【カオ転三次】DRUG FATE 作:石は転がる
掲示板で何事も無く退院の報告をなされていて安心しました。
申し訳ないのですが、掲示板ではROM専なのでここでお祝いを申し上げさせてもらいます。
話は変わりまして今回の話についてですが、三次創作を書いていて思ったのですが、
と言うのも、原作で出てくるのは『DDSを使える人間だけ』なので、それ以外の人間についてはどくいも様の掲示板の方でちょろっと話題に出てくるだけだからです。
――なので、作者の考える終末後の生活(妄想)を今回の題材にしました。
舞台は終末から数年後。
日本国内、零細大和神(善良)の運営する小規模シェルターで、近くにガイア連合の支部がない……という設定です。
日本のシェルターなので海外に比べると非覚醒者率はちょっと高めです。
(……ただ単に海外は覚醒者しか生き残れないような地獄とも言う。)
人口的には『千は越えるが万には全然届かない』ぐらい?
小規模シェルターなので本当ならば大ターミナルがない――つまり、一般人はDDSが使用できないはずですが今回は『大和神なので大ターミナルを設置してもらえた』or『実は中小ターミナルでもDDSぐらいならば出来る』という事にしておいてください。
(どくいも様の掲示板、57スレ目1265~で出てきた設定を無視しているので)
それでは一般的…と言うにはちょっと幸運なで裕福なシェルター住民の生活をお楽しみください。
「おい、起きろ。交代だぞぉ゛。」
目が覚めた。
すっきりとした目覚め。目に入る室内は電灯の灯りも無く、起こした男が持っている絞ったライトの明かりだけが唯一の光源の暗い部屋だ。
強く揺さぶられる体の動きと、小声ながらも訛りのある濁った声。終末前から酒が好きだったとかで、酒に喉を焼かれた濁声だ。
「…おはよう。もう、そんな時間ですか。」
「ほら、さっさと退いてぐれ。俺ももう、眠い。」
「ああ、すみまません、今退きます。」
六畳ほどの部屋には四枚布団が敷き占められ、辛うじて枕元にだけ通路がある。もう一人、一緒に組む相手が寝ていたはずの布団には既に違う男が寝息を立てている。どうやら今日は後に起こされたらしい。
布団から起き上がりライトを受け取って部屋を出る。
夜の冷たい空気が寝起きの体を撫ぜ体が我知らず震える。
電源を入れたスマホで時間を見れば、ちゃんと交代時刻の午前二時を指している。
もう少しで田植えの時期なのに、やはり夜は寒い。一番冷え込む時間帯であることを考えても今年の気温が心配になってしまうほどだ。
――こんな事言うと上には笑われるか……。
いや、やっと“農家”らしく成ったって喜ばれるかもなー。
手慰みの思考のまま廊下を出て見張り台へと昇っていく。
村を覆う木柵の四方にある櫓だ。
梯子の昇るのに邪魔なライトは一度切って、紐で首からかける。光に慣れた目には見え辛いが慣れているので特に問題はない。
ひょいひょい上った梯子の先に狭い物見台。そこには防寒の毛布を頭からかぶった先客の姿があった。暗くて見えないが、もし明るければ手入れをしていないボサボサの髪と無精ひげが見えた事だろう。年も近かったおかげかこの地にやって来てから出来た友人だ。
「おまちどー。」
「おう、おはようさん。おまえはそっちな。」
「へいへいっと……――うわ、古い方の毛布じゃん、初番の人、外れ引いたな。」
「喋ってないでちゃんとエネミーソナー起動させて外見ろよー。」
「おまっ、自分はちゃっかり新しい方羽織ってるし!」
「へっへっへ、早い者勝ちだぜ?」
文句言いながらもしっかり毛布を羽織るが、古くなってヘタレた毛布はそよそよと風を通して肌寒い。もう少し厚着をしてくるべきだったと後悔しながらも、明かりが漏れないように毛布の中でスマホを取り出しチェック。
――反応はなしっと。
後はこのまま夜明けまで適時エネミーソナーと夜陰を交互に見ていれば良いだけだ。
そう、私が夜中に起きてこんなところに上っている理由。
これは【見張り】の仕事なのだ。
ここでは夜の見張りなので【夜番】と呼ばれている。
日の入りから日の出まで、大体三時間交代の三交代制。東西南北それぞれの櫓に上って明かりもつけずに目を凝らさなければならない。
明かりを点けないのは獣と違って悪魔は明りに平然と寄ってくるどころか、そこに人間が居ると知ってむしろ積極的に寄ってくるからだ。そのため、実際のところはスマホに入った『エネミーソナー』だけが頼りと言える。
なので【見張り】の仕事もスマホやパソコンなど『エネミーソナー』を使える筐体を
そうして三時間、眠気に負けないように適時相方と談話しながら見張りを続け――
――
終末後の朝は早い。
だいたい日の出の前、払暁の頃には皆起き出してくる。
物見櫓から村の方を見ていると、朝の行動というものは終末後の今の世界でも変わらない事が見て取れる。
朝、顔を洗うのに蛇口をひねっていたところが、今は井戸で水を汲むようになっただけだ。井戸には次々と人が集まって、バケツや木桶に水を移しては何度も何度も往復して家に持ち帰っている。
彼らが帰る家の一部からは煙が立ち上っているが、あれは煮炊きの為の火おこしの煙だ。その証に煙は終末後の新築の特徴である煙突を通り、家の外へと吐き出されている。
昔は全員が寄り集まって調理も食事していたが、ここ数年でやっと所帯持ちなら各家庭で料理が出来るようになったのだ。
今でも大多数は“食堂”と呼んでいる元公民館でご飯を食べている。ここは割と早い時期にプロパンガスを導入していたので煙が出ていない。
――つまり、煙が立ち上っているのは『所帯持ち』且つ『貴方の為に料理しちゃうの♡』なラブラブ家庭……っ!
『慣れない薪を使ってでも手料理を食べて欲しいわ♪』なんて胸焼けする程妬ましい新婚夫婦の巣なのだ…!!!
新婚には優先的に新居が提供されていたために、村の外周にあるのはそんな奴らの家ばかり。そのため、煮炊きの煙が特に多いのもこの辺りだったりする。
「……最近独り身にはつらい光景だよなぁ。」
「ホントにな。だからって俺らがモテたりもしないんだが。」
「ははは、本当にな。」
独り言に応じられてちょっとドッキリしながらお互いにHAHAHAと高笑いをし……そして肩を落とす。
終末後に結婚して所帯を持った人間は、その大体が『お見合い』によって成立したカップルで――そして、その『お見合い』が組まれるのは
非覚醒者の俺たち――一応、見張りに選ばれるだけあって半覚醒ぐらいはしているらしい――には関係のない話だった。
勿論、非覚醒者同士の夫婦も生まれているし、その場合でも新居は優先的に回されているので差別されているわけではない。
ただ単に、俺たちは『お見合い』を組まれるほど重視もされていないし、そんな立場なのでモテもしないというだけであった。
「あーーー、早く昼番組来ないかなぁ。良い匂いしてきて腹も減ってきた。」
「すきっ腹に堪えるよな。……この匂い、魚か? 良いもん食ってるなぁ。」
「んー、こりゃ、川魚だな。川で釣れたんだろ。」
「あっ、そうなんだ。それなら今日の朝飯、期待できそうだな。」
「俺は暖かい味噌汁なんかが欲しいな。
ご飯・魚・味噌汁・おひたし! ……最高じゃないか?」
「あー、いいねぇーー。」
ぐだぐだどうでも良い話をしながら交代まで時間を潰す。
暫くして交代の人員が来たら夜番の仕事は終了だ。
夜番明けは食堂の順番が最初になる。
そのため、交代が来たら見張り台から降りて、そのまま相方と一緒に村の中央方向に位置する食堂に向かう。
櫓のある村の外側から食堂のある村の中央へ向かっていると、その流れとは逆、村の中から外に向かって行く集団が何組もいる。
お互い何時もの事なので軽く朝の挨拶を交わして通り過ぎるが、通り過ぎる集団は必ず剣呑な格好の人間が率いているのが物々しい。
――【朝の見回り】だ。
見回りの班長は必ず覚醒者だが、その装備はまちまちだ。
ラフな格好に武器を担いでいるだけに見える者から、どことなく安っぽい時代錯誤は鎧兜姿の者。古典SFの宇宙服的なジャンプスーツの者も居れば、なんとデモニカ装着者も居る。
武器も銃や剣など分りやすい者も居れば、何故か大層真面目な顔をして「ドッキリ!」と書かれた看板を担いでいる者も居た。
彼ら覚醒者の他に非覚醒者が十数名ずつ、朝の内に田畑で作業するために一緒になって付いていくのが【朝の見回り】だ。
彼らが朝から回るのは夜の内に紛れ込んだ低位悪魔*1を発見するためである。
と言うのも、村神様*2の神域となっている事でこの村には高位の悪魔は近寄ってこないし近づけば分かるそうなのだが、逆に低位悪魔を排除しきれず探知も出来ないそうだ。そのため私が先程までしていたように夜番を立てるし、村人が本格的に活動する前に田畑の安全確認が必要なのだ。
そう言う訳で文字通りの意味で“朝飯前”から仕事の彼らを見送りつつ、私は一足先に朝飯を頂くのであった。
朝食を食べ終わるとすぐに次の客が来るためにさっさと追い出されて、多少ゆっくりした後は次の仕事に取り掛かる事になる。
【田畑の手入れ】だ。
一応、エネミーソナーを使えるスマホを持っている私はこの仕事では班長になる。そのため他の班員がやって来るまでに他の班長との打ち合わせたり、その日の作業に合わせて神社の道具番から農具の受け取ったりと中々忙しい。
最初か次の順番で食事をとり終えた班長達と色々と話し合った結果、私が今日担当する作業が決定する*3。
今日の作業は連日していた田起こしと代掻きではなく、休耕地の再生作業――つまり、【開墾】だ。
話しの時系列が遡るが、この村は終末が来るまでもなく、言葉は悪いが“順当に滅びに向かっていた”らしい。
それは悪魔による被害などのせいではない。
……過疎化によってだ。
少子高齢化と若者の移住によって後継ぎがだんだんと減っていき、耕せなくなる田畑は休耕地としてどんどん増えていっていた。どんなに遅くとも半世紀後にはこの村は消えるのではないか――そんなことを言葉に出さずとも村の人達は思っていたらしい。
そんな折に、“村神様”と呼ばれる土地神が降臨されたのだ*4。
村神様の降臨を境にこの村には人が戻ってくるようになり、再び村としての機能を取り戻していくようになったのだ。
……とは言え、村神様が自分から何かをした命じた訳ではないらしい。
降臨とその時にされた“神託”*5、それを受けた住人たちが別の土地に流れた家族・親族を呼び戻し、信じる信じないなどの紆余曲折あったが最終的にガイア連合の助けも借りて*6村の復興に力を合わせると村民たちだけで決めたらしい。
村神様がしていたのは乞われた相手に加護を与える事とガイア連合に繋ぎを取る事。後の事は今も私たちの生活を日々見守ってくださっている様に、常々村人たちの自立心を尊重してくださって手出しを控えられていたのだ*7。
そう言う訳で村は必要な準備を整えていっていたのだが、ここで予定外が発生する。
……そう、
終末に至る七日間の間に発生した東京からの避難民は数百万人にも上る。家族や親類など避難先が思い当たる者はそこに運ばれていったらしいが、私の様な東京生まれの東京育ちなんかは避難先が存在しない。
そのため、東京近郊に分散して配置されることになり――その配置先の一つとしてこの村が存在したのだ。
……大分話がずれてしまったが話を【開墾】に戻すと、それまで村人で手入れできる田畑の広さまで再び農地を蘇らせていたのだが、急に来た避難民のせいで(おかげ?)農地が足りなくなった。
そのため、村では終末に入ってからも嘗て農地であった田畑を再び田畑にすべく作業しているのだ。
最初は小型の油圧ショベルでやっていたのだが、必要最小限の開墾を終えた今では人の手でやる事になっている*8。
これが中々見ているだけでも大変そうで、藪になったのを切り開いたり残った根を掘り起こしたりの重労働。しかも大抵斜面の石垣自体が崩れていてそれを直す作業も追加される。
田んぼの準備をするために一時期開墾を中止していたのだが、一段落したから再び開墾にも人員を回す事になった。
それに、初めて私の班も参加することになったのだ。
それに私は――嬉しさを隠し切れない。
班員だって教えれば喜んでくれると思う。
なにせ、来た当初から難民組は
正直な所、今にしてみれば私たち“難民”は役立たずの厄介者だったと思う。なので『よそ者を受け入れるための通過儀礼』として重労働に放り込んで使い潰されたとしても文句を言える立場ではなかった。
それなのに重労働に放り込むどころかむしろ楽な仕事を探し、私たちが農業に慣れて“一緒の村人仲間”に成れるように心を砕いてくれていた。
それがやっと“一緒にきつい仕事をする仲間”として認めてくれたのだ。
そのあたりが分かる奴は文句なんてないし……そこで文句を言う奴はそれこそ
ルンルン気分で道具の準備をする私に、神社の道具番も温かい目で道具を渡してくれる。
渡された鎌や鍬、シャベルといった道具はどれもが丁寧に手入れされている。一応確認のために見た鎌も、ヌラリと光を返す油で磨かれた刃先に欠けは存在しない。
村の鍛冶場で補修した状態の良い道具を優先して回してくれたらしい。
本当ならば全ての道具を補修したいが
「最悪、勿体ないが再利用ではなくちゃんと購入しないとな」なんて愚痴っていた相手に『大変だなぁ』なんて思いながら相槌を打っていたのだ。
この鎌も、そんな愚痴を言っていた彼が手入れしてくれてたものだろうか。
鋭くよく切れそうな刃先に乱れはない。本当によく研がれている。真面目な仕事だ。
道具の確認をしていると、次々と朝食を終えた班員たちがやって来る。
各班の班員は約二十名。私の班の場合、皆東京から避難してきた者たちだ。
ウキウキしている私に気が付いているのか、何処となく怪訝な表情でこちらを見てくる。
――さて、何時までその表情をしていられることやら。
内心のにやつきを隠し、いつも通りに今日の仕事を説明し――そして、仕事の発表に喜色を含んだどよめきが広がるのであった。
私たちの一日の大半は農作業の時間である。
午前から始まった作業は昼を過ぎ、日が傾くまで適時休憩を取りながら進められることになる。
【開墾】作業は特に重労働なので、休憩は多めだし特別に飴や塩の配給があったので思ったよりも“しんどく”はなかった。
それでも最初は威勢が良かった私たちも、一日作業をしていると疲れでくたくたになるし、体のどこを見ても土汚れに塗れていた。
日が暮れ始めた頃にはふらふらだ。
張り切り過ぎて棒のようになった足を引きずり村に戻っていると、同じように村に戻る人影が見える。
それは私たちと同じ農作業をしていたグループは勿論だが、それよりももっと少数、片手で数えられる程度の数のグループもある。
退魔師たちのグループだ*9。
朝の見回り後、彼らは更に遠出をして村の周囲を見回りに行っていたのだ。
相も変わらず装備はバラバラで、その手にぶら下げられている今日の収穫物もバラバラだ。
それは仕留めた動物であったり籠一杯の草*10だったり。
良い獲物に恵まれなかった退魔師は、何時もの様に適当に山から切ってきた丸太を一人一本引きずっている。道を一緒になった村人同士でそれを茶化すのも何時もの光景だった。
何時もなら私もそれに混じるのだが、流石に今日はその余裕がない。
班員たちもくたびれた様子で村に戻り、宿舎の部屋に帰った瞬間に誰もがへたり込んだ。
班員と共同の四人部屋で、うばぁぁーーっと意味のない言葉を吐き出すゾンビ集団。そんな私たちに部屋の外からお呼びがかかる。
無言のアイコンタクト。
お互いにお前が出ろよっ、と押し付け合い。
……班長として矢面に立たざるを得ない、かぁ……と重い身体を起こして扉を開けると、こちらの顔を見て得心がいっている女性の姿。女性と言っても、まあ、そこそこ年のいった御方なのだが。
「やっぱりあんたら、部屋に居たんだね。さっさと風呂入ってきな!」
ほらっと叩かれる方から衝撃が走り全身に痛みが広がる。
筋肉痛がすぐに来るのは若いおかげと言っていいのだろうか。まだまだ自分は若い、と若さにかまけて無理したからこんな傷みなのかもしれないが。
言葉よりも痛みに気を取られた頭が、間をおいて言葉を理解する。
――そう言えば、今日は風呂の日だったか。
週に二三度の割合でこの村では風呂が入れる。風呂自体は毎日焚いているのだが、全員入るには狭いので順番交代で入っているのだ。
【開拓】に限らず汗も汚れも酷い事になるのが分かっている作業は、大体風呂の日の班が担当するのだがすっかり忘れていた。
普段なら仕事終わりにさっぱりするのに、今日は私の班員が誰も来ていなかったから態々呼びに来てくれたらしい。
感謝の言葉を返し、ゾンビと化した班員たちを叩き起こして風呂に引き連れていく。
風呂は元々公民館に備え付けられたちょっと大きい程度の物だ。想定としては災害時の避難生活で使うものだったらしい。
すし詰めで良いのならば十人ちょいは入れる大きさで、そこに時間区切りで交代で入る様になっている。
公民館の前には風呂に入るための順番待ちの集団と、一足先に入ってさっぱりした集団の二つが場所を分けて存在している。
二つの違いは身綺麗さもあるが、それ以上に風呂上がりの集団の中には夕飯前だというのにビール片手に宴会モードの人間が居るのが分かり易い。きっと先に風呂を浴びた退魔師たちの私物だろうが、ご相伴に与った村人たちも普通に参加しているせいで誰の持ち物かよくわからない。
まあ、どうせ持ち込んだ人間も皆で呑むつもりだったのだろうから、誰の持ち込みだとか考えるのは無粋なのだろう。
班員たちと「俺たちが上がって来るまで残ってるかなぁ」なんて涎を垂らして待っていると私たちの順番が回ってくる。
一度に入れる数から分かれて入る事になるのだが、次の順番の班員に「それじゃ、お先に」と言葉を交わすと、班員からは「どーぞどーぞ」なんて暖かい言葉が返ってきて首を捻る。
何時もはもうちょっと自分が先に入りたいなぁ、なんて感情が出てくるのだが……?
首を捻りながらも待ち順を示す木札を裏返し、脱衣所に行き――班員の態度の理由が分かった。
脱衣所に特に変わったところはない。普段通り綺麗に掃除され、しかし前の利用者によって籠の並びなんかはちょっと乱れている。
そこでは既に同じ順番の利用者が服に手を掛けていたのだが……その身から臭う悪臭。汚れは無いのに臭いだけはしっかりこびり付いた臭いは糞尿の物だ。
――ああっ、糞っ。あいつら知っていたな!
思わず外れを引いたぜ、なんて思ってしまうが顔には出さない。他の利用者もそうだ。
むしろそっちも大変だな、なんて同情しながら今着ている服を洗濯袋に入れて委託箱に放り込んでから*11、さっさと体を洗いに行く。
彼は今日、【肥溜め処理】に当たってしまった覚醒者……というか、見習い退魔師なのだろう。
【肥溜め処理】は覚醒したばかりで本人も契約悪魔も弱い退魔師が請け負う業務である。
と言うのも、糞尿処理は必要だし重要だが、重労働だし何より不衛生的な作業である。そのため、下手に非覚醒者が担当して病気の元となっても困るので、この村では
こう言うと非覚醒者が退魔師に押し付けた仕事のように思えるが、実際は退魔師の方から申し出た作業分担であったりする。
言葉は悪いが“特権階級”になっても可笑しくない退魔師が、なんでこんな3Kに属する仕事を態々請け負うのか。
それは――この仕事が“見習い”退魔師の修行に丁度良かったためである。
どういう事かと言うと、まずは『悪魔召喚プログラムにおける契約』を知らないといけないだろうか。
ガイア連合が配布する*12悪魔召喚プログラムによる悪魔との契約は、通常時だと『護衛』や『悪魔合体許可』、『他者への譲渡』を制約として結ばれることになっている。
つまりどういう事かと言うと……この制約以外の行為をさせるには別途『交渉』が必要になってくるという事だ。
ここまでで勘の良い人は分かるかもしれないが、それがどう関係するのかを説明しよう。
まず前提だが、【肥溜め処理】は悪魔にとっても嫌な作業である。悪魔だからと言って普通は好き好んで糞尿と戯れたいわけではない。
なので……召喚者に命じられても、悪魔は当然『拒否』をする。
それを召喚者が如何にか宥めすかして作業をするように『交渉』しなくてはいけない。――それがこの仕事が見習いにちょうど良い修行だとみなされている点であった。
ちなみに【肥溜め処理】の報奨は、その危険度に反してかなり高く設定されていたりするらしい。
それも考えられての事で、その報奨をどう使うかも修行の一つだからだ。
報奨を使い切って仕事をさせるも良し、巧く『交渉』して差額をたんまり懐に収めるのも良し。『交渉』が上手くいかずに悪魔が働いてくれなくとも、最悪覚醒者である見習退魔師たちなら頑張れば彼ら一人で仕事を終わらせることができる。
色々な意味で丁度良い仕事・修行なのであった。
……と言うのは上の人間の考え。
実際に仕事をする見習いたちからすれば文字通り“糞”のような仕事だ。
なにせ上手く悪魔を働かせられても、悪魔からそこまで離れられないので汚れなくても自分にも臭いが付く。どうしたってその日一日は皆に避けられ気味になるので、彼らからしたら出来ればしたくない仕事であった。
――まあ、それがモチベーションになってレベル上げ頑張るって話も聞くけどなぁ……。
友達の退魔師が悪い顔をして笑っていたのを思い出す。
横目で洗い場を見れば、臭いを落とそうと必死になって体を擦っている少年が見える。ここだけ見れば悪い大人が幼気な少年に嫌な仕事を押し付けている風にしか見えなかったであろう。
――……まあ、我々も悪い大人なんで目を逸らすんですけどねっ!
湯船に浸かっておっさん同士で今日の事を話し合っているふりして、それとなく少年から顔を背ける。湯船に浸かる同士も同じ気持ちなのかわざとらしいぐらいに話が盛り上がっていく。
――すまない、少年。仕方がないってやつなんだ…!
ちょっと寂しそうに離れて湯につかる少年をよそに、後で友達に酒を集りに行こう、なんて思いながら私はゆっくり肩まで湯につかるのであった。
風呂を上がり夕食を取った頃には陽が落ちる。
この時間になって、やっと我々村人は自由な時間が取れるのだ。
ある者は公民館で無料配信のアニメをスクリーンで皆と鑑賞し、ある者は共有のパソコンでゲームを楽しむ。図書室的な部屋で本を読む者も居れば、ボードゲームに熱中する者も居る。
今日は良く晴れていたのでバッテリーの充電が満タンである*13。そのため、今日は消灯までは二時間程度自由時間が取れるので皆嬉しそうだ。
私はそんな皆から離れて友達の部屋にお邪魔していた。
今日伺ったのは退魔師をしている友達の部屋だ。
前に住んでいたのがちょうど私の家の近くだったらしく、近所の店だの通っていた学校だのの話題で仲良くなった相手だ。
退魔師らしく部屋にはよく分からない道具が転がっている……なんて事はなく、部屋に転がっているのは空き缶やおつまみの包装ばかり。流石に仕事道具はきっちりしまっているが、それ以外はズボラなよくある男部屋だ。
「よっ、お邪魔するぜ。」
「おう、ちょっと待ってな。
――おらっ、この木っ端天狗! 約束通りとっておきのおビール様だ! ありがたく呑めよ此畜生!」
「いやぁ~、悪いねぇ~~。
…………うぅーーんんん♪ この咽喉越し、この香り、この味! 流石はガイア連合産!! うっっっめぇぇぇぇええええ!!!」
「ちきしょう……あそこで化け猪に出会わなければそれは俺のだったのに……。あー勿体ね。」
「勿体ないとは失礼だな! 態々本霊から力を引き出して命を助けてあげた礼としてはこのぐらい安いだろうに!」
「あー、はいはい。お二人さん、痴話喧嘩は後にしてくれ。今は部外者の俺がいるんだから。」
「お、悪いな。待たせた待たせた。」
友達が仲魔の天狗にビールを献上しているのを眺めていても良いのだが、放っておいたら延々と続くので今日は早々に止める。
それに応えて友達も置くから一升瓶と野菜の漬物を持ってくる。どちらもビールとは違い村で作られたものだ。
話しを止められた天狗は、痴話喧嘩とは何だい、とぶつくさ言っていたが、再び缶を傾けたらコロッと機嫌が直っている。よっぽど旨いビールなんだろう。……俺も飲みたいなぁ。
「そんなもの欲しそうな顔をしてもあげないよぉーっだ!」
んべーっと舌を出してからつまみを口に放り込む悪魔の姿に肩を落とす。機嫌が良いと分けてくれたりするのだが、今日はダメらしい。
それを見た友達が、お前ら何でか仲いいよなぁ、なんて言いながら私に酒を注いでくれる。
白くとろみのある液体。ちょっと酸っぱい匂いがする村製どぶろくだ。
「おおっ、良いねぇ……あっ、呑む前に充電器貸してくれ。充電忘れたら死ぬ。」
「好きに使っていいっていつも言ってるだろ?」
「まあ、そこはケジメ?的な。」
懐からがっちり木製ケースで保護されたスマホを取り出し、慎重に充電端子にケーブルを差し込む。見れば充電が40%を切っている。夜中から使っていたとはいえ、充電が切れるのが早くなっていてヒヤヒヤする。
「スマホの調子はどうだ?」
「んー、ちょっとバッテリーがへたって来てるっぽい。けど動作は快調なんでまだまだ持ちそう。」
「壊れる前に早く言えよー。前はちょうど買い替えと重なったからスムーズにやれたけど、次は周りに話し通しておかないといけないしな。」
「その節は大変お世話になりました。」
へへぇーっと平伏するふりをするが、あの時は冗談抜きで本当に困ったものだ。
今現在使っているスマホ。
これ、実は終末後二代目のスマホだったりする。
どういう事かと言うと、終末前から使っていたスマホはもう壊れてしまったからだ。と言うか、村人たちの半分ぐらいはもうスマホを持っていない。彼らのスマホも壊れてしまったからだ。
別に特別な災害があったとかではない。どのスマホも“経年劣化”、つまり寿命が来ただけだ。
これが終末前なら個人で好きに新しいの買ってね、となるだけだが、今となってはそうはいかない。
スマホが無いとエネミーソナーなんかが使えなくなって安全確保が困難になるからだ。
そのため、当時は私を班長から降ろすか、どうにかスマホを融通してもらうかで一悶着起きかねなかった。記念すべき(?)初事例という事もあって対応が決まっていなかったからだ。
――あの時のギスギス具合は思い出したくないなぁ……。
スマホを取り上げられるんじゃないかと言う疑心暗鬼。班長と言う言葉の響きに惹かれて私を蹴り落そうとする人。
そして何より、スマホは何時か壊れるもので、そうして壊れたスマホの替えを買うにはガイア連合のショップの値段設定が余りに高すぎるという事に今更気が付いた退魔師たちの蒼白顔。
結局は当時はまだ友達ではなかった彼のお古を頂くことになり、それが縁で友達になったのだが……。
私の様な結界内の安全圏に居る人間でもそうなるが、友達のような退魔師にとっては洒落にならない死活問題であったりする。
悪魔召喚プログラムがインストールされた端末の事を『COMP』と呼ぶのだが、そのCOMPはオカルト兵器である。そのために退魔師たちは無意識に勘違いしていたのだが……。
その事実を誰もが認識していなかったのだ。
当たり前と言えば当たり前の事なのだが、下手に悪魔を呼べたり電池を充電しなくても使えたり*15したためにスコーンっと頭から抜け落ちていた考えだったらしい。
しかも、COMPが壊れてデータの移行が出来ていなかった時、退魔師たちが新しいCOMPを手に入れても今まで使役していた悪魔を召喚出来ないと知れた時は、退魔師たちは狂乱したものであった*16。
慌てて村で積み立てていた予備費を崩してでも古いスマホからガイア連合製高耐久スマホに交換していったのだが、交換した直ぐ後に故障したスマホが多数出たのでこれは正解だったのだろう。
もしも引継ぎも出来ずに壊れていたら村の戦力が半壊していたところだったのだから。
そんなこんなで譲ってもらったスマホだが、このスマホも大分ガタが来始めている。
次が必要となる時は、また誰か退魔師のスマホを交換してのお古となるのだろう。その時のために先に労を取ってくれるなんて、また頭の上がらない事だ。
「――それで、今日はどうしたよ? お前の方から来るなんて珍しいが。」
「そっかぁ? 珍しいかなぁ? んー、いいや。
――それより、なあ、聞いてくれよ。俺さ、今日初めて【開拓】に回ったんだ!」
「……え、何? …お前、きつい仕事が嬉しいってマゾだったっけ?」
「違うし。そんなわけないだろ!」
気の張らないくだらないやり取り。
ぐだぐだな空気のままお互いに今日の事を話しつつ、スマホで何時も巡回している提示板を流し見していく。
「そんなことしてっからバッテリーがいかれるんじゃないかなー。」
「うっせぇ、寝る前に見るのが一日の愉しみなんだ!」
酔いが回ってきて乱暴になってる自分の口調に、まだ冷静な部分が「そこまでにしておけ」とか言っているが無視。質の悪い酔っ払いになりながらも探し人スレを回るが特に情報はなさそうだ。
「お前、まだ探してんのな。よっぽど美人だったんだな、その子。」
「おいおい、そんなんじゃねーよ。ちょっと気になってるだけだよ。」
「いちおー、こっちも探ってはみてるが情報ないんだよなぁ……。」
「おお、すまん、悪いな。――しっかし、デビハンの掲示板にも情報でないのかぁ。」
軽く見て情報が無さそうなのでスマホの画面を消し、改めて友達に向き直る。
今話題にしているのは東京から避難をする時、たまたま前になった人のことだ。
避難時、行き先がある人間とは別に、当ての無かった私の様な人間は自衛隊――いや、今にして思えばガイア連合だと思うのだが――が各地の避難地に住民を割り当てていっていた。
その時はただ自治体側の受け入れ人数の問題でバラバラに避難させていたのかと思っていたが、終末を迎えてようやっとその振り分けは“シェルター側が希望していた人数”だったのが分かったのだ。
そう、私たち避難民が受け入れられたのは自治体などではなく、各地のシェルターであった。
そこは『メシア教』であったり、ここのように『大和神』であったりが支配者として君臨する場所で――彼女が送られたのは『多神連合』と言うのに属する神だ、と言うところまでは分かっている。
分かっているのだが……それ以上が全く分からないのだ。
多神連合の所属と言うのも私たちが調べた結果、判明した事実ではない。
彼女からのメールにそう書いてあっただけだ。
避難地に割り当てられるまでの二日間、そこそこ会話をして、そこそこ不安を共有し、そこそこ仲良くなった彼女とはメールアドレスを交換していた。
そのメールを通じて最初の頃は愚痴であったりオカルトの衝撃を共有しあったりしていたのだが……ある時からぷっつりと連絡が途絶えた。
それからだ。
私が情報を集め出したのは。
「こうも何も出てこないと、ちょいと厳しいんじゃないかなーって俺は思うんだけど?」
「ああ、そうだな。そっちはもう探さないでいいよ。」
「そう言うってことはお前はまだ探すっと……。」
「んー、まあ、な? ちょっと掲示板見るぐらいだし、な。」
デビハン用の掲示板でも情報が無いのならば意味がないかもしれないな、とは思う。
私の様な非覚醒者の場合、DDSネットに接続するためにはシェルターにターミナルが設置されていることが必須だが、退魔師たちの様な覚醒者にはその制限がない。
彼女の様に。
そのため、ターミナルが無いようなシェルターの事でもデビハン用の掲示板ならば情報が出て来る事があるそうなのだが、私が見れるような場所はターミナルがあるシェルター内部の事ばかりで彼女の行方を探すには不向きであった。
「お前も結構しつこい男だねぇ。探し始めて一年ぐらい経つのに。」
「……どうも気になってね。」
「別にいいけどよ…。
――同じ覚醒者として言うが、まあ、そんだけ長い時間音沙汰なしってことは、まあなんだ……“そう言う”ことなんだと思うぞ?」
「分かってるって。大丈夫、覚悟はしているよ。」
「ならいいんだけどよぉ。あーあ、そんなにいい女なら写真ぐらい撮っておけば良かったのに。写真があったら見せて貰えたのにな!」
「だからそんなんじゃないって言ってるだろ!」
一緒に探してくれる人のいい友人だが、ニヤニヤ揶揄うのは性格が悪いと思う。
不貞腐れて、つまみの漬物を手が汚れるのも構わず摘み、ぐい呑みの酒を一気に……は勿体ないので、ちびちびと呑む。
それに。
本当に。本当に、そう言うのじゃないのだ。
何の縁も所縁もない女性だったが、それでもあの時の彼女は“私と同じ”だった。
私と同じ“ただの一般人”だった。
急な出来事に怯え、状況に流されるまま翻弄された、“もう一人の私”。
だからだろうか。どうしても気になってしまうのは。
――それは、もしかしたら私が辿るかもしれなかった道行きなのだから。
「ええぇーい、明日は休みだ、とことん呑んでやる!」
「かぁぁーっ、しょうがねーなぁーー付き合ってやるか!
天狗ぅー、つまみの追加! あと、とっておきも持って来い!」
思いに蓋を。
どうにもならない不安より、“村人”の一員と認められた喜びを友達と祝うべきだろう。……その饗宴が集ったものだというのには眼を瞑って。
「……ま、いいさ。主も楽しそうだしな。」
そんな悪魔の言葉は耳に入らず。
私と友達は散々に飲み交わし――次の日、私一人が二日酔いに悩まされるのであった。
一応名の通った高位大和神の分霊であるのだが、村の規模相応に弱体化しているので“村神”とだけ呼ばせている。
土地に強く根付いていたために覚醒していなくても感じ取れた。住民の多くが本当の意味で“土地と共に生きていた”おかげである。
……尚、“村神”としては長らく信仰された義理で「頑張れ~見守る事ぐらいはしてやるぞ~」位の軽い気持ちで終末について教えただけで、霊能組織も元々無いような寒村には期待もしていなかった。
使用頻度にもよるがショベルの寿命は五年ほどで寿命が来ているのだが、このシェルターでは負担なしに買い替える事が出来るほどの余裕がない。
この村では村神が『退魔師』と呼んでいるのでそう呼ばれるようになった。
もし不壊属性あったら防具とかにしてそう。こう「ノートパソコンシールドっ!」とか。
契約悪魔が召喚出来ないのはおそらく原作設定。カオテンだと契約の形が【悪魔】―【COMP】―【召喚者】という形になっているので。(『43スレ目3741参照』)
つまり、悪魔とプログラムが契約し、プログラムと召喚者が契約をするという二重構造。
なので途中のCOMPが壊れて無くなると【悪魔】と【召喚者】の紐づけがなくなる。
ちなみに同スレの2426を見るに契約が【悪魔】―【COMP】のため、召喚者が非覚醒者でも召喚して命令とかは出来る。MAGは別途必要だが。
これは【多脚戦車】と【操縦者】の関係と同じである。
今回のようなガッチガチの説明回は、原作カオテンの『程よい軽さ』が好きで三次創作を読まれている方には不評じゃないかと書いてて不安になります(汗
好きで三次創作書いてますが、どうしても作風までは似せれないんですよねぇ(;‘‘)
でも、説明しないと作者の想像している世界観を共有出来ないし…となってます。
原作で書かれるのは『ガイア連合と関わりのある部分だけ』みたいな所があるので、世界全体では極めて例外且つ上澄み部分だと思うんですよね。
大多数の『平均』はもっと低い所にあると思ってます。
読者の皆さんはどのように考えていますか?
割とそのあたりの平均が人ごとに違うと思うので、意見があればドシドシご感想を!
以下、作者の妄想・生活レベル編。
ガイア連合黒札所属支部
ガイア連合にとって重要な支部(非黒札支部長支部も含む)
終末前の生活を平気で送れる。と言うか、内部ですべてが完結している。
ただし、身の回りにある道具などは、見た目と機能が同じでも材料が全く別の物だったりする場合も。フォルマとかで代用しているので。
良くも悪くもシェルター内部で完結しているため、他のシェルターなどへの関心が薄い。そのためか物資の生産も「自分たちの分を作る。余剰が出たら売る。」みたいな感じ。
ぶっちゃけ市場への安定的な供給とか考えて無いので、転生者たち個人個人がその時その時で製造するような形態。周りに欲している人があれば渡すが、それ以上は生産しないので外部に流れる事は稀になる。
使っている材料からして『欲しいから作る』で値段度外視だったりするので、外部の人間が買えるかと言えば微妙なのだが。
ここの層から外部に流れる物品は『ガイア連合が転生者に発注している物品』か『個人でしている支援の為に集めた物品』が主になる。
……と、ここまで書いていてなんだが、ここって『黒札関係の一般人』もいるので、もしかしたら黒札が勤めていた工場とか職場ごと避難している可能性がある(資本家・実業家俺たちの所有している会社とか)。
そう考えると、彼らの仕事も必要で……下手するとシェルター内市場の奪い合いで蟲毒じみた経済戦争が勃発しているかもしれない。特に安全だと思われていた山梨支部なんかは。
(資源の供給が限られる・輸出するには輸送料の高いターミナルが主になるので購買層が少ない・ガイア連合から食料の配給があるとすると人件費が安くなる)
統制経済をしっかりするとそれはそれで資本家・実業家俺たちの権益をガンガンに冒すことになるし……。
呉支部? うちは半分ぐらいの企業は資本的に⑨ニキの紐が付いてるし(直接じゃなく麾下組織の紐付きの場合もある)……。『国王命令』って強権も使えるし……。
――うん! きっと他支部も上手く回せているのでしょう!(目そらし
――――――【黒札の壁】――――――
黒札個人の支援シェルター(積極的な支援者がいる所)
ガイア連合外の大ターミナル配置シェルター(大和神・メシア・多神の上澄み)
終末前と比べて『あれが足りない、これが足りない』とせわしないが、それは生活水準の基準が終末前だからで頑張って稼いだら色々な設備なども整えられる層。
読者が漠然とイメージする『発展途上国』的な感じか?
転生者の関与していない物資の最大生産元。一生懸命に作って生活を豊かにしようと努力している。
――――――【ガイア連合の壁(大ターミナルの壁とも)】――――――
地元民だけで作ったシェルター
地元民で個人ないしは少人数勢
一番人数的には多い層。
作者的には世界人口の八割方はここに属しているのではないかと勝手に考えている。
物資の欠乏のみならず、生きていくための食料自体が大シェルターからの輸送やアームターミナルに依存しているシェルター層。
中小ターミナルはあるかもしれないが、通信費・輸送費(MAGや電力)が厳しいのでほぼ使用できない。
覚醒者のアームターミナルが命綱の層で、生活水準が『中世・近世』ぐらいに落ち込んでいる。
それでも餓死者が出ていないのはガイア連合からの配給のおかげ。
娯楽に割ける余裕も無いので、人口がバンバン増え始めているのもここが一番多いかも……。
(覚醒していないとDDSを使った通信が使えないので、一般人はアニメ等や提示板の使用が出来ない。そもそもまだ動かせるスマホやパソコン自体持っているか……。)
――――――【DDSネットの壁】――――――
一応ガイア連合からの支援レベル的にこの層になるのだが、実際は大ターミナル設置メシア教シェルターから非ターミナル設置シェルターあたりの生活水準を維持している。
ここの強みは何より技術。
終末前の技術水準からは落ちるが、それでもなお特化した生体技術を保有していたりするので危険度は高い。
野良悪魔の庇護下勢力
別名:モヒカン製造所。
悪魔召喚プログラムの利用制限に引っかかるのでそもそも悪魔召喚プログラムを使用していない層。
それでもしぶとく生き残っているのだが、純粋な人間かと言われると疑問な奴らも大量にいたりする。まあ多様性の極みなので悪魔人間も居れば純粋な人類も存在するでしょう。
フォールアウトのレイダー的なのから原始回帰した野蛮人まで、本当に多種多様な存在がいる。
今回の話で出たシェルターの生活レベルは【黒札の壁】と【ガイア連合の壁】の間の下の方ぐらいの妄想です。
もうちょっとしたら食料生産も軌道に乗って他の事をする余裕が出てくるので生活レベルが多少上がります。
ここまで書いてしまっているのでもうちょい書きますが、作者的には――
黒札 : 王侯貴族
大シェルター(支配層) : 資本家・地主などの富裕層
弱小シェルター : 小作・農奴
過激派や非ガイア系 : 盗賊・山賊・移動型民族 ――的な状態だと思ってます。
なので、創作活動(漫画・小説・アニメなど含む)をするにはパトロンとなる黒札か大シェルターの庇護が無いときついのではないかと。
こう『ガイア連合は“俺たち”の集まりなんだから、誰でも漫画を掛ける様にしているだろ!』みたいな意見とは真っ向から対立すると思うのですが、日々の生活も配給に頼っているような人々がそんな『飯のタネ』になるかも分からない事にかまけていられる余裕はないと思うんですよね。
ドクオニキのシェルター? あれは黒札関係シェルターじゃないですか。完全にドクオニキがパトロンの創作活動ですよ、あれ。