【カオ転三次】DRUG FATE   作:石は転がる

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幕間はうまく本編に入れれなかった話や他者視点からの話になっております。
その為あからさまに短い話も混じることをご了承ください。


幕間1

 これは式神も受け取っていない頃の星霊神社でのお話。

 

 

 太陽は天辺を通り過ぎた昼過ぎ。

 その日、私は素っ裸で風呂にやってきていた。

 

「それじゃ、こっちの子たちをよろしくね。」

 

「了解です。」

 

 同じく素っ裸で話しかけてくるのはこの星霊神社の神主だ。

 広い風呂場に人間が二人だけ。貸し切り状態のだだっ広い浴室を一般人が見ればさびれた温泉宿の光景だろう。

 そんな洗い場も霊視が出来る人間が見れが途端に印象が変わる。

 人二人を取り囲むどころか押し倒す勢いでじゃれつくのは神主が世話をしている管狐。今ここに居るのはその一部だがそれでも十や二十ではきかない数が居る。

 今日の私の仕事は、今はまだ数少ない覚醒者としての仕事で、管狐とお風呂に入ることであった。

 

「それじゃ、まずはこっちに来なさい。」

 

 割り当てられた狐たちを洗い場に整列させる。この子たちは管狐の中でも変化や化かしが得意で霊視が苦手な私でもしっかり見える子たちだ。

 神主に言わせれば見えないのではなく見ようとしていないだけだそうだが、ちゃんと見える子を割り当ててくれるので何も言わない。割と神主は根性論的な部分があるので適当に流すところは流す方が良いのだ。

 それはともかく日頃仕事で走り回る狐たちは案外埃や砂で汚れている。風呂に入る前に一通り洗うのは人間と同じだ。

 

「はい、眼を閉じてー。」

 

 シャワーを浴びせるともこもこしていた毛が途端に肌に張り付く。そこにシャンプーを馴染ませ背中からワシワシ泡立てる。背中に腹にと洗うと楽しいのかきゅいきゅい鳴きながら体をこすり合わせてくる子もいるが気にせず洗って、最後に泡を流して完了だ。

 それを順番に繰り返すが、化かしが好きな子が多いせいかこの子たちは悪戯っ子も多い。

 頭としっぽを逆に見せてみたりするのは序の口、洗われた子がしれっと順番待ちの列に並んでみたり変化してナイスバディーの女性になって洗われようとしたり手を変え品を変えこちらと遊ぼうと知恵を絞ってくる。

 それを捌いて洗うのがこの仕事の腕の見せ所だ。

 

「あ、こら! ひゃっ! ちょ、まて、や、は、はははっはは。」

 

 まあ、うまくいくとは限らないが。

 また一匹、また一匹と泡を立てているとするりと私の手から逃れ、一匹の管狐が気迫の鳴き声と共にとびかかってきた。

 泡だらけの長い体を器用に私の体に絡ませて、くねくねと動き回られると拘束されはしないがこそばゆくて捕まえられない。

 神主に助けられるまで散々弄ばれて二人纏めて泡だらけにされたりして洗い終わればやっと風呂に入れる。

 

 風呂に入ればやっと静かになると思えば間違いで、はしゃぎまわる管狐たちは泳ぎに水遊びと騒がしい。

 それをなんとなしに見るのも仕事だ。

 

「いやー、助かるよ。他の子たちだとこの子たちも嫌がってね。」

 

 隣で一緒に入っていた神主に声をかけられる。頭の上にタオルを載せて極楽極楽言っている姿は年相応におっさん臭い。

 

「この程度でしたら平気ですが。この子たちが嫌がる、ですか?」

 

 目の前で虎視眈々と悪戯を仕掛けようと狙っている管狐を指さし疑問を呈す。どこまで行っても人懐っこく遊び好きにしか見えないのだが。

 あ、目をそらしたな、このゴンギツネが。

 

「そうそう。この子たちは相性がいい人間じゃないと人見知りが激しくてね。中々世話を手伝ってもらえないんだ。」

 

 目をそらした狐に神主が水鉄砲をぶつけて笑う。びっくりした狐が大人げなく術で水を飛ばすが神主も大人げなく術で応戦し始めた。

 触発された管狐たちが温泉を使った大海戦を始めたが、この一角だけは波が穏やかなのは神主の仕業だろう。けらけら笑いながら戦闘を鑑賞している。

 大波が唸り波乗り狐が突撃すれば、潜水していた狐が真下から飛び掛かり二匹そろって空へと打ちあがる。後ろから水鉄砲を撃ってる相手からの防御に、水の壁がせり上がりそのまま諸共飲み込まれてきゃいきゃいはしゃいでいる。

 狐の大乱闘はまだまだ終わりそうにないので壁際でのんびり怪我だけしないように見守ることにした。

 

「すんごい眉間にしわが寄ってるけど痛みは大丈夫?」

 

「…え? あ、ああ、大丈夫ですよ。」

 

 一人大人しく風呂に使っていたらいつの間にかに神主の目がこちらを向いていた。

 言われて食いしばった歯と寄った眉間に気が付き、手をこすり合わせて誤魔化す。ひん曲がって繋がった骨などの歪みが直る痛みが顔に出ていた。気をつけなくては。

 

「ま、それもすぐ無くなるよ。一月ぐらいかな?」

 

「それぐらいですかね。だんだん痛みは減ってますし。」

 

 特に心配をしてない態度がありがたい。ある程度無関心の方がこちらも気をやまずに済む。

 

「世話手伝ってもらってるし君には言っておこうかな。」

 

 視線の先で天井まで打ちあがった爆発を気にもせずに神主は会話を続ける。

 

「転生者たちがこの子たちを御せるLVになったら里親探しをしようと思っていてね。気に入った子が居たら先に教えてもらえると助かる。」

 

 ちょくちょく飽きた管狐がこちらに避難して引っ付いてき始めたのでそれを撫ぜながら聞く。

 気に入った子と言う話を聞いて狐たちがうるんだ目で媚びうってくるのはこちらで遊んでるのだろう。返事代わりに乱暴に撫ぜてやる。

 

「この子たちをもらったらデビルサマナーになれますね。目指せ、ライドウですか?」

 

「そこまで強くなってくれたらこっちも安心だ!」

 

 二人してふざけて笑う。戦艦を刀で破壊するのを目指すのは笑うしかない。案外、神主だったら今でもできるのかもしれないが。

 

「管狐の里親の話は了解しました。けど、遠慮しておきます。貰ったらゲーム感覚で使いつぶしそうだ。」

 

「そう? それならそれでいいけど、欲しくなったら言ってちょうだい。」

 

 水遊びに飽きたのかこちらが羨ましかったのか大量の管狐がまとわりついてきたので落ち着かせながら撫ぜていく。横を見れば神主の頭の上に頭を載せた管狐が帽子のようになっていたので、こちらも真似て一匹上に乗せてみる。

 そんなお互いにくすくす笑いあってのんびり湯につかる。

 

 

 これはそんなかつての光景。

 

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