【カオ転三次】DRUG FATE   作:石は転がる

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 そう言えばこの作品においての『デモニカ』や『多脚戦車』の扱いを詳しく描写していなかったと思い、関連したロボ部(呉)を交えて今回の話を投稿します。
 この作品の『独自設定』はかなり他の方の三次創作とは設定が違いますので、そのあたりをなるべく分かり易く出来ればな、と思います。

 ……そう思って書いたのですが、何故かできた話が違います(ぉぃ
 物書きとしてまだまだ未熟で申し訳ないです orz


小ネタ 藤原僭王国ロボ事情

 既に地平線から顔を覗かせ、今日も晴れだと燦燦と主張激しい太陽が見下ろし始めた時間帯。

 

『まずはゆっくり背伸びの運動から~♪』

 

 都市部からやや離れた郊外に、広い敷地を有した社屋が立ち並ぶ一角がある。

 社屋は一棟一棟が巨大で、高さはどれも100m――普通のマンションなら20階建て以上――を超え、しかも横に長い長方形をしている。壁面に窓は少なく、しかも高い位置にしかついていない。

 そんな一つ一つが球場などよりも広い社屋の狭間、舗装もされず、しかして平らにならされた広場に百を優に超える人影が音楽に合わせて大きく体を動かしていた。

 株式会社 ロボファクトリー。

 今時珍しく……は無くなってしまったカセットテープ*1から流れる軽快な音楽と明るく元気な声は、今日も変わらない毎日の始まりを告げるものであった。

 

 そんな元気で、しかし聞き飽きた声。

 すっかり慣れたせいで考え事をしながらも勝手に動く身体をよそに、私――『名無しのロボ研』の一人――は今日のスケジュールを思い出しながら頭にこびり付く眠気と必死に戦っている。

 ――あと二日働けば週末っ…! 今度こそ、大物討伐してやる!!!

 そう、全てはやっと稼働費用が溜まった我が愛機と触れ合う為!

 ここでヘマして休みが無くなっては、何の為に働いて来たのか分からなくなる。

 後でパトラやってもらわないとなぁと思いつつ、\【企業戦士 名無しのロボ研】/カカカッとアナライズされそうなほど気合を入れて、私はだるい体を動かすのであった。

 

 

 そして週末。

 近頃いくらアクセルを踏んでもエンジンの馬力が上がりきらないオンボロ自動車に乗って、私は外壁区の新規開発市街の方にやって来ていた。

 新規開発市街――通称:新市街――は、終末後に放棄した住宅街などを再開発した()()()()()()を留め置くための街だ。

 国籍未所持者と言うと仰々しいが……それは当時呉支部の、いや、支部長である⑨ニキの支配下にあった市町村、そこに住んでいなかった()()()で終末後に『王国』に流れて人間の事をそのように呼んでいるのだ。

 つまり――日本国籍所持者()()()者の事だ。

 日本国籍を持っていなかった『難民』のような外国人はまた別の区分けがなされている。“外国人”は別区画に難民受け入れ地区が作られているが、そこと新市街とでは別にインフラに違いは特には無い。

 どちらも等しく扱われ、どちらも等しく『王国』より優先度が低くなっているだけだ。

 

 同じ日本人なのに、とは思う。

 ……思うのだが、他の支部やガイア連合外シェルターから漏れ聞こえて来る噂を聞くと、この処置も仕方が無いのだろうか、と考えされられもする。

 何処にでもそう簡単に変われない人は存在する、という事なのだろう。上手く行っているように見える呉の地にだって、()()()()()()()()は居たらしい。

 それが大きく問題になっていないのは、問題が多くなる前に個別に対処できるだけの“余力”がこの地には在ったというだけの事なのだ……と、ロボ研に所属している“偉い人”は言っていた。

 

 ――普段一緒に馬鹿をしてるのを知っているだけ、その時は思わず頭を心配してしまったなぁ……。

 怒った相手に掛けられたキン肉バスターの痛みを思い出し、思わず運転席で見悶える。

 ……それを助手席に座るマイ・スイ~ト☆ハニ~(はーと)が言葉に出さずとも呆れた表情で見てくるので、ふいんき(何故かry)だけでもキリッとして見せた。

 

 終末後に舗装された真新しいアスファルトの上を走って道沿いの店舗を横目に見ていると、私も“変われなかった”人間なのかと、ふっと思った。

 終末が来ても他人事のまま平日は仕事をし、休みの日だってそれまでと変わらずボロ車を転がして趣味へと邁進している。

 変わったのは会社で出張がなくなった事か。それだって設計・開発の自分は、営業の同期の話を聞いて「そうなのかー」と相槌を打つ程度の変化でしかない。

 むしろ、私たちが変わらないというよりも支部運営の人間たちが急激に変わり過ぎなのだと思う。

 終末直後から間を置かずに都市部周囲を囲む壁を作り、そしてその外側にこの様な街を作り上げるのは当時どころか今でも“過激な反応”扱いされても可笑しくはない。

 呉に住む転生者たちからはそう言う反応に成らなかったのは、それが都市内の安定に極めて有効であったからで……先見の明と言うか割り切りと言うか。都市外部の人間を切り捨てるがの如きその苛烈な判断力には慄きもするし頼もしくも思う。

 

 ……それでも、畏れても仕方ないような事なのに、私たちの誰もが怖くはないのは判断を下す⑨ニキとはそこそこ長い付き合いがあるからだろうか。

 私も割と支部では古参の人間で、もう十年以上の付き合いになっている。今でもちょこちょこ顔を突き合わせて話もするし、私たちが()()()()()()時には⑨ニキに叱られもする。

 そうやって人柄を知っていれば、何となく彼の判断が最大数の幸福につながっているのだと信じられてしまうのだ。

 

 つらつらとどうでも良い事を考えていると、そこで入口の検問に差し掛かる。

 金網のフェンスで区切られた敷地の向こうに見える滑走路。そのさらに向こうに建物はなく、舗装されていない砂利道が都市から離れた方に向かって伸びているのが見えた。

 フェンスに架かっている真新しい看板には『亀山駐屯地』の文字。ここに線路を使って整備ガレージから先に機体が届いているはずだ。

 

「お疲れ様でーす。共用格納庫の荷物受け取りに来ました。はい、これ『許可証』。」

 

「ちょっと待ってね、今確認取るから。」

 

 検問に居るのは自衛隊のデモニカだ。路上でこちらの応対をしてくれている隊員以外にも、コンクリートの詰め所に数名いるだろうか。

 フェイスシールドを上げた応対役の顔はにこやかだが、相方や周囲の隊員は銃から手を離さない警戒態勢。

 前方を塞ぐ黄色と黒のゲートバーの奥には車道から直接複数の車止めが生え、車に()()()何が突進してきても足止めできるようにされていた。

 

 ――うーん、ちょっと心臓に悪いけどやっぱりワクワクするな!!!

 こう、オカルトでない形での『非日常』は、これから再会する愛機と相まって非常にテンションが上がる。

 思わずにやけそうになる顔を、自衛隊員に変に思われない様に力を入れてすまし顔をする――つもりなのだが、助手席から聞こえてくる溜息からすると取り繕えていないらしい。

 咳払いをして誤魔化しながら、許可証を返してもらい車を奥へと進めていく。

 

 道の先にあるのは普通の建屋と普通ではない建屋――事務棟と格納庫だ。

 さらに奥には倉庫や宿舎もあるらしいが、そちらには用が無いので行ったことが無い。そちらに行くには更に『別の許可証』が必要だし。

 事務棟の前、広々とした駐車場にはそこそこ車が止まっている。幾つかある見覚えのある車はチームメイトの物だ。

 その中の一つ、一際目立つ一台の車。

 重厚感があふれながらも塗装も鮮やかな有澤自動車の最新モデル――何と終末後モデルである!!――は、終末前の物と比べて更に尖った個性の塊だ。

 もう隠す必要ないよね?と言わんばかりの装甲! 装甲!! 装甲!!!

 自衛隊に卸している多脚戦車程度なら跳ね飛ばしてもびくともしない足回りは六輪駆動!!!

 そのくせ販売広告に臆面もなく記載される『ファミリーカー』の文字!!!

 同じ設計者として一体何を想定してこんなの作ったんだこのお馬鹿ッ!と言いたくなる素敵なモンスターだ!!!

 

 ――……いいなぁ…欲しいなぁ……。

 思わず物欲しげに見てしまう。見てしまうが……浮気はダメだ。

 私は心に決めているのだ。

 そう、――金があったらすべて愛機につぎ込むと!!!

 

 急かされる気持ちのまま、ラインを割った事を気にもせず車を止め、事務棟に小走りに向かう。後ろからは式神が荷物を取り出してから車に鍵をかけているが気にも止まらない。

 チープなガラス戸。

 自動ドアではないそれを押し開き、事務棟の中に入ればすぐさま受付に向かう。

 ここで本日の運用予定の確認など細々済ませないと出撃出来ない。一分一秒が惜しいが、毎度行われる確認などをしっかり聞いて手続きを終わらせる。

 

「同行者の方々は既に済ませていますよ?」

 

 手続きの終わり、仲間たちの事を尋ねるとそんな返事をいただいた。

 改めて後ろを振り返ってみるが、受付前のベンチには仲間たちの姿は見えない。見えるのは荷物を抱えたパートナーの姿だけだ。

 どうも先に格納庫に向かったらしい。薄情な奴らめ。

 パートナーから荷物を受け取り、勝手知ったる何とやら、ずんずん奥に進んで向かうのは更衣室。

 

 ここでパイロットスーツに着替え――気持ちを切り替える。

 そうだ。

 この瞬間から、ここに居るのは三十路のメタボの魔法使いではない*2

 そう……そうだ。

 ――私は、栄えある『王立白鴉騎士団』の騎士なのだ!!!*3

 

 カッっと目を見開き、颯爽とマントを翻し、従者*4を伴って先へと進む。

 更衣室からの先は、それまでの内装とは全く違う。

 床はチープなタイル張りからぬめりを返す金属質な触感に。安物の壁紙と窓枠は露と消え、重苦しいまでに硬質な壁面が鈍く照明の明かりを跳ね返している。

 

 つい先ほどまで聞こえていたはずの、音が無い。

 全てが現実味の無い近未来的な空間。

 そこをカツッカツッとブーツだけ音を立て、進んだ先にあるのは固く閉ざされた隔壁だ。

 

「――ッ開門!」

 

 バッと右の手を体の外へと振る。

 すると――途端に重く軋みを上げ、隔壁が開いていく。

 隙間から瞬く間に漏れる、わッと押し寄せる質量をもった音の波は、通路との落差で火傷しそうなまでに熱い。

 

 隔壁の先は目も眩むような広大な空間だ。

 まず正面、50mほど向こうの対面側の壁は巨大なシャッターとなっていて、そのすぐ手前には開閉を完成するための管制室が中空に見て取れる。視線を下ろしていけば中央には給弾車や補給車が走り、ふらふらと歩いて道を塞ぐ者に鋭くクラクションを鳴らしている。

 左右の両壁にずらっと並ぶガントリー。

 そして、そのガントリーに並んでいる物の一つ、そこに鎮座するのは何よりも大事な――私の愛機!

 

 駆けだしそうな足をぐっと押え、悠然と歩を進める。

 一人の騎士として恥ずかしい真似はできない。道行く人々の邪魔にならない様に、しかして堂々と脚を進めていけば、機体の足元辺りに人影が。雑踏に阻まれて見えていなかったが、仲間たちがそこに居たのだ。

 

「遅かったじゃないか。今日は卿抜きで出る事になるかと心配してたぞ?

 こいつと二人っきりとはぞっとしないからな。」

 

 精悍に刈り上げた頭髪に、しっかりと手入れのされたちょび髭。赤い騎士服*5を飾る金糸の刺繍は、彼の従者が手ずから施した見事の物だ。

 

「たまには二人で出ても楽しそうだ、と話していたのは嘘だったのかな?

 はっはっは、フラれてしまったな!」

 

 軽快に笑うのは自然に流した髪に甘い顔立ちの青年だ。年も私たちよりも若い。

 同じく赤い騎士服に黒い縁取り。襟元の紋章は彼のエンブレム、それが鋭く周囲をねめつけている。

 

「ぬかせ。御守り無しで出られると思うなよ?

 卿らから目を離せばどこかに飛んでいくか分かったものではないからな。」

 

 そんな彼らに謝罪を込めて苦言する。

 私の言葉、それに一拍の静寂を挟み……皆でふっと破顔する。

 いい。いいな。やっぱりこれ、いいよな!

 気持ちは一つだ。

 ――めっちゃ楽しい!!!!

 

「おしゃべりも良いが、時間は有限だ。

 ――卿ら、準備は出来ているな?」

 

「遅れてきて仕切るか。……まあ、いい。卿の分も済ませてあるさ。」

 

「それは重畳。」

 

「勿体ぶらずに行こうじゃないか、班長。号令を頼むよ。」

 

 同性相手にキラキラ目を輝かせても意味が無いというのに、様になるのは“イケメンは得”という奴だろうか。

 そんな無駄な思考を走らせて緊張…いや、興奮だな、興奮に声が震えない様に気を付けてお決まりの“決め台詞”*6を叫ぶのだ!

 

「よろしい。

 では……――白鴉騎士団 特務第三班! 出陣だっ!!!」

 

「「…ッ! おう!!!」」

 

 現代の騎士の馬たるナイトメアフレーム、その重厚な駿馬に向かって、私たちは駆け出すのであった……ッ!

 

 

 

 さてはて。

 嘗ては『広島』と呼ばれ、これからはそう呼ばれるか怪しくなっているこの地は、他の地域とは違った特徴的な面相を数多く持っている。

 それは都市圏と言えるほどの広大な領地であったり、その領地面積すらを軽々と超える管理された海洋型異界(厳島異界)の存在であったり、はたまた未だに24時間営業して採算の取れているコンビニエンスストアの存在であったり。

 他所のシェルターでは想像もできないような光景が多くみられる中、実はこっそり他所では全く無い“独自の特色”が存在する。

 

 ――人型機動兵器――

 

 小さいもので3mほど、大きなもので5mほどの機体が日々建設機械*7として街を行き、一般人*8の目にもありふれた物として目に留まらなくなっている。

 そして、これがシェルター外となるともっと巨大な人型が兵器として運用され、時たま現れる悪魔の群れを単機で一掃する姿がデビルハンターたちに目撃され畏怖と崇敬の念を与えている。

 ――そんなちょっと変わった特徴があるのだ。

 

 これに「ん?」っと思った人もいるのではないだろうか。

 と言うのも、各地のガイア連合のシェルターでは姿形は違えど人が操縦する『人型』の機械が当然のように運用され、シェルターの防衛の一助を担っている所がある。

 それを黙認して「我らこそが人型機械の雄であるぞ!」と胸を張るのは、皆さんからすれば滑稽を通り越して不快だと思われるかもしれない。

 皆さんがそう感じられるのも当然だと思うが、どうかここはもう少し話を聞いていってもらいたい。

 

 

 そもそも現在の終末後世界において、人間が普段扱っている『人型機械』は大きく分けて三つに分けられる。

 まず一つ目。

 現在、世界に配備されている人型機械の最大多数を占め、しかし『人型機械』に名を上げられる事がまずない存在。

 ――『デモニカ』――

 意外かもしれないが、デモニカは広義においては『人型機械』に分類できる存在であったりする。

 <装着者とマガタマを繋ぎ、装着者の霊格を保護した状態で『シンクロ』する操縦システム>

 <パーツの増設・変更による機能の拡張と、ソフトウェアによる各種行動の最適化による装着者の意図しない動作の実行すら許可する戦闘支援機構*9

 <装着さえしていれば、装着者の肉体が損傷し動かせないはずの状態でも行動できる自立機動性>

 特出すべき特徴はその『人機一体』と言える“シンクロシステム”だろうか。

 このシステムのおかげで、デモニカ装着時の『人』と『デモニカ』は分かたれた存在ではなく、正に一体となって『デモニカ装着者』という一つの存在に生まれ変わる。

 歴史上類を見ない、“世紀”の発明だ。

 

 二つ目。

 このカテゴリは実のところ人型機械ではない物が一番有名なので、そちらを代表として上げたいと思う。

 ――『多脚戦車』――

 機械の体を持った低位式神の一種だ。

 悪魔カードで作ったパーツを中核パーツとして組み上げたり、或いは出来上がった筐体に悪魔合体の応用で悪魔カードを混ぜ込んで作られる式神で、体を動かす時に術式ではなくプログラムを利用する事を生かして“操縦者”の指示を聞くように作られている。

 特徴としては<元となった悪魔の多少下のレベルを安定して発揮できる>

 <元となった悪魔の姿形から離れてしまうと動かなくなる>

 <元となった悪魔の弱点などを引き継いでしまう>などであろうか。

 何処まで行っても『悪魔カードを利用した式神の一種』でしかないので、式神としての縛りが強く残っているのが特徴だ。

 

 そして三つ目。

 ――『純粋物理学的機械』――

 これは特に語ることが無い。

 普通に人型に作られた機械で、技術としては作業用の重機や産業機械の延長線上にあるものだ。

 霊能視点で見ると一般的には前者二つを大きく下回り、素材の持っている資質が優れていたり概念強化をされなければ理論上はオカルト存在には通用しない『純物質』。

 ……とは言え、誰の目にも分かり易く存在していた『人型機械』には様々な“情念”、若しくは“憧憬”とでも言える感情の蓄積があるため、()()()()()()()それ相応の強さを持った装備として利用出来はするのだが。

 

 

 話を戻して、なぜこの地の人型機械が他の支部と違って特徴的であると言えるのか。

 ――それは、他支部で扱っている人型機械は『多脚戦車』の系譜の物しかないからである!*10

 呉支部で研究・開発・製造されてきた機体たちは『一つ目』と『三つ目』のカテゴリの物がほとんどであり、他支部のロボ研が盛んに研究している『二つ目』のカテゴリにはほぼ手を付けていなかったりするのだ*11

 

 分かり易く例を挙げていくと、現在『王国』で扱われている人型の大部分を占めるのは『作業用KMF』なのだが、これは非覚醒者でも利用できる非オカルト建機で『三つ目』のカテゴリに分類されるものだ。

 対悪魔レーダー等は装備していても機体機能での悪魔存在の“観測”は不可能で、()()()()()対悪魔兵器としては使用できない物であったりする。

 ぶっちゃけ登場時は建機としては費用対効果だと旧来の建機に負けていたのだが、旧来の建機よりは悪魔に対して索敵・装甲・速度のおかげで安全で、後述する機体群の為に人型機械の運用環境を整えた事でトントンに収まったので活発に活用されるようになった物である。

 

 それからもう一つ。

 『王国』に配備されている『()()()()人型機動兵器』。

 或いは開発コンセプトを尊重してこう言うべきか――()()()()と。

 現地民の戦闘機パイロットをかき集め結成された『バルキリー部隊*12』。

 戦線構築、陸戦支援を目的とした『デストロイド部隊*13』。

 それら()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そして、それを超える限界点を叩きだす、転生者向けの()()()()()()()*14

 ナイトメアフレーム、モビルスーツ、スーパーロボット等々……。

 ――終末を超え、それでも尚争い続ける世界を想定した()()兵器である。

 

 これらの決戦兵器はその役割を果たすため、やや特殊な操縦システムを以てしてその機能を十全に生かすように設計されている。

 それには装着者の学習が済んだ『マガタマ』や転生者と繋がりの深い『高級式紙』と、最終的な霊格が機体を動かすに足る霊格総量が必須となるのだが……。

 ……まあ、勿体ぶっても仕方がない。

 ――簡潔に言えば、この操縦システムはデモニカスーツを機体に置き換えた一種の『デモニカ』とも言えるシステムを構築しているのだ。

 

 この無駄に繊細で無駄に複雑な操縦システムには様々な利点と欠点が存在するが、それを押してなお採用しているのは『機体に乗っても操縦者本人の強さを発揮できる』ためである。

 悪魔を制御するという式神型の機体では、制御が安定するLV30前後が機体の発揮できる強さの限界となっているが、呉方式の『王国』の機体であれば機体の保つ限界まで性能を発揮できる。

 しかも霊格二つ分を合わせた総量となるので、『存在の“格”』はそこまで上がらなくとも、『存在の“規模”』は倍増するために、一種のボス補正ともいえるだけの各種ステータス増加が見込めるのが特記戦力を相手取るのに適していると言える。

 

 デモニカ装着者だとマガタマも合わせてLV30辺りが限界なので無意味に見えるかもしれないが、()()()()()()()()()()()()()()()デモニカ装着時のレベルで状況への反応・判断が出来るので『戦闘速度』という点では比べ物にならないほど優位性がある*15

 

 あと、デモニカ装着者の場合、非覚醒者であっても多脚戦車と違いデモニカ装着者としてしっかりと“経験値”が入るのが地味に便利であったりする。

*16

 

 

 まあ、そんな無駄知識は兎も角。

 『王国』の機体たちは他所の支部には無い、とても珍しい物なのだ!

 是非とも皆様も『王国』にお立ち寄りの際は、それぞれの機体を眺めて堪能していってもらいたいと思います!

 


Topic

 ちなみに、王国の機動兵器群、そのお値段はとってもお高いモノだったりする。

 と言うのも、多脚戦車が脚を取ってキャタピラに変えたら動かなくなったよう*17に、同じ人型機械の様に見えてもオカルト関与部分の割合が大きく違うからである。

 皮だけロボットっぽくした『ダイダラボッチ』シキオウジも含めて値段を表すと、『ダイダラボッチ<<<多脚戦車<<<<<<<<<呉方式機動兵器』ぐらいにお高くなっている。

 呉方式機動兵器くん、変なオカルト動力炉ではなく、核融合炉とかの『科学式動力炉』を載せている機体ならぶっちゃけ“非覚醒者”でも動かすことは出来るぐらいに『純科学製』且つ『それに合わせた設計』が成されているからである*18

 この辺りは初期型デモニカが霊装を装備できなかった事例からも分かる通り、機体自身の霊的要素が強いとマガタマや高級式紙と干渉しあい不具合が出たりするためである。

 

 ……そんな機体に『フォルマ弾倉』とかを積むのは可笑しく感じられるかもしれない。

 実際、これの開発には不具合が多発している。当然、開発費も嵩んでいる。

 それでもなお、この装備が開発されたのは『弾薬費』が恐ろしく高いからである……ッ!

 何せ砲弾一発百万円、ミサイル一発一億円の世界である*19

 こんなもの幾ら多少稼いでいるからと言って湯水のごとく使用できるものではない!

 そのため、少しでも節約すべく弾薬単価を削ったりメンテナンス性を上げたりと維持費削減の為の涙ぐましい努力がなされているのだ。

 ロボ研所属員たちの愛機の戦闘費用も当然自腹で、彼らは日々労働に汗を流し、コツコツ貯めた金を握りしめて巨大悪魔に立ち向かっているのであった!

 

 ……いや、流石に主人公も戦力低下させたいわけじゃないので、同規格の機体を集めた整備ガレージを建造したり、愛好会*20を立ち上げて機体維持のための共同整備員の仕組みを作ったり、呉支部からの依頼でロボが相手取るに相応しい巨大悪魔相手の依頼を発注したりして程々に支援しているんですけどね。

 仮想敵にLV50以上の魔獣とか現れてしまいましたし。

 

 

 シキオウジの話が出たからついでにしておきますが、うちの機動兵器群の動力に『地脈を全く使っていない』のは、終末後は地脈の流れが大きく変わったり氾濫したりする予測が立っていたので地脈に頼ろうとしていなかったからです。

 支部結界も同じ考えで、半終末突入時にちょこっと描写しましたが緊急時は()()()()()()()()()様に主人公が設計して敷いた結界になっています。

 ショタオジ監修なんで当然ショタオジも理解して許可を出しています。

 ショタオジが自分の敷く支部結界にはそうして無いのは単純にどっちが良いか分からなかったため。純粋な強度自体はしっかり地脈に根差した方が良いですので。


 

*1
 他の録音機器より安く単純で弱小シェルターでも作り易く、しかも終末後の環境でも様々な法則下で使用できるために復権した。

*2
 本人談。

 職場では『貫禄が付いてきた』『ナイスミドル』と結構好評な模様。

 ……本人は知らないので近頃は白髪と加齢臭が気になっているのだが。

*3
 ロボ研仲間と作ったチームの名前です。『王国』とは関係ありません。

*4
 式神の事です。

*5
 パイロットスーツの事。

*6
 設立一年目の白鴉騎士団の“伝統”。

*7
 作業用ナイトメアフレーム(KMF)(出典:コードギアス)

 KMFとはいうが独自改良されまくっているので、転生者にとっても見たことも無い機体ばかりである。

 それでも“KMF”とされているのは使用されている規格がKMFの物のため。

*8
 シェルター内部(都市部)で生活が完結している非覚醒者の事。

 非覚醒者でもシェルター外の調査や悪魔退治に関わる人間は事務員などでも特別職扱い。

*9
 緊急時の回避運動など。

*10
 違う三次創作があれば謝罪させていただきます(汗

 全ての三次創作を読んでいる訳ではないので本当は断言できませんが、誠に申し訳ありませんがこの作品ではこうさせていただきます。

*11
 例外は自衛隊への装備の供与のため。

 自衛隊ではすでに運用されているので、他の地方の自衛隊と装備の統一を維持するために広島に配置されている『陸上自衛隊 第13旅団』へ渡す装備として細々と生産しては譲り渡している。

 呉支部は“旧米軍”にも装備を供与しているのだが、こちらには多脚戦車は渡していなかったりする。

*12
 VF-25(出典:マクロスシリーズ)

 一部部隊にはケーニッヒ・モンスターも配備されている。

*13
 デストロイド・シャイアンⅡ(出典:マクロスシリーズ)

 実は現在開発が後回しにされているノーマルアーマードコア(AC)規格の流用だったりする。

*14
 四大天使や各神話の主神級を相手取るための機体。

*15
 多脚戦車の場合、LV30の悪魔に指示を出している()()の様なもので、操縦者のレベル相応の判断速度しかないので『戦闘速度』としては同レベル悪魔に比べて劣る……と思われます(作者考察)。AI補助とかで誤魔化すんでしょうが。

*16
 これは戦闘参加者の捉え方が、多脚戦車の場合【多脚戦車】と【非覚醒搭乗者】の二つとなるのが、呉方式の場合【機体(マガタマ+搭乗者)】となって一つと扱われるためである。

 多脚戦車は全てが戦車側に流れ込み、成長が制御・制限されているために経験値は燃料にでもされているんじゃないでしょうか?

*17
『⭐︎楽しいデモニカスレ 第11+α』参照

*18
 動かせても強くはない。未覚醒者が撃つオカルト弾なんかよりは強力だが。

*19
 終末前世界調べ。つまり、終末後はさらにお高く……。

*20
 今回出てきた『白鴉騎士団』もこの枠組み。





 今回の話でした説明が、私の作品で人型兵器を操縦する時にしつこく『シンクロ』だの『同調』だのを繰り返していた理由になります。
 うちのロボット、デモニカの系譜と言うか同類と言うか……他人の空似?みたいなものなので。
 いや、設定固めた当時『マガタマ』情報が無かったので、本当になんか似てたとしか言いようがないんですよw
 デモニカと多脚戦車、原作で同じブラックボックスっぽい描写されてるけど、これ絶対別の物だよなぁ、とは疑ってましたけど(目そらし

 他の三次創作者様の設定で『悪魔の細胞を培養して人工筋肉を――』なんて話を見て、まず思ったのは「やっぱり同じこと考えるよなぁ」でした。
 我々オタクでエヴァを知らない人間は少ないでしょうし、同じ発想は皆しますよねw
 ただ、この作品ではその設定を利用しませんでした。
 と言うのも、下手に悪魔を利用すると『人工筋肉を保つ為だけにMAG消費半端ないことになる』という問題をクリアできそうに無かったからです。少なくともレベル相応の維持MAGが常時かかり続けるとか燃費(と言うか維持費)悪いだろうなぁ、と。
 後、変に悪魔パーツを使うとそこから汚染されそうだし、培養も『悪魔を形作る概念』が擦り切れてどんどん性能落ちていきそうだな、と。
 フォルマ化して安定した状態にすることも考えましたが、『フォルマ=元悪魔を占める概念の少なくない量が必要』みたいな説明が穏健派天使からフォルマを採取できないよーって話の時にありましたし、これも難しいと考えました。

 それと『覚醒者修行に使う』って話も不可能だと考えていました。
 今回のお話で出したように『多脚戦車』タイプの兵器は『式神』の一種で、『小ネタ ガイア・アニメーション山梨スタジオ とある部署の日常』にあった『同行者のレベルが高すぎると覚醒修行に適さない』というのに思いっきり引っかかっちゃうと思うので。
 そのため、呉では現地民もチマチマと修行するのがメインとなっております。修行場を主人公が整備してますしね。
 デモニカは『覚醒』の為には使用してなかったりします。純粋に戦力増加の為に使っているので。
 たまにデモニカ使っていて『覚醒』しちゃう人間も出てきますが、その場合はデモニカ取り上げて覚醒者として修行をさせる制度になってたりします。才能限界が来るまでは覚醒者として働かせるのですが、それでLV20以上に成れない様ならまたデモニカを着せたりしますが。
 下手に覚醒すると倍しんどいと不評な制度ですw
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