【カオ転三次】DRUG FATE 作:石は転がる
藤原邸の庭にはいくつかの小屋が立っている。
庭の手入れのための道具を入れている小屋やちょっとしたゲストハウスなど、屋敷の機能として建てられた小屋もあるのだが、屋敷の裏手の山側にある小屋はそれとはまた違った機能を持った小屋である。
よく晴れた日にもかかわらず、窓のないこの部屋は暗かった。
部屋は蛍光灯ではなくランプが吊るされ火が点されている。部屋の戸棚に並ぶ大量の陶器パーツに雑に吊るされた朱莉の髪の毛。瓶の中からガラスの義眼が四方に目を向け、陶器の上に張るスキンが積み重ねられている。
ちょっと不気味な人形工房。
そこは朱莉の式神工房であった。その部屋の中央で朱莉は次の式神を作っている。
手術台のような作業台に乗せられた白磁の陶器。筒状のそれの内部に白金のワイヤーの束を結び、樹脂材を通して二つの陶器を繋げる。
慎重に、でも慣れた作業ゆえに手早く終わらせ他の部品も繋いでいく。
「ねー、なんで中身が無いの? 動いている子はあるのに?」」
「…そうですね。簡単に言えば駆動のためのワイヤー以外は必要ないからですね。私のマグネタイト特性というのでしょうか。しばらくしたら式神の望む形に血肉が形作られます。」
私が尋ねると、ちょっと間を開けてから答えが返ってくる。
『実は望みがあるなら背丈や容姿も変わるんですよ』、と朱莉が笑う。『そのための許可も与えているから、そのうち誰か別人のように変わるかもしれない』と夢を見るように。
ふーん、と相槌を打って朱莉の手元を見る。
話しながらも朱莉は何でもない事のように駆動式を刻み込んでいた。
「ねーねー、この子はどこに行くの?」
「そうですね……とりあえず支部で雑用でもさせようかな。マリーが望むなら手伝いに付けてもいいですよ?」
単純化された足先。それでもいくつかのパーツに分かれたそれを接合し、踝、膝と繋げていけばすぐに片足が出来る。
その陶器の上に、朱莉はほんのり肌身がかった色の被膜を貼っていく。陶器の上が終われば隙間に気を付けながら関節を覆う。伸縮性を考えて多少の余裕を持たせた肌は、人と違い直線的で硬質な感じだ。
もう片足も同じように作ったらところで問いかけたが、朱莉はこちらには気もそぞろだ。
なんで分かるかって? なにせ専属の式神はすでに借りているのに、まだつけようかなんて言ってくるのだから当然気が付くよ。
しょうがないので大人しく待ってあげる。
テキパキと既にできていた手足を胴体に繋げ、肌を張り合わせればそこにはもう人型が出来ていた。
ギラリと無機質に光る眼球が正面を見据え、不気味に固まった表情に硬く固定されている。ねじり合わせた糸ではなく、一本の繊維で成形され纏められたぼさぼさの頭髪。
人型をしているが人形としては不気味なそれが、普段共に過ごしている式神たちと同じ様に人間らしくなるとは実際目にしたことが無ければ想像もできないだろう。
「朱莉ー、まだ掛かりそう?」
「ごめん、マリー。あと十分ぐらいで終わるからちょっと待ってて。」
作業が一段落した隙を見計らって声をかけるが朱莉は目の前に集中してしまっている。どうやらこのまま完成させてしまうつもりのようだ。
首元の最後の隙間に手を入れ、その腕に刃を滑らす。
赤い、紅い、香る血。人型にたっぷり溜まるまで朱莉はもう動かないだろう。
血と共に注ぎ込まれる魂。それに勘づき咽喉を鳴らすもう一人の自分を嗜めながら眉をひそめる。
あまり気軽に魂を与えないで欲しい。それは、朱莉の大切なものなのだから。
でも、だからと言って自分にも与えられなくなるのは嫌なのだけど……。
ちょっとはしたない考えだ。これはいけない。
気分を切り替えるために腕組み。
本来の用事を思い出し唇を尖らせ鼻息一つ出してみるが、朱莉は振り返ってもくれない。
もう! 久しぶりに朱莉もお休みだからピクニックでもって思ったのに。
朝食が終わったらどこかに消えちゃった朱莉を探し、やっと見つけた頃には式神作りに熱中しちゃっていて私の相手はおざなりだ!
暇を持て余してスマホをポチポチと弄る。
スマホというものが出来て十年と経って無いけど、これがない生活が想像できない。このすごい便利な物も最初から朱莉が手伝ってできた物だと私は知っていた。今使っているスマホの中身は、すべてが朱莉が整備した土地の工場で出来ている。
きっと、今作ってるお人形さんもこの機械と同じく誰かの助けになるのだろう。
支部や会社に散らばっている何十体――もっと居たかも?――の同系機が無ければ、朱莉ももうちょっと仕事に体を取られてしまうのは分かるのだ。
――それでも、休みの日ぐらい一緒に過ごしてくれてもいいのに。
不貞腐れて宛ても無くネットの検索ワードなんかを彷徨い、私は朱莉をからかえそうなものを探すのだった。
マクロスA(アーカディア)
星間大戦争で傷ついた地球を立ち、銀河に広がる移民船団の一つ――アーカディア――。
銀河の中心に向かい居住可能惑星を探す移民船団に突如、地球外生命体が攻撃を仕掛けてくる。
平和な日常に訪れた惨事。
燃え盛る街。
逃げ惑う人々。
傷つき逃げ遅れた少女が襲われるまさにその時、戦場に歌声が届く――。
【ストーリー】
マクロスアーカディアはマクロスTVシリーズの第三作である。
放送は20××年4月から20××年3月までの4クール。
歴代作品の中でもトップの視聴率を誇り、CD・DVD販売売り上げがアニメ作品史上最多としてギネスにのった。(現在英語吹き替え版の発売途中なのでさらに販売記録が増えることが確実)
映画作成が噂されているので、本当に映画があるならさらに記録を塗り替えるだろう。
そのアーカディアであるが、今までのマクロスとは違い異色の展開が多数存在する。
一話目からまさか“メインヒロイン不在”の学園物が始まる。
主人公が周りの人間と日常を過ごす光景が続き、なんとそのまま一話は終了してしまうのだ。
主人公機の姿かたちも見えない。(辛うじてヴァルキリーの名前は講義シーンで出てくるし統合軍機は出てくる)
二話目にしてやっとダブルヒロインの片割れと主人公が合うが、バイトですれ違うだけである。(会話から前から知り合いであることは分かるがそれでいいのか)
この話から視点切り替えで主人公とダブルヒロインの話が広がっていくのだが、彼らが船団で合流するのは何と五話目になってからである。ただ、この二話で主役機がお目にかかることになる。(別のパイロットが乗っているが)
キャラクター達の日常の話ばかりで非常にゆったりとした進行であり、初期の感想では駄作の心配の声が多い。しかし、作品全体でみるとこの日常が描かれたことで“日常”と“戦火と紙一重の日常”と“非常事態”の空気感の違いが分かり易くなっており、最終回間近で初回を見直しダメージを受ける視聴者が相次ぐことになる。
六話目にしてようやっと戦闘シーンが入るのだが、このCGの流麗さと機動性は待ちに待たされたカタルシスを抜いても度肝に抜かれる。しかも戦闘シーンは使いまわしではなく毎回新たな動きをしているのでぜひ見返してほしい。
ここから日常と非日常の間で人間関係の綱引きが起こる何時ものマクロスになっていくのだが、今作の見どころは何と言ってもその豊富な歌の数々であろう。
作中で使われた新曲だけでナンシェ一人で三十曲以上、シェリルに至っては五十曲を超える。未使用曲を含めると合計二百曲を超える圧巻の数である。(なお現在進行形で増加中。作品世界の曲として演歌のアルバムまで出すのはどうかと思う)
作中のギャラクシーネットワークのヒットチャートを総なめにした歌は、すべて現実でも発表されているので気になったら聞いてみよう。(ヒットチャートの光景自体現実で見覚えのある光景である)
本作は「原点回帰」や「集大成」がテーマとあって作中に歴代のオマージュがちりばめられている。
ここで面白いのは作中の人間が語る「マクロス」や「マクロス7」などはあくまで作中で知れる情報なので視聴者とギャップがあることだろう。それを利用した演出をしているところもあるので、もし何か違和感を感じたのなら前作を見直してみると新たな発見があるかもしれない。(初代歌姫をオマージュしているナンシェは特にその演出が目立っている)
【人選】
アニメ開始直前になっての歌姫役の発表が世間を騒がせた事を覚えている人はとても多いであろう。
シェリル・ノームとしてまさかリアルそのままで作中に登場することになった彼女だが、企画段階では全く別のキャラクターでその歌の担当としてオファーしたのを受諾されたために相当製作が混乱したと監督がコメントしている。
オファー自体、監督がシェリル・ノームの子役時代に一緒に仕事をした伝手でダメもとだったため、まさか受けて貰えると思っていなかったらしい。(そりゃそうだ)
この時点では2クールの作品予定でもう一人のヒロインはオーディションで選ぶ予定だったのだが、流石にトップシンガーの歌と比べさせるのは酷となりオーディションは中止された。
その後、テレビ局も交えた再度の話し合いで2クールから4クールに変更されたのだが、肝心の片割れの歌姫選びが暗礁に乗り上げシェリル・ノームを降板させることまで検討されることになる。
そこにシェリル・ノームからナンシェ・リーこと藤原朱莉が推薦され、声優・歌手でもないことに驚かれながらもオーディションをしたところ一発で合格し製作が進むことになる。(シェリルのコメントで藤原朱莉と一緒に歌うためにオファーを受けたとあるがこれは一種の冗談であろう)
配役の決定によりキャラ設定が再度見直されることになったのだが、この段階でキャラクターを中の人に寄せることが決まる。本来はナンシェは元気っこの予定だったらしい。(キャラクターデザイナーの発言)
以下、主人公とメインヒロインの簡略な紹介。詳しくは『マクロスAの登場人物一覧』を。
主人公 サオトメ・アルト(CV.田村雄二)
16歳 マクロスアーカディア生まれの日系人。
美星学園高等部航宙科パイロット養成コース所属。空を飛ぶことにあこがれを持っており、何時も飛ぶことを考えている。(よくあるパワードスーツで飛んでいるシーンのほとんどは自主練)
バジュラ襲来後、同級生がS.M.S所属のパイロットであったことからS.M.Sに所属することになる。
序盤は男友達二人との絡みを中心に丁寧に学園ドラマを展開することで『普通の少年』が『パイロット』になっていく過程が描写されていく。
戦うことについてヒロイン二人を安心させるために格好を付けている場面があるが、最初の襲来時の犠牲者を見たことがトラウマになっていることを示す描写も多くマクロスとしては珍しいタイプの主人公。
役者として培った空間把握能力と挙動予測から乱戦を得意としている。
メインヒロイン1 シェリル・ノーム(CV.本人)
17歳 マクロスギャラクシー生まれ。
銀河ネットワークでも人気のトップスター。デビューは15歳。アーカディアにはコンサートツアーの最終目的としてやってきた。
作中ではCM曲からちょっとしたドラマのOPまで、ひたすらに彼女の曲が流れるあたりに人気のほどがうかがい知れる。
容姿についてはリアル参照。性格は演じた本人曰く「子役からそのままアイドルをしていた(歌う事に)吹っ切れてない私」とのこと。劇中の歌手として奔放な在り方と私人としての繊細な一面の裏表は歌う事に迷いを持っているかららしい。
彼女のアーカディア来訪が物語の始まりであり、常に物語の中心に存在することになる。
メインヒロイン2 ナンシェ・リー(CV.藤原朱莉)
15歳 ゼントラーディクオーター。
腰までの銀髪に耳のような癖を持った小柄な女の子。劇中で髪が動くのはゼントラーディの血のおかげらしい。各話で毎回服装が違うのは声優本人が収録に着てきた服を参考にしたとのこと。(ほとんどスカートなんですが本当だったの?)
キャラクターとしてはブラコン。何なら主人公よりも兄を心配していた描写の方が多いまである。幼少期の記憶がなく、記憶を思い出させる状況になると胸を押さえて苦しむことがある。
マクロスアーカディアが正体不明の宇宙生物に襲われたことをきっかけに歌手を目指す。主人公との関わりも中盤から民間協力者としてバジュラ相手に歌う時の護衛になってからが本番。
劇中でバイオリンを弾きながら歌ったことに視聴者が非現実的だと非難したが、このシーンは本当に藤原氏が弾きながら歌っている(くわしくはDVD10巻参照)
ちなみに劇中での彼女が歌う前に一瞬目が座る癖は声優の藤原氏の収録時の癖を見て付け加えたとのこと。歌い出すと被弾で揺れようが破片が刺さろうが声が乱れるだけで歌い続けるため、視聴者からはガンギマリスイッチと言われている。
【楽曲】
前述したが作中世界の歌唱曲として発表された曲は二百曲を超えるのでそれぞれについては省略する。
驚くべきことに歌の半分以上はシェリル・ノームの作詞作曲であり、当然のようにナンシェの曲も手掛けているのでOPやEDを見て驚いた人も多いだろう。(ちなみに作品の曲を手掛けている間にも自身の新曲は一切ペースを乱さずに出している)
シェリル・ノームはインタビューで「本当は全曲作詞作曲するつもりだったのに、音楽さんがあまりに作中曲としていいの出すんでもぎ取られちゃった」と話しており、実際編曲はすべて音楽担当の手が入っている。
シェリル・ノームの歌であるが作中の曲はあくまで“マクロス世界の歌姫のシェリル”の歌であるために現実のシェリルとは少し色が違う。そのため作中か現実かで好き嫌いの論争もあるが、シェリル本人は「作中の曲は違う自分で歌えて楽しかった」といっている。
ナンシェの曲であるがこちらの作中曲は初代歌姫を思い出す80年代アイドル路線の曲が多い。ただ「かばうし行進曲」の様に現代のアイドル路線が中盤から増えていく。
基本アイドル路線の曲が多いのだが、こちらはシェリル以上に歴代作品のカバー曲も多いのも特徴。作中で初代歌姫の再来として扱われたこともが理由であるが、見事に初代歌姫の曲を歌い上げている。
ちなみに作中の事件終了後に出した設定のFBのカバーは作中ではあまり売れ行きがよくないそうだが、現実では十年以上前の原曲と共にオリコンに乗るという記録を達成している。(それに加えてカバー設定で出した曲をFBが現実で逆輸入した曲もオリコンに乗った)
ドラマCDではカバーを出した後にFBの新曲が出た時のナンシェが描かれているが、可愛いので是非聞いて欲しい。
同じく原作では影の薄いアリス・ホリディのカバーという設定で出している洋楽もあるが、こちらは海外での売り上げがすごいことになっている。詳しくは『各国ごとの売り上げ』を参照。
ちなみに作中の前期と後期で歌の印象が違うのは作中でマネージャーが変更されたから。最初期のかわいらしく媚びた感じの曲はのちになるほど減るのだが、これは作中での人間としての成長を分かり易くするため脚本家がお願いしたらしい。ファンの中では最初期の歌が一番好きというファンも多い。(幸いリアルで出される曲は初期路線の曲もある)
ちなみにナンシェ・リーを演じる藤原朱莉は男性である。
もう一度書く。
藤原朱莉はお・と・こである。
放映中のリアルコンサートで見ても誰もわからず、このことが知れ渡ったのが作品終了後でファンは阿鼻叫喚した。(主に外国で。日本?逆に喜んでたよ、だめだこの国)
人手が足りないのでちまちまとメイド式神製作をしているお話です。
主人公は降霊が苦手で、降霊をするとスライムではなくもっとしっかりとした悪魔の形で降ろしてしまいます。
なので、スライムを降ろすのではなく漂白した自分の魂を分け与えて式神製作をしています。魂の取り扱いに習熟しているからできる事ですね。
この時点で主人公は三桁を超える式神を地脈サポート無しで維持しています。作成する式神も日常消費MAGを増やす目的で中身をマグネタイトで形成するMAG消費の大きい形式にしているのですが、高LV&魔特化のせいでMAGの消費が回復を下回ってます。
しかも時間経過で勝手に肉が生えてMAG消費が減少するので、消費を増やすためにもコツコツ増産していました。