【カオ転三次】DRUG FATE 作:石は転がる
今回は主人公視点以外のお話になります。
『主人公』みたいに積み重ねの無いぽっと出のキャラクターですので、その背景とかが分かり辛いかと思います。
疑問があればどしどし質問してください。
旧世界が終わり、新世界へと移行した世界。
まだまだ戸惑い交じりで恐る恐るとしたものではあったが、人間というものは逞しいもので徐々に新世界へとなじみ始めていた。
これは、そんな新世界を生きる人々それぞれのちょっとした日常の話。
ケース① 一般タクシー運転手の場合
ブロロロロと内燃機関特有の音を吐き出しながら道行く車が一台。
屋根の上に乗った特徴的な設置物に、やや古めかしさを感じる黒塗りの車体は、昨今では珍しくなったセダンタイプ。
――それは誰にとってもお馴染みのタクシーの姿だった。
そのタクシーを運転するのは勤続三十年を超えるベテラン運転手。
今も、注意深く道路を確認しながらも、その口は後ろに乗った常連客を飽きさせない様に滑らかに世間話に興じていた。
これは、そんな彼の話の一部を抜粋したものである……。
「○○さん、今日も何時通り病院で?
……はい、はい、分かりました。それじゃ、間に合うように行きますからね。」
「○○さんは最近どうです?
ほぅ、お変わり無いですか。それは羨ましい。私どもはなかなか大変ですよ。
……えっ? そうですねぇ。例えば……そう、ここにカーナビあるでしょう?
これ、もう使い物にならないんですよ。……ええ、ええ、GPS、でしたっけ?
衛星に繋がらないらしくて案内してくれなくなっちゃって。
今じゃ地図にしか使えませんで。おかげで会社の若い奴らはひーこら言ってますよ。
…私ですか? 私はロートルですからね。この辺りの道は頭の中に入ってますよ。」
「確かに、軟弱って言えば軟弱ですかねぇ。
昔は全部覚えてて当たり前って感じでしたし。私も若い頃は大変だったなぁ……。
…ってハハハ、○○さん、酷いな! 私にだって大変だった頃はありましたよ!
私もねぇ、昔、迷子になってお客さんと一緒に道路地図めくって目的地を探したこともありますよ。
大変だったなぁー、あれは。」
「おっ、○○さんもやっぱりあります? えっ、デートの時に道に迷った?
それはそれは! 旦那さんも冷や汗流したでしょう…え、旦那じゃない?
……○○さん、おモテになったんですね!」
「ほぉー、若い頃は海に山にといろいろ行っていたとは、○○さんって案外活動的だったんですね。
あー、やっぱり足をやるとダメですか。
ええ、ええ、そうですね。私も一日中座り仕事でしょう?
最近腰が痛くって…え、お医者様紹介してくれるって?
○○さんが通っているお医者様、腕の方はどうです?」
「……へぇ、魔法薬? 完治している? 今日は検査だけ?
それはおめでとうございます!
神や悪魔やよく分からない事で不便で物騒になったと思いましたが、そんな良い事もあるんですね。」
「『私すらちゃんと授業受けたのにさぼったのか!』ですって?
いやいやいや、ちゃんと講習は受けましたよ?!
ええ、ええ、バスに乗せられて“外”にも出ましたよ。
いやー、普段から走って知っていたはずの場所が、連れてかれたら全然違うものになってたのはびっくりしましたね。思わず頬をつねりましたよ。」
「神様ってのも本当にいるそうですねぇ……本当にいるんならもっとご利益があってもいいのになぁって、えっ、罰当たり者?
わぁーーー、○○さん!! 車の中で杖を振らないで!?!?」
「そんな事より○○さん!! 膝が痛いの治ったのなら私はお役御免ですかね!!
いや困ったなぁー、常連さんが一人減っちゃうのわ(棒
……え゛っ、これからは病院仲間と一緒に外で遊ぶ? 私はそのための足?
………ま、毎度御贔屓、ありがとうございます……。
あっ! ほらほら、病院に着きましたよ。予約時間ありますし急ぎましょう!
…え、帰りも? あ、はい……。あとでお迎えに上がります……。」
Topic
王国では終末後、
これは人界が終わり全ては魔界に落ちたことを実感させるためであり、各種覚醒者
そのために少なくない負担が発生したが、これにより『外界の危険性を認識』し、それに加え『その危険から守る人員*2への信頼』の芽が生まれた。
噺家さんみたいな軽快な喋りを文章で書いてみたいなぁと思ったが難しいですねw
ケース② とあるメシアン(日本人)の場合
広島という土地は四文字教徒が元々多い土地である。
これは戦後の進駐であったり、それ以前の海外との交易であったりと色々歴史的な経緯があるのだが、それは兎も角。
昔から四文字教徒が多いという事はイコールで現在は日本人メシア教徒も多いという事である。
これは、そんな代々四文字教徒であったとある日本人の話である。
プルル、プルル、と電話の呼び出し音が鳴る。
その音に応えて、隣の机から受話器を取る音が聞こえる。朗らかに、しかし疲れを隠しきれず対応する同僚の声。
――内容は……また
私はそれを聴きながら、そ知らぬふりして目の前のモニターと手元の資料を見比べ、起動している表計算ソフトに間違いが無いように入力する作業を続ける。
どうせ役所からの注意は後で共有される。それならば今は気にしない方が精神衛生上いいに決まってる。
慣れないパソコン作業に目が痛い。
教会の一室に無理やり作られた事務室は空調の掛かりが悪くてどこか生暖かく湿って感じる。
耳に入る電話口への謝罪の連呼。
――いけない。集中が切れてる。
やけに周りが気になって作業に手が付かない自分に気が付き、気分を変えるためにマグカップに口をつけた。
口をつけ、飲料を口に含み――無意識に想定していた味との違いに物寂しくなる。
マグカップの中身はインスタントコーヒーですらなく、ただの生温い水だ。昔ならじっくり時間を掛けドリップしたコーヒーを片手に皆で和気あいあいとたまの事務作業を笑ってこなしていたのに、今では誰も彼も慣れない仕事にてんてこ舞いでゆったりする時間もありもしない。
どうしてこうなった、とため息をついて。
私は大きく伸びるように天井を見上げた。
私は、どこにでもいる普通のメシア教徒……のつもりだ。
明治の頃に先祖が四文字教に改宗した信心深い家系で、私も子供の頃から教会に通い、親とは違い就職せずに教会に奉職することを選んだ、自分で言うのもなんだが熱心で清楚な聖職者だと思う。
いや、選んだというのは違うか。
大学に通い、欲に呑まれた社会の一員になる将来に漠然とした不安と焦燥を抱いていた時に。
あの方が――天使様が、私を選び導いてくださったのだから。
今でも鮮明に思い出す事が出来る。
陽の光に煌めくステンドグラスの輝き。教会を預かる司祭の祈りの言葉に、天使様の降臨を助けるために協力してくれた皆が歌う讃美歌。
触れる事どころかその場にいる事すら恐れ多い神聖な空気。
そして……世を憂う、天使様のお言葉。
あれ以来“目覚める”べく修行し、そして実際目覚めた後は世界の平和に貢献すべく身を粉にして働いて来た。
そのおかげか皆にも認められ、役者不足だとは思うが『聖騎士』として任命された。それから一層努力をしてきたつもりだ。
次第に増える悪魔の被害に心を痛め、利権を手放すまいとする頑迷な地方霊能組織に怒りを覚え、それでも独断専行することなく日々精進を重ね清廉潔白に生きるべく努めていた。
――今にして思えば、あの頃が一番苦しくも輝いていた。
全てが変わってしまったのは何時だっただろうか。
ガイア連合が台頭してきた頃?
いや違う。彼らの台頭は悪魔被害の低減と等号で結ばれる。即ち彼らのおかげで無辜の人々が守られたという事だ。
その後正式に協力関係を結び共に歩んできた彼らを悪し様に言うのは、人々を守り切れていなかった自分達から目を逸らすための浅ましい自己弁護に過ぎない。
ならば世界に向けて核兵器が放たれた時?
それも違う。確かにメシア教を名乗る
悲しい事にこの変化は情勢が悪化しただけであり、敵の強さ以外はそれまでと何も変わることの無い事態であった。
それならば、全てが変わってしまったのは何時であったか。
それは――海外からの難民、それを受け入れてしまった時であろう。
勘違いされないように最初に言っておきたいのだが、海外からの難民をこの地で受け入れる事を決められた当時のガイア連合支部長――現在の国王陛下――を非難している訳ではない、という事だ。
むしろ称賛したい。
難民の受け入れと言うのは言葉ほど簡単なものではない。
着の身着のまま碌な財貨も持たない
これは酷く難しいものだ。
人間は誰でも変化を嫌う。ともすれば自分が変わる事の苦痛や労力を厭い、相手を無理やりにでも変えればいいと他者への暴力に走るほどに。
それはいっそ“傲慢”の悪徳とさえいえる。
それを彼は、彼の御方*3は見事に成し遂げたのだ。
荒野を迷い彷徨う子羊たちに
それは偉業だ。
荒んだ生活に主の教えを忘れた何十万もの破戒者を、再び主の教えに立ち返させた偉業なのだ。
そう、偉業なのだが……。
「……はぁぁぁぁーーーー………。」
目の前の画面、そこに映る空欄の数に現実に引き戻された。
画面に映る表計算ソフトのシートはこの教会に所属している信者の名簿である。
・名前・性別・年齢・住所、そして・
役所への届け出に必要な項目を手元の紙片から書き写す作業は、まだまだ終わりそうにない。
また一つ溜息。
こればっかりは彼の御方の決めた事とはいえ恨み言を言いたい。
いや、理由は分かるのだ。
嘗ての平和な時代、オカルトは秘されるものであった。
そのため、悪魔退治や霊障の治療などに掛かる費用又は収入は裏帳簿であり、表の帳簿は適当に作られていたしそれを監査する役所にも圧力をかけて見て見ぬふりをさせていた。
今にして思えば大変不健全な状態だったと思う。
しかし、今は終末世界。オカルトを誰もが認知した。
なのでそう言った不健全であった関係を改めるべく、宗教法人にも監督の目が向けられ様々な報告が義務付けられるようになったのだ。
今作っている名簿もその一つである。
メシア教に限らず各種宗教への配慮の一つに社会奉仕活動費用の減免措置がある。あるのだが……早速、これを使った雇用関係の隠匿による脱税とかがあったので*4、『せめて教会に所属している聖職者と信者の名簿ぐらいは提出しろ』となったらしい。
そのために今までは秘匿性なども鑑みて紙で管理していた情報をパソコンに打ち込む必要が出てきたのだ。
――大変な理由はそれだけじゃないけどなぁ……。
内心に思い浮かんだ言葉を慌てて打ち消す。
遠くにいらっしゃる彼の御方と違い、こっちはすぐ近くにいる上司への不満だ。下手に気づかれると面倒なことになる。
そう思いながらも不満というものは厄介なもので、頭の片隅から離れてくれない。
上司への不満。
それは上司が人品を確かめることなく『難民メシア教徒』を取り込もうと動いていることだ。
……いや、教会の門は常に開けられているのが普通なのだから、この思いは私の未熟に過ぎないのだろうか。そう考えるも、やはり節操なく人を集めていることに苦い顔をしてしまう。
まあ、上司の考えも理解できなくは無いのだ。
『日本メシア教』派閥とでも言える『日本元来のメシア教徒』が、『難民メシアン』の数に押されてメシア教としての動きの主導権を取れなくなってしまっている現状が決して良いものではない、と思うのもよく分かるのだから。
だからと言ってそれを押し付けられるのは堪ったものじゃない。
名簿も昔からの信者の方の部分は当に終わっているのだ。
今打ち込んでいるのはここ数年で新たに教会の輪に加わった方なのだが……これが難物だった。
住所が違うなんて序の口、届け出に必要な現在レベルを偽装しようとしたり、近隣住民と問題を起こしていたり。いつの間にかに他の教会に所属していたのにこちらに教えてくれていない方までいた。
はっきり言って、急激に増えた信徒の数にこちらが管理しきれていないのだ。
この状態でさらに信徒を増やしたら一体どうなってしまう事か。
……少なくとも、今の仕事がさらに増えてしまう。
既に定められた未来にがっくり肩を落とし、昼休憩を待ち望む聖騎士の後ろ姿はとても小さなものだったとさ。チャンチャン♪
Topic
日本人のメシアン――特に下っ端――にとって昨今の大きな変化は、『悪魔』でも『ガイア連合』でも『半終末』でも無く『難民』の対処であった。
これは比較的安全な日本での活動が中心で悪魔被害の増加はあっても
そんな彼らにとって一番の変化は『半終末』前後から突然押し付けられるようになった『難民』であり、その対処に覆いに苦労することなる。
特に日本メシア教の特色である『異教徒への寛容』と日本人らしい『(害が無い場合の)異文化への寛容』を海外からの難民は持ち合わせていない事は日本メシア教にとっては大問題であり、その対処には手を尽くすことになる。
急に仕事を押し付けられた各地のメシア教教会は災難だが、それ以上にこの受け入れによって『日本メシア教』としての纏まりが無くなり、『派閥の跋扈』となったのが従来の日本人メシアンには失望を感じさせたらしい。
――『終末後』の各地の教会の独自派閥化はこの失望が影響したと考えられている。
今回登場のメシア教徒の家系は代々四文字教徒ではあるが、彼(メシアン)は代々の宗派とは違っていたりする。
祖父母以前は別の宗派の四文字教徒だったのだが、核による地元教会の消失と戦後の米軍(メシア教)駐留のせいで再建された教会の多くがメシア教になったため。(再建と言う名の
祖父なんかはなまじ四文字教徒だったためにメシア教に仲間扱いされ、戦後に日本の霊能組織への行いの片棒を担がされる羽目に……。
おじいさん、普通に徴兵受けて戦中は『日本人』として誇り高く戦った人なんですけどね(涙
それでも親世代は表向きはメシア教徒、実態は
他の一族は日本の宗教に回帰した者や海外から避難してきたまだマトモ(?)な四文字系宗派に所属する者など信仰的にはバラバラになっている。それでもちゃんと彼以外は親戚付き合いなどしてるけど。
ケース③ 【名無しの転生者】(ロボ研)の場合
そこは森であった。
一面を覆う巨木。
一本一本が高さ百mを超える幹を持ち、幹に支えられ空を隠す様に延びた枝が何十mもの傘となって日差しを遮ていた。
一本ずつが巨大過ぎるせいだろうか。
木々はそれぞれが独立した柱の様に孤立し、しかし空を覆う枝葉は光を求めて重なり合い一体と化して見える。そのせいで森の中は薄暗く、
湿り気を帯びた、重苦しい停滞。
『Gululullulililiiiiiiiiiiiiii?!?!?!』
そこに、破砕音が爆発した。
重く湿った木々がへし折れるミシッとした音の合唱に、苔むした大地ですら吸収しきれなかった衝撃が打楽器となって音を生んだのだ。
森に一筋の光が差し込む。
それはまるでスポットライト。闇に慣れた目を細め、光の行き先を確かめれば、そこに音の発信源がいた。
それは、竜であった。
赤黒く光を返す鱗。身体を支える太く強靭な脚に、固く鋭い鎧を重ねた様な体躯。空の支配者とばかりに大きく伸びた翼には複雑な文様が走り、憎々しげに空を睨む竜眼。
鋭い牙が見え隠れする口から、唸りが漏れる。
何万もの銅鑼を鳴らしたような、全身が粟立ち怖気が奔る重低音。吠えた訳でもなく、ただ呼気が漏れただけの音に、森が震える。
それに、音も立てずに動くはずの森の生物が、ざわっと音を立てる事も構わずに逃げ出していく。
それは、どこまでも恐ろしい竜であった。
――例え、その身に傷を負っていても。
「うぉぉおおおおお、これで終わりだぁあぁぁあああああ!」
『Ggglurialiilililiii...!?!! ――――、______』
その恐ろしき竜が。
傷つき、それでも尚世界を震わせた威容が。
光と共に落ちてきた流星に、呆気なく首をはねられた。
流星は、騎士であった。
鮮度の低いアクアブルーに染まった全身の甲冑に、その内で唯一透明感のある緑青の胸郭。兜から空に突き出すように延びた角の先は二股に分かれ、その下に位置する眼孔は赤く複眼を輝かせている。
血振りをし背中の鞘に納刀された剣。その下には透き通った琥珀のような翅が、降下の余韻に身震いしていた。
「『討伐対象:【魔獣?】レッドドレイク(仮)』の死亡を確認、っと……。」
その騎士の内部。
緑青の胸郭の内でそう呟いた人間が居た。
それは、騎士、だろうか。
機体と同色のレザーアーマー。操縦桿を握りしめ、スリットの隙間から見える眼が油断なく死骸を見ている。
荒れた息を整えながらもその眼差しは静謐で、とても『竜殺し』を成し遂げた直後とは思えない――
「ふっ。……ふっふ…ふは、はははははは……!
――いぃっっよっ、しゃぁぁあああああ!!! 今度は先を越したぞ、ヒャッホー!!!!!
見たかMH勢め、やっぱりオーラバトラーしか勝たん! はっきりわかんだね!!!」
「やったね、マスター!」
――……思えなかった。
唐突な喜びの爆発は支離滅裂で、一瞬にして印象が変わる。
『実直な騎士』から『詰らない事を競い合う若者』の軽く馬鹿馬鹿しい雰囲気に。
ピクシーの様な妖精と共にはしゃぐ搭乗者に合わせて機体までもが小躍りしている光景は外から見ればひどく滑稽であったが、大森林の中で人目がなかったのは幸いであったのだろう。
一頻り勝利の舞踏(?)を踊った後、討伐対象となっていた竜を機体にアンカーで固定して“騎士”は竜の亡骸を釣り下げ緑の天蓋を突き抜け何処かへと消えていった……。
これが最近の藤原僭王国郊外――或いは人類圏外と言うべきか――で行われる『狩猟』風景の一つだった。
現在、藤原僭王国の外域は幾つかの空間が重なったかの様相を呈している。
一つは人界の頃の名残が見えるレイヤー。
各地の位置関係などにズレを生じさせながらも『道を辿れば他のシェルターに辿り着く』レイヤーだ。
勿論、魔界に落ちたことが原因で道が寸断したり、従来は無かった土地が挿入されていたりと従来の地図をそのまま使うことは出来ないのだが、参考になる程度には昔の面影が残っている。
……普通のシェルターはガイア連合・メシア教・その他全てがこのレイヤーの上に存在しているので、おそらくこれが
そしてそれ以外。
この地以外で確認されておらず、現在のところ他のシェルターからは移動できないレイヤー。
それが多重にこの地には存在していた。
一つ、『丘陵領域』。
一つ、『湖畔領域』。
一つ、『密林領域』。
一つ、『砂漠領域』。
一つ、『地底領域』。
一つ、『火氷領域』。
一つ、『高山領域』。
一つ、『大海原』。
そして、今回の舞台になった『巨樹領域』。
合わせて『九大異邦領域』と仰々しくも名付けられたそこは、魔界にあっても異質な世界であった。
――全長十メートルを超えるような“野生動物”が当たり前の顔をして闊歩し、独自の生態系を築き上げている。
驚愕であった。
魔界にありて物質的な血肉を纏い、仮に悪魔が出現しても弱肉強食のもと平然と狩り出し獲物とする“野生動物”。
そこらの“草食動物”でさえレベルをもち、それを狩る“肉食動物”ともなれば戦闘者として鍛えられた覚醒者を必要とする世界。
人界に降りてきていた『魔獣』や『妖獣』など、
慌てて王国との接点が封鎖され、現在は特別に許可された者だけが調査のために訪れる場所となっている。
そんな場所で、今日も今日とて“黒札”たちは人類の明日を担って戦い続けているのであった…ッ!
……決して「一狩り行こうぜ!」って言葉が合言葉の集団だったり、使い道の無くなったロボット達の遊び場であったりはしないはずである。
多分、きっと。
Topic
『九大異邦領域』が藤原僭王国と接続した原因ははっきりとは分かっていないが、「おそらくこれが原因だ」と推測されているものがある。
それは『シェルター全域を覆う曼荼羅結界』である。
この曼荼羅結界。
“曼荼羅”とついているが仏教系の結界ではなく、多種多様な神格・悪魔を柱とした結界を作るためのフォーマットで、相反する神格の結界だろうが問答無用で連結するためのプロトコルである。
多種多様な種族の悪魔を以てして一つの結界を作り出す様を例えて“曼荼羅”と名付けられたこの結界。
LAW・NEUTRAL・CHAOSの思想的な三つの区分は勿論、Light・Neutral・Darkの性格や手法の三区分すらも分け隔てなく混在させた正に
この状況になって初めて一つ、問題があったのでは思われる点が出てきた。
それは、凶鳥や魔獣など『難しい契約がし辛い野性的な存在』が柱の中には少なかったのではないかという点だ。
と言うのも、この曼荼羅結界の柱となる存在は強固な制約に縛られ自由な行動を制限されることになる。
多くの知性ある悪魔の場合、それでも利点の方が多いと理解しているために柱となっているのだが、その理解の及ばない悪魔は柱になる事を了承しなかった。
そのため、アライメントとしては全属性が満遍なくいるのに、種族としてみると一部の種族の数が少ないことになっている。
――それが魔界に落ちるという異常事態において悪影響を及ぼし、欠落していた属性を補うように『九大異邦領域』を呼び寄せたのではないかと。
そう言う劇中での考察はともかく、メタ的に言えば狩りゲーの各種エリア。
『モンスターハンター』と『ゴッドイーター』と『ホライゾンゼロドーン』など各種狩りゲーを足した様なエリア群。
「電脳異界で竜とかケンタウロスとか出現するなら、魔界にもそんなのが生息する地域があってもいいだろ!」ってノリで我がシェルターに接続されました。
おそらく魔界の深度的にはかなり深い場所にある世界だと思われます。
暇を持て余した黒札たちの遊び場になっていそうですが、この場所、普通に危険なので許可の出る必要最低レベルは『シキオウジ打倒』が出来るぐらいになります。
本文中の竜とかレベル換算すると40とか50とかありそうな次元の生物なので……。
あ、藤原僭王国に危険は無いですよ?
レベル100オーバーの生物の縄張りに手を出すほど、ここの生物は命知らずじゃないので。
実際
メシア教への締め付けではなく、全ての宗教法人の負うべき義務である……という体裁を整えるために行われた。
宗教法人、メシア教麾下以外は半分以上主人公の麾下なんですけどね。
そのため他宗教への攻撃性が減り、『隣人を愛する正義の宗教』として
ライバルになる霊能組織を根絶やしにしてから自分達だけが特別な力を持った『正義』の存在として動いていたので、そりゃ歴史を知らない一般信者上がりだと『正義』だと思っているだろうなぁ……。
親から戦後直後の蛮行を聞かされていそうな政治家とかは逆らえなかっただろうし。
特に予定が無かったのになぜかするりと話が書けてしまいました。
悲喜交々、次は『自衛隊』とか書けたらいいな、と思いますが筆が進むかは不明なので気長にお待ちください。
今回題材にした『メシア教』なんかは原作でもスレの方の描写でも割と一枚板に見えるのですが、実際はどうなんでしょうね?
何というか『派閥があるよ~』との言葉はあるのですが、実際に派閥ですれ違ったり、お互いに妨害し合ったりのような『派閥抗争』が全く見えないのでどうにもイメージしにくいんですよね。
一部が好き勝手してるとかは『統制が取れていない』のであって『派閥抗争』ではないですし。