見据え、愚直なまでに『こうげき(アタック)』をし続ける。

 

 ――その事に、ふと自分が強くなったのだと実感する。

 他の転生者の様に、自在に華々しい攻撃スキルを操れるようになったわけでもなく。

 才能あふれた同類の様に、自身の強みに特化した華麗なコンボが出来るようになったわけでもなく。

 ただ、【メルカバー】と()()()()()()()()()、なんてつまらない事実にとても胸に来るものがあったのだ。

 

『…フッ、フハハッハハ……!』

 

『……何故、笑うのですか…?』

 

 声に、自動的に戦っていた動作が止まる。

 どれぐらい戦っていたのだろうか。

 集中していた意識を周囲に向けると、周りには他の悪魔の姿が無くなっていた。

 ぽっかりと戦場に出来た真球の外では、今も天使と悪魔が血を流し、マザーハーロットが哄笑を上げている。なのに、ここだけは酷く静かだ。

 

『ああ、笑っていたのか……。』

 

 何気なく熔け落ちた手をヘッドパーツに当ててから、今の“私”には口が無い事を思い出す。

 思わず、再びハハっと笑ってしまう。

 無くなっていた右前腕を再生、破裂した部位の補填、赤熱したブースターの冷却。機体の破損を直すのは手慣れたものだ。瞬きの間に損傷を覆ったマグネタイト結晶は、次の瞬間には砕け散ってその下に万全の色を覗かせる。

 

『随分と、軽やかに笑うのですね。――貴方のその様な声は初めて聴いた気がします。』

 

 そんな私を、メルカバーはじっと見つめている。感情の色はなくとも誠実な人柄を感じられる無表情で。

 目の前にいる【メルカバー】の(かんばせ)はもう見慣れてしまった血化粧で、しかしそれは口に紅を差したように美しい。

 その身を覆っていた布のトーガは戦闘により破れ、隠していた素肌を曝し、しかしそれは生々しい淫靡さよりも貞淑な裸婦像のような感動を催す。

 傷つき血を流しながらも四肢を覆う武具に欠けはなく、装飾の動物は荒々しく敵対者を威嚇しその威容に翳りはない様に見える。

 

 ――それなのに。私は【メルカバー】はこんなにも小さな背だっただろうか、と驚いてしまった。

 それは物理的な意味ではない。物理的には今でも6mほどあるだろうか。上に伸びた翼なんかで嵩増しされているとはいえ、本体も相応に大きい。

 驚いたのは、()()()()()()()()()()()と思えたその強さだ。随分とMAGが減っているのが“見”える。枯渇には程遠くとも、何時までも戦えるほど余裕にも見えない。

 “終わらせる”為の第一段階の成功。それを喜ばなくてはいけないのに、何故か寂寥が胸を突く。

 

 

 今日の相対は、これまでとは違う状況によって成り立っている。

 ()()()()()()()()()()()()

 今この場所は、曲がりなりにも引き継ぎを受けた『多神連合』にも、侵攻してきた『過激派』にも、当然援軍の『ナインボール』にも、誰にとっても援けとなる“霊地”ではない。ギリギリになって霊脈を投げ出した『中華神仙』のせいで、『多神連合』にとっても時間が無く自陣と言えるほどの支配を確立できなかったためだ。

 そのため、この場は『多神連合』と『過激派天使』の支配の綱引きが行われている状態だ。

 

 そのような状況では、当然【メルカバー】に地脈からの供給がある訳が無く、今の【メルカバー】は膨大な維持MAGを貯えを切り崩して維持し、そのこれまでにも増して強大な“霊威”を保っている。

 私はと言えば、これまでの自分自身の身と時間による生産が全てだったものから、それに加えて“電脳異界”に隠し続けていた“私数人分にもなるMAG”が今回に限り使用する事が出来た。戦闘による消耗も、自分自身とすらいえる“肉体”により格段に軽くなっている。

 

 ――存在するだけでも苦しい【メルカバー】と、余裕をもって相手が出来る“私”。

 

 これまでの相対とはあべこべの現状。

 戦いの度、残りのMAGに怯えていた私が相手にそれを強いるのは、或いは悪趣味な意趣返しなのだろうか……と考え失笑する。

 戦いの場に感情を持ち込めるほど、私は才に溢れていなかった。皮肉なことに、だからこそ私は悪意なく敵を貶めれてしまうのだ。

 自己嫌悪とも自責とも取れる内心をそっと押し隠し、“頃合い”だと判断を下す。

 【メルカバー】の消耗も激しいが、私だってそろそろ貯えが無くなる。あまり余裕をこいて逆転でもされては笑うに笑えない。

 

『――そう言えば、聞いてもいいか?』

 

 【メルカバー】と戦うと何故か時折挟まる無言の交差を利用して、契約の繋がりを利用した式神との意思疎通をしていると、ふっと忘れていた疑問が口を吐く。

 

『何を聞きたいのです?』

 

 こちらから目を離さずに乱れた髪を整え、へし折れた血に濡れた翼を治していたメルカバーは特に気負いも無く口を開く。

 そんなメルカバーに、私は離れてこちらを伺っている気配を気にしながらも、どうせ最後の問答だ、と今まで聞けなかったことをこちらも気負いなく聞くことにした。

 

『なに、そんな大したことではない。素直な“感情”を偽りなく教えて欲しいだけだ。

 なあ、メルカバー……――神に“愛”はあると思うか?』

 

『なぁっ……ッ………?!』

 

 見開いた眼。喘ぐように震え開閉する唇。中途半端に伸ばされた手が空を掴む。

 その様子に、私は静かにメルカバーが内心を纏めるのを待つが…………………メルカバーから答えは返ってこない。

 

『お前はそこで悩めるのだな…………残念だ。』

 

 何の恥じらいも無く“愛”があると言ったりせず、こちらの問いに怒りを爆発させるわけでもなく。

 誠実に“問い”に向き合い“答え”を返そうとするその姿に、何が残念なのか、自分でも分からないまま言葉が漏れ出た。

 

 ――戦場に動きがある。

 ぽっかりあいた空間に、外から天使が悪魔を滅ぼしながら流れ込み始めている。穏やかで居心地がよい沈黙は、血と狂乱の響きに踏みにじられた。

 地脈の気配が急速にLAWへと傾く気配。多神連合の戦線が、急速に下がっているのを感じる。

 まだ後ろがあるとはいえ、ついに破られた、か。救難要請のシグナル。後退を助けなければ、多くの命がここで果ててしまう。

 ――これからはまた、戦いの時間だ。……最後の最後の、戦いの時間だ。

 

『――ああ、そうだ。“滅び”はやって来たのだ、メルカバー。』

 

 終わらせよう、そう思った。

 もう終わりにしなくてはならない、義務感が囁く。

 終わらせてあげないと、と言ったのはどんな感情だったか。

 

 電脳異界の中身を()()放り出す。

 身体が弾け飛びそうなMAGを何もかも、使い潰すつもりで機体の強化に充てる。赤い紅い機体()が、強化に付随した廃光に膨れ上がったかのように撓み、纏わり付いたMAGが陽炎のように大気を燃やす。

 

 ゆらゆらと自身の発する輝きすらも揺らし、世界を捻じ曲げながらも“最後”に向けて気を張る私の背後に、小兵が列を並べて付き従う。

 これまで温存していた“隠し玉”のオービットだ。

 電脳異界にMAGと一緒に保管していたオービットが、ポッドの指示に従い陣を組み幾何学模様を描きながら飛び回っているのだ。

 

『――いえ、そうです、終わらせましょう。すべては“神”の御心のままに。この星が、“神”の御許にたどり着くために。』

 

 毅然とした態度を取り繕ったのは、意地なのか。

 凛とした表情が、痛々しく見えるのは愚劣な妄想なのか。

 今まで以上に輝きを纏うメルカバーの姿に、しかし悲しみを覚えてしまうのは見下しなのか。

 

 ――聖歌が聞こえる。戦場に鳴り響く声が近づいてきている。

 勢いづいて狂喜のままに、信心深く使命感を抱いて。

 “人”とも“悪魔”とも言えなくなった血袋達が、賛美の歌を高らかに、“正義”のままにやってくる。

 

 

 

 ――頃合いだ。すべては想定通りに推移した。

 だから、私は最後を始めるための“鍵”に、呼びかけるのだ!

 

<<武蔵! 声を、歌を、届けてくれ!!>>

 

 契約の(えにし)を伝い、距離を超越した思考が遥か東の海に浮かぶ艦へと私の声を届けた。

 

 声の届いた先は、こことは違い星と月に照らされた海の上、現代では珍しい双胴艦の艦影だ。

 長く前に伸びた両舷はそれぞれが別の機能を持ち、左舷は広大な飛行甲板が広がっている。その両舷の根元には幾つもの砲塔が並び、中央には一際高く聳え立つ艦橋が一つ。大きくガラスで覆われたそこは、上下に分かれた階層が外からもよく見て取れた。

 その上階、左舷側に備え付けられら艦長席に座っているのは、何時もの侍女服を着て艦と合一している『武蔵』であった

 

「――マスターからの要請を受諾。本艦はこれより、事前の計画()の行動を開始します。」

 

<<――?! 何を言っている、武蔵?!>>

 

 ……いきなり梯子を外された。

 心臓(主機)がきゅっと痛くなる。この大事な場面での予定外の行動。頭に『謀反』という言葉が過り、(ブースター)詰まる(咳込む)

 

「艦隊各艦、()()()()行動を開始してください。」

 

<<武蔵、どういう事だ!?!? 艦隊?! 他に艦がいるのか???>>

 

 戦場で隙を曝せないため、武蔵に五感を飛ばせない現状が憎い。

 目の前のメルカバーを無視してそんなことをしてしまえば、瞬く間に地に伏している自分が想像できてしまう。だからといって、武蔵の突然の反逆を無視してしまえば“負ける”のは自分だ。

 

「少々お待ちを。――…転移座標更新、フィールド展開。先導機に転移許可、発艦してください。」

 

「はあぁ~い、朱莉聞こえてる? 今舞台に上がるわ、ステージの準備、よろしくね☆☆彡」

 

<<シェリルっ?! って、ああ、もう! 思念では通じないか――『シェリル、お前か!?』

 

 思念の送信からDDSを介した通信への切り替え。向こうに届いたと思うが返事が無い。

 

<<警告:空間変動を確認。極小重力変域の形成、南東距離2000。空間接合系転移反応と思われる。>>

 

 と、いう所で戦場で変化があった。

 背後、2㎞の所に空間変動。空が歪み捩じれへし折れ――空に()が開いた。

 

『エントリィィィィィイイ!!!!』

 

『手こずっているようだな、手を貸そう!』

 

『――なっ、ジェフティにアヌビス?! 勝手に持ち出したのかっ!!』

 

 穴から出てきた見覚えのある青と茶の二機。特徴的なコックピットに全身を走るエネルギーライン。

 転移検証のための実験機だ。

 

『許可は得ているぞ、⑨ニキ……って、話している余裕はないな。』

 

『<ベクターキャノンモードへ移行>』

 

 驚く間もなく地表に()()()片方から流れてきた電子音声にひやりとしたものが流れる。

 肩や腰などに増設された機器。機体前面に浮かぶ六つのアンプ。地面にしっかりと固定され、砲塔が私の眼前のメルカバーを指向する。

 エネルギーアインの直結だの、加圧中だの垂れ流される声が正しいのであれば、あれは――

 

『おい、ばか、やめろぉ!?』

 

 ナインボールを急速変形。飛行形態になるよりも早く、MAGをくべたブースターが破砕の音響をメルカバーに向かって吐き出し、私は弾け飛ぶように背後に吹っ飛ぶ。

 

『<撃てます>』

『いっけぇぇええええ!!!!』

 

 ――私がメルカバーから離れた次の瞬間、光が走った。

 呆気に取られていたメルカバーは、回避に移る事なく光に呑まれた。ついでに、その背後からメルカバーを助けようと駆けつけてきた天使たちも一緒に。

 

『……人の命が軽い世の中だ。』

 

『シャレになってませんよ!? 一歩間違えれば巻き込まれていました!』

 

『⑨ニキならば避けると信じていたまでだ。』

 

『ああああ!!! いや、今は良い。それより、何のつもりです!』

 

『ふむ。――ああ、それはあちらに聞いてくれ。』

 

 アヌビスから聞こえてきた言葉に抗議の突込みを入れ、機体の再変形。人型に戻りつつアヌビスを見やれば、アヌビスはまだ空間の穴を維持していた。

 

『穴の維持? まさか来るのか?!』

 

『そう急かさなくても……ほら、来たぞ?』

 

 アヌビスの特徴的な手が穴を指す。

 空間に穿たれた様に見える10mクラスしかなかった穴が、瞬く間に広がっていく。ぐっと通常の空間を押しのけ、その間口を何十倍にも広がった穴の先からは――

 

『デフォールド、成功。お待たせしました、マスター。――以上。』

 

 ――見覚えのある艦が二隻。見覚えのない艦が二隻。

 

『マクロス・クォーター!? ナデシコまで!!』

 

『そんなに声を上げてお喜びいただけるとは恐悦です。下僕も連れてきましたので少しはお役に立てるかと。

 ……無銭搭乗の皆様、さっさと出て働いてください。――以上。』

 

『下僕ってひでえwwww』

『一っ番乗り~♪』

『あ、おい、ずるいぞ!』

『お前ら! ハジかくなよ!!』

『エクシア、目標ポイントに到達。ミッションを開始する。』

『マジィィイイイインッ、ゴーォォオオ!!!』

 

 賑やかに混線する通信。各艦から次々と出撃していく機体たち。機体たちは艦を中心に分かれ、押し寄せてくる天使と交戦を開始する。

 暗天に響き渡る叫び、出し惜しみなく派手に世界を彩る必殺技の数々。

 しかし、四隻の内の一隻だけは、その流れとは離れ全艦の前に進み出てきた。

 

『やれやれ……。皆、随分と燥いでいるな。』

 

『その声はっ?!』

 

『そう驚いてくれるとこちらも甲斐がある。……っと、攻撃か。

 ――話をするには天使が邪魔だな。反中間子砲、全砲門開け!』

 

 私と擦れ違い前に進む巨艦。

 穢れの無い白の色に赤いラインが入る船体と、深い青の艦上構造物が眩い戦艦だ。

 その戦艦に天使たちが攻撃を集中するが、艦からの声は微塵も堪えた様子も無く反撃の指示が飛ぶ。

 艦上、赤く塗られた連装四基の砲塔がバラバラに天使を指向し――火を噴いた。

 

『ふん、他愛もない。』

 

 八条の光は何の抵抗も無く、雑兵を消し飛ばしていく。

 たった一射でいったいどれほどの数の天使が消し飛んだだろうか。盲信をキメた天使たちが恐怖に足踏みし、押し寄せる圧力が止まる。

 

 戦場で稼がれた貴重な一拍。

 その一拍で、私は混乱と疑問に焦っていた頭を落ち着け、“援軍”に冷静に声を掛ける。

 

『――まさか、こんな所に来るとは思ってもみませんでした、オタ社長。』

 

『オタ社長とは仮の名前。今の私を呼ぶなら“ソルダートJ”と呼んでもらおうか。』

 

 ……実際、『オタ社長』はあだ名で仮の名前と言っても良いが、それで良いのか?

 

『私の事などより、彼女を見たらどうだ? どうやら“勝利の歌姫”も舞台に上がった様だぞ?』

 

 声に導かれ、私は虚空に鎮座するマクロス・クォーターの艦橋を見やる。

 迎撃のミサイルやデストロイの火線の光を照り返す、透明な正面窓。

 その窓の内側でスポットライトに照らし出された“歌姫”の声が、その瞬間戦場を震撼させた。

 

『――……ふぅ……ッ…私の歌を聴けぇええええ!!!!!!!』

 

 声が、戦場を塗り替える。

 

『艦上スピーカーユニット、大気中マグネタイトへの干渉開始。』

『全スピーカーポッド、地脈への着床成功しています。』

『サウンドブースター正常稼働。サウンドウェーブの伝播、問題ありません。』

『――よろしい。サウンドエナジーシステムの優先度、迎撃の次のまま維持します。』

『『『Jud.』』』

 

 それは、場の空気や雰囲気なんて曖昧なものだけではない。

 戦場が揺れる。

 圧される様に、引かれる様に。波の様であり、鼓動の様でもある。

 何処か安心する力の本流。

 それは寄せては返す大地の律動だ。

 

『それ、始まった。あまりグズグズしている暇はないぞ?』

 

『勝手にやって来て段取りを無茶苦茶にしたくせに!』

 

『だが“予定外”でしかないのだろう? ならば、やるべき事……いや、()()()()()をやりたまえ。我々は、それに協力しに来たのだから。』

 

 オタ社長……いや、“ソルダートJ”の言葉に戦場を見渡す。

 三隻の艦艇を中央に置き、出撃した機体たちが輪を描いて防衛線を作り出している。“眼”を見開いて見てみるが、駆け付けた人間は最低でもレベル50のラインを越えているのが見える。これならば“肉入り”と雑多な悪魔であれば短時間なら問題ないであろう。

 

 そうなると彼らにとっての危険なのはたった二柱、【メルカバー】と【マザーハーロット】だけなのだが――

 

『私から意識を外しますかっ……!!』

 

『――そちらこそ、私を忘れて貰っては困るな。』

 

 ――こちらの援軍に、一度後ろに下がり全体を見ていた【メルカバー】が仕掛けてきた奇襲を、ソルダートJが割り込み防ぐ。

 

『行き給え、友よ。お前の為したい様に。』

 

『何をするか知りませんが、させると思っていますかっ!?』

 

『悪いがしばらく付き合ってもらうぞッ…! メガフュージョン!

 

『――っっっっっッ!! ええーい! 任せましたよ!!』

 

『――任された!』

 

 逡巡、葛藤。

 そのどちらも“友”の声に投げ捨て、巨艦の変形の隙をフォローしながら思考だけが先走る。

 良くも悪くも初期の予定はもう実行不可能。ならば、状況から再計算。可能な限り“我々”にって益の在るよう、計画を組み直す!

 

 前線からの後退。各艦が隊伍を組んで保持している安全圏へ退避。周りに敵はなく、気を逸らしても誰かが私を守ってくれる……その事に違和感を感じるのは笑うべきか。

 いや、今は無駄な時間を感情に費やす時ではない。

 大事なのは、今この瞬間、この地に来てから初めて私に自由な時間が出来る事だ…!

 

 “目”を見開く。戦場を俯瞰する。

 十万を超える“肉入り”の天使。今この瞬間も沸いて出てくる色香に惑わされた悪魔。

 その何十万もの軍勢を、百にも満たない数で押し止める趣味人の群れ。

 混沌としていた戦場が、我らが愚連隊の介入で急速に秩序だった動きに収束していく。

 攻撃をしてくる(悪魔)と、それから守り通す味方(人間)に。

 その全てを視界に収めつつ、私は必死に探す。

 悪臭を。

 腐り、膿み、爛れ。厭われ、疎まれ、蔑まれたマグネタイトの臭いを。

 ――居たっ!!

 

『居たな! 【マザーハーロット】ッ!』

 

 堕ちる様に空を飛ぶ。

 ビールライフルが瞬き、ロケットパンチが貫き、オーラ力の斬撃が飛び交う空を。

 墜ちる様に空を飛ぶ。

 至高の頂/最高天の王座に座す輝きから、人の身に戻る(オチル)様に。

 私は悪魔の軍勢に紛れ、喝采を上げているパーツを見つけたのだ!

 

『アッハッハハハハ、踊れ躍れ、歌え謡え! 血を、痛みを、悦楽を!!』

 

 傷つき、或いは返り血を浴び、それを甘露甘露と笑う骨面の女怪。

 その女怪の周りを幾重にも囲む悪魔たちは、狂宴に浸りながらゲラゲラと嗤いを響かせ天使たちを弄び食らっていた。

 

<<――邪魔だっ!>>

 

<<了解:破壊(デストロイ)破壊(デストロイ)破壊(デストロイ)破壊(デストロイ)。>>

 

 意志が白熱する。

 時間を掛けれない、と焦る思考を、無機質な破壊衝動が肯定する。

 音を立て煙の轍を残し、私から先行したミサイルが邪魔立てさせるまでも無く尽く滅ぼしていく。

 それに私は胸がすく。綺麗な者だけを直視し続けていた目に、汚いものは酷く不快だったのだ。

 

『――ほう? 小娘との乳繰り合いに飽いたかの?』

 

 そんな私を【マザーハーロット】が気が付いた。

 相変わらず、ひどい悪臭だ。

 都合のいい“悪”として仕立て上げられた彼らが妬む繁栄の象徴たるマザーハーロットからは、べったりとへばり付いて消せない旧い“四文字”の妬みと憎しみが漂ってくる。そこに新しく追加されて臭うのは、増上慢と拭い切れない自己愛だろうか。

 ――まあ、今はどうでもいい、か。

 

『フフフ、血の雨にうたれ、血臭のままにまぐわいを望むかえ? それとも、死という名の最高の快楽を味わいに来たか…!』

 

『お前と問答するつもりはない。早々に滅べ!』

 

 迎え撃つために嘶く“獣”を無視し、全力を超えた機体強化のままマザーハーロット――その“女怪”の部分に突撃する。

 強く剛く固めたプライマルアーマー(エンジェル・ハロ)が機体を赤く紅く輝かせ、燃え盛る流星となって私は一身に落ちていく。

 それはまるで『チャリオット』……と私が思えば、意識から離していない【メルカバー】が「まだまだですね」とばかりに、キングジェイダーの相手をしながらこちらを横目に見て口の端を緩めているのが感じ取れてしまった。

 

『ええい、気が散った! だが、捕ったッ!』

 

『――グゥっっ?! …女の、扱いッが、下手よの。まだまだ、……童かっ。』

 

 深紅の星と化した一直線の突進を阻もうと首を伸ばし冠を槍衾とした“獣”の抵抗を、私は掌握MAGの鎧任せに無理やりこじ開け、“女怪”の掲げる杯をその腕ごと握り潰さんとばかりに掴み上げたる事に成功したのだ。

 

『時間は掛けん! 貰っていくぞ、マザーハーロット!

 ――()()()()()()()()()()()()()……ッ!!』

 

『ふっふふふははははは! 死を、快楽を、妾を欲するか! メタトロン!』

 

 左腕が、解け堕ちる。

 腕が腕の色をなくし、内から突き出たマグネタイト結晶の顎が握りしめたマザーハーロットの腕ごと“杯”と私、そして淫婦を噛み繋ぐ。

 同化現象。

 腕の霊格が持っていかれたのは、【私の霊格】と【マザーハーロットの霊格】が肉や殻の守りも無しに、直で触れ合った代償だ。

 

『誰が貴様を欲するかッ。』

 

『情熱的な抱擁をして何という言う言い草よ!』

 

 気持ち悪い。

 私の霊格を飲み込もうと蠢く邪念は、まるで脂ぎった禿のおっさんに柔肌を嬲られている様な粘っこさだ。

 その例えだと、このままでは私は口を噤み俯いて堪える生娘か。笑うに笑えん例えだ。

 ――なので、その手を振り払うべく必要のない部分を削り落としにかかる。

 

『“家畜を殺させ、七と三の命を弄ぶ! 見下すものは、羊の痛みを知ろうとはしない”』

 

『フハッハッハハ、いいのかえ? 肢体を求め、無理に衣を破れば“杯”が欠けるぞ?』

 

 術式の装填を悪あがきと“女怪”が嗤い、“獣”が首を逸らし機体の四肢に噛みつくいてくる。

 四肢が麻酔でも掛けられたかの様に鈍くなり、右腕の砲口が七首の獣の臭い口により噛み潰される。『堕落』の酒精による“毒”が無防備な霊格を伝って注ぎ込まれている脱力感。

 それはかみ砕こうという攻撃の意志ではなく、私の霊格を呑み込む時間を稼ぐ為の拘束の動き。

 下手に【マザーハーロット】に攻撃を加えて滅ぼしてしまえば、私が求める概念ごと消滅してしまうと脅しながら、その実私を食べたくて仕方が無いのだ。

 

『ほれ、無粋な両の剣は使い物にならんぞ? フフフ、大人しくしておれ、このまま褥まで案内してやろう。』

 

『“代わりを与える事を慈悲と嘲る。傲慢なるものは己こそが全てなのだから”』

 

 右の拳の先に、悍ましい“嗜虐心”を謳った術式が完成する。

 それは肢体を侵す“毒”を治すものではない。

 神が人を貶め優越感に浸るために制限を設けて長く長く嬲ろうとした、との逸話解釈を元にした術式――“狙い”を定める事が出来るのであれば、それ以外を傷つけない“手加減”の為の術式だ。

 

 “目”を見開く。

 必要な概念と不要な概念を識別・観測する。

 私が必要としているのは、欲望としての黄金、満ち溢れた苦悶と汚濁、そしてバビロンという場所の概念だけだ。

 拳を握る。

 ぼやけた感覚を駆逐し自身の体を掌握する。

 ギシリと握りしめた手が音を鳴らす。本当に自分の物であるのか曖昧な身体の手綱を握るのは慣れたものだ。

 

『――知らなかったか? 私は徒手空拳の方が得意だ。』

 

『はぁ…? グェッ…、…!? ……ブビッ…!』

 

 ――だから、この結果は、当然の物だ。

 

 殴る。

 繋がり動かせない左腕を支えに、噛みつかせた獣の頭を引き千切りながら。

 殴る。

 薄ら笑いする髑髏面を、カートゥーンアニメの様な間抜け面にするように。

 殴る。

 悲鳴すら臭い妬み辛みで造られた虚像の支配者の、その虚像を砕くように。

 殴る。

 淫婦だ売婦だ押し付けられ、いい歳こいてイケてると勘違いした女の腹を。

 

 殴る。

 殴る。殴る。

 殴る。殴る。殴る。

 殴る。殴る。殴る。殴る…………―――――

 

 ――そしてすぐ、【マザーハーロット】という悪魔は消えた。

 当然の結果だ。

 マザーハーロットはインドで出没していた時以上の存在に成れていなかった。ただ何時もの様にMAGを集め、考え無しに享楽のために乗り込んできただけの存在だ。

 この時のために拠点の地脈を枯らし自身を【本霊】に近づけたり。武具を用意し策を練り、自分自身を唾棄する存在に近づけてまで力を追い求めたわけではないのだ。

 そう、当然の結果だ。

 MAGさえあれば【本霊】に近づけるはずの悪魔にあって、()()()上限が変わらないままだったのだから。

 

『……チッ。』

 

 思考に混じる疑念/推測、そしてその推察が意味する事態への憤懣を、舌うち一つに押し込め飲み込む。

 何はともあれ、必要とした“モノ”は手に入れたのだ。

 であるのならば、少しでも早くこの闘争を終わらせないといけない。

 

『武蔵! 準備を!』

 

『Jud.地脈との接続、そして一点放出の準備に取り掛かります。

 

 ……――聞いていましたね? ――本艦はこれよりトランス・フォーメーションを決行します。――以上。』

『Jud.艦内に放送流します。「本艦はこれより、トランス・フォーメーションを開始します。各員、強攻型シフトを開始してください。繰り返します、本艦はこれより――」』

『メイン反応炉、出力上昇。』

『全マグネタイト・チャンバー、残存マグネタイト強制放出。』

『……全艦トランス・フォーメーション!』

 

 武蔵の声を後ろ手に、返答する間も惜しんで機体を飛ばす。

 心配、焦燥、そして安堵。

 暗い暗い宙の中、【メルカバー】と【キングジェイダー】の戦いは驚くほどの激闘だ。

 爛々と輝く光輪が物凄い速度で駆け回り、轢き殺された大気が渦を巻いて巨体の機械に襲い掛かる。そのどちらか一つでも当たってしまえば、私とて大事に至る攻撃だ。

 しかし、巨大な人型とて負けてはいなかった。何十もの噴煙が弧を書き宙を掛け、手腕から放たれる力強い光が、空と言わず大地と言わず射線上の全てを薙ぎ払っていく。

 

 二つの規格外のぶつかり合いに、空が砕け大地が裂けている。

 それはまるで黙示録の光景……と言葉が浮かんでから苦笑する。戦っている片方はその黙示録に出てくるような存在だ。そう言う意味では“黙示録”そのものだろう。

 私が戦っていた時も、傍から見たらこのような光景に見えていたのだろうか。

 傷も見当たらず、うまい具合にメルカバーを往なしているキングジェイダーに、安堵とともに心にゆとりが出来る。

 ――最悪、後始末を押し付けてしまえるか。

 

『待たせました! 代わります!』

 

『了解した。背中は任せろ。』

 

 巨体の影から飛び出た私を、彼は分かっていたかのように受け入れ、全火力を邪魔が入らないように周囲にまき散らす。

 

『戻りましたか!』

 

 声と共に六芒星の絶死。肉と魂を切り離す聖なる印の歓迎。

 それを私は無視。ザリザリと削られる幻聴を感じながら、最短航路を維持する。

 

『メルカバー! 悪いが予定が変わった! 滅びず血に沈め!』

 

『守りもしない?! 正気ですか!』

 

 うねる大気の奔流、回避不可能な雷速の雷光、放たれた石の如き弾丸、言霊による抵抗阻害。

 押し寄せる攻撃の数々はどれもこれも致命的なものと理解できるが、それでも私は一直線に【メルカバー】に飛び込む。

 圧縮されたMAGの防壁が弾け飛ぶ。強化され城塞の如き装甲が易々と貫かれていく。

 

『死にに来ました? それなら、痛みも無く滅びを享受しなさい!』

 

 ボロボロになりながら進むことを止めない私に、メルカバーが空に轍を刻み、眼を焼く光が真っすぐに私に飛び込んでくる。

 『チャリオット』。“神の戦車”としての本気。

 余りの眩しさに視界を遮るかのように、私は右手を伸ばす。

 そして――衝突。

 マザーハーロットの溶かすような鈍感な痺れとは違う。痛みと殺意、そしてどこまでも真摯に私を哀れみ、罪を禊いで天に送ろうという慈悲。

 その気持ちが私を抱きしめようと、右腕を砕きながら近づいてくる……。

 

『――! …何を?!』

 

『“真鍮に呑まれよ! 鉄と融け合え! 聖なるバビロンの泉は、怨嗟と退廃に堕つ!”』

 

 それを、私は知っていた。

 だから、終幕の筋書きが定められたのだ。

 右腕、骨組みだけになったそこから、マグネタイトの結晶が生え揃い【メルカバー】を取り込む。そして、左腕だった場所に固着する金の()に押し込めた。

 

 一度曝した手を、もう一度使える有難さ。

 それは私を“友”と言ってくれる誰かが、命懸けで気を逸らしてくれたからできる好機だ。

 身に染みる友情に泣きそうな意識に、そっと歌声が聞こえてくる。

 それは周りに翻弄され離れ離れになった恋人を歌ったラブソング。切ない歌声の癖に『私もいるぞ!』と強く主張するのはどうやっての事だろうか。

 涙が引っ込み苦笑に目尻が下がる。

 

『死ぬ気ですか!? いえ、こんなことをしては死ぬよりも……っ!!』

 

『“故に! 我らが祖のごとく、我、汝を水面に沈めん!”』

 

 金の杯だった『壺』がぐっと伸びてメルカバーを包み込む。

 やろうとしているのはなんてことない、ただの封印だ。ちょっとばかり難解な術式に、繋ぎとなる存在と天文学的な量のMAGが必要となるだけの。

 難解な術式は自力でどうにかなる。

 繋ぎはつい先ほど滞りなく用意できた。

 

『――武蔵! 力を寄こせ!』

 

『Jud.存分にお使いください。――以上。』

 

 だからあとはMAGを用意すればいいだけだ。

 ――求めた私の声に、応えの声が返る。

 そして我が身がブクブクと膨れ上がった……様な幻痛。莫大な、という言葉すら矮小な量のMAGが供給されたが故の幻覚だ。

 

 それは遥か眼下、無明の大地の上に鋼の巨人が授けたMAGだ。

 祝詞よりも軽やかに、呪言よりも楽しく歌い舞う歌姫を内に秘めた巨人だ。

 黒鉄の巨躯は、比較対象の天使が群がり始めてその大きさが分かる。天使の一体二体では指の一本にも満たない体躯なのだから。

 大地を太く強く踏みしめた二本の足に、背に背負った二つの砲門。右手に三叉に分かれた砲塔を持ち、遥か上空の私に向けている。

 その砲から遥か上空の私に放たれているのは、内から響き渡る歌によって支配された地脈そのものだ。

 『中華戦線』という一大防衛線を支えてきた地脈。

 仙界が支配し、しかしすでに放棄され、誰のものでも無くなっている今この瞬間にしかできない地脈の横取りだ。

 

『止めなさい! それ以上は貴方の身が…!』

 

『“翼を折り、眼を潰し、その手に銀貨を!』

 

 地脈のMAGは人の身で扱うべきものではない。

 どこぞの神主は平気な顔で使っていたが、やってみて改めて彼の出鱈目さに気が付く。

 気分はまるでホースに繋がれた風船だ。注ぎ込まれる端から術を乗せて壺に流し込んでいるのに、自分の存在が膨れ上がると同時に薄まっていく感覚は初めてのものだ。

 

 そんな感覚に新鮮な気持ちを感じながら、術式を進め……そして右腕だけでなく足の霊格が――いや、霊格ではなく【歩く】という概念ごと融けた。

 ――問題は無い。

 溶けた【概念】を封印の概念に加工し、術を乗せて『壺』を補強していく。

 

 シンクロをする霊格が、驚愕と焦慮に慌てる【メルカバー】の意志をダイレクトに伝えてくる。

 本気の殺し合いを何度も繰り返し、しかし彼女は私を思い遣る事を決して止めたりしなかった。

 それは慈愛なのか、憐憫なのか。或いは()()()なのか。

 封印を一つ一つ確実に重ねていく毎に、だんだんと声の小さくなるメルカバーの意志。

 

『――……! …っ………ぁ!! …………――……。』

 

『“贋金の杯に炎よ満ちろ! 嘆きの血は淀み溢れる!”

 ――その身が封じられる時に、私の心配しかしないなんて馬鹿な奴だ。』

 

 何事も無く完璧に封印が完了した。……完了してしまった。

 その事に落下しながら胸に痛みが走る。

 波乱を望んでいたわけではない。楽に事を終える事が出来たのは嬉しい。

 なにせ、封印途中でもメルカバーはいくらでも私を攻撃できたはずなのだ。攻撃されればその分封印は遅れるし、術にほつれが出来ただろう。ほつれがあれば中から封印を解くのにかかる時間も短縮できるはずだ。

 でも、メルカバーは何の抵抗も無く封印された。

 

 ――お前の慈悲を、理解し利用する私を許してくれるな。

 

 蓋をする。思いに蓋をする。

 ガイア連合、或いは人類として今回の成功は最良の結果だった。だから、この憂愁は私一人で抱えるべきものだ。

 目を瞑り、思いを馳せる。

 閉ざされた視界で自分を閉ざし、短い短い時間だけ内心で思い返し――そして、私は墜落した。

 

 地面にぶつかった衝撃が体を揺らす。

 目を開く。

 感傷に浸る時間は終わりだ。

 

『武蔵。全員に撤退の指示を。……後、誰か私を拾うようにお願いして下さい。』

 

『Jud.精魂尽きたマスターは大人しくしていて下さい。』

 

『そうさせてもらいます。』

 

 はぁ、とため息をついて少し反省する。

 必要だったとはいえ【自力で移動する】という概念まで削ったのはやり過ぎだったかもしれない。

 頭上で転生者たちの搭乗機が重い想いの必殺技を最後の花火とばかりに解き放ち、その間にマクロス・クォーターがその身を要塞艦に戻すのを見ながら肩の力を抜く。

 良くも悪くも今の私に出来る事はない。

 だから、あとはボールでも持つ様に引っ掴んで運んでくれる“友”やほかの皆に任せてしまえばいいだろう。

 

 疲れたなぁ、とあくびを一つ。

 “友”に適当に甲板に転がされながら、私は引きずり込まれるような眠気に意識を手放すのであった……。





 この作品、主人公が特出して頑張っている様で、実際頑張っているんですが……。
 何か大きなことを成し遂げるときは、必ず『カオス連合の仲間たち』の手を借りる事態になる事を意識して書いてます。
 独りで大体の事が出来るのですが、“最良”を目指すと手を借りないといけない感じでしょうか。
 そのため、最初一人でシリアスしてたのが、途中からわちゃわちゃになったのは態となんですが…。
 うまく緩急をつけられたら良かったのですが、難しいですね(汗

 捕捉ですが、今回なんで援軍が来たかというと強さの問題ではなく、人徳の問題ですね。
 「別に【メルカバー】に勝てるだろう」と主人公は皆に信頼されてはいたのですが、外から見てても毎回大変そうだったので「最後ぐらい、いっちょ俺も手伝ってやりますか!」みたいなのが大量に湧いて出てきちゃったので。
 まあ、裏でその機運を高める奥さん'sの暗躍とかもあったのですが、話として書く事はないと思います。
 本当、小さな事をコツコツ積み上げて流れを作っただけなので。

 ちなみに原作でナインボールの搭乗者である『ハスラー・ワン』ですが、『ハスラー』って勝負師の意味の他に()()()とかの意味があったりします。
 主人公にはある意味相性ぴったりである。


***主人公の私物or会社所有の機体等***

【ジェフティ】・【アヌビス】(原作:Z.O.E.)
 呉支部所属の転移についての実験機。
 ロボットなのでロボ研主催……かと思えば、実は流通系の部署に貸し出している備品である。
 機体建造の主な目的は【ターミナル以外の転移・転送の可能性追求】。
 ショタオジ監修の地脈利用システムではない、他の可能性を模索するために作られた。その目的から【通路形成型テレポーター】が専属でパイロットをしている。転移方式の違いは、詳しくは下記記載。

 建造開始は『九年目』、【Mk.Sein】封印凍結後すぐ。
 機体のほぼ全域を主人公が結晶化させたマグネタイト結晶(メタトロン)で構成されている。これはパイロットの転移能力を増強・増幅するための機構である。非常時には燃料として消費されるが。
 建造には【アヌビス神】と【トート神】も協力しているが、【トート神】はエジプト難民の守護をしていた【アヌビス神】の紹介での協力となっている。
 二柱の神は主に『ゼロシフト』時の終点座標の計算と、通路の安定形成を担当している。とても負担の大きい役割であるが、黒札からの信仰(?)的に結構おいしい役目らしい。

 戦闘を意識していなかったため、初期は武装の積み込みは行われていなかった。
 が、そこはロボ研。ロボ研も建造に携わっているので、あれやこれやと理由をつけてどんどんオプションが増えていった。ただ、この機体には『電脳異界』が搭載されていないので、原作のような自由な武装変更はできない。(※召喚・送還による武装変更システムはあるが、武装保管場所と遠いと変更不能になる)
 機体自体も研究予算がふんだんな為どんどん改良されているので、実は【ホワイトグリント】とかと遜色のない上限を持った素体である。
 特に『重力制御』について特化されていて、全推力は重力偏差で賄われていたりする。(飛行中に不用意に近づいて潰されても弊社は責任を負えませんw)

『転移方式の違い』(作中での設定です)

*地脈経由型
 ガイア連合において一般的な転移技術。地脈という決まった道を使って移動する。
 だいたい高速道路とか電車での移動のイメージ。
 ちゃんと道が通ってないといけないし、出入り口とかの整備もある程度必要。
 制限は多いが、その分難易度が低く、安全性が高い。ショタオジの得意技。
*通路形成型
 事前にある通路ではなく、自分で通路を作って移動する。
 紙の上に書いたAとBの移動の場合、両点を両端に糸で通路を作る感じ。
 終末後のトラベル異界はこれ系の技術。設定的に『物品の召還(アポーツ)』とかもこれになっている。
 通路構築分、難易度燃費共にキツイ。終点座標の観測・設定も危険で大変だし。
 オービタルフレームのゼロシフト、キングジェイダーのESウィンドウがこれに属する。
*座標置換型
 移動の為の過程が純粋に存在しない転移方法。所謂『瞬間移動』。
 理論的にはどんなところでも問題なく転移できるやばい奴。
 直接座標に現れるので、壁とか結界とか完全に無視してしまう。
 ナデシコに乗せるボソンジャンプはこれを実現しようとしているのだが、まだ未完成。
 呉支部でも出来るのは一人しかいないので、何年もかけて慎重にデータ収集中である。


【ナデシコ】(原作:ナデシコ)
 新技術検証試験艦。半終末到来直後に呉支部で初めて造船された“オカルト”艦艇。
 建造は厳島ドッグ(つまり、『厳島異界』内のドッグ)で式神なんかも最大限利用され、二月ぐらいで出来ている。
 所属は藤原運輸――つまり主人公の会社――なので厳密に言えばガイアグループ外の所属である。

 最初は【艦艇用重力推進器】【艦艇用障壁】【艦艇用核融合炉】、その後【艦載マグネタイト炉】と【マグネタイト波送信機】の実験が異界内でなされた。が、一通り実験が終わったらYユニットの代わりに巨大なカーゴをくっつけられ、貨物輸送に使われてた。主に中東までの護送船団を任されていたので呉支部でも知らない人は全然知らない。
 一応、今後の実験予定として【座標置換型転移】についても実験させたいのだが、これはまだまだ未完成なのでしばらく貨物船状態だろう。

 戦闘で実用するつもりは全くなかったので所々設計が甘い所がある。
 特に顕著なのが艦載機の格納庫についてであり、整備は軽整備ぐらいしかできずカタパルトの機能自体が無い。(出撃時は自分の足で走って艦から飛び降りなくてはいけませんw)
 格納庫の高さも10mぐらいしかないのでMS規格の水泳部なんかは露天駐留されていた。
 兵装も少ないのだが、そもそも攻撃される距離まで近づかれないので問題視されていない。


【マクロス・クォーター】(原作:マクロス フロンティア)
 主人公が資材をかき集めて作った戦闘艦。就航は『十二年目』の年末ぐらい。
 特徴はフォルマを使用しているとはいえ『純科学製』であること。フォルマさえ用意できたら量産できる……かと言えば、部品造れるのが覚醒者(転生者)で精度の問題でまだまだ難しい。
 原理解明できた現象しか使ってないので、劣化した各種技術で作られた物品は出回っている。
 ちなみにホワイトグリント出撃の幕間で砲塔とか作ってたのはこいつの物。

 原作で出来る事は大体できるし、それに加えて艦載機へのMAG送信も出来る。『MAGの送信機構』自体が、デモニカ現地民パイロットをVF25に載せるとMAG量に問題があるのが分かっていたから開発されたものなので。
 原作と違うのはエンジンに核融合炉の他に【マグネタイト炉】を装備している所ぐらい?(※簡単に言えばフォルマなんかを燃やしてMAGを生産する炉)
 核融合炉の駆動でMAGを生成してるので普段は稼働させていないのだが。
 あと、マクロスのフォールド航法は【通路形成型転移】に属してます。

 メインパイロット(艦長)は『武蔵』……なのだが、合一しても一人では処理が重いのでメイド式神が動員されて船員を努めている。
 ここに追加で主人公も合一出来るが、主人公の役割はただのエネルギー源だけだったりする。
 全機能を発揮して全力稼働させると燃費が劣悪なので、主人公の全能力をMAG生成・取得に当てないとマグネタイト炉フル稼働で消費フォルマの量が想像したくない事になるので。
 糞みたいな金銭とちびりそうな量の資材を溶かし建造され、財布に優しくない燃費をしているだけあって全力稼働させると小国ぐらいなら楽に消し飛ばせる。

 こんな危険な物をなんで造ったかって?
 最悪、宇宙に飛び立つ真2の箱舟に殴り込んだりメギドアークと真っ向から殴り合ったりするつもりだったんだ、主人公w
 ペルソナ系の事件起こってるし真1的なICBMもあるしで真2展開も疑っていたのである!
 後は【クズリュウ】とか【クラリオン】とか【セプテントリオン】とかも疑っていた模様。
 ……メガテン世界、巨大ロボ必要な敵多すぎない???


***主人公が関与していない機外たち***

【ヴィンセント・ウォード】・【ガレス】(原作:コードギアス)
 一般ロボ研メンバーが『チキチキ☆さよならユーラシア大陸! ~大地の中心で、愛を叫べ~』(※主人公の助勢に行く事のイベント企画名)の参加要件を満たすために製造した低価格量産機。
 近接戦仕様の【ヴィンセント・ウォード】と遠距離戦仕様の【ガレス】で多少違いがあるが、根本的な部分は同型になっている。全長10m以下とバルキリーなんかよりかなり小型な機体だが、転生者の搭乗が前提になってるだけあって比べ物にならないぐらい上限の高い機体である。
 量産機だけあってどちらも平均的に優秀な機体で、搭乗者のMAGの多寡を考慮して母艦からのMAG受信に対応している。というか、核融合炉を積んでないのでMAG受信が無いと一般的なステータス配分の転生者にはちょっと厳しい。

 あまり関係ない話だが、他の機体に比べて安価な理由は部品の一部は作業用の部品と共用しているため。
 呉支部所在の農場や鉱山では随時改良している【グラスゴー】が重機感覚で使われていて、牧場なんかだとドコゾノ∀チックな光景が広がってたりする。
 そのため製造ラインが常に稼働しているので多少お手頃価格になっている。


【ガンダム】シリーズ(原作:ガンダム作品色々)
【ゲシュペンスト】シリーズ(原作:SRW)
 懐に余裕のある転生者ご用達、MS規格の部品を使った機体群。(※ゲシュペンストもMS規格を流用してるのでここに含めている)
 現状、海底採掘用のジオン水泳部ぐらいしか量産してないので、KMF規格と比べてかなり高くなってしまっている。それでも、完全なワンオフと比べたらほとんどの場合二桁ぐらい安いのだが。
 核融合炉を搭載していて、KMFより搭乗者の負担が軽いのが特徴。
 というか、これぐらいしか共通部分が無いともいえる。主な部品は他の機種などからの流用で、流用出来ない部分は独自開発みたいな設計になっている。
 このせいで安いと『KMFよりは高い』程度で済むが、高いと『素直にワンオフ建造すれば?』って言いたくなるほど高い。


【キングジェイダー】(原作:ガオガイガー)
 すごい…! すごく強い! すごくデカイ! すごいロボットだ! な機体。

 全高:101m! 重量:32720t!! のなんと実物大である。(ちょっと頭おかしい)
 主機関に使われている『Jジュエル』は主人公が生やした『純マグネタイト結晶製演算装置?(仮称:Gストーン)』を制御できる様に弄繰り回した産物。実は形になったのが決戦まで一月ない頃で、不具合とかの検証がまだ済んでない。ちゃんと動いてよかったね?
 しっかり『電霊 トモロ』を搭載しているが、『アルマ』はオタ社長の式神がコスプレしている。
 武装とかは原作準拠。なんか違うのあったかな?
 強さについての説明いる? 作者は【大天使 メルカバー】LV180相手に普通に時間稼ぎできるだけでやばいと分かってもらえると思うのだが。(※主人公はアナライズできないので、作中だとガイア連合基準のLVからズレている)

 ワンオフもワンオフの機体で、真面目に値段算出すると国家予算規模になる。
 使用フォルマが価格を押し上げているのでオタ社長はそれを自力採取して価格を押し下げているが、それでもやっぱり高い。十桁円は軽く超えている
 でも、オタ社長が貯めに貯めた貯金、ついでに部下たちの勝手に持ち寄ったカンパだけで建造費は賄われた。
 オタ社長、びっくりするぐらい金持ちだったのだ!

 いや、本職の機械式神(メイドロボ)の製造以外にも天使加工工場の設計とか、中大規模シェルター内の完全循環型インフラ設計とか、それ以前のシェルター都市の都市計画作成とか、色々な大規模施工に一口噛んでいる(というより引きずり込まれている)ので暇はなくとも金はいくらでもある状態だったのだ。
 元々製造ライン構築とかAIの専門家だったが、下手にオカルトも機械もいけるばかりにインフラ整備(あるいは維持)に巻き込まれてしまったのだ。
 そのくせ霊能者としてもがっつり鍛えているのでそっちの収入もあるし。

 あ、霊能者としても強いですよ?
 実は、半終末到来前は主人公のレベル、オタ社長に負けていた状態だったので。
 流石に海外遠征でVSメルカバーしまくったので今は主人公が勝っているけど、オタ社長も怠けていたわけではないので順調にレベルは上がり続けていた。


【ダンバイン】【ニルヴァーシュ】【ゲッターロボ】【マジンガーZ】他にも色々。
 なんかいた。
 なんでいた?
 恐らくロボ研の奴らが独自に設計した機体だと思われるが、詳細は不明。
 今まで主人公が建造して来た機体と規格が違うのでワンオフ機だと思われる。
 今回、50m以下の機体しかいなかったのだが、これは建造期間と資材の問題からか?
 ちょくちょく主人公が(原作での危険性から)開発を却下して来た機体もいるのだが、主人公(支部長)に他の転生者への命令権なんて無いので問題はないです。
 今まで制御で来ていたのは、あくまで主人公の金で研究していたからだったんだ……。


【クロガネ】(原作:SRW)
 スペースノア級万能戦闘母艦。ロボ研たちの機体の母艦として投票の結果選ばれた。
 ……いや、なんでよりによって三番艦? 母艦なら一番艦じゃ???
 ロボ研の奴らが持ち寄った資金で建造……出来る訳ないので、主人公の奥さん'sが裏で手を回している。つまり、借金である。
 というか、今回戦場に駆け付けた奴らの中で借金してないのオタ社長ぐらいしか……(汗

 実はマクロスが就航しドッグの空いた『十二年目』の間に輸送艦と偽装されて建造が始まっていた。その頃から奥さん'sの暗躍は始まっていたのだ。
 輸送艦名目だったので建造は急がず、出来たのは『十三年目』になってから。それでも早いけど。
 艦首部分に余計なものがあるが、とても大きな艦なので今回登場した機体の半分以上はこの艦に載ってきた。
 それもそのはず。
 なんと! クロガネは! マクロス・クォーターよりも全長が長いのである!?
 その分乗組員は必要だが、それは『メイド研究所』が式神を供給してカバーしました。
 おかげでデスマーチだったらしいですが……ロボ研の面子もデスマしてたので仲間だな!(ぉぃ
 式神の活動MAGは艦からの供給となります。

 造ったはいいけど維持費が払えなかったので、終末後は主人公の会社に籍を移す&ロボ研の一部が搭乗して海上護衛に精を出しています。
 ちなみに、主人公は元ネタを知らなかったので『(海底軍艦)轟天号』と船籍を登録しかけて、ロボ研皆から突っ込まれることになる未来がこの後あります。
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